岩石鉱物鉱床学会誌
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78 巻, 11 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 液体マグマの構造に関連して
    氏家 治
    1983 年 78 巻 11 号 p. 415-427
    発行日: 1983/11/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    標記球顆状溶岩においては,通常の固-液相間の反応では液体マグマ中に濃集する成分(例えば希土類元素)が,流紋岩質の球顆よりも玄武岩質の基質中に多量に含まれている。これは不混和マグマにおいて生じる組成関係であり,当地に広く分布する始生代火山岩類の一般的組成関係と異なっている。
    不混和な2液間の元素の分配係数(苦鉄質/珪長質)とそのイオン半径の関係を見ると,イオン半径が0.7 Åと0.95 Å付近に分配係数の極大が認められる。これは,液体マグマの構造中にイオン半径が0.7 Åと0.95 Åに近い元素に適した席が存在し,液相がより苦鉄質なほどその席の量が多いことを暗示している。燐灰石-液相間の希土類元素の分配係数と液相のSiO2含有量との相互関係はこの解釈を支持している。
  • 崔 善奎, 伊村 慶子, 今井 直哉
    1983 年 78 巻 11 号 p. 428-440
    発行日: 1983/11/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    韓国・蔚山鉱山のスカルン帯に産出する緑色ざくろ石が主としてEPMAにより検討された。その結果は次の通りである。(1) これら緑色ざくろ石の単結晶の大きさは普通100μm以下で,透過光下でエメラルド緑色を呈し,かつ光学的異方性を示す。(2) それは単斜輝石・グランダイト系ざくろ石細粒集合体の間隙を填めるクラスター,或はこれを貫く微細な割目の充填物として出現する。(3) その多くは上部白亜系泥質岩から導かれたホルンフェルス源スカルンに出現するが,その一部は石灰岩源スカルンにも認められる。そして,これらスカルンは例外なくクロム鉄鉱の微粒子を含む。(4) その化学組成はugrandite系ざくろ石で近似でき,かつ粒子ごとの組成変化がかなり著しく,その多くはクロミウム質グロシュラーの領域に投入されるが,その一部はアルミニウム質ウバロバイトの領域にわたる。(5) クロム鉄鉱の粒子にはその一部が緑色ざくろ石により交代されているものがある。
    筆者らはこの緑色ざくろ石とクロム鉄鉱との密接・不離の共存関係を重視し,それは後期スカルン時代の前半を占めるprogradeなスカルン進化の晩期において,既存のクロム鉄鉱・単斜輝石・グランダイト系ざくろ石の分解の結果解放された諸成分を含む流体により形成されたものと考えた。なお,クロム鉄鉱は産状・化学組成から次の二つの起源を持つものに分けられた。クロム鉄鉱 (I): 上部白亜系泥質岩中の砕屑,クロム鉄鉱 (II): スカルン形成期に生成したhypogene oxide。そして,いずれの場合にもCrの根源を近くの超苦鉄質岩体に求めた。
  • 山岡 一雄, 根建 心具, 増渕 和芳, 神原 洋
    1983 年 78 巻 11 号 p. 441-448
    発行日: 1983/11/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    Carrollite, meneghinite and bournonite are rare minerals in the Kuroko deposits, and occur in very restricted parts of the uppermost part of the black ore zone. Carrollite is found exclusively in a chalcopyrite rich part of the black ore of the Matsumine ore deposit of the Hanaoka mine. The mineral is intimately associated with chalcopyrite, bornite and pyrite and also with sphalerite (0.2-0.3 wt% Fe), tennantite, galena and barite.
    Meneghinite, bournonite and boulangerite are found in the black ore from the Uwamuki ore deposits of the Kosaka mine. Moreover, at the Uwamuki No. 3 ore deposit, euhedral crystals of meneghinite and bournonite occur in cavities of the black ore, and are closely associated with barite and sphalerite (0.10 wt% Fe, below 0.01 wt% Mn, 0.17 wt% Cd).
    Mode of occurrence and mineralogical data of these rare minerals are described in this paper and the brief discussion for the mineral genesis has been offered.
  • 大橋 晴夫
    1983 年 78 巻 11 号 p. 449-453
    発行日: 1983/11/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    NaCrSi2O6 (20)NaScSi2O6 (80) -NaCrSi2O6(20)CaMgSi2O6 (80) 系の単斜輝石を, 1気圧下で3種類合成し,それらの結晶場スペクトルを測定した。結晶場の強さ, lt;ν1>, はCaMgSi2O6組成の減少とともに弱くなり,これはCr3+の占める6配位席の膨張と, 6配位席を形成する酸素の形式電荷の増加とを,原因としている。他方NaCrSi2O6-CaMgSi2O6系の単斜輝石の <ν1> の変化は,上記の2つの理由だけでは説明されない。すなわち,NaCrSi2O6 (80) CaMgSi2O6 (20) -NaCrSi2O6 (100) 系においては, <ν1> はCaMgSi2O6組成の減少とともに強くなり,これは, NaCrSi2O6組成の増加とともに, 1.55から1.35へと減少するCr3+の電気陰性度の変化を,主たる原因としている。
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