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―内視鏡直視下生検材料を用いて―
高見 博
1980 年 22 巻 2 号 p.
179-191
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
十二指腸潰瘍,および正常十二指腸粘膜よりの内視鏡直視下狙撃生検検体にalkaline phosphatase(以下ALPと略す)およびleucine aminopeptidase(以下LAPと略す)の酵素染色を行い,その組織化学的所見の推移と十二指腸潰瘍の治癒傾向および再発傾向との関連について検討した.この結果,難治性や易再発性につながる所見として,(1)再生上皮の酵素活性の回復の遅延,(2)粘膜下の線維性結合組織のALP活性の増強,粘膜下の円形細胞浸潤部のALP活性の増強が観察された.また治癒促進につながる所見として,(1)再生上皮の酵素活性の回復,(2)間質の円形細胞浸潤部の灘漫性のLAP活性の出現が観察された.内視鏡観察と直視下生検検体を用いる酵素組織学的検索の併用は,十二指腸潰揚の治癒傾向,および再発傾向を知り得る有用な方法と考えられた.
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金城 福則
1980 年 22 巻 2 号 p.
193-207
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
著者は実験的大腸隆起性病変を発癌物質MNNGを用いてラットと家兎に生じせしめ,経時的内視鏡観察を行い,良悪性の鑑別と隆起性病変の動態について研究した.家兎では実験に供するに十分な隆起性病変は生じなかったが,ラットでは30週間十分に観察しえた79匹中61匹に175病変生じ,腺癌20病変,腺癌疑7病変,腺腫107病変,その他41病変であった.各組織型について,発赤・びらん・出血・表面の凹凸不整等の内視鏡所見を検討したが有意の差はなく,病変が大きくなるにつれそのような表面性状が多彩になる傾向にあった.しかし,大きい病変に悪性の率が高い傾向にあった.走査電子顕微鏡による検討も少数例に行ったが,それによると腺腫と腺癌の間に腺口や表面構造の明らかな差があった.隆起性病変は時間の経過とともに増大し,無茎性から有茎性へと変化し,更には自然脱落する例も少なくないことがわかった.
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江藤 一仁
1980 年 22 巻 2 号 p.
208-226
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸内視鏡検査,腹部外科手術,病理解剖の症例より消化管内ガスを採取し,ガスクロマトグラフィ.一によってガス組成を分析した.経内視鏡的ポリープ摘除術の際,鋼線輪より発生する電気的スパークが消化管内ガスに引火し爆発事故を発生する危険性があることは以前から指摘されていたことである.これを防ぐために内視鏡装置のチャンネルを通して不燃性ガスの送気が推奨されている.3群の消化管内ガス分析の結果によると可燃性ガス成分である水素,メタンは手術例と剖検例で高濃度を示し,内視鏡検査例では前処置がなされている限り爆発限界を超過するものはなかった.また不燃性ガスによる送気置換効果がある程度までは有効であることが明確となった.これに加えて近年内視鏡検査に導入されて来た鎮痛静穏のための笑気麻酔が,笑気の死腔効果の作用により血中より消化管内へ移行して来る事実が判明し,消化管内に不燃性ガスを増量し防爆効果が期待できると類推した.
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―GIF-HMの性能と内視鏡像―
大井田 正人, 五十嵐 正広, 桑尾 定仁, 中 英男, 高田 好彦, 勝又 伴栄, 西元寺 克礼, 岡部 治弥, 三重野 寛嘉, 高橋 俊 ...
1980 年 22 巻 2 号 p.
227-233
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
新しく開発された,拡大ファイバースコープGIF-HMについて,既に発売されている上部消化管ファイバースコープGIF-D
3との比較を,操作性,拡大倍率,写真再現性,拡大観察胃内部位別難易性について行なった.GIF-HMはGIF-D
3と変わらない操作性をもち,さらに胃内での盲点も認めなかった.また拡大観察倍率が35倍へと飛躍的に向上した事により,微細な胃粘膜変化をとらえる事ができるようになった.拡大観察時も・特殊光学系の採用で,連続的に通常観察からの移行ができ,スムーズに観察が行えた.GIF-HMは,通常観察から拡大観察にいたるまで,多目的な用途をもつ直視型上部消化管ファイバースコープで,充分に実用に供しうる機種と考えられ,本機を用いた今後の研究が期待される.
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赤司 文広, 早田 正典, 本田 昇司, 福嶋 弘道, 松永 研一, 藤岡 利生, 中村 憲章, 牧山 和也, 中口 規彦, 原 耕平, 原 ...
1980 年 22 巻 2 号 p.
235-246
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
47症例に通常のERPと拡大ERPを施行し,拡大ERPの軽症慢性膵炎における有用性について検討を行った. 通常のERPと拡大ERPとで読影可能な分枝の範囲を比較すると,拡大ERPにより読影可能な分枝の範囲が増加した. 両者で主膵管および膵管分枝における病的所見の出現について検討を行った.主膵管で21%,膵管分枝で25%の症例で拡大ERPにより,新しく所見が出現し,主膵管で37%,膵管分枝で66%の症例で所見をより明確に読影することができた. 5症例に組織学的検索を行って拡大ERP所見と対比したところ,拡大ERPで所見が認められた部にはそれに相当する組織学的所見が得られた. 拡大ERPは読影可能な分枝の範囲の増加と,所見の新しい出現および明確化に有効であり,特に詳細な読影を要する軽症慢性膵炎の診断に対して意義ある検査法であった.
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田中 三千雄, 藤倉 信一郎, 斉藤 清二, 佐々木 博, 堤 京子, 大森 尚文, 丸山 正隆, 大井 至, 鈴木 茂, 鈴木 博孝, 竹 ...
1980 年 22 巻 2 号 p.
247-261
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
以下のような特徴をもつ十二指腸ポリープ18例(うち切除例3例)をまとめて,ここに報告した. (1)ほぼ半球状で,直径がせいぜい1cmと小さく,色調の変化にも乏しい.(2)その頂点あるいは頂点の近辺に"開口部"をもち,そこから透明で粘稠度の高い粘液を分泌している."開口部"の内視鏡的形態にはバラエティーがある(I~IV 型に分類された).(3)"開口部"に通じる"内腔"がポリープ内に存在する.その内腔面には大小不同の粗大絨毛状突起が多数ある.(4)ポリープ表面は小腸上皮におおわれているが,開口部から内腔面は胃上皮の特徴(色素染色法の所見,光顕像,電顕像,酵素活性)をもった上皮細胞におおわれている.(5)ポリープ内腔面へ,周辺の増生傾向にあるブルンネル腺が開口している.(6)中,高年の男性に多く,特定疾患との関連性は見い出せない. この十二指腸ポリープは従来の小腸ポリープの組織分類の中に単純に当てはめる事はむずかしいと思われる.その特異な内視鏡像に基づいていて,"粘液分泌型ポリープ(mucus secreting polyp)"と敢えて呼称した. さしせまっての治療の対象とはならないが,follow-upstudyならびに症例を重ねたうえでのさらに詳細な組織学的検索が必要である.
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―幽門輪の変形との関連について―
里見 隆彦, 宮園 一博, 福田 一雄, 光武 良彦, 占部 一喜, 今村 賢一郎, 豊永 純, 国崎 忠彦, 江村 武志, 谷川 久一
1980 年 22 巻 2 号 p.
263-273
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃潰癌発生で幽門機能の障害とそれによる十二指腸液の逆流増加が重要な役割を演じていることが考えられている.われわれは,幽門機能の障害を幽門輪の形態的変形としてとらえ,十二指腸球部および幽門輪の変形と合併胃潰揚との関係をみた.その結果,十二指腸球部および幽門輪に明らかな変形を有するものでは,軽度の変形のものに比べ,胃潰瘍または胃潰瘍;瘢痕の合併が3倍以上(P<0.01)も高頻度であった.合併胃潰瘍の存在部位は,胃前庭部で対照とした単独胃潰瘍の約2.5倍(P<0.01)も多く認められ,口側へ上行するに従い低値を示した.以上の結果から,十二指腸球部および幽門輪の変形は幽門の機能である逆流防止機転を破綻し,逆流十二指腸液の増加により胃潰揚を発生し易くしているものと推察した.
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永富 裕二, 河村 奨, 川嶋 正男, 播磨 一雄, 前谷 昇, 東 光生, 有山 重美, 河原 清博, 富士 匡, 清水 道彦, 飯田 洋 ...
1980 年 22 巻 2 号 p.
275-283_1
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
88例105病巣の隆起型異型上皮巣(手術例は22例27病巣)を経験し,そのうち38例46病巣を6ヵ月~8年8ヵ月間経過観察し,以下の結果を得た.(1)平均年齢は63.1歳で,男性は女性の3.2倍であった.(2)部位別1と,前庭部が58%と多く,大きさでは2cm以下が91%であった.(3)隆起型異型上皮巣と胃癌の合併率は19%であった.(4)手術により最終的に隆起型異型上皮巣と診断された症例のうち,生検でGroupIV と診断されていたのは63%で,37%はGroup IV と読みすぎであった.(5)癌化例は1例もなかった.(6)経過観察中,増大例が6.5%,縮小例が8.7%あった.(7) X線・内視鏡で胃癌を疑いながら,生検がGroupIV と判定される症例があった.
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水田 静雄, 渡部 重則, 平田 一郎, 松本 恒司, 三浦 信義, 山本 克夫, 岩越 一彦, 田村 廸紀, 正宗 研, 大柴 三郎, 河 ...
1980 年 22 巻 2 号 p.
284-290_1
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
X線検査および内視鏡検査の進歩にもかかわらず,小腸悪性腫瘍の報告例は極めて少ない.著者らは,Treitz靱帯から約15cm肛門側にあった小腸腫瘍を,小腸内視鏡検査(使用器種:オリンパス製SIF-B)および直視下生検法によって術前に惡性リンパ腫と診断し手術を施行した一症例を経験したので報告した.手術標本の肉眼所見は3.5×5cm,低隆起性の腫瘍で,表面はやや凹凸不整,一部に線状の潰瘍が認められた.組織所見は一部漿膜面に浸潤が認められたが,比較的浸潤の程度が軽度の悪性リンパ腫であった.著者らは更に自験例を含め,内視鏡的に観察された小腸悪性腫瘍の報告例の内視鏡像について考察を加えた.
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唐沢 洋一, 坂田 暉英, 平福 一郎, 畑野 良侍, 星 和夫, 村上 忠重, 安井 昭, 天羽 一夫
1980 年 22 巻 2 号 p.
291-294_1
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
X線及び内視鏡検査の最近の発達によって食道早期癌の100例以上が報告されている. しかし,食道・胃境界部領域における早期癌の発見率はきわめて低いが,これは主としてこの部の診断が困難であることによるものである. 1976年11月から1978年8月までの1年9ヵ月間に4836例の内視鏡検索がGIF-P
2を使用して実施されたが,これはこの領域における癌の診断を容易にするためであってその結果2例の早期癌をこの領域において発見することができた. 症例1:62歳女性高分化型腺癌 症例2:65歳男性表層拡大型扁平上皮癌(IIb)
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―自験2例ならびに本邦における報告例について―
水野 孝子, 鶴田 一郎, 神山 秀三, 岡崎 俊治, 塩崎 安子, 鮫島 美子, 新宅 雅幸, 大沢 耕太郎, 前田 隆英
1980 年 22 巻 2 号 p.
295-303
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
同一胃に原発性悪性リンパ腫と癌腫の合併は少なく,本邦報告例は自験2例を含めて19例にすぎない.自験2例(症例1 70歳男性,症例2 81歳女性)と本邦報告例について,年齢,性,肉眼的形態,組織像,発生部位,共存態度などについて検討した.悪性リンパ腫の組織型は細網肉腫16例,ポジキン病2例,記載の明らかでないもの1例である.癌腫はすべて腺癌である.うち進行癌10例,早期癌9例(IIc型4例,IIb型2例,1型1例,IIa+IIc型1例,記載なし1例)で早期胃癌が19例中9例と比較的多い.発生部位はAに,悪性リンパ腫11例(58%),癌腫12例(63%),Mには悪性リンパ腫2例(11%),癌腫3例(16%)である.肉眼的形態は悪性リンパ腫では潰瘍型13例,腫瘤型5例,ぴまん浸潤型1例である.癌腫は進行,早期癌ともに潰揚型が多い.悪性リンパ腫と癌腫が同一胃に存在する共存態度は,独立10例,衝突9例で癌肉腫はなかった.年齢・性別では悪性リンパ腫・癌腫とも,50~60歳代の男性に多い.
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金子 栄蔵, 綿貫 一予, 熊谷 純一, 花井 洋行, 縄野 光正, 本田 西男, 戸倉 康之, 馬場 正三, 中村 真一, 高橋 洋平, ...
1980 年 22 巻 2 号 p.
304-308_1
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
57歳男性.食思不振,体重減少で来院し,内視鏡的に萎縮性胃炎と考えられる部位からの生検で粘膜層にアミロイド沈着を認めた,また前庭部前壁に10×15mmのIIc型早期癌を併存していた.アミロイドーシスは原発性と考えられ,アミロイドーシス診断における上部消化管生検の意義,および胃癌とアミロイドーシスとの関連について考察を加えた.
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伊藤 俊雄, 清利 省三, 平川 弘泰, 宗友 文男, 芳野 健, 窪田 政寛, 太田 亘, 糸島 達也, 島田 宜浩
1980 年 22 巻 2 号 p.
309-315
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
腹腔鏡検査において,肉眼的に悪性病変との鑑別が困難で,肝生検によって診断を確定した肝血管腫の1症例を経験した.症例は59歳女性で臨床的に肝硬変と診断され,肝scintigram上の陰影欠損像,腹腔動脈造影上の異常濃染像,AFP陽性などの所見より肝悪性腫瘍の疑いが濃厚であった.腹腔鏡検査において両肝葉に小腫瘤が発見され,左葉表面の腫瘤はその肉眼的所見より容易に血管腫と診断したが,右葉外側の小腫瘤は肉眼的に悪性病変を否定できなかった.腫瘤の手前側より針生検を実施し,組織学的に血管腫であることを確定した.腹腔鏡直視下生検の有用性と,その際の止血法について考察を加えた.
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―西独マルブルグ大学での経験―
鈴木 博昭, 長尾 房大, Henning Rohda, Kraus Thon
1980 年 22 巻 2 号 p.
316-319_1
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1980 年 22 巻 2 号 p.
320-323
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1980 年 22 巻 2 号 p.
324-327
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1980 年 22 巻 2 号 p.
328-329
発行日: 1980/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー