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佐々木 宏之
1982 年 24 巻 11 号 p.
1663-1673
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
抗潰瘍剤Sucralfateの胃潰瘍ならびに胃炎病巣における結合動態を明らかにする目的で,消化性潰瘍47例(胃潰瘍45例,十二指腸潰瘍2例),胃炎10例について,Sucralfateに含まれる硫酸化糖およびアルミニウムを測定し,同時に内視鏡的ならびに組織学的検討を行った.胃潰瘍においては,投与一時間後,Sucralfateは潰瘍病巣に選択的に結合したが,同時にSucralfateは胃内において硫酸化糖とアルミニウムに解離しているものと推察された.一方胃炎においては,慢性胃炎の組織学的変化とSucralfateの結合に相関は認めなかったが,表層性変化のうち,付着粘液および充血の程度と硫酸化糖の結合に有意の相関傾向を認めた.
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五十嵐 正広, 中 英男, 武宮 宗康, 幾世橋 篤, 勝又 伴栄, 岡部 治弥, 高橋 俊毅, 比企 能樹
1982 年 24 巻 11 号 p.
1674-1683_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
1975年~1981年の6年間に経内視鏡的大腸ポリペクトミーを103症例に対し130件(176病変)経験した.今回はポリペクトミーに伴う偶発症18例について検討した.施行件数に対する頻度は13.8%で,何らかの処置を要したものは10例(7.7%)であった.ポリペクトミーによる穿孔例,死亡例などは認めなかったが,主な偶発症は,腹痛,出血,発熱,頻尿,腹膜刺激症状などであった.偶発症の発現はほぼ3日以内に発生し,3~4日後に軽快しており,ポリペクトミー後約1週間の観察が重要であった.偶発症の多い切除術は無茎性ポリープや粘膜下腫瘍,ポリポイド癌などであった.また,単数の切除群より複数同時切除した群に偶発症が多かった.臨床的には,WBC,CRP,ESRの変化が偶発症群で有意な変化を認め,偶発症の経過観察のよい指標となった.ポリペクトミーに伴う偶発症は皆無ではないが,適応,安全性を考慮し行えば重篤なものはさけられると考えられた.
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田中 昌宏, 堀口 正彦, 長沢 貞男, 酒井 秀朗, 木村 健, 川田 克也, 斎藤 建
1982 年 24 巻 11 号 p.
1684-1693
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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4例(25歳男性,20歳女性、27歳男性、22歳女性)の小腸または大腸クローン病確診症例に胃内視鏡検査を施行し,次の異常所見が得られた。1)Patchy Erythema(直径3-4mm,多発性、散在性発赤斑)2)Aphthoid Erosion,3)Elevationwith Central Depression,4)Verrucous Lesion(solitary),及び5)Radial Linear Erosion.これら病変部から48個の内視鏡下生検を行ない,計12個(25%)に非乾酪性肉芽腫が証明された。各々の病変における非乾酪性肉芽腫の検出率は1)75%,2)50%,3)27%,4)20%及び5)0%であり,前4者はクローン病変そのものに起因する病変である事を確信した.これら初期病変は臨床上,無症状であり病変占居部はすべて幽門部であった.内視鏡的に形態上,微小病変である,いわゆる胃“初期”病変を発見し,経時的に形態観察を行なう事は,クローン病の形態成立を解明する上で,極めて貴重である考えられた.
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矢崎 康幸, 関谷 千尋, 高橋 篤, 富永 吉春, 大原 和明, 長谷部 千登美, 小野 稔, 鈴木 貴久, 並木 正義
1982 年 24 巻 11 号 p.
1695-1707
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
比較的早期の原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis,以下PBC)12例の内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography,以下ERCP)所見につき検討した.全例,膵管系には異常なく,胆嚢結石が1例に認められた.左右肝管を第一分枝として肝内胆管4次分枝までしか造影されなかった6例では胆道X線像に特別な異常を認めなかったが,5次分枝以上末梢胆管まで十分造影された他の6例全例に,4~5次分枝以上末梢胆管周囲に1~5mmの点状または斑状の造影剤漏出所見(periductal oozing)がみられ,内3例には5次分枝以上末梢胆管に点線状の胆管像(dotted line appearence of intrahepatic bile ducts)がみられた.これらの症例の肝生検組織所見では外径およそ40~80μ 程度の胆管の変性破壊が著明であるが200~250μ 程度のさらに太い胆管もしばしば障害されていた.今回,得られたperiductal oozing,dotted line appearence of intrahepatic bile ductsの所見は各々この程度の太さの障害胆管の破綻部よりの造影剤漏出,およびsegmentalな胆管病変を直接に反映しているものと考えられた.一方,肝内胆管5~7次分枝まで十分に造影された対照の各種疾患32例ではPBC症例の肝内胆管末梢枝にみられた前記2つの異常所見は,まったく認められなかった.
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江間 幸雄, 林 繁和, 市川 和男, 小林 英治, 小池 光正, 中村 常哉
1982 年 24 巻 11 号 p.
1708-1713
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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昭和56年1月より約1年間に,当院において諸検査で膵損傷を疑う腹部外傷の5人の患者に対して,緊急に内視鏡的膵管造影(以下ERP)を施行した.症例1を除いて,他はすべて受傷後24時間以内に施行した.5例のうち2例は追突によるハンドル損傷,1例は喧嘩による腹部の打撲,1例はオートバイによる受傷,そして1例は自動車にはねられたものである.いずれの例も,ERPにより主膵管の損傷の有無とその部位および膵実質の損傷の程度があきらかにされ,手術々式の決定に有意義であった. 従来は急性膵炎におけるERPは禁忌とされていたが,腹部外傷で膵損傷の程度を判定する検査に決定的なものがない現在,手術を前提にして施行するERPは,われわれの経験の範囲内では,特に合併症もなく,その情報量の大きさからいって有用と思われ,今後検討をつみかさねていく必要がある.
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伊藤 誠, 犬飼 政美, 勝見 康平, 横山 善文, 安江 直二, 後藤 和夫, 野口 良樹, 鋤柄 宏, 高畑 正之, 鈴木 邦彦, 寺尾 ...
1982 年 24 巻 11 号 p.
1714-1720_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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上部消化管出血に局所用トロンビンを用い,止血法としての有用性を検討した. 基礎的検討として,胃生検部の出血にリン酸緩衝液で溶解したトロンビン1万単位を内視鏡下で撒布した.止血までの時間は58.0±31.5秒で,緩衝液のみの対照138.0±47.5秒に較べ,良好な止血効果(p<0.005)がみられた.この成績に基づき,顕出血を呈した胃潰瘍13例,十二指腸潰瘍2例,吻合部潰瘍,食道静脈瘤,Malloryweiss症候群の各1例,計18例に緊急内視鏡を行い,最初の2病日は胃生検時と同様の撒布とリン酸緩衝液に溶解したトロンビン2万単位を8時間ごと2回経口投与し,第3病日に同量の経口投与のみを8時間ごと3回行った.効果判定は第4病日に内視鏡を行い,新鮮出血のないものを有効とした. 有効は18例中15例,83.3%で,その後の治療期間中にも再出血のなかった永久止血例は13例,72.2%であった.以上より,本法は上部消化管出血に有用な止血法と考えられた.
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北川 隆, 佐藤 信司, 柴田 好, 林 英樹, 原田 一道, 水島 和雄, 並木 正義
1982 年 24 巻 11 号 p.
1721-1726_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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胃から食道へまたがる特異な形態を示した胃平滑筋腫の一例を経験したので報告した.症例は36歳の男性で,咽頭部不快感を主訴として近医を受診し,食道・胃のX線検査で食道下部の異常を指摘され,当科において精査を行った.その結果,X線検査および内視鏡検査で,食道下部にBridging foldを伴った表面平滑なポリープ様の突出した隆起性病変を,また,食道・胃接合部直下にBridging foldを伴い,全体に凹凸を呈する大きな隆起性病変を認めた.食道下部の腫瘤は索状となって胃内に入り込んでいた.食道から胃にまたがる巨大な粘膜下腫瘍と診断し,大きさ,形より肉腫を強く疑い手術を施行した.切除標本では食道下部から,食道・胃接合部下方に続く表面凹凸を示す巨大な腫瘤を認め,漿膜側にも一部腫瘤が突出していた.組織学的に平滑筋腫と診断した.なおこの腫瘍は噴門部で最も固有筋層が消失し,漿膜下組織に腫瘍組織の拡がりをみることから,噴門部原発と考えた.
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岡崎 和一, 伴 信之, 五十嵐 昭夫, 森安 史典, 山本 富一, 塩村 惟彦, 洲崎 剛, 兼松 雄象, 中村 義徳, 桝本 博文
1982 年 24 巻 11 号 p.
1729-1735_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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膵管,胆管の合流異常には種々の型が知られているが,腹側原基由来の主膵管の欠如する症例は極めて稀である.最近,背側膵原基由来の膵管が数本の吻合枝で総胆管に交通し胆管炎をくり返していた1症例を経験:した. 症例は39歳女性.29歳の頃より右季肋部痛と発熱をくり返し症状の増強を認めた.点滴胆のう造影では特に異常を指摘し得ず,内視鏡にて十二指腸下行脚に膵管の開口部を水平脚に総胆管の開口部を認めた.cine-ERCPにて膵管と総胆管が交叉し数本の小吻合枝により交通する合流異常の像を認めた.胆のう切除とRouxen-Y法による肝管空腸吻合術を行なった.手術時総胆管内胆汁より19,200Somogi Unitの高アミラーゼと細菌を検出した.組織学的に慢性胆管炎を認めたが,膵炎を認めず,胆石や胆管のう腫も認めなかった.本症例をcine-ERCPによる膵管胆管合流型式の分類上,異常交叉型と名付けた.
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小吉 洋文, 渋江 正, 山口 淳正, 宮田 晋, 壱岐 慎一郎, 坂口 健次郎, 桑波田 仁, 田中 啓三, 深水 満, 松元 淳, 山下 ...
1982 年 24 巻 11 号 p.
1736-1742_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は54歳の男性.1980年12月,心窩部痛を主訴とし某医受診.胃X線検査にて胃体上部小彎の圧排を指摘された.膵疾患が疑われ,ERCPの目的で当科へ紹介された.ERP像で膵体部主膵管の長い範囲の不整狭窄,同部膵野分枝の欠損,尾部分枝の軽度拡張がみられた.ERC像では,三管合流部直下において総胆管の限局性狭窄,上部胆管の軽度拡張が認められた.これらの所見より,膵体部癌と診断された.その後入院精査中,上門歯列より35cmの部に隆起型病変がみられ,内視鏡生検にて扁平上皮癌と診断された.開腹の結果,食道下部は厚く肥厚し,腹腔リンパ節,膵体尾部が一塊となった固いボール様の腫瘤を形成しており,切除不能と判断,閉腹された. 本症例は,食道原発癌と考えられるが,膵腫瘍の所見が表に立って,原発巣と思われる食道癌が後になって診断された興味ある症例であった.
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佐藤 勝久, 浅木 茂, 迫 研一, 増田 幸久, 太田 恵, 田所 慶一
1982 年 24 巻 11 号 p.
1745-1749_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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77歳,女性で内視鏡にて乳頭開口部に血性胆汁を認め,術前に質的診断が可能であった早期胆管癌の1例を経験した.上腹部不快感を主訴とし,肝機能検査上閉塞性黄疸の所見を呈し,腹部ECHO検査,CTにて著明な総胆管拡張,ERCP施行時十二指腸乳頭開口部から,血性胆汁の流出を認めた.胆管像で,下部胆管内に限局した辺縁不整な28×18mmの透亮像が認められ,同時に施行した胆汁の吸引細胞診で,class Vの結果が得られた.組織学的には高分化型の乳頭状腺癌で,胆管壁内に限局し,リンパ節及び他臓器への転移はなかった.血性胆汁は,胆道系の悪性腫瘍の診断に,重要な微候と考えた.
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藤井 健一郎, 渕上 忠彦, 今村 博孝, 大串 秀明, 岡田 光男, 尾前 照雄, 伊藤 英明, 岩下 明徳, 崎村 正弘
1982 年 24 巻 11 号 p.
1750-1754_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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腸管動静脈奇形は,極めて稀な疾患であり,本邦での報告例はまだ15例にすぎない.本例は,術前に内視鏡にて確認し得た本邦第1例目である.症例,62歳,女.突然の出血性ショック状態に2度陥り,血管性の消化管出血が原因として疑われた.消化管のX線検査及び上部消化管内視鏡検査では出血源は見出し得なかったが,上腸間膜動脈造影にて右結腸枝末梢に動静脈奇形が発見され,内視鏡にて上行結腸肝彎曲部近傍に拡張・蛇行する血管が確認された.病変を含む結腸は切除され,病理組織学的検査により動静脈奇形と確診された.
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高山 哲夫, 杉本 吉行, 小川 裕, 小山 泰生, 佐野 博, 柴田 時宗, 本多 康希, 加藤: 活大, 武市 政之, 妹尾 知己
1982 年 24 巻 11 号 p.
1755-1760_1
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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大腸リンパ管腫は極めてまれな大腸非上皮性良性腫瘍である.本症は術前に正確に診断される事は少なく報告例のほとんどはポリープ,粘膜下腫瘍等の診断のもとに切除手術を受けている.しかし近年,大腸内視鏡の発達により術前に本症を正確に診断する事も可能となった.今回,筆者らは注腸X線造影および大腸内視鏡検査により術前に嚢腫と診断し切除した横行結腸リンパ管腫の1例を経験したので報告する.症例は36歳の女性で下痢を主訴として来院.注腸X線造影で横行結腸に拇指頭大半球状表面平滑な陰影欠損を認めた.大腸内視鏡検査ではこの病変は中央がやや陥凹し光の透過性が良く波動を有するcysticな隆起であり被覆粘膜は正常粘膜であった.この所見より嚢腫と診断した.切除された嚢腫は2.0×2.0×1.5cmの大きさで多房性で無色透明漿液性の内容液を含み内壁は一層の扁平な内皮細胞で被われていた.これらの所見よりリンパ管腫と考えられた.
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岡部 治弥
1982 年 24 巻 11 号 p.
1766-1775
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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須川 暢一
1982 年 24 巻 11 号 p.
1776-1778
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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足立 大進
1982 年 24 巻 11 号 p.
1779-1780
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 11 号 p.
1781-1799
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 11 号 p.
1800-1822
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
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フリー
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1982 年 24 巻 11 号 p.
1823-1836
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1982 年 24 巻 11 号 p.
1836-1847
発行日: 1982/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー