グローバルビジネスジャーナル
Online ISSN : 2434-0111
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事例研究(査読付き事例研究)
  • -弱い紐帯の活性化メカニズムの視点から-
    千葉 敦, 石井 貴春
    2025 年11 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/14
    ジャーナル フリー
    本稿では,大学が地域で価値創造を担い,ビジネス・エコシステムを構築するための理論的課題を特定し,それらを構築できる条件を示す.大学は弱いつながりをもつ主体として位置付ける.条件とは第1に,大学による企業や自治体の課題共有であり,さらに,それらの課題を特定し解決する能力を養う,教育プログラムの実施が必要である.第2に大学における地域や企業の課題を解決するための価値(利益)設計である.地域や企業の課題を大学と相談することで,学生の積極的な支援が促進されるシステムを構築することである.地域の課題解決人材の育成につながる.
  • -起業者コミュニティ内部の動的変化と成長-
    髙村 義晴
    2025 年11 巻1 号 p. 24-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,東日本大震災の岩手県沿岸被災地において,政策的支援措置(2013年度~2015年度)を受けて起業した起業者58名それぞれの「内面的意識」と,その集合体(起業者コミュニティ)内部の起業者相互のつながり行動が,どのようにダイナミックに変化し連鎖・波及し起業者に成長をもたらしていくかを,起業者に寄り添い明らかにしたものである.その紐帯を成すのは,「信頼」等ではなく,①起業に臨む同一境遇性,②地域への思い,③新たなビジネス展開への期待―等であり,個々のつながり行動は,周囲の協力者を巻き込んで変化し新たな仕組み・秩序へと結びついていく.これらのつながりを促進させるには,コミュニティとしての「共有感覚の形成」と「個々の自主・自由なつながりの仕組み」が効果を発揮する.
  • -東日本大震災による沿岸被災地を例として-
    髙村 義晴
    2025 年11 巻1 号 p. 12-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,東日本大震災の岩手県沿岸被災地において,政策的支援措置(2013年度~2015年度)を受けて起業した起業者58名の「起業動機・信条(内面的意識)」と「起業者間相互のつながり志向」を起業者に寄り添い個々に明らかにしたものである.自己実現志向が全体の2割に対し,地域貢献等の地域との関りを意識する者が2割.大半の6割はその両面をもつ.これらの起業者が地域の復興・創生において地域経済に留まらず,暮らし・地域社会・生活文化等の向上の役割を担う.また集合体としてみるなら,相互のつながりは,自らの事業推進・継続に,7.5割が有効と答える.その紐帯をなすのは,「信頼」や「被災の共通体験」ではなく,①起業に臨む同一境遇性,②地域への思い,③新たなビジネス展開への期待―等の特殊な構造を有する.
  • 中島 徳至, 髙木 朗義
    2025 年11 巻1 号 p. 36-45
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    ベンチャー企業は新産業の創造やオープンイノベーションのために欠かせない存在となっている.一方,わが国のベンチャー企業の資金調達環境は東京一極集中型となっており,地方の活性化は限定的である.地方創生が叫ばれる中,ベンチャー企業を起点として地方でイノベーションを創出できるのかが問われている.本稿では,まず日本国内のベンチャー企業の資金調達環境を整理する.次に,地方におけるベンチャー企業の資金調達環境に関する現状と課題について具体事例を含めて示して地域金融機関の取り組みの現状と課題を整理し,地域金融機関に期待される役割や取り組みについて述べる.最後に,地方創生を実現するためのエコシステムについて論じる.
  • ――リモートワーク環境での 内発的動機付けの媒介分析――
    樋口 知比呂, 髙橋 潔
    2025 年11 巻1 号 p. 46-57
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/21
    ジャーナル フリー
    本研究では, リモートワーク環境を踏まえて, ジョブ・クラフティングが内発的動機付けを通じてワーク・エンゲイジメントを高める効果について分析することを目的とする. 調査対象は, リモートワーク経験のある社会人非管理職500人で, オンライン調査の結果を共分散構造分析の手法を用いて分析を行った. 結果は, リモートワーク環境において, ジョブ・クラフティング, 内発的動機付けそれぞれのワーク・エンゲイジメントに対する直接効果を確認した. また, 間接効果が部分媒介であることを確認した. 理論的な貢献は, ワーク・エンゲイジメントの研究にリモートワーク環境という条件を付加し, 実証研究を通じて先行研究と整合的な結果を得た点,リモートワーク環境への経験や慣れが内発的動機付けの媒介効果を高めることを検証した点である.
  • -LNG供給途絶への対応-
    藤井 淳
    2025 年11 巻1 号 p. 58-66
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/11
    ジャーナル フリー
    日本,韓国,台湾はいずれもエネルギー自給率が極めて低く,化石燃料の大半を輸入に依存しているため,供給中断に備えた備蓄政策や代替供給手段の確保は重要な政策課題である.石油は100日分を超える国家備蓄を保有している一方,LNGは技術的・経済的制約から備蓄・在庫水準が1か月程度にとどまる.石油備蓄は多大な費用と数十年に及ぶ整備期間を要して構築されたが,LNG備蓄についても同等以上の負担を伴うことが想定され,近隣有事への即応には限界がある.三か国の燃料別発電量における石炭の割合は3~4割を占めるが,温暖化対策により今後休廃止予定の石炭火力が相当量存在する.この石炭火力能力を維持し,併せて石炭備蓄を拡充することで,LNG供給途絶時の代替能力確保が可能となる.
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