東磐井礦床は北上山地の南部にあり,薄衣接觸變質帯の外縁部に近く,閃緑岩の邊縁を去る約2粁の位置に在り。
附近は主として二疊紀下部の變質水成岩に層し,層向NI0°~20°W,傾斜70°~80°Wなり(第壹圖)。
硬床は層理に平行にレンズ状を成し,雁行状に延長する含金石英重石脈にて(第貳圖),甞て金礦として採掘せられ,その後重石礦山となれり。
礦床の一部は母岩の層理に沿つて細かくレンズ状に挾まり(第五圖),或はこれを網状に貫ぬく石英重石脈にして,屡々黒雲母及び角閃石を伴なひその兩側の母岩中にも多量の黒雲母,角閃石,硫砒鐵礦等を生じ(第六圖),高温性熱水溶液より生じたるを示す。
礦床の一部は前者を貫ぬく塊状石英脈にして,黒雲母,角閃石,硫砒鐵礦等を伴はず,稀に黄鐵礦を伴なふのみ。金は主としてこの中に含まれ,前者の成生に引續き,温度の更に低下したる場合の産物と認めらる。重石の結晶また屡々石英黄鐵礦の細脈に貫ぬかれ,それらの成生の前後を示す(第四圖)。
抄録全体を表示