グローバルビジネスジャーナル
Online ISSN : 2434-0111
6 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
自由論題(査読付き論文)
  • 吉積 尚志, 瀬木 俊輔, Kiyoshi KOBAYASHI
    2020 年 6 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/22
    ジャーナル フリー
    日本企業が参画した海外インフラ建設プロジェクトにて納期遅延が発生し,多額な損害が発生する事例が後を絶たない.本論文は,海外インフラ建設プロジェクトにおいて遅延が発生する要因を契約形態に着目し,纏めたものである.一般的に,遅延が発生した場合,請負者責による遅延日数に対して契約にて定められた損害賠償額(LD)を請負者は発注者に支払う必要があり,請負者はLD支払いを避けるというインセンティブによって,工程を遵守しようと努力する. 本研究ではPrincipal とAgentの関係に基づいてコンソーシアム契約における請負者のインセンティブについて評価した結果,請負者のインセンティブが低下し,そのため,工程遅延が発生しやすくなることを示した.
  • 村上 啓二, 小林 潔司, 瀬木 俊輔
    2020 年 6 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー
    鉱山事業は鉱物資源の価格変動リスクに晒されており,また採掘量やコストが変動する事業リスクも有しているため,単一の鉱山では収益の安定化が困難である.したがって,鉱山経営会社は複数の鉱物資源や鉱山のポートフォリオを形成し,収益やキャッシュフローを平準化させることにより,鉱山事業全体のリスクをコントロールしている.本研究では,鉱山ポートフォリオの長期最適化モデルを開発した上で,具体事例による計算結果を分析し,実務的な応用と示唆を示す.従来のポートフォリオの長期最適化に関する理論は,金融工学に基づき投資家の観点から金融商品のポートフォリオについて論じられているが,商社のような事業会社における鉱山ポートフォリオの長期最適化に関する研究は類を見ない.
  • 竹末 直樹, 藤堂 政行, 小林 潔司
    2020 年 6 巻 1 号 p. 20-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー
    厳しい財政制約の下でインフラの老朽化に対応するため,アセットマネジメントの実施とPPP/PFI 手法の導入が並行して進められている.前者は,2014 年1 月に発行されたアセットマネジメントの国際規格(ISO55000 シリーズ)にも謳われている「アセットからの価値を実現化する組織の調整された活動」であり,後者はインフラの管理・運営を官民協働で実施するしくみである.本稿では,これまで官民のリスク分担や契約手続き,プロジェクトファイナンスのしくみなど,プロジェクトマネジメントの視点からの研究が多かったPPP/PFI 手法について,各手法の将来フリーキャッシュフローから導出されるインフラの資産価値の評価式をもとに,民間事業者がアセットマネジメントを実施するインセンティブの有無,インセンティブを持たせるための方策について考察する.
  • 宮本 健吾, 神田 陽治
    2020 年 6 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/29
    ジャーナル フリー
    新興国に展開した日本の中小企業が,現地パートナーとの関係構築で失敗している事例が多い.我々は,合弁ビジネスの関係者間の「暗黙知の乖離」に,失敗の原因があると考えた.本論文では,ミャンマーで国際合弁会社を設立し,運営を継続している日本の物流企業の事例を分析した.関係者へのインタビューの質的分析から,国際合弁会社の設立時には,暗黙知の乖離を解消するために,信頼の構築が鍵となることが示唆された.さらに,国際合弁会社の運営において,暗黙知の乖離を意識的に抑えなければ,暗黙知の乖離が再び生じうることが示唆された.
  • 岩崎 康子, 江尻 良
    2020 年 6 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/18
    ジャーナル フリー
    本稿では,途上国におけるインフラ投資評価の手法について,JICA及び世界銀行における費用便益分析の実施状況の分析を通じて,その現状と課題について明らかにした.費用便益分析は貨幣価値によって投資の効率性を明示しプロジェクトの選定に合理性を与える. しかしながら, 途上国内の絶対的貧困を撲滅するためのインフラプロジェクトを選定する場合, 費用便益分析に必要なデータの収集の限界に加え, 貨幣価値に変換することが難しい効果を考慮する必要性が高いために, 実務では多基準分析によってプロジェクトの選定が行われている. こうしたインフラプロジェクトにおける多基準分析の適用については,包括的な指針がなく, 適切な評価基準の選定や信頼性の高いウェイトの決定手法等に関して課題がある.
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