西南北海道の各種の鉱床型式の満俺鉱物について,微量成分の検出を行つた。其の結果
1. 西南北海道に産する満俺鉱物中には,Al, Fe, Si, Mg, Cu, Ca, Ti, V, Ce, Na,K,等の元素を殆ど必す含み,更に古生層中に胚胎するものは鉱床的に高温型のもの(Sn, In, Ni, Co等)を,新第三紀層中のものは,鉱床的に低温性のもの(As, Ag, Ba等)を,夫々上記元素に加えて含んで居る。そして古成層中のものはAs, Ag, Ba等は見出されないに対し,新第三紀層中に産するものについては,Sn, Ni, Co,等は微量か,殆んど存在しない。
2. これ等のもつ意義については未だ確実ではないが,既に発表せられて居る諸結果と比較検討し,非常に類似した性質を示すことを知つた。そしてこの含有機量成分の差異は鉱物の生成条件の相違によつて生じたものと考えた。
3. 母岩との関連については,資料不足のため不明である。又鉱物種,鉱床の型式による含有微量成分の差異はあまり顕著でない。
本報文を発表するに当り,研究中種々御指導を載き,且実験に便用した試料の大部分を心良く貸与下された,北〓理学部地質学鉱物学教室,原田準平教授に深く謝意を表する。又微量成分検出に際し,種々御尽力を受けた北大理学部化学教室 香山勲博士に御礼申し上げる。
尚又本研究に使用した研究費の一部は交都省科学研究費に依つた。ここに明記して謝意を表する。
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