束稲岩体は北部岩体と南部岩体からなり,さらに,はんれい岩類,ブナ峠火山岩類,石英閃緑岩及びトーナル岩岩体を伴う。束稲岩体とはんれい岩類はほぼ同時期の火成活動の産物であり,これらは高いK
2O含有量で特徴づけられる。南部岩体と北部岩体を比較した場合,これらの間にわずかながらK
2O含有量の差が認められるが,このような違いは同一の起源マグマから分別鉱物の量比の違いによって生じたとする説明が可能である。一方,ブナ峠火山岩類と石英閃緑岩及びトーナル岩岩体のK
2O含有量は束稲岩体のそれよりもはるかに低く,また,活動時期も束稲岩体のそれとは異なる。ブナ峠火山岩類の活動は束稲岩体の活動よりも古く,反対に,石英閃緑岩とトーナル岩の活動は束稲岩体の活動よりも新しい。したがって,本地域の火成活動の特徴として,マグマのK
2O含有量に時間的な変化があったことを指摘できる。
*Mt. Tabashine: 束稲山
Mt. Ohira: 大平山
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