大浦火成複合岩体の末期分化物からつくられるアピン岩質岩体中には角閃石,緑れん石,斜長石などの変質鉱物が広く分布し,黒雲母に富む変質帯には銅硫化物の濃集体が産出する。鉱化地帯からの石英の中の流体包有物の均質化温度は高く,鉱化作用ならびに変質作用はアピン岩質岩石をつくったマグマから分離した流体によるものとみなきれる。変質鉱物の組み合せはホストである火成岩の生成順序に従って変化し,マグマからの流体の分別分離があったと推定きれ,鉱化流体は最末期のマグマに起因すると考えられる。
アピン岩質岩体中の火成組織をもつアルバイトは時々Caに富む熱水性斜長石によっておきかえられ,マグマからのもとも.との晶出物である。アルバイトの生成は多量の角閃石のマグマからの晶出の結果とみられ,この不混和溶融する鉱物の晶出は液中の単斜輝石,斜方輝石,灰長石成分を消費しておこり,晶出する斜長石をNaに富むものにすると考えられる。
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