日本消化器内視鏡学会雑誌
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22 巻, 5 号
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  • 清水 道彦
    1980 年 22 巻 5 号 p. 599-606
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的逆行性膵胆管造影法(以下ERCPと略)は膵胆道系疾患の診断を飛躍的に進歩させてきた.さらに本法を応用した内視鏡的肝内胆管造影法により肝疾患診断へのアプローチを試みた. 対象症例は手術,生検,剖検で組織学的診断ができ,しかも4次分枝以上の肝内胆管像がえられた肝細胞癌又は胆管細胞癌14例,転移性肝癌14例,肝硬変症15例に限定した. 研究方法はCaerulein(筋注)や体位変換を併用したERCPで肝内胆管造影を行ない,描出された肝内胆管の各分枝の異常所見を検討した. その結果,(1)4次~6次分枝の肝内胆管造影が肝内病変の診断に適当である.(2)肝癌の肝内胆管分枝所見として,閉寒,狭窄,末梢胆管の拡張がみられた.(3)肝硬変症の肝内胆管分枝所見として蛇行,胆管径の不整,圧排,胆管相互の近接,胆管辺縁の硬化がみられた. 内視鏡的肝内胆管造影法によって各種肝疾患を診断することは,ある程度の有効性はみとめたが,現状では大きな限界があると考えたい.
  • 洲崎 剛
    1980 年 22 巻 5 号 p. 607-621
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍の治癒過程と時相を明確にするために治癒の開始時期を推定し,これを基準として病像の考察を行った.又大きさの測定により治癒曲線を作成し,又再生粘膜の成長成熟に関しては実体顕微鏡所見を参考とした.その結果出血による褐色苔は週1間以内,浮腫性隆起は2週間以内に消褪する.又再生粘膜による紅暈は浅い潰瘍で3週後,普通は4週後,深い潰瘍で6週後に発現する.以上を参考として時相を分類した.Aa=発症より治癒開始まで,A1=治癒開始より浮腫性隆起の消褪まで,A2=A1とH1の間,H1=再生紅暈の発現よりH2まで,H2=紅暈の幅が潰瘍の半径の1/2以上の広い場合.この時相分類と治癒曲線を基として治癒過程を治癒までの期間により4種に分類した.(1)早期治癒群(1ヵ月以内)(2)正常治癒群(1ヵ月より2カ月まで),(3)遷延治癒群(2ヵ月より4ヵ月まで)(4)狭義の難治群(4ヵ月後も治癒しない).各過程に時相の期間を推定した.(3)及び(4)が所謂難治性潰瘍に相当し,X線写真上5mm以上の深い潰瘍である.
  • 三嶋 孝, 奥田 茂, 大島 明, 石黒 信吾, 谷口 春生
    1980 年 22 巻 5 号 p. 622-627_1
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的に診断した115例の胃異型上皮症例を用いて胃癌との関連につき検討した結果以下の成績を得た.(1)14例,16病巣の胃癌併存を認めたが13病巣がu1(-)で分化型の胃癌であった.(2)101例の異型上皮患者の2ヵ月~13年3ヵ月(平均4.0年)後の胃癌罹患の実態を調査したところ9例に胃癌罹患を確認した.これは同期間中に一般人口から期待される胃癌罹患者1.64よりも有意に多く(p<0.01),異型上皮患者は胃癌へのhigh risk groupであるということができる.(3)この9例のうち詳細なデータが得られたのは7例で,6例がul(-),5例が分化型胃癌であった. 以上から胃異型上皮巣とul(-),分化型胃癌は組織発生上密接な関連を有すること,異型上皮患者をhighrisk groupとして扱うべきであるなどの結論を得た.
  • 前谷 昇, 河村 奨, 富士 匡, 清水 道彦, 東 光生, 有山 重美, 永富 裕二, 播磨 一雄, 川嶋 正男, 相部 剛, 小田原 満 ...
    1980 年 22 巻 5 号 p. 628-632_1
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近,山口大学第一内科関連の某医師会検査センターにおいて,初回胃生検では偽陰性であったが,2~5年後胃癌と確診された3例を経験したのでこの3例とともに,胃癌に対する胃生検の現況についても併せ報告する. 胃癌の初回胃生検での正診率は364例中94.8%で偽陰性率は5.2%であった.病型別では早期癌の正診率は107例中96.3%で偽陰性率は3.7%,進行癌の正診率は94.2%,偽陰性率は5.8%であった.偽陰性例のうち形態別ではBorrmann 4型がもっとも多く.次いでBorrmann 3型であった. 見逃し例が生じる原因としては,胃癌の粘膜下侵潤や技術ミス等が推定されたが,さらに重要なことは検査センターのような施設では,再検査や経過観察が十分にできないことがもっとも大きな理由と考えられた.また,胃生検への過信がその1因ともなっており反省するとともに一つの警鐘としたい.
  • ―その小腸X線像と内視鏡所見の考察―
    矢崎 康幸, 石橋 勝, 岡村 毅与志, 柴田 好, 富永 吉春, 関谷 千尋, 並木 正義
    1980 年 22 巻 5 号 p. 635-641
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    広節裂頭条虫症8例につき小腸X線検査および小腸,大腸内視鏡検査を行い,その結果について検討した.腸管内の広節裂頭条虫(特に成熟体節)は小腸X線検査にて明瞭に描写される.この際,圧迫法が有用であるが,小腸の同一部位を少なくとも10秒ほど強く圧迫することが必要である.このようにして広節裂頭条虫の頭節が中部空腸に付着しているのを2例に証明し得た,また,描写された成熟体節幅の検討により本条虫は一般に考えられているよりは,かなり短い状態でヒトの小腸内に寄生していることがわかった.小腸内視鏡検査では小腸ファイパースコープをTreitz靱帯より30~60cm肛側まで挿入したが,小腸内の本条虫を観察することは出来なかった.排虫を訴えた1例では大腸内視鏡検査で大腸内の成熟体節を観察することが出来,内視鏡的にも体節の性状より本条虫と同定することが可能であった.小腸粘膜の生検組織所見では,特記すべき異常は認められなかった.
  • 三輪 正彦, 瀬ノ上 一誠, 渡辺 浩之, 野見山 哲, 鈴木 荘太郎, 原沢 茂, 谷 礼夫, 三輪 剛
    1980 年 22 巻 5 号 p. 642-646
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵・胆道疾患の疑われた男11名,女17名,計28名に,新しい膵外分泌機能検査法であるB.T.PABA testと,ERCPを施行した.ERCPによる膵管の所見は,「正常」,「軽度異常」,「中等度異常」および「高度異常」と分類した.B.T.PABA testの正常値は,尿中PABA排泄率70%以上とした. ERCPで「膵管異常」群13名中,7名に,B.T.PABA testに異常が認められた.また,ERCPで「膵管正常」群は15名で,そのうち2名にのみB.T.PABA test異常が認められた.両群の間には.推計学的有意差が認められた.これは,要約すれぽ,B.T.PABA testとERCPにおける膵管の所見との間に相関性があることを示している. P-StestとERCP上の膵管所見との間,およびP-S testとB.T.PABA testとの間には,推計学的有意差が認められており,われわれの上記の結果は充分推測されるが,現在までにこれについての報告はみられないので,一つの知見として報告した.
  • 多田 正大, 陶山 芳一, 清水 忠雄, 藤井 浩, 三好 正人, 西村 伸治, 西谷 定一, 鹿嶽 研, 下野 道広, 赤坂 裕三, 川井 ...
    1980 年 22 巻 5 号 p. 647-654
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    生体における小腸粘膜の微細所見を観察する目的で,拡大fiberscope(SIF-M,CF-HM)を用いて,絨毛の拡大観察を行った・全小腸の拡大観察を行う場合にはSIF-Mを用い,回腸の観察のためにはCF-HMを用いた.Rope-way方式によって経肛門的にスコープを小腸内へ挿入した.通常の内視鏡観察ののち,0.1~0.2%のMethylene blueを少量,直接に小腸粘膜に散布し,絨毛を生体染色することによって絨毛形態を明瞭に識別できるようになった. 健常粘膜では指状絨毛が密に,規則正しく配列していた.腸結核,Crohn病,急性回腸終末部炎では炎症の程度に応じて,絨毛は不規則な指状,葉状,尾根状を呈し,配列も不規則であった. 拡大fiberscopeによる小腸絨毛形態の観察法は,小腸の消化吸収機能と絨毛の微細形態との関連性を知るうえに有用な方法になることが期待される.
  • 岡本 平次, 佐川 文明, 藤田 力也, 白奥 博文, 川瀬 定夫, 菅田 文夫
    1980 年 22 巻 5 号 p. 655-660_1
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは最近新たに開発されたオリンパス製拡大大腸ファイバースコープ(CF-HM)を用いて,この9カ月間に72例91回の大腸拡大内視鏡検査を施行した.CF-HMは先端焦点調節式にズーム機構・特殊な光.学系を備えており,手軽に拡大観察可能で,その拡大像は満足の行くものであった.遠方視に若干の問題は残るが,病変を発見次第その部を拡大観察可能で,ほぼ理想的な拡大大腸ファイパースコープに一歩前進したものと考えられる.通常の内視鏡観察では,正常大腸粘膜と考えられる症例でも,拡大観察をしてみると,いわゆるポリープの芽を発見できる可能性があり炎症性疾息では,その病期によって異なる拡大像が得られ,組織像とよく相関することが判明した.
  • 神木 照雄, 奥田 茂
    1980 年 22 巻 5 号 p. 663-676
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大阪の4病院を対象に,胃ファイバースコープの検査後の付着菌数を調査したが,その汚染はかなり激しいことが判明した. 著者らの調査によれぽ,検査後の付着菌数は10~10であり,洗浄後の内視鏡への付着菌数は10~10であった.また室温で一夜放置すれば10に増加していることも判明した.著者らはそこで,簡単で効力のある方法としてグルタルァルデヒド(ステリハイド)を用いて消毒する方法を考案した.この方法では内視鏡の付着菌数は10レベルまでに減少することを確認した.同時にこの方法で大腸ファイバ.一スコープおよび気管支ファイバースコープを消毒し,グルタルァルデヒドの残留量についても測定した.それぞれのスコープにおけるグルタルアルデヒドの残留は2.1mgおよび0.02mgであり,グルタルァルデヒド消毒を行なった後の内視鏡は人体に対し安全であると思われる. 以上の結果から著者らは内視鏡消毒の基準について提案したいと考える.即ち,内視鏡消毒後の付着菌数は10以下で,緑膿菌,大腸菌を認めないこと,およびHBs Antigenの測定の代りとして内視鏡洗浄液について潜血反応が陰性であることである.
  • 山川 博, 石舘 卓三, 増田 久之, 井上 修一, 荒川 弘道, 久保 信之, 向島 偕, 井上 義朗, 佐藤 誠, 佐藤 家隆
    1980 年 22 巻 5 号 p. 677-685_1
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃粘膜病変がどのような環境因子に関連して発生進行するかを明らかにし,さらに胃癌と慢性胃炎との関連を解明する目的で疫学的調査と平行して,8点法胃生検を施行し,一地域住民の慢性胃炎,とくに腸上皮化生の状態を比較検討し,以下のような成績をえた.従来の手術胃,剖検胃を材料として検索されてきた多くのデータによれぽ,腸上皮化生が加齢現象として捉えられ,加齢とともに進行するものとされているが,著者らのMass-Surveyの中での成績では・男女でその増減のパタ一ンを異にし,とくに男子では50歳代をピークとして,それ以後の年齢層で腸上皮化生群の減少をみる.このことから,腸上皮化生が単なる加齢現象として捉えるには問題があり,環境因子などにある程度支配され,さらに検索の必要性はあるが,可逆性病変である可能性をも推測した.
  • 斉藤 満, 飯田 洋三, 多田 正弘, 宮崎 誠司, 川嶋 正男, 榊 信広, 岡崎 幸紀, 河村 奨, 竹本 忠良, 江崎 隆朗, 古谷 ...
    1980 年 22 巻 5 号 p. 686-689_1
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    黒色便,貧血を示した有茎性ブルンネル腺腫に内視鏡的切除術を施行し,止血しえた一例を文献的に検討を加えて報告する. 症例は37歳の男性で主訴は黒血便,貧血である.血液検査にて赤血球282×104/mm3,Hb8.9g/dl,Ht28%と中等度貧血を認めた.胃X線検査,内視鏡検査にて十二指腸球部に移動性に富んだ有茎性十二指腸腫瘍を認め内視鏡的切除術を施行した.切除ポリープは27mm×22mm×22mmの大きさで,病理組織学的にはブルンネル腺腫であった. 十二指腸良性腫瘍は比較的稀な疾患である.このうちブルンネル腺腫は最多頻度を占めるが,文献的には44例が報告されているにすぎない.十二指腸ポリペクトミーに関しては,13例のみである.しかし今後内視鏡検査の普及,技術の向上にともない増加していくと思われる.
  • 針間 喬, 藤田 潔, 渡辺 正俊, 小田原 満, 内田 善仁, 播磨 一雄, 河野 裕, 多田 正弘, 竹本 忠良, 浜田 義之, 青山 ...
    1980 年 22 巻 5 号 p. 690-694_1
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    53歳男性で潰瘍性大腸炎類似のX線像を示した大腸結核症を報告した. X線的には,下行結腸より盲腸までは病変は連続性で,び慢性に潰瘍形成と炎症性ポリープ像が認められた.しかしS-D移行部では,病変はskipしており,潰瘍間には健常な粘膜像もみうけられた.内視鏡的には,S-D移行部では,比較的深い,輪状傾向をもつ潰瘍が健常粘膜をはさんで存在し,散在性に炎症性ポリープも認められた. 生検組織診では乾酪性肉芽腫はえられず,糞便結核菌培養も陰性であったが,潰瘍底からの生検材料の結核菌培養で結核菌を証明し,確定診断を得た. 最後に,大腸結核の確定診断には,内視鏡下の生検材料の結核菌培養が有効であることを付記した.
  • 1980 年 22 巻 5 号 p. 697-707
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 5 号 p. 707-724
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 5 号 p. 724-745
    発行日: 1980/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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