岩鉱
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92 巻, 12 号
December
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論説
  • ブーメリ モハマッド, 水田 敏夫, 中島 和夫, 石山 大三, 石川 洋平
    1997 年 92 巻 12 号 p. 481-501
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/09/14
    ジャーナル フリー
    サンガン鉄スカルン鉱床地域は,中性代の頁岩,シルト岩,砂岩,炭酸塩岩,および始新世の火山岩類,火山砕屑岩類が,後期始新世の花崗岩類:および関連する酸性岩脈により貫入されている。花崗岩類に伴う熱水活動の結果,炭酸塩岩中に石灰質および苦灰質の2種類のスカルンが形成された。鉄アクチノ閃石∼高カリウム鉄ヘースティングス閃石の組成を有する含塩素角閃石は石灰質スカルンに限られ,サーラ輝石,ザクロ石,磁鉄鉱,方解石,そして稀には柱石とともに産する。角閃石中の塩素含有量はFe2+/(Fe2++Mg)およびK/(K+Na)と正の相関を,また, Si/(Si+AlIV)とは負の相関を示す。一方,含フッ素金雲母は苦灰質スカルンの主要な鉱物であり,そのフッ素含有量はSiO2,およびMgO wt%と正の相関を示す。金雲母と平衡にある流体のlog(fH2O/fHF)は400°Cで4.6∼5.5と見積もられる。また,塩素に富む柱石は石灰質スカルン,苦灰質スカルンの両方に広く分布する。柱石中の塩素含有量は正のNa/(Na+Ca+K)の相関を示す。
       柱石は23∼40 mol%のメイオナイト成分を有し,XC1値はほとんどの試料であり,0.75を越え,世界中でこれまで報告されたどのXC1値よりも高い0.98を示すものである。このXC1値から,柱石と平衡な流体は,55 wt%もしくはそれ以上のNaCl相当塩濃度を有すると算出される。
       花崗岩類やスカルン中に産する塩素に富むヘースティング閃石,塩素に富む柱石およびフツ素に富む金雲母,さらに高塩濃度の流体包有物は,花崗岩質マグマからもたらされ,鉱化に関連した金属は塩素錯体で運ばれたと考えられる。流体中に取り込まれた大量のアルミニウム,珪素,カルシウム等は,母岩や初期のスカルン鉱物の分解によりもたらされたであろう。
  • Martin RADVANEC
    1997 年 92 巻 12 号 p. 502-508
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/09/14
    ジャーナル フリー
    During retrograde metamorphism of carbonate-rich basic schists from the Asemi-gawa area, a part of host calcite formed near the peak of metamorphism has been locally replaced by Fe-Mg containing two different types of carbonate inclusions. One type is Fe-dolomite (FeCO3=8.8 mol.%) accompanied by Cal2(FeCO3=1.5%, MgCO3=2.7%) in the inner part of the replacement. The other one, Mg-ankerite (FeCO3=16.6%) is accompanied by Cal3(FeCO3=3.2%, MgCO3=7%) and Cal4(FeCO3=3.2%, MgCO3=0.6%) in the outer part such of the replacement. An origin of carbonates can be explained by the reactions between a fluid phase containing Mg2+ and Fe2+ and a host calcite1 during retrograde metamorphism.
  • 後藤 芳彦
    1997 年 92 巻 12 号 p. 509-520
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/09/14
    ジャーナル フリー
    北海道礼文島の中新世玄武岩質安山岩シート状貫入岩体(広がり1,200×800 m,厚さ150 m以上)の底部には,指交状シル-セディメント構造が発達する。この構造は,幅70 m,高さ25 mで,指交状に入り組んだ,玄武岩質安山岩シル(長さ10-20 m,厚さ30-60 cm)と堆積岩レイヤー(長さ10-25 m,厚さ30-100 cm)から構成される。玄武岩質安山岩シルの周縁部には,部分的に小規模なぺペライトが形成されている。この指交状シルーセディメント構造は,玄武岩質安山岩マグマが半固結含水堆積物の層理面に沿って指状に貫入して形成されたと考えられる。この構造の形成時には含水堆積物から多量の水蒸気が発生し,マグマ-含水堆積物間は水蒸気膜で隔てられていたであろう。マグマの温度低下と共に,この水蒸気膜は消失し,マグマが急冷されてぺペライトが形成されたと考えられる。
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