中国秦嶺造山帯寛坪層群(約1.0 Ga)から産する塩基性,超塩基性変成火山岩類の主成分と微量元素について研究を行った。本調査地域の変成火山岩類は次の3タイプの岩石から構成されている; (1) コマチアイト: Barbertonタイプとの類似を特徴とする; (2) OIB様玄武岩: コマチアイトと伴って産出する; (3) MORB様玄武岩: 中央海嶺と背弧海盆に産する玄武岩に類似した特徴を持つ。観察された事実と最近の高圧融解実験の結果から,本研究のコマチアイトマグマの成因は,地下約400 km以深でのmajoriteマントルの低度(5-6%)臨界融解によるものと考えられる。OIB様玄武岩質マグマの成因としては,地球化学特徴がコマチアイトと類似している事から,コマチアイト質マグマを形成したマントルから別の低度融解がおこったか,約300 km以深の高圧下でのコマチアイト質マグマからの分離によるかのいずれかであると考えられる。一方,MORB様玄武岩は,枯渇した浅部のスピネルかんらん岩の15-30%部分融解で形成されると考えられる。上昇する高温マントルプリュームが,コマチアイト質マグマと玄武岩質マグマの発生と分化を支配した。このプリュームは背弧海盆か,華北卓状地と華南卓状地の間に発生した主海盆のどちらかで形成された可能性がある。
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