日本消化器内視鏡学会雑誌
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24 巻, 1 号
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  • 崎佃 隆夫
    1982 年 24 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • Jean-Dean Liu
    1982 年 24 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    In the past ten years, using various types of peritoneoscope and light source produced by Machida Company, a total of 962 cases of peritoneoscopic examinations were carried out on patients with hepatobiliary diseases, ascites of unknown causes and abdominal tumors. Among 962 cases of peritoneo-scopy, 241 cases of the new growth of the liver were obtained. Among a total of 241 cases of liver malignacy, there were 180 (74.7%) cases of hepatocellular carcinoma (HCC) ; 47 (19.5%) cases of meta-static carcinoma of the liver; 7 (2.9%) cases of cholangiocellular carcinoma. A total of 147 (81.7%) out of 180 cases of HCC were observed associated with liver cirrhosis. HCC was male predominant, the ratio being 8.5:1 between the male and the female. The predominant age of HCC ranged from 40 to 60. The main peritoneoscopic finding of HCC was that the protruding main tumor was covered by the greater omentum in about one fourth of the patients with HCC. Peritoneoscopically, we classified HCC into massive, nodular, diffuse and unclassified types. We think that the peritoneoscopic classification is helpful for determining the resectability of the tumor. Through the experiences with 241 cases of peri-toneoscopic diagnosis of the new growth of the liver, we have been trying to make the diagnostic criteri-a of HCC and other neoplasm of the liver. The establishment of the diagnostic criteria can easily make a differential diagnosis of HCC from other liver diseases.
  • 菊地 一博, 原沢 茂, 牧野 孝史, 柴田 晴通, 瀬上 一誠, 野見山 哲, 三輪 正彦, 鈴木 荘太郎, 谷 礼夫, 三輪 剛
    1982 年 24 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃切除術後の膵外分泌機能異常は既に報告されている.今回著者らは胃切除術を受けた患者を対象に内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を施行し,得られた膵管像の形態学的変化について検討し術後膵障害について若干の検討を行なった.対象22例中膵管の形態学的異常を認めた群は10例(45.4%)であった.これらの症例ではPFDによる膵外分泌機能の低下が認められた.膵管異常群の術後経過年数は11.1±6.1(M±SD)年と,膵管正常群の5.5±3.7(M±SD)年に比し術後長期経過例に膵管異常が多かった.胃排出能の検討で,膵管異常群では正常群に比し胃排出能の亢進傾向が認められた.従って,胃排出能の著明な亢進を伴う術後長期経過例ではPancreatico cibal asynchronyの持続することによるCCKやSecretinの分泌刺激機構の作動が不十分となり,慢性の分泌剌激低下による膵のatrophyやfibrosis,更に膵管の変化をきたす可能性が考えられた.
  • ―特に口側浸潤部の検討―
    熊谷 一秀, 前川 勝治郎, 卜部 元道, 権田 厚文, 林田 康男, 城所 仂
    1982 年 24 巻 1 号 p. 22-28_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     外科的立場よりみた早期胃癌診断の問題点の多くは,その浸潤範囲の決定にあるといえる.今回われわれは,特に口側癌浸潤部の診断が問題とされる陥凹性表層拡大型早期胃癌を対象として,特に口側随伴llbを検討した. 教室63例の陥凹性表層拡大型早期胃癌の口側癌浸潤形成を段差を有するものと,随伴llbを呈する型に分けると,26例(43%)と高率に随伴llbを有していた.またこの口側随伴llbを表面に癌が露出しているものと,していないものに分けてそれぞれ内視鏡所見と対比検討するに,癌露出例では,色調の変化,出血,ビラン等の所見を有するものも多かったが,癌が露出していない例では所見に乏しかった.また陥凹性表層拡大型早期胃癌の口側癌境界部は,中間帯領域に位置するものが大部分であり,この中間帯領域粘膜の内視鏡的検討も重要であろうと思われた.
  • 島本 史夫, 正宗 研, 岩越 一彦, 山本 克夫, 水田 静雄, 岡 博行, 浅田 修二, 李 法中, 大柴 三郎
    1982 年 24 巻 1 号 p. 31-39_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近,抗生物質投与後に,細菌性赤痢に類似した血性下痢を起す症例が注目されている.著者らは最近2年間に抗生物質投与後に発現した血便症例を14例経験したので,その臨床症状,内視鏡所見を中心に検討した.その結果・性別頻度は女性に多くみられ,すべての年齢層に発症した.血便は抗生物質,とくにABPC投与後平均7日目に出現し,血便の回数は1日10回以上が多く,抗生物質の投与を中止し,対症療法のみで症状は平均6日後に改善した・血便が出現した時期に施行した大腸内視鏡検査の所見は,主として下行結腸からS状結腸にみられた発赤・浮腫・びらんなどの所見が特徴的で,潰瘍・偽膜形成はみられなかった.これらの所見は血便消失後比較的短期間で改善した.糞便の細菌学的検査でKlebsiella oxytocaが半数以上の症例で検出された.
  • 栗本 組子, 久野 信義, 春日井 達造, 伊藤 克昭, 種広 健治, 梅田 芳美, 加納 知之, 安江 満悟, 木戸 長一郎, 佐藤 秩子 ...
    1982 年 24 巻 1 号 p. 40-49
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腫瘍の最大径が3cm以下のものを小膵癌と定義した.昭和40年2月から56年4月迄に私どもの経験した小膵癌は7例である.これら小膵癌の占居部位はいずれも頭部で,主訴は黄疸であった.このうち6例に膵管像が得られ,4例は狭窄型,2例は閉塞型であった.しかし,小膵癌と進行癌の膵管像の差異はほとんどなく,ただその範囲が狭いだけであった.5例に膵頭十二指腸切除,2例に膵全摘を行った.切除標本の検討ではいずれもリンパ節転移,十二指腸浸潤あるいは後腹膜脂肪織内浸潤が認められ,早期膵癌とはいえなかった.ERCPにて小膵癌の診断は概ね可能であるが,他の検査法と総合しても良悪性の鑑別のっかぬ場合は,false positiveをおそれず積極的に開腹してゆくのが現時点では望ましい.小膵癌診断率向上のためには,ERCPに至るまでの有効なスクリーニング法の確立が必須である.
  • 多田 正大, 田中 義憲, 西村 伸治, 鹿嶽 研, 山本 実, 原田 稔, 赤坂 裕三, 川井 啓市
    1982 年 24 巻 1 号 p. 50-58
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管出血例に対する緊急内視鏡検査法の概念は日常臨床の場において,十分に定着しているが,下部消化管出血例に対する緊急内視鏡検査法のそれは未だ十分に討議されていない.そこで下部消化管に起因すると思われる比較的大量ないし中等量の下血を訴え,7日以内に大腸内視鏡検査をなしえた113例について,その診断成績より緊急内視鏡検査の位置づけを検討した.下血発症後3日以内の早期に検査が行えたのは79例であったが,無処置またはグリセリン浣腸だけの軽い前処置のもとに内視鏡検査を施行した場合には,腸管内に多少とも血液が残存していることが多く,出血源を確認し易く,89.6%は正診できた.しかし4日以上を経過した場合には疑診例が増加し,診断能のうえからも差がみられた.下部消化管出血の場合には下血の量・重症度を客観的に把握することは必ずしも容易でないため,緊急大腸内視鏡検査法の定義として,「患者にとって病識が認められる程度の下血が突発的にみられた者に対して,発症後3日以内に行う検査」とすることが妥当であると考えられた.下血の際に腸管内容物の流れに逆らってスコープを挿入することは技術的にも決して容易ではないが,case by caseに検査の適応と前処置を工夫することによって,緊急大腸内視鏡検査の診断的価値は大きいことを強調した.
  • 水落 勝明, 鈴木 陽一, 松尾 賢二, 中野 実, 大塚 幸雄
    1982 年 24 巻 1 号 p. 59-69
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,panendoscopeとしての細径前方視式ファイバースコープが開発され実用化している.今回われわれはオリンパス光学製GIF-P2を使用した上部消化管内視鏡検査で著者らが行っている一連の撮影方法,順序で食道,胃,十二指腸各部を盲点なく観察,撮影できたかを検討した.撮影にはカセット式16mmフィルム(SC-16,20枚撮り)を2本使用した.その結果,細径で強角度の4方向アングルとなり,先端彎曲部が短小化されたため上部消化管各部をくまなく,くわしく観察でき,また同部での反転逆視が容易であった.さらに撮影されたコマについて胃を切り開いたシェーマ上にその撮影部位,範囲を記入し再現性の確認も行った.細径前方視式ファイバースコープGIF-P2はpanendoscopeとしての特性を有し十分その役割を果たすと同時に,スクリーニング用としても標準用としても役立つものと考えられる.また細径になったため,被検者に対する肉体的,精神的苦痛も軽減された.
  • 岩破 淳郎, 中島 正継, 光吉 靖夫, 竹林 政史, 安田 健治郎, 田中 義憲, 藤本 荘太郎, 赤坂 裕三
    1982 年 24 巻 1 号 p. 70-79
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     GIF-Qの改良型としての,超広角視野,解像力鮮明なGIF-Qwを使用して9ヵ月間1,078例について上部消化管内視鏡検査を行なった.本スコープの挿入性は細径スコープ同様に容易であり,食道より胃内控はもちろん十二指腸(球部)まで盲点なく明瞭に観察できた.胃内腔での操作性も良好でUターン,Jターンは容易であり,しかもターンを行ない噴門部を逆視しながら食道への再挿入も可能であった.十二指腸球部もほぼ盲点なく観察でき,下行脚への挿入も容易であったが,乳頭の正面視については側視型より劣っていた.超広角による像のゆがみについての検討を行なったところ,テストチャートでの平面観察に楢状収差という問題が残る.しかし円柱内観察では,より近距離から遠方にかけて観察可能となり立体感が増していた.実際使用にても従来直視式では欠点とされていた胃体中・下部後壁の正面視も可能となり,また幽門直後大彎側の観察も優れていた.生検鉗子孔は2.0mmとやや小さいが,猪撃性良好のため日常診断にはさしつかえないものと考えられた.
  • 桜井 剛, 下田 悠一郎, 北川 晋二, 村中 光, 松浦 啓一, 川波 寿, 杉町 圭蔵, 岩下 明徳
    1982 年 24 巻 1 号 p. 81-85_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道憩室内に発生した癌の報告は少なく,現在まで45例を数えるのみである.症例は67歳の男性で上腹部痛の精査のため,九大放射線科に入院.上部消化管X線検査で胃角部潰瘍ならびに中部食道憩室の診断をうけた.直後に施行された広視野角panendoscopeによる内視鏡検査で食道憩室内の浅い潰瘍を伴う小隆起性病変および胃潰瘍が認められ,前者は微小癌が疑われ生検が施行された.切除標本肉眼所見では,病変は憩室内に存在し,中央部に潰瘍を有する直径7mmの円形の小隆起性病変で,組織学的には直接外膜に達する高分化扁平上皮癌であった.その結果,術後放射線照射が施行された.中部食道.憩室内に生じた微小癌の1例を報告するとともに,主として本症の診断と治療について考察した.
  • 蜂谷 勉, 小味淵 智雄, 樋口 拓, 福山 隆也, 桂 邦夫, 友野 尚美, 大崎 往夫, 岡本 暢夫, 清水 達夫, 中嶋 健一, 大谷 ...
    1982 年 24 巻 1 号 p. 86-92_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は75歳の男子で脳内血腫にて内科的加療3ヵ月後より嚥下困難を訴え,精査した.X線及び内視鏡検査にてIm~Eiにわたり,狭窄像があり,悪性疾患を完全には否定出来ず,手術を施行した.摘出標本の肉眼所見では食道壁の肥厚を認め,狭窄部の粘膜面は暗赤紫色で小びらんが散在した.組織学的には食道壁全層に炎症性細胞浸潤と粘膜下の線維化が高度に見られ,非特異性炎症の所見であった.本症例は脳内血腫で入院初期におこなった鼻注栄養のための鼻腔ゾンデの挿入が誘因となったと考えられる.
  • 金子 栄蔵, 態谷 純一, 縄野 光正, 花井 洋行, 本田 西男
    1982 年 24 巻 1 号 p. 95-99_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     54歳女性のアカラジアに対し,細径パンエンドスコープ。に装着したpneumaticbagを用いて拡張術を試みた・このpneumaticbagはシリコンラバー製で,長径10cm,拡張時直径3cmのものと,長径15cm,拡張時直径4cmの2種類を用い,拡張圧200mmHg~300mmHgで行う.経過は良効で,本法は従来の方法に比し多くの利点のあることを述べた.
  • 渋木 諭, 浅木 茂, 岩井 修一, 北村 英武, 増田 幸久, 迫 研一, 西村 敏明, 佐藤 玄徳, 佐藤 彰, 榛沢 清明, 大方 俊 ...
    1982 年 24 巻 1 号 p. 100-103_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     臨床的に悪性黒色腫の胃転移と診断し,化学療法により病像が改善した1症例を経験したので報告した. 患者は57歳男性で,原発巣は右足底第4趾間の損傷部と推定され1978年1月に某医で切除術を施行された.1979年5月29日に悪性黒色腫の診断で当院皮膚科を紹介され入院した.同年7月5日より,DTIC・ACNU・VCRの化学療法を開始した.同年8月13日に胸やけを主訴として第3内科を紹介された. 初回胃内視鏡検査では,胃体上部後壁大彎側に単発する立ち上がり急峻な小隆起性病変を認めた.表面は正常粘膜でおおわれ,中心部が陥凹し黒色調を呈していた.この時の胃生検および有棘針細胞診でメラニン顆粒を有する腫瘍細胞を認め,悪性黒色腫の胃転移と診断した.癌化学療法の続行で,内視鏡的に隆起性病変はついに平坦化し,色素沈着を残すのみとなった.全身状態も改善し初診より約2年経過した現在外来治療にて経過観察中である.
  • 岡本 洋, 小原 剛, 郡山 栄次郎, 高井 幸裕, 武田 章三, 上田 則行, 原田 一道, 並木 正義
    1982 年 24 巻 1 号 p. 104-108_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性貧血に陥凹型胃癌および甲状腺機能低下症を合併した1例を経験した.症例は52歳女性で,11年前悪性貧血と診断され,3年前まで胃X線および内視鏡検査で経過観察中であったが,今回,胃体上部にボールマンll型胃癌が認められ入院となった.同時に,橋本病が示唆される甲状腺機能低下症を認め,本症例の発症に自己免疫学的機序が想定された.
  • 永田 成治, 永井 賢司, 大松 碩彦, 星山 道夫, 浅井 幹一, 坂口 潤子, 三輪 新
    1982 年 24 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     体重減少,尿糖陽性の精査を求めて来院した52歳女性で,ERPにより短小主膵管をきっかけに発見された膵体尾部欠損症と考えられる1例を報告した.肝機能検査・血清・尿アミラーゼに異常なく,50grブドウ糖負荷試験では糖尿病型を示し,IRIも低反応であった.PSテストは1因子(最高重炭酸塩濃度)のみ低下.膵シンチグラム,CTでは膵頭部のみしか認めず.腹部血管造影では膵体尾部への支配血管が欠如していた.ERPでは主乳頭,副乳頭に異常はなく,主膵管は頭部で孤状に副膵管に連がり,狭窄,閉塞,不整等の異常所見もなく,分枝管にも圧排等の異常を認めない.手術はされていないが,その特異な膵管像より膵体尾部欠損症が最も考えられる.原因については先天性膵体尾部欠損症か,膵体尾部の脂肪変性あるいは萎縮・線維化等によると考えられる.
  • 和田 秀一, 川原 健治郎, 飯島 義浩, 友野 隆
    1982 年 24 巻 1 号 p. 117-121_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸下行脚に生じた粘膜下脂肪腫の1例を経験し,その経内視鏡的切除を施行した. 症例は75歳男性・食欲不振を主訴に来院し,内視鏡検査及び低緊張性十二指腸造影にて,十二指腸下行脚に山田分類lll型の隆起性病変を認め,経内視鏡的に高周波電気焼灼による切除を行なった.腫瘤の大きさは,15×11×6mmで,組織学的には粘膜下脂肪腫であった. 十二指腸脂肪腫の本邦報告数は,1980年12月までの集計で自験例を含め16例で,うち3例が内視鏡的に切除されている.中高年齢者に多く,女性にやや多い傾向がみられた.発生部位は下行脚及び下行脚から水平脚への移行部が最も多く,球部,第3脚の順に少なくなる.内脂肪腫がほとんどで,外脂肪腫は1例のみである.特有な臨床症状はなく,心窩部痛等の不定愁訴が多い.診断及び治療の上で,経内視鏡的切除が有効であるが,その実施にあたっては,穿孔等の偶発症に対する十分な注意が必要である.
  • 藤原 祥子, 岩越 一彦, 正宗 研, 大柴 三郎, 安藤 嗣彦, 梁 寿男, 岡島 邦雄
    1982 年 24 巻 1 号 p. 122-129
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らが経験したCrohn病の一症例を供覧すると共に,Crohn病の手術適応,術後再発,X線および術中内視鏡所見と摘出標本所見の対比,などについて検討した.症例は22歳,男性,主訴は腹痛および下痢,小腸X線写真の特徴的所見からCrohn病と診断された.Salazopyrin,EDAC,IVHなどで2ヵ月問内科的治療を行ったが,著効が得られなかったため,手術が施行された.その際,術中内視鏡検査を施行,口側病変の範囲を決定した・手術によりおよそ150cmの小腸が切除されたが,術後経過順調で現在社会復帰している.本症例のX線術中内視鏡所見と摘出標本所見を対比した.最も口側部の病変として,X線では粘膜ひだの集中像,ポリープが,内視鏡では粘膜ひだを伴う小潰瘍,ポリープが見出されたが,これらの所見,とくに内視鏡所見が摘出標本の所見とほぼ一致していた.したがって,術中内視鏡検査は,口側部の病変範囲の決定に有意義であることが確められた.そのほか,Crohn病の手術適応や術後再発の点について,文献的考察を加えて記述した.
  • 松崎 靖司, 川北 勲, 井廻 道夫, 三田村 圭二, 樫村 博正, 谷中 昭典, 蔡 承熹, 東郷 順子, 宮本 二郎, 中原 朗, 小山 ...
    1982 年 24 巻 1 号 p. 130-134_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     58歳女性,S状結腸癌切除術施行時,肝血管腫を発見されたが放置された.半年後に下痢と腹部膨満感出現し,S状結腸癌再発を疑い精査を行った.肝シンチグラムにて左葉の欠損を認め,腹部エコーにて肝左葉に連続して内部にmulticysticエコー像を呈する腫瘤を認めた.血管造影にて左肝動脈より栄養されるvascubr lakeを認めた.腹腔鏡にて肝円靱帯の左側,左葉に一致する部位に白色調の肥厚した被膜に被われた凹凸不整の表面で,赤紫色斑状の血管腫を認めた.血管腫摘出のため肝左葉切除術を施行した.腫瘍は大きさ11×7×5cm,重さ4559であった.割面は血液を含む多房性海綿状のもので,組織像は大小不同の血管腔よりなり,壁が扁平な一層の内皮細胞で被われた結合織隔壁を持つ海綿状血管腫であった.以上のごとく,血管造影検査,腹腔鏡検査にて確診し得,摘出に成功した比較的大きな肝海綿状血管腫の一治験例を若干の文献的考察を加え報告する.
  • 李 法中, 山本 克夫, 水田 静男, 岩越 一彦, 岡 博行, 浅田 修治, 阿部 和夫, 正宗 研, 大柴 三郎
    1982 年 24 巻 1 号 p. 137-142_1
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     S状結腸に発生した子宮内膜症の2例を報告するとともに,本疾患に対する直視下生検の有用性について述べた.症例1;29歳の主婦,月経に関連して肛門出血がみられた.内視鏡検査では,S状結腸に,比較的表面平滑,発赤の強い結節状の隆起性症変を認めた.生検では,粘膜下層に間質に囲まれた子宮内膜腺組織を認めた.症例2は,37歳の女性,間歇性の下腹部痛と肛門出血をみ,内診及び直腸指診で,肛門より10cmの部位に圧痛のある腫瘤の存在が疑われ,直腸鏡検査で,同部に易出血性,やや蒼白な色調を呈した粗造な粘膜を認めた.生検では,粘膜下層に,円柱細胞からなる屈曲した子宮内膜腺組織とその周囲に,間質細胞を認めた.過去6年間,内視鏡検査による生検で,子宮内膜症が確認できた症例の報告は,2自験例を含め,4例のみであった.これら4例は,いずれも肛門出血を伴っており,子宮内膜症の粘膜への浸潤が強く疑われた.このように,出血を伴う症例では,生検は,診断に重要な役割を果すものと思われた.
  • 1982 年 24 巻 1 号 p. 143-144
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 24 巻 1 号 p. 145-159
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 24 巻 1 号 p. 159-170
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 24 巻 1 号 p. 170-179
    発行日: 1982/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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