岩鉱
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92 巻, 4 号
April
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論説
  • 荒井 章司, 角島 和之, Mustansir V. MANJOORSA, Carlos P. DAVID, 喜田 恵美
    1997 年 92 巻 4 号 p. 137-141
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/06
    ジャーナル フリー
    クロムスピネルの組成は,かんらん岩の岩相の非常に良い指示者であり,河川などの砕屑性クロムスピネルの組成を用いて供給源のかんらん岩体などの岩石学的性質を簡便に概観できる。この方法により,未だ岩石学的性質が不詳であるフィリピン,ルソン島北西端にあるIlocos Norteオフィオライトのマントルかんらん岩の性質を調べた。同オフィオライトを横断するTulnagan川の礫および砂クロムを検討した結果,主要な構成岩石はハルツバージャイトであり,そのクロムスピネルのCr/(Cr+Al)原子比は0.4から0.8まで変化することがわかった。これより同オフィオライトの起源は中央海嶺ではなく,スプラ・サブダクション帯(島弧)であることが推定される。
  • 内田 悦生, 北村 嘉章, 今井 直哉
    1997 年 92 巻 4 号 p. 142-153
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/06
    ジャーナル フリー
    Fe-Mn-Mgカンラン石固溶体と2N塩化物水溶液間におけるイオン交換実験を600°C,1 kbarの条件下で行った。実験条件下ではカンラン石は連続固溶体を形成した。実験の結果,陽イオンはMg2+»Fe2+>Mn2+の順にカンラン石固溶体中に取り込まれ易いことが明らかとなった。
       カンラン石固溶体の混合に関する熱力学的性質を求めるために塩化物水溶液中の溶存種を考慮に入れて実験結果の熱力学的解析を行った。その結果,ファヤライト—テフロアイト固溶体はわずかに負の混合のギブルエネルギーを示したのに対し,テフロアイト—フォルステライトおよびフォルステライト—ファヤライト固溶体は明らかに正の混合のギブスエネルギーを示した。
  • 王子 裕幸, 土谷 信高, 蟹澤 聰史
    1997 年 92 巻 4 号 p. 154-172
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/06
    ジャーナル フリー
    束稲岩体は北部岩体と南部岩体からなり,さらに,はんれい岩類,ブナ峠火山岩類,石英閃緑岩及びトーナル岩岩体を伴う。束稲岩体とはんれい岩類はほぼ同時期の火成活動の産物であり,これらは高いK2O含有量で特徴づけられる。南部岩体と北部岩体を比較した場合,これらの間にわずかながらK2O含有量の差が認められるが,このような違いは同一の起源マグマから分別鉱物の量比の違いによって生じたとする説明が可能である。一方,ブナ峠火山岩類と石英閃緑岩及びトーナル岩岩体のK2O含有量は束稲岩体のそれよりもはるかに低く,また,活動時期も束稲岩体のそれとは異なる。ブナ峠火山岩類の活動は束稲岩体の活動よりも古く,反対に,石英閃緑岩とトーナル岩の活動は束稲岩体の活動よりも新しい。したがって,本地域の火成活動の特徴として,マグマのK2O含有量に時間的な変化があったことを指摘できる。
    *Mt. Tabashine: 束稲山
    Mt. Ohira: 大平山
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