バリウム-ストロンチウムの硫酸塩固溶体の合成を行ない,この系の鉱物の格子常数a
0とc
0が,その鉱物の化学組成の変化に伴って直線的に変化するが,b
0はある緩かな曲線に沿うて変化すると言う結果を得た。合成された鉱物は溶液に比してはるかにバリウムに富むので,溶液中のストロンチウムとバリウムのイオン比[Sr
2+]:[Ba
2+]は鉱物の晶出に伴って次第に高まって来る。分配係数
kBaSrは温度の上昇とともに高まる。分子比[BaSO
4];[SrSO
4]が270°Cの時,約1:1から1:4の範囲の,また170°Cの時,約3:1から1:9の範囲の中間組成を持つ鉱物の晶出は,この範囲外の鉱物の晶出に比し,きわめて困難なので,この範囲から離溶領域を意味する可能性がある。さらにこの研究結果にもとづいて,アルゼンチン, Neuquen州に存在する多くの重晶石-天青石鉱床の成因について考察を加えた。
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