岩鉱
Online ISSN : 1881-3275
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92 巻, 1 号
January
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論説
  • 高橋 奈津子
    1997 年 92 巻 1 号 p. 1-24
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/28
    ジャーナル フリー
    北海道,日高帯南部に位置する幌満岩体とニカンベツ岩体に産するメルト成分に枯渇していないレールゾライトには大別して4つのタイプの斜長石が出現する。産状,化学組成,また,岩石の温度履歴の解析から,それらの成因は低温の履歴をたどったため形成されたザクロ石を起源とするサブソリダスでの分解反応生成物と様々な条件下でのソリダスを切ったため生じた初期発生メルトから晶出したものである。すべてはサブソリダスの再平衡化を被っており,程度は異なるがその化学組成を変化させている。また,より高温の履歴を示すかんらん岩では小規模な割れ目にメルトが濃集したものやそれらが連結してネットワーク構造をつくってるものが観察され,その周囲ではメルト成分が枯渇しており,割れ目の周囲で効果的にメルトの分離が起こったことを示唆している。両岩体は同一マントルダイアピル起源で,冷たい周囲から熱い中心部にかけての断片であると考えられる。
  • 張 沢軍
    1997 年 92 巻 1 号 p. 25-40
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/28
    ジャーナル フリー
    中国秦嶺造山帯寛坪層群(約1.0 Ga)から産する塩基性,超塩基性変成火山岩類の主成分と微量元素について研究を行った。本調査地域の変成火山岩類は次の3タイプの岩石から構成されている; (1) コマチアイト: Barbertonタイプとの類似を特徴とする; (2) OIB様玄武岩: コマチアイトと伴って産出する; (3) MORB様玄武岩: 中央海嶺と背弧海盆に産する玄武岩に類似した特徴を持つ。観察された事実と最近の高圧融解実験の結果から,本研究のコマチアイトマグマの成因は,地下約400 km以深でのmajoriteマントルの低度(5-6%)臨界融解によるものと考えられる。OIB様玄武岩質マグマの成因としては,地球化学特徴がコマチアイトと類似している事から,コマチアイト質マグマを形成したマントルから別の低度融解がおこったか,約300 km以深の高圧下でのコマチアイト質マグマからの分離によるかのいずれかであると考えられる。一方,MORB様玄武岩は,枯渇した浅部のスピネルかんらん岩の15-30%部分融解で形成されると考えられる。上昇する高温マントルプリュームが,コマチアイト質マグマと玄武岩質マグマの発生と分化を支配した。このプリュームは背弧海盆か,華北卓状地と華南卓状地の間に発生した主海盆のどちらかで形成された可能性がある。
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