本稿は,継承語教育における初期リテラシー指導の課題に着目し,アメリカ・カリフォルニア州で実践されている早期リテラシー教育プログラム「California Early Literacy Learning(CELL)」の理論と実践を分析することで,主体的な学びを引き出すことと読み書きを段階的かつ体系的に指導することを,統一的に行う方法を検討することを目的とする。CELLの開発者スウォーツの著作や研修動画等の分析を通して,CELLは,対話を通した読み書きの相互的・循環的な学習プロセス,意味のある活動の文脈の中でのスキルと読書行動の統合的な指導,子どもの既有知識と協同学習を活かした活動設計といった特徴的な指導が展開されていることが明らかになった。主体的な学びの点において限界もみられたが,読み書き学習の不足を補うことを意図した補完的な読み書き指導に偏りがちな日本の継承語教育にとって重要な示唆が得られた。