トロイライトは,Fe:S=1:1組成の低温型硫化鉱物で,地球上での産出は,非常に稀であるが,隕石中には,広く見出されている。筆者は,鉄隕石(Canyon Diablo, Odessa, Sardis)から,トロイライトを取出し, X線回折,メスバウアースペクトルの測定を行った。X線回折では,粉未線のd(1124)は,2.093→で,定比組成のFeSであった。単結晶X線回折からは,a=√
3A=5.97→ c=2C=11.75→の六方晶系で, 2C型の超格子構造を示している。Fe
57のメスバウアー効果から,アイソマーシフト,四重極相互作用,内部磁場を測定した。スペクトルは,強度比が,ほぼ3:2:1:1:2:3の吸収を示し,線巾は,合成FeSに比較して著じるしく狭く,定比組成からのずれは,極めてわずかである事を示している。
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