岩石鉱物鉱床学会誌
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71 巻, 12 号
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  • 加藤 祐三, 浜 聰
    1976 年 71 巻 12 号 p. 363-373
    発行日: 1976/12/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    堺ノ神岩体は北部北上山地に位置する白亜紀貫入岩体の一つで,野外と鏡下での観察から,貫入の順にA, B, Cの3岩型に分類され,さらにA型は3亜型(A1~3)に, C岩型は2亜型(C1, 2)に細分される。それらを構成する代表的な岩石は次の通りである。
    A1 かんらん石普通輝石普通角閃石斑れい岩
    A2 普通輝石普通角閃石斑れい岩
    A3 黒雲母普通角閃石斑れい岩
    B 黒雲母普通角閃石斑れい岩,閃緑岩
    C 黒雲母普通角閃石花崗閃緑岩
    鏡下での観察から, A2, A3亜型には普通角閃石が斜長石より先に晶出したもの(hグループ)と,その逆のもの(pグループ)とが認められる。前者のかなり多くと,後者の一部は,各種程度の結晶集積相である。
    化学分析値を珪酸-酸化物図にプロットすると多くはほぼなめらかな曲線にのるが, A型の岩石のMgOとAl2O3に関しては大きくバラつく。これらのプロットは結晶分化作用と結晶集積作用の差および集積した鉱物の種類の差で,計3種の曲線上に整理される。
  • 西村 進, 池田 隆, 森下 茂治
    1976 年 71 巻 12 号 p. 374-378
    発行日: 1976/12/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    生野層群中にみられる中生代火成作用の玄武岩質岩の希土類7元素(La, Ce, Sm, En, Tb, Yb, Ln)とBa, Co, Cr, Hf, Sc, Thを中性子放射化分析により,また, Uをフィツヨン・トラック法で求めた。微量元素の存在の仕方は岩石学の問題とくに熔岩の生成についての一つの手掛を与えてくれる。生野層群は流紋岩質,安山岩質,岩石,頁岩と凝灰岩の互層,デレシ岩より成り立っている。玄武岩質岩は生野層群の熔岩床と生野層群に貫入する岩脈がみられる。これらの岩床はアルカリ岩系で,岩脈は高アルミナ岩系である。その中に含まれる微量成分について考察を加えた。
  • 正路 徹也
    1976 年 71 巻 12 号 p. 379-388
    発行日: 1976/12/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    次の2つの反応,
    (1) CaCO3+SiO2=CaSiO3+CO2
    (2) Ca6Si6O17(OH)2=6CaSiO3+H2O
    の平衡線の方程式をもとに, H2O-CO2混合流体中における次の反応
    (3) 6CaCO3+6SiO2+H2O=Ca6Si6O17(OH)2+6CO2
    の平衡線の方程式を計算した。
    反応(2)の起きる温度としては約200°C (Gustafson, 1974)と約400°C(Buckner et al., 1960)という2つの報告がある。しかし, H2O-CO2混合流体中における方解石一石英の組合せの安定領域はそれらに無関係に決まる。方解石-石英の組合せが安定な混合流体中のCO2の量は, 400°Cで0.6 mole%以上, 300°Cで0.03 mole%以上である。これよりCO2の少い流体中では珪灰石またはゾノトラ石が安定となる。黄銅鉱や閃亜鉛鉱などの鉱石鉱物を伴うスカルン中に珪灰石やゾノトラ石が伴われることがほとんどないということは,上記の値が鉱石鉱物を伴うスカルンを生成する流体中のCO2量の下限を示しているものと考えられる。
  • 氏家 治, 大貫 仁
    1976 年 71 巻 12 号 p. 389-399
    発行日: 1976/12/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    瀬戸内岩石区火山岩類中の斑晶角閃石とその母岩との化学的関係を調べた。角閃石中のSi量は,晶出時の々グマ中の自由シリカの量にかなり規制きれているようである。角閃石中には石基(液相)の約4分1のの量のK2Oが含まれ, KとNaの角閃石と液相とへの分配係数は平均で2.2である。母岩の相関係および角閃石に包有きれる輝石類の平衡温度の計算値から,これら角閃石は水に不飽和なマグマから900°Cよりも高温で晶出したものと思えるみ斑晶晶出時に角閃石制御の分別作用が生じれば残液は過アルミナ質組成へと変化する。また典型的なカルク・アルカリ岩系の一連のマグマが導かれるには,角閃石と共に何か鉄分に富んだ鉱物の晶出・分離が必要であろう。
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