日本消化器内視鏡学会雑誌
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24 巻, 10 号
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  • 伊藤 克昭, 吉井 由利, 小林 世美, 加納 知之, 春日井 達造
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1519-1525
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道ブジー療法は本邦ではなじみが薄く,手術後の吻合部瘢痕狭窄例に対する治療手段に苦慮することが少からずある. 著者らは米国で広く使用されている金属性およびゴム製ブジーを導入し,高度の食道あるいは食道吻合部の狭窄に対する積極的な拡張術を行ってきた.良性狭窄21例の治療成績はピンホール状の高度狭窄例12例を含め極めて良好で,治療目標である常食摂取可能が全例に得られた.治療後の経過観察においても1例を除き全例摂食に不自由を訴えておらず,8例は治療後1年以上を経過したが無症状である. 近年,本邦では内視鏡的電気メス切開術が吻合部狭窄に対して行われてきたが,瘢痕狭窄の病態を考慮すると粘膜表層よりも深層のfibrous bandを離断するブジー療法は理論的で,切開術術後短期間に高度再狭窄を来した症例にも再狭窄を認めていない. 更に,癌性食道狭窄例にも有用で,少しでも経口摂取の歓びを維持させ得る点で姑息的療法としての意義は大きい.
  • 田伏 克惇, 勝見 正治, 小林 康人, 永井 祐吾, 野口 博志, 江川 博, 青山 修
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1526-1535
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らの考案したマイクロ波凝固装置の内視鏡的応用に関して基礎的検討を行ない,臨床応用として,上部消化管出血の止血および胃腫瘍に対するマイクロ波凝固療法を試みた. 雑種成犬を用いた実験で,止血可能血管径は2mmであり,組織は炭化せず,周辺組織の凝固範囲は幅3mm以内であり,胃壁の凝固壊死巣の治癒は,径3mm範囲の凝固壊死巣では2週間で完了し,U1IIの8mm範囲では4週間で治癒した. 臨床応用の経験から,適応として,上部消化管出血,胃悪性腫瘍の止血ならびに凝固壊死に用い得る. マイクロ波凝固装置の特長は,接触性に用いる電気メス,非接触性に用いるレーザーとは異なり組織刺入法によって用いる点である.したがって凝固標的を確実にし得,凝固範囲を,モノポーラ型アンテナの長さと,出力および同軸ケーブルの太さで調節し得るので,内視鏡的操作上,比較的容易に且つ安全に行ない得る新しい方法である.
  • 森瀬 公友, 加藤 義昭, 加藤 肇, 石井 正大
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1536-1543_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過去6年7ヵ月間に経験した上部消化管出血605例中,胃潰瘍は244例(40.2%)であった.このうち,内科的治療で回復した182例を対象として,出血胃潰瘍の治癒率,長期経過における再発,再出血について検討した.出血胃潰瘍の3カ月間の治癒率は74.2%であり,一般の潰瘍の治癒率と差がなかった.1年以上6年間経過観察した128例では,37例が49回再発し,19例が26回の再出血を起こした.経過観察において60歳以上の高齢者の再出血率は,60歳未満のものに比して有意に高率であった.累積再発率,累積出血率は年数の経過とともに増加し,6年間では累積再発率は66.7%,累積出血率は55.6%であった.再出血をきたした19例では,3例に緊急手術,2例に待機手術がなされた.出血胃潰瘍の内科的治療例における再発率,再出血率は高く,出血胃潰瘍患者は長期間十分に指導,管理する必要がある.
  • 田中 雅夫, 吉本 英夫, 池田 靖洋, 伊藤 英明
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1544-1550_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的乳頭括約筋切開術による胆管結石除去率は97%と高いが,巨大で堅固な結石はしばしば除去困難であり,安全な結石破壊法の開発が望まれる.筆者らは電気水圧衝撃波による結石破壊効果と安全性を検討するため,in vitroおよび成犬12頭を用いての基礎実験を行なった.すなわち,生理食塩水中での結石破壊実験によって通電条件を設定したのち,胆管末端部結紮によって拡張したイヌの胆管内で結石を破壊したが,胆管穿孔は1例も生じなかった。胆管内圧は通電のみでは変化せず,結石破壊時にも無変化,または,むしろ一過性下降を示した.結石破壊部の胆管粘膜に発赤を見るものもあり,組織学的には浮腫・充血・粘膜下出血を示したが永久的な障害を残すとは思われなかった.本法を臨床例に応用し,再三のバスケット操作でも摘出困難であった遺残結石の破壊・除去に成功した.電気水圧衝撃波は,注意深く使用すれば内視鏡下の胆石破壊にきわめて有用である.
  • 清水 勝, 二ノ宮 三生, 大山 正己, 森脇 久隆, 瀬古 章, 冨田 栄一, 山田 昌夫, 武藤 泰敏, 小島 孝雄, 天野 和雄, 藤 ...
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1553-1561
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     劇症肝炎の生存例4例を経験したので覚醒後38日から164日に腹腔鏡を施行し,肝表面を観察し急性期(昏睡期)の肝壊死の程度について考察した.症例1,25歳,女.肝右葉表面に起伏を認め,左葉表面には胆汁うっ滞を示唆する暗緑色調不正円形の小隆起が散在し,他の部分は比較的平滑であった.症例2,27歳,男.肝右葉の縮小を認めるも表面平滑で組織学的に著変を認めなかった.症例3,59歳,女.肝右葉表面に比較的広範な陥凹がみられた.症例4,37歳,男.肝は大白色肝不正型であったが,組織学的にはsubmassive hepatic necrosisと診断された.以上4例中2例(症例1,3)は回復後の肝腹腔鏡所見から急性期の重篤な肝細胞壊死が示唆された.症例4では覚醒後5.5カ月でなお強い炎症,肝細胞の脱落が持続していた.他の1例では強い肝細胞壊死を示唆する所見は観察されなかった.
  • ―膵管造影への応用を含めて―
    池田 靖洋, 吉本 英夫, 田中 雅夫
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1563-1569
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     先に報告した「バルーンカテーテルによる内視鏡的胆道充満造影法」に(1)内視鏡の抜去,(2)注入器の使用,という2点の改良を加えたところ良好な結果を得た. 対象は,通常のERCPで鮮明な充満像が得られなかった37例(うち乳頭部切開例;28例)と,経皮的門脈造影(PTP)と膵管造影の同時造影を試みた2例で,全例,本法による造影に成功した.その結果,胆管造影においては,対照としたERC像が充満不足のため,肝内結石確診1例,同結石疑診9例,肝内病変不明23例であったのに比し,本法による充満像では,肝内結石の確診が16例(48%),肝内胆管の形態異常が2例であり,残りの15例でも肝内結石の存在がほぼ確実に否定された.一方膵管造影(6例)でも,より鮮明な分枝像が得られ,背臥位圧迫撮影やPTPとの同時造影が可能であった.合併症は,1例に膵仮性嚢胞の感染を惹起し,超音波映像下の穿刺ドレナージを要した.
  • 宮岡 正明, 窪田 良彦, 勝亦 重弘, 堀向 文憲, 池田 肇, 杉本 伸彦, 竹下 俊隆, 松本 英一, 沖田 誘二, 佐々木 公夫, ...
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1570-1579
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     S状結腸軸捻転症の非観血的整復を目的に,5症例に対し10回の広視野角大腸ファイバースコープ挿入を試みた.全例,拡張部において吸引を行った直後より,著しい症状の改善を認め、大変有用であった.広視野角大腸ファイバースコープは,本疾患の特徴的内視鏡像である,ねじれ狭窄部や拡張部腸管においても,充分観察可能であった. 挿入は,腹膜炎の所見が無ければ,積極的に実施すべきであるが,送気は最小限にとどめ,出血や粘膜壊死を認めれば,直ちに抜去すべきであろう.しかし,循環障害はあっても,これらの所見が無ければ,可能な限り吸引を行なうべきであろう.循環障害の所見が無い症例では,脾彎曲部まで挿入し,S状結腸を直線化する方法が,再発の面から考えてよいと思われる. このように,患者の状態にあわせて,挿入を考慮すれば,安全で確実な方法と思われる.
  • 奥 篤, 西岡 正好, 宮本 久夫, 宮本 長平, 前田 和良, 和田 信弘, 青山 修, 戸田 慶五郎, 西岡 新吾, 矢高 勲, 玄 栄 ...
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1580-1584_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     IgG-λ型骨髄腫に合併した早期食道癌の1切除例を報告した.患者は68歳女性,全身倦怠感,食欲不振を主訴として1980年10月8日橋本市民病院内科に入院.血清タンパク分画にてMonoclonalなβ-Gl.の増加,骨髄像で23.4%の骨髄腫細胞出現し,免疫電気泳動等によりIgG-λ型骨髄腫と診断した.さらに,食道X線検査で中部食道に隆起性病変を認め,内視鏡検査では上門歯列より30cmの食道後壁に白色調の表面凹凸不整を呈するポリープ状隆起を認めた.生検ではSquamous cell carcinomaであった. 同年10月27日同院外科にて食道癌根治手術を施行した.切除標本では癌腫は大きさ3.8×1.5×0.5cm,組織学的に深達度は粘膜筋板(mm)までであり,且つ,リンパ節等への転移は認めなかった. 術後17カ月の現在も食道癌の再発は認められず,経過観察中である.
  • 市川 正章, 西塚 陽子, 鈴木 重雄, 中沢 三郎
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1585-1590_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過去2年間に内視鏡的に7例の限局性胃毛細血管拡張症を経験した.いずれの症例においてもOsler病の確証は得られなかった.7例の内訳は男3例,女4例で年齢は48歳から83歳,平均67歳であった.慢性的な貧血が4例にみられ,うち2例に反復する吐下血がみられた.2例は大動脈弁狭窄症を合併していた.内視鏡的には病変はいずれも単発性で直径3~7mmの鮮紅色,平坦な斑点としてみられ,近接すると拡張した血管構造が観察された.貧血を認めた4例に対し内視鏡的電気焼灼を行った.術後貧血は改善し再出血は認めていない. これらの粘膜血管性病変は決して稀なものではなく,とくに中高年層における原因不明の上部消化管出血に際しては出血源の1つとして念頭に置くべきである.
  • 根井 仁一, 金山 隆一, 松田 芳郎, 高瀬 修二郎, 時国 信弘, 佐藤 博之, 高田 昭, 松能 久雄
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1593-1597_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳の女性で,1976年より過敏結腸と慢性リウマチで外来治療を受け,1978年11月には注腸X線検査の直後に下血を認めている.1979年7月にはじめて恥骨部に骨よりdensityの高い5.2×2.8cmの楕円形の陰影に気付かれ,大腸内視鏡検査および注腸検査を受けた.注腸検査ではenematipが接する部位のすぐ上方の直腸前壁に腸壁よりわずかに突出する陰影がみられ,内視鏡では肛門より5cmで6時より12時方向にかけて境界の鮮明な黄白色の低い隆起がみられ,中心部は陥凹・発赤していた.その2年半後の内視鏡では,境界の不鮮明な赤白色の斑となっていた.同部の生検組織では粘膜下にbarium結晶を貧食したマクロファージと組織球の増生があり,barium granulomaに一致する所見であった.
  • 特にその発生機序に対する文献的考察を中心にして
    辻本 豪, 森 裕, 南 八多美, 井上 雅史, 河村 泰孝, 生田 篤也, 八木 昭一, 小川 欽治, 清水 一良, 前川 高天, 梶谷 ...
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1598-1604_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     孤立性直腸潰瘍は,従来より稀な疾患とされていたが,本邦では自験例を含め現在まで32例の報告がなされている.2症例を報告し,本邦例と欧米例を文献的に考察し若干の知見を得た.本症の病因については諸説があるが,排便時怒責による粘膜脱が病因であるとするRutterらの説が最も理解し易い.男女比は,欧米例では性差を認めないとされるが,本邦では2:1と男性に多い傾向を示した.平均年齢は男49.1歳,女47.7歳と欧米に比し高年齢に多くみられた.主訴は下血が最も多く,潰瘍は72%が単発,残りが多発である.精神症状を5例(16%)に認めた.これらの結果は,欧米の報告と同様の傾向を示した.本症の診断には内視鏡が最も有用である.孤立性者腸潰瘍は,難治性であり,薬物治療に抵抗を示す.外科的療法としては直腸切断術が最も根治的な術式であるが,本症は直腸下部に好発し,肛門括約筋の機能を障害する恐れがあり,手術適応の決定には慎重を要す.
  • 加藤 修, 服部 和彦, 鈴木 孝, 館野 文美雄, 湯浅 友代, 重松 忠, 山近 仁
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1605-1608_1
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     オリンパス社製試作パンエンドスコープGIF-XQ(仮名)を用いて,約3カ月間に上部消化管の検索または内視鏡的治療(ポリペクトミー,レーザー治療)を202症例250件に施行し,ほぼ満足すべき結果を得た.GIF-XQは,その先端径が9.8mmと細径であるのに対し,生検鉗子孔径が2.8mmと大きいこと,さらに視野角が100.と広角であることに特徴がある.また,アングル角210.upが可能であることは胃体上部の観察に有利である.生検鉗子孔径が2.8mmあるために,GIF-Q用,またはGIF-D4用の諸処置器具が使用可能であることは大きな利点である.さらに,内視鏡的レーザー治療に際し,各社のレーザープローブが使用できることにもメリットがある.ただし,生検鉗子やレーザープローブが生検鉗子孔より外部に出た場合,上方へのアングル角が180°に制限されてしまう欠点がある.
  • 岡部 治弥
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1611
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • ―微小病変(胃・大腸)の診断―
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1612-1630
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • ―治療を主体に―
    1982 年 24 巻 10 号 p. 1631-1651
    発行日: 1982/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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