日本消化器内視鏡学会雑誌
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22 巻, 12 号
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  • 井内 広重
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1715-1725
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的乳頭切開術の基礎的研究として,膵胆道系に著変のない新鮮剖検材料72例を用いて,十二指腸乳頭を解剖学的に検索した.乳頭縦ヒダは内視鏡的乳頭切開術実施の際,切開長の指標となると考え,乳頭開口部と縦ヒダに特に注目した.乳頭開口部から縦ヒダの口側末端までをoral protrusion(口側隆起)として検討し,以下の結果を得た. 1)壁内胆管長は平均12.2mmで,口側隆起の長さ,高さ,幅とは正の相関を示し,総胆管入射角とは負の相関を示した. 2)十二指腸粘膜における切開可能長は,乳頭開口部より,平均10.4mmで,口側隆起の上端より2.6mm口側寄りであった. 3)乳頭に分布する動脈は,縦ヒダに分布する枝と,frenulumに分布する枝が太い.乳頭口側の縦ヒダに分布する動脈は,総胆管の十二指腸壁内進入部位から十二指腸内へ進入する.
  • ―SNARE WIRE法の意義と限界―
    岡田 利邦, 西沢 護
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1726-1734_1
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    生検でGroup IIと診断された扁平な外観を呈する胃の隆起型異型上皮11症例を高周波SNARE WIRE法で摘除した.出血,穿孔のリスクなく,安全かつ有効に摘除が可能であった.うち2例は,摘除後分化型癌と診断された.長径18mmまでは`とり残し'なく摘除が可能であった.長径20mm前後の病変に対しても,two stepあるいはpiece mealで可能と考えられる証左を得た.この知見を,(1)異型上皮の大きさ(増殖力)と異型度との関連,(2)異型上皮の癌化率の問題,(3)IIa型早期胃癌のfalse negativeの問題,(4)2cmを境としたIIa型早期胃癌のsmへの浸潤率の問題,(5)隆起型早期胃癌の浸潤の深さとリンパ節転移,肝転移の問題,(6)生率の改善に関与する隆起型早期胃癌の早期処置の重要性,などの多面的な観点から分析し,異型上皮の処置に関する基本的Policyを展開した.
  • 谷 礼夫, 三輪 正彦, 原沢 茂, 鈴木 荘太郎, 野見山 哲, 渡辺 浩之, 瀬上 一誠, 菊地 一博, 三輪 剛
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1737-1742_1
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     雑種成犬6頭を用い,tetragastrin単独刺激(4μg/Kgi.m.)の場合と,酸分泌抑制剤((1)H2-receptor antagonistであるcimetidine6mg/kgiv.,(2)antigastrinicとされているproglumide120mg/kgi.v.,(8)secretin6U/kgim.)の投与を添加した場合の内視鏡的コンコーレッド・テストを行ない,変色の速さ,変色域の分布状況等を,通常内視鏡のみならず,拡大内視鏡およびシネカメラを用いて経時的に観察を行なった.ci-metidiheにより体部腺領域の変色は著明に抑制され,もし壁細胞に複数のreceptorが存在するとすれば,H2-receptor antagonistによりgastrinのrereptorも抑制を受けることが推論された.proglumide, secretinでもcimetidineの場合ほどではなかったが変色の抑制が観察された.抑制の程度に部位的差がみられ,また拡大観察を行なうとgastric pitによっても抑制の程度に差が認められた.このことより壁細胞の分布密度ないしsensi-tivityに不均等性のあることが示唆された.
  • 第2報:胃粘膜変化の組織学的検討
    鈴木 荘太郎, 菊地 一博, 瀬上 一誠, 渡辺 浩之, 野見山 哲, 三輪 正彦, 原沢 茂, 谷 礼夫, 三輪 剛
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1743-1751
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは高周波通電を対照として,YAGレーザー光による胃粘膜変化を実験的に検討した.高周波通電の条件はPSD(Olympus)の凝固波と切開波を用い,低出力(3),中等度出力(5),高出力(7)にて1秒間通電した.YAGレーザー照射は出力30~70wまで10w間隔で,各々1.0~4.0秒までで,導光ファイバー先端と粘膜表面の距離を2.0cmと一定とするために胃切開下に施行した.組織学的検索はHE染色およびアザン染色,E.V.G染色を用いた.高周波通電で凝固波,切開波ともに通電部位の上皮が剥脱し粘膜下層への影響は出力に比例せず,出力(5)により胃壁の穿通を来たした.YAGレーザーによる粘膜変化は極めて限局し,出力に比例して深く達した.粘膜下層の膠原線維の変性と,これに伴う小血管の内腔狭小化がみられ,局所の血流を減少させていることが示唆された.高周波により,レーザー照射と同等の組織変化がみられたが,条件をcon-trolすることは困難であった.
  • 神谷 利明, 森下 鉄夫, 三浦 総一郎, 宗像 良雄, 朝倉 均, 土屋 雅春
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1752-1760_1
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは170例,183病巣の胃隆起性異型上皮巣を内視鏡的および組織学的に検討し,そのうち71例,82病巣に対しては6ヵ月以上から12薙にわたり経過観察し得た.平均6ヵ月毎に内視鏡的,組織学的検索を施行した成績について報告する. (1)胃隆起性異型上皮巣の出現頻度は男性は女性に比し,3:1と顕著に多く,胃内視鏡被検者のうち20歳台で0.1%,80歳台で3.7%と高齢者になるに従い増加した.同一胃内の胃癌併存率は70歳台が多かった. (2)経過観察による形態学的変化は82病巣中8病巣(9.8%)と極めて少なく,そのうち4個(4.9%)に縮小,4個(4.9%)に増大を認めた. (3)組織学的に変化を示した群は82病巣中21病巣(25.6%)で,Group皿から腸上皮化生になったと思われるものは4病巣(4.9%),腺管構造または細胞に変化のみられたものは8病巣(9.8%),最終的に癌細胞が確認されたものは9病巣(10.8%)であった. (4)形態学的変化と組織学的変化の相関では縮小を認める病巣では異型度も弱く,増大するに従い異型度も強くなる傾向を示したが,形態学的に不変でも組織学的変化を認めた病巣は4個(4.9%)にみられた. (5)増大を認める病巣はもちろん,形態学的変化は認めなくても異型度が強くなる傾向を示したら正診率の向上と治療目的でpolypectomy,piecemeal polypectomy,hot biopsyあるいは外科的切除が望ましい.
  • 第1部:小腸粗大病変の検討
    朝倉 均, 森下 鉄夫, 三浦 総一郎, 神谷 利明, 北洞 哲治, 相磯 貞和, 土屋 雅春
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1761-1769
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     小腸病変の内視鏡像を明らかにするため,小腸内視鏡SIF-B型を用いて52症例の空腸をpush方式で検討した.対象症例は,小腸肉腫3例,小腸ポリープ3例,原発性または続発性免疫不全症10例,蛋白漏出性胃腸症8例,コレラ症8例,その他症例20例であった.Treitz靱帯をこえた空腸への挿入率は93%で,粗大病変は,空回腸にわたる細網肉腫1例,分類不能の空腸肉腫1例,十二指腸第III~IV部の平滑筋肉腫1例,小腸ポリープ3例,空腸リンパ濾胞増殖症3例,a-chain病1例の計10例にみられた.空腸などの散布性白点や白色絨毛は蛋白漏出性胃腸症8例とその他疾患5例に認めた.コレラ症では,びらん・発赤・浮腫・過分泌像などがみられた.
  • 相部 剛, 富士 匡, 東 光生, 有山 重美, 川嶋 正男, 播磨 一雄, 永富 裕二, 前谷 昇, 河村 奨, 竹本 忠良
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1770-1776
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     吉本の開発した膵実質造影法に準じて膵実質を描出し,通常のERCP症例の膵実質描出率と比較検討した.その結果,膵実質造影法による膵実質描出率は通常のERCP症例に比較して明らかに上昇したが,従来の報告ほど高い描出率をえることはできなかった.また,膵実質像による膵疾患診断能をみるために膵実質造影法の施行有無にかかわらず膵実質を描出しえた症例49例を対象として検討した結果,膵実質像のみからでは膵癌,膵のう胞腺癌などの悪性疾患と狭窄型あるいは閉塞型慢性膵炎や膵体部欠損症などの良性疾患との鑑別に困難をきたすことがあり,それらの症例を提示して膵実質造影の今後の問題点をいくつか指摘した.
  • 多田 正大, 西村 伸治, 鹿嶽 研, 川井 啓市
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1777-1781
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸内視鏡検査時の被験者の苦痛を少くする目的で,大腸ファイバースコープ(CF)の機種上の改良が試みられている.今回著者らはCFの軟性部の硬さの検査におよぼす影響について検討した.すなわち硬さの異なる3器種のCF(CF-H;硬いスコープ,CF-M;標準的な硬さのスコープ,CF-S;柔軟なスコープ)を用いて,各々40例,計120例に対して検査を行った. 挿入率,挿入時間をみるとCF-Mが最もよい成績であった.しかし脾彎曲より回盲部までの挿入には硬いCF-Hを用いた方が容易であった.検査時の被験者の苦痛もCF-Mが最も少なかった.以上の検討より,標準的な硬さのCF-Mが最も良好なCFであったが,脾彎曲部より深部大腸への挿入を容易にするためにはCF-Hのような硬いCFがよいと考えられた.したがって検査の途中で自在にCFの硬さを調節できるような機構のCFの開発が望まれる.
  • 森川 俊洋, 金山 隆一, 中谷 泰康, 根井 仁一, 高田 昭
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1782-1786_1
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     シメチジンが著効したBarrett潰瘍の1例を経験した.症例は60歳の女性で胸やけ,嚥下困難を訴え入院し,食道レントゲン造影で食道下部の狭窄とニッシェがみられたが,胃から食道へのバリウムの逆流や食道裂孔ヘルニアはなかった.食道内視鏡検査では門歯より30cmに全周性の狭窄と樹枝状の陥凹面があり,そのなかに1個の潰瘍を認めた.陥凹面の生検で悪性所見はなく,円柱上皮がみられた.抗コリン薬の治療では効果はみられず,シメチジン投与により自覚症状の著明な改善と潰瘍の消失がみられた.組織学的には陥凹面からの円柱上皮は消失したが,狭窄部は円柱上皮で被われていた.なおシメチジンの中止により潰瘍の再発をみている.以上のごとく本例ではシメチジンが著効を示したが,その治癒過程よりみて本例でのBarrett潰瘍は後天的に発生したものと推測された.
  • 野村 幸治, 天野 秀雄, 竹内 憲, 前谷 昇, 沖田 極, 竹本 忠良, 浜田 義之, 青山 栄, 岡 富子, 松原 竜男, 牧坂 泰治 ...
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1787-1794_1
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     糞線虫症は,熱帯および亜熱帯地方に広く分布している寄生虫症であるが,自家感染をくり返し,消化器症状を示す.また,重症化すると死の転帰をとることもある. 確定診断は,糞便中に本虫体を検出することであるが,われわれは,内視鏡下に十二指腸粘膜の変化を経過を追って観察し,発赤部位より生検を行ない虫卵を検出できた2例を経験した. 消化器症状を訴えてきた患者に,上部消化管X線検査を施行した場合には,十二指腸あるいは空腸の変化をもけっして見逃さないように注意しなければならない.十二指腸空腸に異常像を認めた場合,検便を注意深くおこなうと同時に,内視鏡下に十二指腸までを観察し,発赤,出血,浮腫等の所見があれば,生検による組織検索をおこなうことが本症診断のうえで重要である.
  • 沼 義則, 児玉 隆浩, 安藤 啓次郎, 坪田 若子, 宮崎 正子, 森本 哲雄, 香津 美知子, 松田 彰史, 渡辺 精四郎, 福本 陽平 ...
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1795-1800_1
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡検査および肝生検組織所見より,肝がねずみ色を示し,著明な線維化を認めたDubin-Johnson症候群の1例を報告した.患者は,46歳男性で,全身皮膚黄染,掻痒感を主訴とし,黄疸および肝腫大を認め,血液検査にて軽度の肝機能障害が認められた. BSP排泄試験で,軽度の停滞がみられ,再上昇現象も認められた.腹腔鏡検査で,肝はねずみ色を示し,軽度の凹凸,線維化を認め,組織学的には,著明な線維化,門脈域の慢性炎症細胞浸潤,piecemeal necrosis, lipo-fuscin, melarin類似の性質をした黄褐色顆粒が認められた. 本症例は,アルコール歴,薬剤既往のないこと,HBsAg,AntiHBs,AntiHBcすべて陰性であることより,non B型慢性活動性肝炎を合併したDubin-Johnson症候群の症例と思われた.考按においては,Dubin-Johnson症候群に肝炎を合併することによる腹腔鏡所見の変化に重点をおいた.
  • 進藤 仁, 大井 至, 戸松 成, 土岐 文武, 長廻 紘, 神津 忠彦, 竹内 正, 小幡 裕, 大橋 正樹, 鈴木 衛, 中村 光司, ...
    1980 年 22 巻 12 号 p. 1803-1808
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれは当センター開設以来,膵のう胞腺腫2例,膵のう胞腺癌2例を経験した.全例に内視鏡的膵管造影(EPG)を施行しているので,その膵管像を中心に検討した.膵のう胞腺腫では,1例は,主膵管が体部より先細り狭窄を示し,尾部で閉塞していた.しかし,狭窄部の辺縁は軟かくなめらかであった.2例目は,主膵管は頭部から体部にかけて長く狭窄し,尾側で均一な軽度の拡張を示していた.膵のう胞腺癌では,1例は,主膵管が拡張し,頭体境界部を中心に陰影欠損があり,また,尾側に抗張した膵管を認めた.更に,頭部主膵管内にも陰影欠損を認めた.2例目は,主膵管が頭部で細まりながら閉塞し,その尾側端は下方に圧排されていた.本例でも頭部主膵管内に陰影欠損を認めた.このように,膵のう胞腺腫及び膵のう胞腺癌は,限局性の狭窄・閉塞像を示し,膵管像からは膵癌との鑑別は困難であり,また,膵のう胞との鑑別も困難であった.
  • 1980 年 22 巻 12 号 p. 1809-1821
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 12 号 p. 1822-1842
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 12 号 p. 1843-1845
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 12 号 p. 1846
    発行日: 1980/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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