千代ヶ原礦床は岩手縣東磐井郡大津保村に在り.一部は閃緑〓岩を貫ぬき,一部はこれに接する三疊紀砂岩中に礦染する。礦石は主として黄銅礦,磁鐵礦,磁硫鐵礦及び黄鐵礦,白鐵礦,黒鐵礦(melnikovite)等より成り,後3の者は主として磁硫鐵礦の變成物と認められる。ニッケル及びコバルト礦物はこれらに伴なひ,硫砒ニッケル礦(gersdorffite)及び輝鐵ロバルト礦(ferrocobaltite)として産し,これに件なふ二次的角閃石,石英,緑泥石及び黄銅礦との關係上,熱水溶液上昇の初期の産物と認められる。礦石中にはニッケル凡そ2%,またはコバルト4%を含むものもあるが,現在までの探礦によれば,礦床の規模小さいため,これを利用に供するに至らぬ。切に今後の發展を祈る。
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