腹腔鏡検査および肝生検組織所見より,肝がねずみ色を示し,著明な線維化を認めたDubin-Johnson症候群の1例を報告した.患者は,46歳男性で,全身皮膚黄染,掻痒感を主訴とし,黄疸および肝腫大を認め,血液検査にて軽度の肝機能障害が認められた. BSP排泄試験で,軽度の停滞がみられ,再上昇現象も認められた.腹腔鏡検査で,肝はねずみ色を示し,軽度の凹凸,線維化を認め,組織学的には,著明な線維化,門脈域の慢性炎症細胞浸潤,piecemeal necrosis, lipo-fuscin, melarin類似の性質をした黄褐色顆粒が認められた. 本症例は,アルコール歴,薬剤既往のないこと,HBsAg,AntiHBs,AntiHBcすべて陰性であることより,non B型慢性活動性肝炎を合併したDubin-Johnson症候群の症例と思われた.考按においては,Dubin-Johnson症候群に肝炎を合併することによる腹腔鏡所見の変化に重点をおいた.
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