日本消化器内視鏡学会雑誌
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22 巻, 1 号
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  • ―ERCPと選択的腹腔動脈撮影(SAG)の併用の意義―(第一報)膵腫瘍の診断について
    西村 幸隆, 渡辺 幹雄, 鈴木 敝
    1980 年 22 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵腫瘍の診断におけるERCPとSAGの特徴と,両者の併用の有用性につき膵癌42例を中心に48例の膵腫瘍について検討した. 1) 膵癌の診断率はERCP93%,SAG65%とERCPの方がややよかった. 2) 存在診断の面からみると主膵管を中心に膵内中心部はERCPの方が診断能が高く,膵周辺部はSAGの方が診断能が高い.両者の併用により膵のほぼ全域がカバーできる. 3) 腫瘍の大きさ,浸潤の仕方等の質的診断はSAGの方がERCPよりすぐれているが,ERCPでは胃十二指腸,膵胆管の形態がわかるので手術の際の再建術等に必要な情報が得られる.SAGでは切除可能性の判断も可能である. 以上のことから膵腫瘍の診断においては存在診断からも質的診断からもERCPとSAGの併用は必須で有用な検査法である.
  • 牧野 博
    1980 年 22 巻 1 号 p. 22-35
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Freund's complete adjuvantを膵に直接注射する方法を用い,犬に膵傷害を起こしたところ,ヒトの慢性膵炎に似た病変が起こることを確認した.この実験的慢性膵炎犬を用い,膵管造影像を膵外分泌機能および組織所見と詳細に対比検討した成績より,慢性膵炎の膵管造影像の読影に関し検討を加え以下の結論を得た.(1)膵管像にて高度な異常所見がみられる場合は,局所的な最大所見だけから判断しても誤ることは少ないが,高度な異常所見の認められない場合には総合所見判定により診断すべきである.(2)一般に膵管拡張は所見として取り上げられ易いが,単なる拡張は他の所見に比して,組織像や膵機能であまり変化がない場合にも多くみられ,他の所見程重視しなくてよいと考えられる.(3)臨床的に乏分枝は所見として取り上げにくいが,この所見は線維化の程度と相関性が高く,機能的にも高度な異常がある場合が多いことより,微細膵管まで安定して造影できる方法を確立し,積極的に読影すべきである.
  • 二村 雄次, 宮田 完志, 安井 健三, 向山 憲男, 豊田 澄男, 松本 隆利, 鈴木 雄彦, 服部 龍夫, 弥政 洋太郎, 内藤 靖夫, ...
    1980 年 22 巻 1 号 p. 36-45
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胆道感染を合併した胆管結石症の患者の非観血的な治療法としては,まず経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)を行う.胆道感染が治癒した後に,ドレナージカテーテルの中へ乳頭切開用ナイフ(パピロトーム)を挿入し,これが乳頭部を越えたら刃を固定する.次に十二指腸ファイバースコープを挿入して,パピロトームの刃の方向を確認して内視鏡的乳頭切開術(EPT)を行う.この手技をわれわれは経皮経肝的乳頭切開術(Percutaneous Transhepatic Papillotomy, PTPT)と名付けた. 重症胆道感染を合併したpoorriskの患者に対しては,緊急にEPTを行うことができないこともあり,このような場合には従来のEPTよりもPTPTの方が安全でかつ確実である.PTPTの手技を紹介するとともに・重症合併症のある患者に対しては,本法が有効な手技であることを強調した.
  • 上野 恒太郎, 和田 潤一, 坪井 正夫, 新沢 陽英, 石川 誠, 宇津木 幹夫, 河原 一三
    1980 年 22 巻 1 号 p. 47-55_1
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Push式小腸ファイバースコープを深部小腸まで挿入し難いもっとも大きな理由は,ファイバースコープを押し進めてゆこうとすると胃内でloopが形成されるためである.これを解決する方法として,今回われわれは,sliding tubeを十二指腸下行脚まで挿入する手技を開発した. 本法を用いてSIF-Bの挿入を試みた32例のうち,スコープが小腸係蹄内に反時計方向に挿入された24例は,十二指腸空腸屈曲部から平均80cm,最高116cmの部位まで挿入出来た.一方,.時計方向に挿入された8例の場合は抵抗があり,平均41cm,最高65cmで,それ以下への挿入は困難だった.本法は,所要時間は平均約25分位と短く,通常の内視鏡検査の前処置で施行出来る実用的方法である.利点は,SIF-Bを用いてsliding tubeを十二指腸下行脚まで挿入した後は,SIF-Bに替えて柔らかく長い深部挿入用小腸ファイバースコープを再挿入出来ることである.したがって,今後の深部挿入用ファイバースコープの改良によっては,さらに深部の小腸への挿入が出来る可能性がある.
  • 長谷川 かをり, 谷口 友章, 野口 友義, 三輪 洋子, 佐々木 宏晃, 長廻 紘
    1980 年 22 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1970年1月から1978年6月までに手術した大腸進行癌は327例で,術前に内視鏡生検を施行したのは179例であった.1月生検陽性率は162例(90.5%)であった.潰瘍型の癌,腸管屈曲部の癌,全周性の癌に陽性率が低かった.潰瘍型の肛門側辺縁は組織学的に,(代)癌組織が完全に非癌粘膜に被われるもの,(B)癌組織が一部露出するもの,(C)癌組織が完全に露出するもの,の3つに分類できた.これに従って16例の潰瘍型陰性例を分けると(有)が6例,(B)が4例,(C)が5例,壊死巣1例でほぼ均等に分布し(A)に陰性例が多いとはいえなかった.生検陽性率の高い腫瘤型の癌に1例陰性例があったがその肛門側辺縁はpapillary adenomaに被われ陰性となった.生検切片数をみると陰性例17例中7例が1個しか採取していなかった.以上より生検陰性例を減らすに,は少なくとも2個以上,部位を離して癌の周堤の頂上で採取することが重要と考えられた.また擦過細胞診を併用することも有用である.
  • 進藤 仁, 大田 由己子, 堤 京子, 白鳥 敬子, 戸松 成, 土岐 文武, 渡辺 伸一郎, 丸山 正隆, 大井 至, 鈴木 茂, 黒川 ...
    1980 年 22 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    前方視型細径ファイバースコープの種々の利点を損わず,かつ,細いための欠点を解消し,更に,太すぎて患者に苦痛を与えない程度の中間の太さの新しい前方視型ファイバースコープ(FG-28A)が最近アサヒ光学より開発された.われわれはこれを289例について使用した.スコープの挿入は細径スコープ同様容易で,イメージも良く,十分な大きさの生検組織片を得ることができ,記録性も比較的優れている.食道内では反転も可能で,胃内では盲点も無く,胃角正面視・幽門部小彎全域や,噴門の観察も容易である.胃体部小彎はJターンにより正面視できるが,体中・下部後壁は,やや正面視困難なため狙撃生検能は落ちる.十二指腸球部では幽門直下大彎がやや観察困難である.これらは前方視鏡に共通の欠点であろう.十二指腸下行脚の観察も容易だが,乳頭の正面視は困難なことが多く,それが可能な症例ではEPCGもできる.今後期待できるスコープである.
  • 内田 純一, 加納 俊彦, 星加 和徳, 久本 信実, 伏見 章, 石原 健二, 茎田 祥三, 木原 彊
    1980 年 22 巻 1 号 p. 67-75_1
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Cronkhite-Canada症候群は本邦においては欧米に比較し報告例が多く1977年までに32症例報告されている.著者らは同症候群の1例について上部消化管の内視鏡像と臨床像について報告し文献的考察を加えた. 症例は61歳男子で主訴は味覚異常,爪の変形,倦怠感.5年前に同症状あり胃ポリポージスと診断され胃切除を受け,その直後にすべての爪甲が変性,脱落している.身体的所見で脱毛,皮膚色素沈着,爪の変形を認め,臨床検査では鉄欠乏性貧血,ラクターゼ欠乏,内因子の欠乏によるV.B12の吸収低下をみたが,Gordon試験や他の吸収試験は正常であった.上部消化管内視鏡検査で残胃のポリープス,十二指腸ポリポーシスを認め,メチレンブルー散布にてポリ,.一.プは着色せず,隆起のない粘膜のみが,正常例と同じ程度に着色した.ポリ._プの生検では絨毛の平坦化,腺腔の嚢胞状拡張,腺細胞の粘液産生分泌の亢進を認め,間質の浮腫をみた.
  • 八百坂 透, 近間 敏治, 石 昌事, 堀田 彰一, 塚越 洋元, 須賀 俊博, 三和 公明, 村島 義男
    1980 年 22 巻 1 号 p. 76-80_1
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的ポリペクトミーは,1969年内田らによるワイヤーループを用いた押切り法が最初である.現在では,止血を考慮した,より安全な高周波スネア._法が広く行なわれている.われわれの施設でも,1976年5月以来・高周波スネアー法により胃ポリペクトミーを行ない約150例を経験した.症例の大多数は良性のいわゆる再生性ポリープであるが,今回1例の隆起性早期胃癌(IIa)に施行しこれを完全に除去し得たので報告する.従来・術前生検にて癌と診断された症例については内視鏡的ポリペクトミーを行なわないとする意見が多かったが・今回の経験によりmのものであれば積極的に行なってもよいのではないかと考える.但し術前の慎重な検討と・標本の回収およびその詳細な病理組織学的検索,また術後生検を含むきめのこまかい経過観察の必要があることをその条件としたい.
  • 1980 年 22 巻 1 号 p. 83-159
    発行日: 1980/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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