仙台市西方約18km,宮城町棒目木に分布する上部中新統の石英安山岩質岩脈岩体の杏仁状晶洞および裂か面に産する束沸石は長さ約2~10mmの束状集合体からなり,方解石,濁沸石および黄鉄鉱と共生し,晶洞によってはさらにワイラケ沸石,魚眼石および石英とも共生する。ある晶洞の束沸石について次の鉱物学的データーを得た。
比重2.22,屈折率α=1.492, β=1.500, γ=1.502, 化学式はNa
1.00K
.06Ca
4.07Al
8.96Si
26.98O
72・28.98H
2Oを示し,典型的なNaAl-Siの置換型を示す。粉末X線回折により格子定数a
0=13.43, b
0=18.21, c
0=11.21Å, β=128.9°を得た。D. T. A.の結果,約170°Cに顕著な吸熱バンドが,約190~240°Cに吸熱ブロードバンドが,また390°C以上に緩やかな吸熱バンドが認められた。Ca-richにもかかわらず500°C付近の発熱ピークは認められない。塩基性交換容量は約120meq/100gを示す。これは化学組成から期待される交換容量の約37%に相当し,従来の報告より低い値である。
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