日本消化器内視鏡学会雑誌
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23 巻, 7 号
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  • ―拡大腹腔鏡の有用性について―
    大竹 寛雄, 原田 英治, 田中 慧, 高橋 慶一, 岡田 吉博, 児玉 龍彦, 小町谷 恭平, 大林 明, 原 義雄
    1981 年 23 巻 7 号 p. 921-931
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは,硬性鏡の腹腔鏡装置としては初めて撮影装置に自動露出機構を内蔵したオリンパス製体外発光型腹腔鏡装置を用いて187例の腹腔鏡検査を行ない,その性能と有用性について検討を加えた. 35mmカメラへの自動露出機構の導入と,約25μmの大きさまでの解像力を備えた拡大腹腔鏡の開発によって,肝表面小葉単位の微細観察と35mmフィルム枠いっぱいの大画面の写真撮影が容易に行なえるようになり,腹腔鏡所見と病理組織所見のより詳細な対比検討ができるようになった.そしてフィルム面上での実測値から換算した肝表面の微細計測は,腹腔鏡所見を一層客観化することに役立っている. 従来より問題点として指摘されていた近接撮影における解像力の不充分さと黄色調の強調された色調はほぼ解決され,本装置の性能は飛躍的に向上した. 今後さらに改良を加え,少なくとも10倍程度の拡大率とズーム機構を備えた拡大腹腔鏡の開発が切望される次第である.
  • 富士 匡, 相部 剛, 播磨 一雄, 永富 裕二, 川嶋 正男, 天野 秀雄, 東 光生, 前谷 昇, 有山 重美, 河村 奨, 竹本 忠良 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 933-936_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的逆行性膵胆管造影で狭窄型や閉塞型膵管像をしめし,膵癌と慢性膵炎の鑑別がむっかしい症例も少なくない.このような症例にERCPをガイドとして膵の経皮的吸引細胞診をこころみた. 膵癌4症例では細胞診で癌陽性1例,疑診2例で完全なfalse negativeは1例のみであった.一方,開腹によって慢性膵炎,膵体尾部欠損症など良性疾患と判明した3例は細胞診でもno malignancyであった.すなわちfalse negativeの1例以外は術前に良悪性の診断ができた. 本法はERCPをガイドとするため,鮮明な影像下で穿刺できること,穿刺点が決定しやすいことが利点であり,将来,小膵癌の術前の組織診断にも期待がもたれる.
  • 神津 照雄, 久賀 克也, 山崎 義和, 円山 正博, 谷口 徹志, 高橋 敏信, 谷 ロベルト・ダニエル, 碓井 貞仁, 渡辺 一男, 平 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 937-944_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     52歳女性のicteric type hepatomaの1例に対して,肝部分切除後,胆管内の遺残腫瘍塞栓を対象に,胆道鏡下Fogarty cathete1による腫瘍塞栓の剔出,MMC20mgの動注およびコバルト60の外照射5,000radを施行した.これらの治療により胆管内腫瘍塞栓は,X線および内視鏡形態的には,速やかに治療効果がみられ,瘢痕性の平滑な粘膜面に変化したが,組織学的には変性も軽度で抵抗性を示した.本症例の胆道X線像,内視鏡像および生検組織像の推移を術後6ヵ月にわたり経過追求した. またこのように胆道鏡挿入経路の長期確保の必要な症例に対して,従来の方法では患者側の煩わしさも大きく,その対策としてわれわれの開発したシリコン製の胆道鏡用留置カテーテルについて報告した.
  • 田辺 満彦, 河村 奨, 浅上 文雄, 大下 芳人, 篠山 哲郎, 長井 謙造, 林 謹也, 川嶋 正男, 永富 裕二, 富士 匡, 竹本 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 945-951
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸球部のほぼ全域にわたる広範囲な白苔をもった潰瘍を"panbulbar ulcer"と呼称し,該当する症例を整理検討してみた.このような潰瘍は,2っの型にわけられ,第1の型としては,慢性十二指腸潰瘍で増悪をくりかえしたと思われる3症例である.レントゲン的には,球部虜の状態であり,内視鏡的には恒存性に自苔が観察された.第2の型としては,薄くて広い白苔をもった急性十二指腸潰瘍といえる1例を経験した.X線的には球部の変形が軽度で第1の型とは異っていた. このように"panbulbar ulcer"のうち,とくに第1の型にぞくする球部綴を示す症例でも,細径直視型内視鏡による観察は有用であり,手術の適応を決めるために胃X線とともに,内視鏡検査が非常に重要な手技であると考える.
  • ―第1報:臨床統計的考察―
    藤倉 信一郎, 田中 三千雄, 窪田 芳樹, 島田 一彦, 樋口 清博, 斉藤 清二, 佐々木 博, 麓 耕平, 斉藤 寿一, 竹本 忠良
    1981 年 23 巻 7 号 p. 952-958_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸リンパ小節は,内視鏡による腸管の微細形態観察が行なわれるようになってから見る機会が多い.そこで,われわれは内視鏡検査成績をもとに,まず臨床統計的考察を行なった.すなわち外来患者,入院患者計2,493例(男性1,897例,女性596例)を検索対象とした結果,以下のような結論を得た. 1.十二指腸リンパ小節の出現頻度は79例,3.17%(男性:69例,3.64%,女性:10例,1.68%)であり,他部の腸管リンパ小節と対比すると出現率が低く,性差も見られた. 2.小型で少数のリンパ小節を見る例が多く,その局在に関しては72例(91.4%)が十二指腸球部に観察された. 3.年齢分布は20歳代から加齢とともに減少傾向にあるが,50歳代にスパイク状の最高値を示し,びまん性増殖例は40歳代~60歳代に集申していた. 4.併存疾患としては,消化性潰瘍30例(38.0%),申等度ないし高度の萎縮性胃炎40例(50例中)が多かった.
  • ―内視鏡的観察を中心に―
    原田 一道, 横田 欽一, 相馬 光宏, 北川 隆, 北守 茂, 柴田 好, 梶 厳, 水島 和雄, 岡村 毅与志, 並木 正義
    1981 年 23 巻 7 号 p. 961-967_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃結核は稀な疾患であるが,われわれは最近の5年間に3例の胃結核を経験した. 第1例は46歳の男性で胃体上部後壁に不整形で,潰瘍底が凹凸不整の大きな潰瘍をみた.内視鏡直視下胃生検による組織像でラングハンス巨細胞と類上皮結節の所見を得,結核による潰瘍性病変と診断した. この病変にストレプトマイシン(SM100mg/ml)3~5mlの局注療法を行い,約3ヵ月後に潰瘍の疲痕をみた.第2例は67歳の男性で,胃前庭部にIIa+IIcの早期胃癌を,また胃体上部前壁に粘膜下腫瘍をみとめた.この腫瘍が術後の組織学的検討で結核性病変と診断し得た.第3例は66歳の女性で噴門直下に不整形の潰瘍性病変を伴う腫瘤があり,内視鏡直視下生検による組織学的所見から結核性病変と診断し,抗結核剤(PAS,KM,INAH)の投与と共にSMの局注療法を試みた.その結果約4ヵ月後に腫瘤はほぼ消失し,潰瘍性病変は瘢痕化した.胃結核が内科的治療で治癒した例は極めて稀で,抗結核剤の局注療法を試みたものは過去にないので報告する.
  • ―Steel coilを主体とした塞栓術前後の内視鏡的経過観察―
    森安 史典, 岡崎 和一, 山本 富一, 塩村 惟彦, 洲崎 剛, 兼松 雄象, 佐野 明, 黒田 康正, 中村 義徳, 柏原 貞夫, 三宅 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 968-974_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経皮経肝門脈造影法を利用した食道静脈瘤塞栓術を12例の食道静脈瘤患者に行ない,その前後の食道内視鏡像を比較検討した.塞栓物質には永続性が期待出来るステンレス製steel coillに加えて,50%ブドウ糖液及びトロンビン溶液を併用した.内視鏡的に経過観察出来た11例中,(1)食道静脈瘤の色調の改善を見たもの5例,(2)形態の改善を見たもの9例,(3)周性(食道全周に対し静脈瘤の占める割合)の改善を見たもの8例であり,総合的に内視鏡的に有効と思われたものは11例申9例88%であった.経過観察期間は最長8カ月,平均4.2カ月であり,1ないし3ヵ月に3例に内視鏡上の悪化を見たが,食道静脈瘤の破裂による再出血は12例中1例のみであり,steel coilによる食道静脈瘤塞栓術は数ヵ月以上の持続的出血予防効果を持つと思われる.
  • 川嶋 正男, 斉藤 満, 河野 裕, 後藤 一紀, 沼 義則, 飯田 洋三, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良, 斉藤 永, 友沢 尚文, 福田 重 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 977-981_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    56歳女性.慢性関節リウマチ経過観察中に食思不振と空腹時の心窩部痛を訴え来院し,胃内視鏡検査で胃前庭部に赤みの強い斑状および点状の発赤を認め,同部の生検標本でアミロイド沈着が証明された.内視鏡的にS状結腸直腸および小腸粘膜にも発赤が認められ,いずれも生検標本よりアミロイド沈着が証明された.アミロイドーシスは続発性と考えられた.一方,アミロイドーシスの内視鏡所見として種々の報告があるが,なんら本症に特徴的な所見はないとされている.実地臨床の場において,本症例のように直接診断とはむすびつにくい軽微な所見を得た場合,一応アミロイドーシスを疑ってみることも早期発見という観点から重要であると考えられた.なお本症例はDimethyl sulfoxide 5ml/日経口投与を約5ヵ月継続し,臨床的に改善傾向がみられたため,現在外来通院で経過観察中である.
  • 山田 淳智, 友田 純, 網岡 逸男, 安原 高士, 榊 祥二郎, 上坂 好一, 旦 明良, 岡本 伸, 洲脇 謹一郎, 河合 公三, 藤田 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 982-988_1
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,胃原発性の悪性リンパ腫の報告が多くみられるようになった.しかし,早期胃癌の定義に準じたいわゆる早期の悪性リンパ腫の報告はまだ少ない.今回著者らは,5年間臨床経過を観察しえた広範な胃Reactive lymphoreticular hyperplasia(以後胃R.L.H.)にいわゆる早期の胃細網肉腫が合併した興味ある症例を経験した. 症例は61歳の男性で,胃X線および内視鏡検査で,幽門前庭部の粘膜に発赤と腫脹がみられ,約4年半にわたりびらん性胃炎として経過観察中,生検組織像よりR.L.H.を疑った.その後,幽門輪の口側小彎に強いタコイボ状の陸起とその表面に浅い不整形の潰瘍が形成され,3ヵ月後潰瘍はさらに増大し,悪性なものを疑い手術を施行した.組織像では,幽門前庭部に広範なR.L.H.があり,幽門輪と接してUlIIIの潰瘍の形成がみられた.潰瘍辺縁の粘膜下層および粘膜固有層に,一部R.L.H.と重なりあって境界不明瞭な小結節状の細網肉腫の形成がみられた.
  • 木村 正儀, 丹羽 寛文, 平山 洋二, 岡 博, 織田 敏次
    1981 年 23 巻 7 号 p. 989-995
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.肝硬変及び食道静脈瘤の診断にて,食道離断術,脾摘,胃上部血行遮断術が施行されたが,その後の検査で肝癌の合併が確認された.内視鏡検査で胃ビランのほか,十二指腸下行脚に数個の粘膜下腫瘍様の像を呈する小隆起性病変と,周辺粘膜の強い発赤が認められた.剖検では,同隆起部の粘膜下に米粒大までのtumorが密集しており,門脈幹内の著明な腫瘍塞栓及びその分枝,膵,十二指腸に腫瘍血栓を形成していることが確認された.肺,リンパ節を含めその他の臓器には腫傷の転移は全く認められなかった.肝細胞癌が門脈を逆行性に伝わって十二指腸へ転移したものと考えられた.このような症例は,われわれの調査した範囲では他に見当たらず,極めて稀な転移様式をとった症例と思われた.
  • 浅上 文雄, 河村 奨, 富士 匡, 清水 道彦, 有山 重美, 東 光生, 前谷 昇, 播磨 一雄, 川嶋 正男, 永富 裕二, 森戸 正 ...
    1981 年 23 巻 7 号 p. 996-1000
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆嚢の形鰕常のなかでも分難嚢は稀なもので調在まで11例の報告をみるに過ぎない.しかも,日常の臨床検査にて発見されることが少なく,11例の分葉胆嚢のうち,2例だけが排泄性膿造影で発見され.残り9例は開腹或は剖検時に認められたものである. 今回,われわれは,骨折にて形外科入院治療中の儲に,ERCP施行の機会を得たところ,分葉胆嚢を思わせる胆嚢の形態異常が認められた.あわせて,異常形態胆嚢に関し,胆嚢そのものの軸に着目し噺しい分類法を試みたので報告する.
  • 1981 年 23 巻 7 号 p. 1001-1050
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 7 号 p. 1053
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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