岩石鉱物鉱床学会誌
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25 巻, 5 号
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  • 渡邊 萬次郎
    1941 年 25 巻 5 号 p. 199-213
    発行日: 1941/05/01
    公開日: 2008/03/18
    ジャーナル フリー
    大森金礦床は福島市の西南に近く,片状花崗閃緑岩と石英粗面岩状火山岩,同角礫凝灰岩,砂岩,頁岩,礫岩等が,互に連接せる二方向より成る斷層群によりて,界を接する部分に當り,ほゞ東西に延長したる殆んど垂直の礦脈を主とし,第三紀以後の成生にかゝる。
    本礦脈は主として斷層角礫帶を石英,氷長石,黄鐵礦,閃亜鉛礦等を以て礦染或は交代し,之に金銀を伴なへるものにして,そのうち硫化亜鉛礦の一部は,ウルツアイトとして晶出せる後,閃亜鉛礦に變移したるものと信ぜらる。それらの性質及び礦石の構造上,本礦床は地下比較的淺き部分にて,300°~100°Cに於て生ぜるものと認めらる。即ち淺熱水礦床(epithermal deposit)に屬す。
    礦化作用は特に斷層角礫帶中石英粗面岩状碎片に著るしく,花崗閃緑岩片に著るしからず。從つて花崗閃緑岩中に於ては,礦脈は規則正しきも,品位低く,角礫凝灰岩中に於ては,局部的には品位高きも,その分布均等ならず,東西兩富礦帶は主として花崗閃緑岩と,石英粗面岩状火山岩,またはその角礫凝灰岩との境界に沿ひて發達す。
    金は主として硫化物に伴なひ,自然金として發見せられ,礦床の一部は硫化物の酸化溶失によつて殘積的に一層金に富化せらるゝも,下降性二次富化の跡を見ず。
  • 渡邊 萬次郎
    1941 年 25 巻 5 号 p. 213-229
    発行日: 1941/05/01
    公開日: 2008/03/18
    ジャーナル フリー
    I 大森礦山産硫化亜鉛礦は,六方柱状の微晶を成し,屡々柱に直角なる反覆双晶を成せども,六方柱面に平行なる劈開を有し,これに沿ひて黄銅礦の微粒を包裹す。この最後の特質は六方晶系によく一致し,等軸晶系の單晶は勿論,その(III)による反覆双晶によりて生ずる六方柱の性質とも一致せず。然れども,その光學的性質は,これを非等方性のものと信ぜしむるに充分ならず。これらの點にて本礦は少くとも一部分は先づ准安種たるウルツァイトとして晶出し,その後一層安定種なる閃亜鉛礦に變ぜるものと認めらる。
    2 本礦は通常黄鐵礦及び石英と共生し,第三紀火山岩に伴ひて生ぜりと信ぜらるゝ礦脈中,酸化或は二次的變化の跡なき部分に産出し,その初成的産物と認めらる。
    3 本礦に伴なふ石英は概ね粒状乃至小柱状にて羽光状消光を成せども,玉髓又は蛋白石の如き准膠状の低温特有礦物を伴はず,その成生温度は300°C~100°Cと信ぜられ,この推定はウルツァイトの成生に關する實驗上の資料とも一致す。
    4 本礦物中にはその六方柱面に平行なる格子状を成して,黄銅礦の極めて微粒を包裹し,その成因を固溶體の分裂によつて説明すべきか,成生の途中に於ける一種の共生と認むべきか,なほ今後の研究を要す。
  • 高橋 純一
    1941 年 25 巻 5 号 p. 230-235
    発行日: 1941/05/01
    公開日: 2008/03/18
    ジャーナル フリー
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