1965年に約1ケ月間調査を行つた結果,始新統に属するKaraji層の層序が明らかとなつた。堆積間隙を示さない厚い地向斜的堆積物から成り,累層の厚さは10,000メートル以上に達する。熔岩・火山砕屑物など火山性堆積物を主とし,泥岩,泥灰岩などを夾在する。火山物質は上・中部の層準では主として酸性,下部層準では主として塩基性である。
全体が深部埋積による低度広域変成作用を受け,上部層準のものは沸石相の変成岩となり,下部層準のものはパンベリ石を欠き緑簾石とブドウ石とで特徴付けられる変成岩となつている。両者の間には漸移帯がある。Karajダム近くにモンゾニ岩々床があり,それを囲む変成ハローにだけダク沸石が発達している。
これらの変成作用の様相は,日本のグリンタフの累層の大部分と類似するが,全体としてはもっと緩かな地下温度勾配の下で行われたものと推定される。
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