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田坂 定孝
1981 年 23 巻 1 号 p.
1
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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城所 仂
1981 年 23 巻 1 号 p.
2
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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大井田 正人
1981 年 23 巻 1 号 p.
3-17
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
近年多くのすぐれた拡大内視鏡が開発され生体内における微細胃粘膜模様を観察する事が可能となってきた.その結果,胃潰瘍辺縁の再生粘膜模様についても実体顕微鏡との併用にて種々さまざまな粘膜模様のあることが判明してきている.今回,筆者は新たに開発されたオリンパス製拡大ファイバー一スコープGIF-HM(拡大率:最大35倍)を主に,また一部GIF-D
3(拡大率:最大8倍)を用いて個々の胃潰瘍の辺縁再生粘膜像の経時的変化を追跡観察し,臨床経過とあわせて検討した.その結果,拡大内視鏡観察にてえられる潰瘍辺縁の再生粘膜像からその治癒過程,すなわち易治性か難治性かについてある程度予測できる成績をえた.また,さらに再燃前の再生修復粘膜像の拡大内視鏡的特徴,および潰瘍辺縁の各種再生粘膜模様を生検標本にて詳細な組織学的検索も行なった.
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石田 稔, 大木 一郎
1981 年 23 巻 1 号 p.
18-39
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
消化性潰瘍の動態を酵素活性の面から追求し,LDH,ICD,LDHisoenzymepetternの測定の結果から,胃潰瘍では治癒に向うに従い経時的に病変部辺縁,周辺粘膜とも好気的解糖が盛んになることが確認された.十二指腸潰瘍では,活動期に信本来十二指腸粘膜が有する嫌気的解糖が障害され,治癒に向うに従い元に復する傾向が見られた.ALP,ACPの測定の結果からALP活性は,胃潰瘍では病変部辺縁で経時的減少,周辺粘膜では経時的増加が見られ,十二指腸潰瘍でも周辺粘膜に同様の傾向が見られた.ACP活性は胃潰瘍,十二指腸潰瘍とも治癒過程期に病変部辺縁,周辺粘膜とも最も高い活性が見られた.
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軒原 正仁
1981 年 23 巻 1 号 p.
40-51
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
1975年2月から1980年1月までの5年間に経験した63例の総胆管結石に対する内視鏡的乳頭切開術(endoscopic papillotomy,EPT)の成績を検討した.総胆管結石に対するEPT実施例の内訳は,胆嚢摘除例18例,胆嚢結石合併例23例および胆嚢結石非合併例22例であった.EPTによる結石除去率は63例中52例(82.5%)であった.結石除去方法の内訳は,EPT後の自然排泄30例,バスケットカテーテルによる除去13例,両者併用による除去9例であった. 総胆管結石の大きさと結石除去に必要とした十二指腸乳頭口側隆起切開長との間には正相関があった.径40mm以上の結石および10個以上の結石を有する例では結石除去は困難であった.EPT後の血液生化学的検査値の変動については,EPT後一過性に血清transaminaseおよびamylase活性の上昇を認めた例があったが,何れも2~3日後には正常に復した. 特殊例におけるEPTとして,傍乳頭部憩室27例,傍乳頭部総胆管十二指腸瘻5例,Billroth I法切除胃例1例,Billroth II法切除胃例3例にEPTを実施した. EPTの合併症は,穿孔1例,急性膵炎3例,胆管炎1例で,全例保存療法で治癒し,死亡例はなかった.EPT後D長期経過観察16例の検討では,再狭窄は1例も認めなかったが,再発結石を1例に認めた.EPTは総胆管結石の非観血的治療法として,比較的安全に実施でき,患者に与える肉体的,精神的負担も少なく,臨床的にきわめて有効な方法と考えられた.
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飯田 洋三, 東 光生, 竹内 憲, 多田 正弘, 原田 之, 斉藤 満, 宮崎 誠司, 佐高 万理夫, 永富 裕二, 小田原 満, 後藤 ...
1981 年 23 巻 1 号 p.
53-58
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
直視下胃生検法の開発によって,早期胃癌症例が飛躍的に増加してきたことを考えてみても,胃生検法が早期胃癌診断に有力な手段であることは充分に理解される.しかし,胃生検を過信するあまりに胃癌を見逃してしまうことも,まれではあるが経験する. 今回,筆者らは教室例を中心に早期胃癌342症例,374病変を検討し,とくに生検診断の現況を検討した.各病変に対する生検の的確さを評価するために生検陽性率(癌陽性生検個i数/生検個数)を各病変ごとに算出した.早期胃癌を肉眼分類別にみるとIIaが92.3%と生検陽性率がもっとも高く,一般に隆起型の方が陥凹型に比べ生検陽性率が高い傾向を示した.この理由として隆起型の方が生検部位を限定することが容易であるからと考えている.一方,,病巣の大きさ別に検討すると,病巣が大きいからといって生検陽性率は必ずしも高くなく,病巣の大きさとの間には明らかな関係はみられなかった.このことは内視鏡的に病巣が大きく,また明らかに癌が診断可能であると,生検を行うものに慎重さが不足しているのではないかという反省とともに,安易な生検あるいは生検結果の過信をしてはならないことを痛感した.
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多田 正弘, 飯田 洋三, 小田原 満, 斉藤 満, 原田 元, 針間 喬, 前谷 昇, 播磨 一雄, 東 光生, 富士 匡, 沖田 極, ...
1981 年 23 巻 1 号 p.
59-65_1
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ヒト胃粘膜の腸上皮化生を走査電顕により観察し,その所見をmicrovilliの高さおよびその分布によって4つのTypeに分類し,メチレンブルーの吸収能およびALP,LAPの酵素活性と比較した.microvilliの高さおよびその分布の均一なものをType1に,一部の細胞のmicrovilliの高さが他の細胞に比較して差異の認められるものをType2に,microvilliの分配の疎な細胞が所々に認められるものType3に,またそういう細胞が比較的広範囲にみられるものをType4に分類した.microvilliの均一なType1,Type2においてメチレンブルー吸収能の高いものが多く,microvilliの不均一なType3,Type4においてはメチレンブルーの吸収能の低いものが多い.また,Type1,Type2には完全腸上皮化生が多く,Type3,Type4には不完全型腸上皮化生が多かった.
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黒川 きみえ, 丸山 正隆, 渡辺 伸一郎, 白鳥 敬子, 大田 由己子, 鈴木 博孝, 竹本 忠良
1981 年 23 巻 1 号 p.
66-77
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
PAの,胃内視鏡肉眼所見,生検,Congo-redtestによって胃体部全域の高度な萎縮があり,これより幽門洞の萎縮が軽度であるものを逆萎縮型胃炎とし,この萎縮型に観察される幽門洞と体部との萎縮の差の境界を逆萎縮境界と名づけた.この内視鏡的な慨念による逆萎縮型胃炎と逆萎縮境界とは,わが国ではPAとその家系例中に特異的にみられ,PA胃の原型と考えられた.そこでまつPA及その家系でのIFA,PCA,血中gastrin値,粘膜G細胞密度について逆萎縮型胃炎との関連をのべた.胃癌合併は20例中5例(25%)と大へん高率で,このことからも逆萎縮型胃炎の認識は大切である.さらに家系例中の胃癌発生率も,胃癌と消化性潰瘍をprobandとした調査により,これより有意に高率であることがわかった.
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井上 武紀, 仁科 恭一郎, 樋口 祥光, 島田 宜浩, 太田 亘
1981 年 23 巻 1 号 p.
78-85
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝癌の早期診断における腹腔鏡検査の役割について検討する際に,肝表面における観察可能範囲の問題が重要視されるようになった・この問題に対して,一方では,肝のCT画像より,粘土製の肝立体模型を作製し,これに癌組織の部位を標識して,腹腔鏡所見と比較した.その結果肝右葉の上後方と右側面に広い観察不能部位があった.さらに著者らが考案したゾンデ挿入・レ線撮影法を実施し,その結果を上記粘土製肝立体模型上に再現した・ゾンデの先端は腹腔鏡による観察可能限界まで挿入されているので,肝模型上ゾンデの先端を連ねた線は観察可能限界域を示している. 肝表面全域の面積に対する観察可能領域の面積比を求めたところ,肝左葉では上面,下面ともに,肝表面全体の約60%が観察可能であったが,肝右葉では上面の約30%,下面の約24%のみが観察可能域であり,肝右葉においては予想外に狭い範囲であった.
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広岡 大司, 湯浅 肇, 藤森 次勝, 南 康平
1981 年 23 巻 1 号 p.
87-94
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胎生期における腹側膵管と背側膵管の癒合不全,いわゆる膵管malfusion症例の背側膵管に慢性膵炎が多発するといわれており,副乳頭機能不全による膵液のウッ滞が考えられている. 最近5年4ヵ月間に施行した内視鏡的膵管胆道造影(以下ERCP)2,500例中,6例に,腹側膵管と背側膵管の合流部に一致して・その頭側膵管はほぼ正像膵管像を示しそれより尾側膵管は主膵管,分枝ともに著明に拡張し,合流部より尾側膵管に慢性膵炎,膵石症などを認めた. これらを内視鏡的膵管造影(以下ERP)像から分類すると, 1型)腹側背側両膵管が合流せず背側膵管が両膵管の合流部にほぼ一致して,その頭側膵管が退化して細くなり,それより尾側膵管が拡張している場合. 2)両膵管は癒合するが不充分かまたは合流部が狭細し,それに背側膵管の合流部より頭側が退化して細くなり,それより尾側膵管が拡張している場合. 3型)両膵管の合流部に2型と同様の異常を有し背側膵管の合流部より頭側が退化消失し,尾側膵管が拡張している場合.の三型に分類しえた. この合流部より尾側膵管に発生した慢性膵炎の病因として・先天性の腹側,背側両膵管の種々の癒合不全と両管合流部より頭側の背側膵管(Santorini管)の狭細化および退化消失による膵液ウッ滞が重要な要因になっていると考えられた. これら先天性要因によって発生した慢性膵炎を先天性ウツ滞性膵炎と呼ぶことを提唱したい.
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尾崎 監治, 澤武 紀雄, 牧野 博, 高橋 洋一, 登谷 大修, 米島 正廣, 若林 時夫, 竹森 康弘, 千代 英夫, 中源 雅俊, 服 ...
1981 年 23 巻 1 号 p.
95-103
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ERCPにて胆管像の得られた慢性膵炎確診60例を対象に慢性膵炎における胆管狭窄像の臨床的意義について検討した.慢性膵炎60例中,胆管狭窄像は18例30%にみられた.そのパターンは,(1)硬化直線型,(2)管状狭窄型,(3)限局性狭窄型,(4)硬化先細り型に分類され,管状狭窄型はアルコール性膵炎に,また硬化先細り型は胆石性膵炎に比較的特徴的であった.胆管狭窄群は非狭窄群に比して,膵外分泌機能障害が高度な傾向にあり,また肝機能検査では閉塞性黄疽のパターンを示すものが多かったが,顕性黄疸を呈したものは半数にすぎなかった膵癌と慢性膵炎との鑑別においても胆管狭窄像が有用で,狭窄部の不整,閉塞像が膵癌にかなり特徴的であったさらに,膵管像だけからは高度異常と読影し得ない例にも胆管狭窄がみられる場合があり,このような場合には,特に胆管所見に注目することが重要であることを強調したい.
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今井 寛途, 藤井 大輔, 渡辺 明治, 島田 宜浩
1981 年 23 巻 1 号 p.
104-111_1
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
アルコール多飲が原因と思われる肝障害15例を対象として,腹腔鏡検査と直視下肝生検を実施し,臨床血液生化学検査,各症例の総飲酒量および1日平均飲酒量との関係について検討した.1日平均飲酒量からA群(1日平均アルコール量として68gから113g,7例)とB群(113g以上,8例)に分け,その特徴的臨床所見を解析した.腹腔鏡による肝表面像の観察では,A群で斑紋様所見と線維の増生を示す症例が2例(29%),またB群で結節肝が5例(63%)認められた.組織学的所見では,A群で肝硬変3例(43%)及び小葉改築を示す線維増生2例(29%)が,B群で肝硬変6例(75%)が認められた.総飲酒量がアルコールとして1 tonをこえる大酒家は15例中6例にみられ,そのうち5例は肝硬変であった(A群1例,B群4例).比較的長期の禁酒期間の後に腹腔鏡検査を施行したためか,急性アルコール性肝炎や脂肪肝は,それぞれ1例つつであった.
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第2部:蛋白漏出性腸症の内視鏡的および電顕的検討
朝倉 均, 三浦 総一郎, 森下 鉄夫, 宗像 良雄, 土屋 雅春, 榎本 康夫, 渡辺 陽之輔
1981 年 23 巻 1 号 p.
112-120_1
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
蛋白漏出性腸症の空腸病変を内視鏡的に検討するため,小腸鏡SIF-B型を用い蛋白漏出性胃腸症8例(腸リンパ管拡張症4例,収縮性心外膜炎および僧帽弁狭窄兼閉塞不全による蛋白漏出性腸症各1例,Budd-Chiari症候群による蛋白漏出性腸症1例,びらん性胃炎1例)の十二指腸および空腸粘膜を内視鏡的および病理学的に検討した. 蛋白漏出性腸症では,散布性白点・白色絨毛および乳糜様物質の粘膜付着像の3所見がえられた.しかし,その程度は症例によって異なり,腸リンパ管拡張症と心性蛋白漏出性腸症では散布性白点と白色絨毛は著明で密にみられた.散布性白点が著明なものほど腸絨毛中心リンパ管拡張も著明であった.また,リンパ系異常のある症例に白色絨毛の存在がみられたことは,リンパ系異常のある本症では腸吸収上皮から腸リンパ管への脂肪の吸収転送障害のあることを示唆した・また,乳糜様物質の粘膜付着像は蛋白漏出性腸症において蛋白のみならず脂肪の漏出のあることを意味した.
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大田 由紀子, 黒川 きみえ, 丸山 正隆, 渡辺 伸一郎, 土岐 文武, 白鳥 敬子, 小幡 裕, 鈴木 博孝, 小林 誠一郎
1981 年 23 巻 1 号 p.
121-127
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
早期胃癌による胃切除後の残胃に,肉眼的組織学的に,きわめて類似した早期胃癌が発生した悪性貧血の1例を経験した.症例は67歳の男性で,8年前に悪性貧血と診断され,ほぼ同時に,胃体申部にIIa型早期胃癌が認められ,胃切除術を行なった.今回,貧血の再発により入院し,入院中行なった胃内視鏡検査により,残胃の噴門部直下小彎に,IIa型早期胃癌を診断し,残胃全摘術を施行した. また,家系中には,潜在性の悪性貧血と思われる胃癌例があった.
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岩崎 斉, 添野 武彦, 河野 研一, 高橋 俊雄, 白根 雄二, 白根 研二
1981 年 23 巻 1 号 p.
129-132
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡的逆行性胆道造影を施行中,食道表層粘膜が食道のほぼ全周,全長にわたって筒状に抜去された極めて稀な症例を経験したので報告する.患者は60歳の女性で,Olympus JF-B
3を用いてERCPを施行した.ファイバースコープ抜去直後白い半透明の索状物が少量の凝血塊と共に吐出された.吐出標本は直径2cm,長さ30cmで薄い筒状を呈し,組織学的には分化した扁平上皮組織で構成され基底細胞より表層で剥離した食道表層粘膜であった.患者は軽度の咽頭痛を訴えたが保存的療法により約1週間で症状は消失した.この間発症4日目に食道造影を行ったが,何ら異常所見を認めなかった.現在発症より約1年経過しているが,食道に狭窄症状はなく,通常の生活を営んでいる. 本症例は病理学的になんら粘膜剥離の原因と思われるものはなかった.かかる食道表層粘膜剥離が内視鏡挿入に合併した報告はなく,極めて稀な症例なので報告した.
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森下 鉄夫, 朝倉 均, 三浦 総一郎, 神谷 利明, 土屋 雅春
1981 年 23 巻 1 号 p.
133-141
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は74歳男性.9年前に食道癌手術を施行.その後下腿浮腫と低:蛋白血症(アルブミン1.8g/dl)を認めて入院.
131I-RIBA代謝試験,
131I-PVP試験:にて蛋白漏出性胃腸症と診断,リンパ管造影で左側傍大動脈リンパ管の低形成がみられた.拡大内視鏡GIF-HM(最大倍率35倍)を用い十二指腸粘膜を観察した.とくに十二指腸第2部上部の粘膜は白色調を呈し,白色絨毛や散布性白点のほかに著明な発赤を帯びた絨毛がみられた.白色絨毛は十二指腸に均等に存在せず帯状に集合してみられる部位もあった.拡大像では各絨毛の表面全体が白染しているものや,さらに深部まで白色化している絨毛があった.散布性白点は存在様式により,1孤立型,2集簇型,さらに集簇型は(1)線状・帯状型,(2)島状型,に分類された.白色の程度は濃いものから絨毛内毛細血管が透見できる程うすいものまで様々であった.生検では粘膜固有層は浮腫状で拡張したリンパ管が多数みられた.存在様式や程度に様々の違いを示す白色絨毛や散布性白点,さらに発赤絨毛が脂質吸収障害や蛋白漏出の機序に密接に関与することが示唆された.また拡大内視鏡検査はたんに微細病変の診断のみならず,病態生理学的検索に極めて有効と思われ,今後の積極的使用を強調した.
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山本 富一, 立石 博之, 西村 幸隆, 渡辺 幹雄, 右京 成夫, 三宅 健夫, 内野 治人
1981 年 23 巻 1 号 p.
142-146_1
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
43歳女性で,前庭部小彎と胃角部後壁に認められた多発性胃潰瘍症例が極めて稀な治癒経過を示した1例を報告した・前庭部小彎に発生した潰瘍は約2ヵ月で瘢痕治癒したのに対し,胃角部の潰瘍は経過中白色ポリープ状に潰瘍底が隆起し,初診後9ヵ月目にやっと赤色瘢痕化した.また,このポリープ状隆起物は表面に再生上皮を認めず,組織学的(HE染色)にはhematoxylin好染性物質の介在した肉芽であった.更に,この物質について組織化学的に検討した結果,一度再生した上皮が何らかの原因により潰瘍底表面を被覆する事が出来ずに肉芽内で死滅の運命を辿り,その結果生じた細胞核様物質ではないかと推測された.
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山本 哲郎, 千代 英夫, 山本 正和, 沢武 紀雄, 服部 信, 大槻 典男
1981 年 23 巻 1 号 p.
147-151_1
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は61歳の男性で,主訴は食欲不良と体重減少で,入院時貧血と低蛋白血症がみられた.消化管のレ線及び内視鏡検査にて,多発性の円形の隆起性病変がみられ,そのうちのいくつかは典型的な"Bull's eye"signを呈していた.生検材料の電子顕微鏡検査を含む組織学的所見より,悪性黒色腫と診断された.原発巣は不明であったが,"Bul1's eye"signを認めたことより,小腸の転移性悪性黒色腫と診断した.
131I-PVPテストは7.5%と明らかに陽性であることより,蛋白漏出性胃腸症にあることが判明し,これが本例の低蛋白血症の主因と考えられた. 以上,小腸悪性黒色腫における"Bull's eye"signの診断的意義を強調するとともに,消化器の悪性腫瘍が,蛋白漏出性胃腸症を呈したことも興味深いと思われた.
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安井 章裕, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 木下 平, 桜井 恒久, 赤座 協, 近藤 哲, 堀 明洋, 広瀬 省吾, 山田 ...
1981 年 23 巻 1 号 p.
152-159
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最近,欧米において,Clostri diumdifficileによる抗生剤投与後偽膜性大腸炎が注目を集めているが,われわれの調べえた範囲では,本邦報告例は未だみない.今回,われわれはClostridium difficileによる抗生剤投与後偽膜性大腸炎の1例を内視鏡的に診断細菌学的に確定診断しえた.この症例に対し,Vancomycinを経口投与し,その著しい治療効果を内視鏡的に経過観察しえたので報告した.本症例は,虫垂切除術後,血性水様便をきたしたため内視鏡検査を施行,大腸全域にわたる偽膜を認め,糞便検査により,毒素産生性Clostridium difficileを認めた.Vancomycinを経口投与し,2日目で偽膜消失,12日目で,正常粘膜に回復したことを内視鏡的に確認した.また,抗生剤投与後偽膜性大腸炎にっいて,その診断,治療,合併症について文献的考察を加えた.
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1981 年 23 巻 1 号 p.
161-163
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1981 年 23 巻 1 号 p.
164-167
発行日: 1981/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー