宮城県宮城町上愛子の板颪鉱山で採取した14個のモルデン沸石凝灰岩試料について陽イオン交換,炭酸ガス吸着, X線回折,化学分析,およびハンター白色度の測定を行った。試料はゼオライト鉱床を胚胎する白沢層の異なる層準で採取した。モルデン沸石凝灰岩の化学組成はほぽ均質で, Si/Al比は4.28~5.63で,その平均値は4.81である。Ca
2+量はNa
+, K
+およびMg
2+量より多く, CaO含有量はモルデン沸石含有量と強い相関を示す。また,モルデン沸石含有量は炭酸ガス吸着量,陽イオン交換容量およびNH
+4交換で溶出した全陽イオン量とも強い相関を示す。モルデン沸石を多量に含む部分の層厚は約80mであり,これ以下の層準では深さが増すにつれモルデン沸石含有量は低下している。現在稼行中の強くモルデン沸石化した地層から採取した8試料の平均鉱物組成は以下の通りである:モルデン沸石; 60.8wt.%.石英; 5.8wt.%, α-クリストバル石: 1.6wt.%,長石; 3.3wt.%,非晶質物質: 23.5wt.%。また,その平均陽イオン交換容量は140.3meq./lOOgである。
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