オーストラリア,ニューサウスウエールズ州ブロークンヒルから産する緑色正長石を,EPMA, XPS, ICPを用いて詳細に測定を行い,同鉱物に含まれる高濃度の鉛の存在状態を解明した。緑色正長石内の鉛が長石構造のM席を占有している本質的な元素であることは既に報告されているが,同時に微小方鉛鉱や微小未同定鉱物を包有しており,これらの多くが偏光顕微鏡観察で検出不能であることから,バルク分析を行う際には,得られた定量値に対して十分な注意が必要である。純粋な長石部分での複合イオン置換に基づく検討から,ブロークンヒル産緑色正長石はPbをPbAl
2Si
2O
8 端成分として固溶する可能性が指摘され,現在得られている同端成分の最大固溶量は3.8 mol% である。
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