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加藤 修
1982 年 24 巻 4 号 p.
511-518
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
膵胆管合流異常は,先天性総胆管嚢腫さらには胆道癌との関連につき話題となっている.本報告は,内視鏡的逆行性膵胆管造影法で,膵胆管合流異常のあるものを中心にその臨床症状,一般検査成績,合併症などを検討したものである.X線的に膵胆管合流異常が認められたものは122例中7例であった。臨床症状としては,黄疸が5例に,上腹部痛が5例にみられた。急性膵炎を来たしたものは3例あった.一般検査では血清アルカリフオスフォターゼの高値が6例にみられた。X線像で総胆管の拡張は3例にしか認められなかった.3例に胆嚢癌,1例に総胆管癌の合併をみた.膵管像の異常は5例にみられた。膵管像は正常であったが急性膵炎を来たしたものも1例あった.これらの事実から膵胆管合流異常例には胆道癌の合併する頻度が高いため,胆道系の詳細な検索を必要とするが,また膵疾患にも留意すべきであると考えた.
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―内視鏡的並びに組織学的検索を中心として―
赤城 靖隆
1982 年 24 巻 4 号 p.
519-531
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
慢性腎不全患者20例について大腸粘膜の内視鏡観察と組織学的検索を行った.内視鏡的には共通所見として粘膜が貧血性で肥厚していたが,透見血管の異常,点状出血,びらん,潰瘍,大腸小区の乱れ,ポリープ,大腸黒皮症などが対照群に比して多くみられた.組織学的には拡張変性した腺管,過形成性の腺管,crypt abscess,粘膜固有層の限局性浮腫,形質細胞を主体とした細胞浸潤,顕微鏡的大腸黒皮症が高頻度にみられた.5例に電顕的観察を行ったが,表面上皮細胞では,vesicleの増加,mucin-droplet様大型vesicleの出現,拡張した小胞体,膨化した糸粒体等の変性所見が目立ち,吸収上皮細胞では微絨毛の減少や消失などがみられた.固有層にはラッセル小体を有する形質細胞がしばしば観察された.18例の剖検大腸に於る観察でも内視鏡例とほぼ同様の組織学的変化がみられた.以上の結果から,本症患者には各種大腸粘膜病変が発生しやすいものと考えられる.
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曽和 融生, 吉川 和彦, 松沢 博, 加藤 保之, 冬広 雄一, 西野 裕二, 三木 篤志, 青木 豊明, 山下 隆史, 梅山 馨, 小林 ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
532-539
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤とくに再発静脈瘤に対する内視鏡的硬化塞栓療法について,教室で行っている手技を中心に若干の考察とともにその成績を報告した.本法の食道静脈瘤出血に対する報告は1939年硬性食道鏡を用いて行ったcrafoordが最初であるといわれているが,ファイバースコープの発達により患者に対する負担が少く,かつ容易に行われるようになった.しかし本法の合併症も必ずしも少くなく,これらを考慮して著者らはカブを装着させたGIF-type P
3を用いthrombin, sodium morrhuate, Aethoxysklerolをsclerosing solutionとして静脈瘤内あるいは静脈瘤周囲粘膜下注入を行い,食道静脈瘤の内視鏡所見記載基準に従い,施行前後の食道静脈瘤所見とくにR-C signの改善が認められたことを報告した, 一般に食道静脈瘤をもたらす基礎疾患そのものに問題があるためその治療が困難かつ複雑にしているが,とくにこれらの症例に対する経腹的直達手術後の再発食道静脈瘤症例は再手術が困難なことが多く,これらの症例に対する著者らが行っている方法は手技が簡単で安全であり,再発食道静脈瘤からの出血防止および止血に極めて有用であることを強調した.
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―とくに30歳代における内視鏡検査の重要性に関して―
唐沢 洋一, 一瀬 裕, 平福 一郎, 星 和夫, 安井 昭
1982 年 24 巻 4 号 p.
541-545
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
われわれは1967~1980年の13年間に唐沢病院で胃切除を行った胃癌症例458例について各年代別の進行度・型・発生の検討を行った.その結果,10歳代,20歳代の若年者胃癌は,0.9%であった.この各年代別の検討の中でもっとも特徴的と思われることは人生の盛りのときにおける、すなわち30歳代の早期癌の発生頻度が51.3%と他の年代に比べてもっとも高い比率を示したことである.このことは胃癌のnatural historyから考察して,30歳代においてすでに胃癌が発生してくることを示唆するものである.これら30歳代の胃癌は胃集団検診によって発見された例は1例もなく,発見の動機は軽度の上腹部の疼痛・重圧感・胸やけなどを訴える軽症者に対して直ちに内視鏡を施行し,陥凹性病変に対してはくり返し生検を行った結果である.
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朝倉 均, 三浦 総一郎, 森下 鉄夫, 吉岡 政洋, 小林 研介, 土屋 雅春
1982 年 24 巻 4 号 p.
546-555
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
蛋白漏出性胃症6例(Ménétrier病4例,Cronkhite-Canada症候群1例,びらん性胃炎1例)を,一般臨床検査,内視鏡像,病理組織像,およびリンパ管造影像から検討した.一般検査では,血清アルブミン濃度は1.5~4.2g/dlで,免疫グロブリンの低下を認めた.胃内視鏡像では,粘液が粘膜をおおい,かつ乳白色の胃液が凋りおちるいわゆる鐘乳洞様所見が全例にみられた.病理組織像では,胃小窩上皮が増生しcorkscrew像を呈し,かつ胃底腺の組織像は壁細胞が減少またはほぼ消失し偽幽門腺化生におきかわった群と,胃底腺組織全体が増生している群に分かれた.また,腺の嚢胞状拡張と粘液産生亢進を示唆する像もみられた.一部の症例では,胃粘膜および後腹膜リンパ管の拡張がみられた.
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大下 芳人, 岡崎 幸紀, 有山 重美, 浅上 文雄, 多田 正弘, 原田 元, 斉藤 満, 渡辺 精四郎, 内田 善仁, 平田 牧三, 河 ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
557-563_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
46例の上部消化管出血に対して無選択にNd-YAGレーザーとArgonレーザーを使用して内視鏡的な止血を試みた. Nd-YAGレーザーでは34例中32例(94%)が24時間以上止血できた.重症例にかぎると8例中6例(75%)が24時間以上止血できた. Argonレーザーでは12例中9例(75%)が24時間以上止血できているが,重症例では1例も止血できなかった.止血できなかった3例は直径1.5mm以上の露出血管からの出血であった. 結論として重症例の大量出血に対しては,ArgonレーザーよりもNd-YAGレーザーの方がより有効であり,Argonレーザーでは直径1.5mmをこえる露出血管からの出血は止血できないと考えられた.
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―とくに腸上皮化生について―
飯田 洋三, 後藤 一紀, 竹内 憲, 原田 元, 多田 正弘, 斉藤 満, 佐高 真理雄, 山口 昌之, 榊 信広, 岡崎 幸紀, 竹本 ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
564-569_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
噴門部から発生し下行性に拡がるいわゆる噴門部胃炎について,内視鏡的および組織学的に検討し,今回はとくに腸上皮化生についてまとめてみた. 噴門部萎縮境界を内視鏡的コンゴーレッド法による鈴木の分類に従って閉鎖型(l型,ll型),開放型(lll型,lV型)に分けた. 噴門部の不変域が広くなるにつれて,生検組織学的に萎縮性変化が著しくなり,腸上皮化生の出現もll型ではl型に比べて明らかに著しく,噴門部粘膜から発生する腸上皮化生も確実にあることが示唆された.さらに噴門部胃炎が進展したlll型,lV型についてみると腸上皮化生の程度はさらに高度となる.しかし開放型では幽門側から進展してくる萎縮性胃炎による変化が当然考えられ,噴門部粘膜から発生した腸上皮化生と決めつける証拠はない.メチレンブルー染色法によって噴門部腸上皮化生の分布と形態をみると,l,ll型ではメチレンブルーの吸収像が得られたものは極めて少い(1例/35例).一方,開放型ではメチレンブルー吸収を認めることが多く,形態学的には大部分が平坦型を示した.したがって,前庭部を中心に発生する腸上皮化生とは性質を異にすることが示唆された.
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森安 史典, 岡崎 和一, 兼松 雄象, 左野 明, 黒田 康正, 柏原 貞夫
1982 年 24 巻 4 号 p.
570-577_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
重症消化管出血患者に対し,緊急内視鏡と緊急血管撮影を併用し,若干の知見を得たので報告する.20例の消化管出血患者に対し緊急血管撮影を行なったが,そのうち18例には直前に緊急内視鏡が施行され,13例に出血巣の確診が得られた.他は出血量が多く,胃出血とのみ診断出来た.緊急血管撮影では,造影剤の血管外漏出による動脈出血の確診は20例中10例に得られ,緊急内視鏡との併用では,20例中18例に確診が得られた.最終診断は,出血びらん3例,胃潰瘍4例,胃癌2例,静脈瘤破裂10例,結腸潰瘍1例であった.血管撮影を利用した止血術を全例に行ない,20例中17例,85%に止血可能であった.
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樋渡 信夫, 今野 保敏, 小林 和人, 後藤 由夫, 鵜浦 章, 佐藤 恒明, 遠藤 克博, 渡辺 晃, 松本 恭一, 望月 福治
1982 年 24 巻 4 号 p.
578-584_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
クローン病9例をED-ACにより治療を行いprimary therapyとしての効果を検討した.ED-ACは2,400 Kcal/日を維持量として平均48日間投与し,この間は絶食とした.9例全例に血清蛋白や体重の増加がみられ,うち7例に血沈の正常化,CRPの陰性化を認め著効と判定した.またCDAIも250±117より85±71と減少し,7例において150以下となった.レ線,内視鏡所見においてもほとんどの症例で敷石像は偽ポリープとなり,また縦走潰瘍,不整形潰瘍,アフタ様潰瘍の瘢痕化,消失~著明な縮小を認めた.しかし,瘻孔や狭窄の所見では閉鎖や改善をみることは稀であった.経口摂取再開後3~12カ月の経過観察では5例に症状の再燃をみたが,4例においては緩解状態が続いている. 以上よりED-ACは従来の薬物療法と比較して,primary therapyとして大いに期待できるが,特に不可逆性の合併症のない早期あるいは急性期に治療することが望ましい.
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―表層拡大型印環細胞癌の検討―
秋山 俊夫, 宮地 一馬, 桜川 文雄
1982 年 24 巻 4 号 p.
585-591_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
表層拡大型胃癌の大半を占める印環細胞癌が,どうして深部浸潤をせず表層にのみ存在し,予後が良いかについて検討した. 12例の表層拡大型印環細胞癌を対象とした.そのうちの2例は,それぞれ,71カ月,27カ月間早期早癌の状態に留まっていた.これらの症例の癌細胞は主として胃の粘膜の腺窩上皮部に存在していた.Concanavalin A Paradox染色によると,この癌細胞の粘液は腺窩上皮細胞の粘液に類似し,腺部の粘液細胞の粘液とは異なっていた.また,分裂帯より表層に行くにつれて,癌細胞の粘液が成熟する経過が認められた.これらのことより,この胃癌は腺窩上皮細胞に極めて近い関係にあり,腺窩形成の点からは未分化癌に分類されているが,組織発生学的には高度に分化した癌と考えられる.そのために腺窩上皮部以外での発育が出来ず,予後が良いと解した.約6年あるいは2年間に癌巣の面積に拡大は認められず,広い範囲に多中心性に発生したと推定された.
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秋山 俊夫, 高山 裕美子, 宮地 一馬
1982 年 24 巻 4 号 p.
593-597
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
表層拡大型胃癌の中の印環細胞癌は,組織学的には腺管を形成しないので未分化癌に分類されているが,組織発生的には高度に分化した癌で,胃粘膜の腺窩上皮細胞に極めて類似した癌である.それ故に深部浸潤せずに予後も良い.一方,胃壁をびまん性に浸潤してBorrmann lVあるいはlll型となる印環細胞癌がある.この両者は組織学的には区別されていない. 今回,切除胃について,この2種類の印環細胞癌の核DNA量を測定し比較した.早期胃癌のDNAヒストグラムは2C付近にピークを持つ単峰性で分布も規則正しく,正常細胞に近いパターンを示した.進行癌は早期癌と類似したパターンであったが分布は不規則で,両者は異なった癌であることが示唆された.進行癌の表層部と深部では大部分の症例で差はなく,癌細胞が発育の途中で変化したものではなく,最初から深部浸潤型として発生したものである.
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山中 桓夫, 酒井 秀朗, 吉田 行雄, 川本 智章, 上野 規男, 熊谷 真知夫, 堀口 正彦, 長沢 貞夫, 田中 昌宏, 関 秀一, ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
598-607
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最近開発された電子リニア走査形超音波内視鏡を胃疾患3例(進行癌1,粘膜下腫瘍2),肝疾患2例(Amyloid tumor 1,転移性肝癌1),肝道疾患1例(胆嚢癌),膵疾患2例(膵癌1,膵石症1)の計8例に応用し,その性能および臨床的意義について検討した. 胃自体あるいは胃周囲臓器(肝,胆嚢,膵,腎,大動脈等)の描出が可能であり,従来の体外走査に比べより明瞭な画像が得られた.しかし,巨大な腫瘤性病変ではむしろ体外走査が優れており,上記諸臓器の比較的小さな病変に有用であった. 今回試作された装置は,種々改良されるべき点を有するが,特にスコープの先端に長さ5cmの探触子(直硬部)を有し,その後部に側視方向の視野をもつため,操作性に難があり,視野をスコープの先端に置くことが急務と考えられた. いずれにせよ,今後の改良により消化器病診断の有力な武器になると確信された.
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山中 桓夫, 井戸 健一, 上野 規男, 川本 智章, 熊谷 真知夫, 堀口 正彦, 長沢 貞夫, 吉田 行雄, 田中 昌宏, 関 秀一, ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
608-615
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
新たに開発された腹腔鏡下電子リニア走査形超音波診断装置(超音波腹腔鏡)を使用する機会を得,肝疾患3例(血管腫1,嚢胞1,肝硬変1),胆道疾患1例(胆嚢癌),膵疾患2例(膵嚢胞1,膵石症1)の計6症例に応用し,その性能および臨床的意義について検討した. 肝の限局性腫瘤性病変,胆嚢腫瘍,膵の限局性腫瘤性病変および膵内部性状などを体外走査に比べより明瞭に表示できることが確認された.しかし,超音波腹腔鏡の特性から,巨大な腫瘤性病変ではむしろ体外走査が優れていると考えられた. 超音波腹腔鏡そのものの性能については,種々改良すべき点が指摘された.先づ,操作性を良くするためスコープの視野を先端に置くことが必須と考えられた. いずれにせよ,今後の改良により腹腔内諸臓器の比較的小さな病変や内部性状の診断に威力を発揮すると確信された.
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斎藤 清二, 樋口 清博, 窪田 芳樹, 島田 一彦, 藤倉 信一郎, 市田 隆文, 田中 三千雄, 佐々木 博
1982 年 24 巻 4 号 p.
616-626
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
著者らは富山医科薬科大学附属病院開院以来,先天性膵体尾部欠損症1例,膵管癒合不全3例を経験した.これらの膵管造影上短小膵管を示す膵管形成異常症例の非手術的診断基準を確立する目的で,同期間に経験した主膵管短小を示す膵癌症例を対照としてその膵管像および諸検査所見につき比較検討した.膵管形成異常による短小膵管像と膵癌による主膵管中断像とは,主膵管断裂所見の有無,分枝不整の有無等により明確に鑑別が可能であった.膵管癒合不全症例の確診には副乳頭から背側膵管を造影することが不可欠であるが,自験例では全例に成功した.膵体尾部欠損症の診断には他の画像診断法の併用が必要であったが,特に腹部血管造影とCTスキャンが診断上有用であった.膵管形成異常の鑑別診断は膵管像の詳細な読影と他の画像診断の併用により,ほとんどの場合非手術的になし得るものであると考えられた.
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高橋 英世, 飯野 正敏, 神津 照雄, 中島 克己, 久賀 克也
1982 年 24 巻 4 号 p.
627-634_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
過去6年半の間で,41症例の小児胆道疾患に対して,44回のERCPを試み,32例に成功した.当初は,成人用ファイバースコープJF-B
2を使用したが,われわれの協同開発した,小児用スコープFGS-PE(町田製),及び,X-PJF(オリンパス光学製)の使用により,成功率は上昇し,最近の2年間は,生後1カ月の乳児を含めて,100%と良好である.乳児例は6例で,新生児肝炎3例(生後35日,72日,79日)には,膵管胆管の両管が造影され,一方,先天性胆道閉鎖症3例(生後46日,65日,80日)には,膵管だけ造影され,ERCPにより,鑑別診断が可能であった.小児用十二指腸ファイバースコープの開発により,長年の課題であった,新生児肝炎と,先天性胆道閉鎖症の鑑別診断に,ERCPの応用が,可能になった事を報告する.
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野村 幸治, 渡辺 正俊, 藤田 潔, 針間 喬, 内田 善仁, 藤川 佳範, 河野 裕, 宮原 妙子, 竹本 忠良, 青山 栄, 小田原 ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
635-640_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
虚血性大腸炎のtransient type 25症例のうち内視鏡下に経過観察できた19症例21病変について検討して,これを4つのタイプに分けることができた.すなわち,a)びらん→治癒(2病変),b)びらん→不整形潰瘍→治癒(6病変),c)びらん→不整形潰瘍→線状潰瘍→治癒(1病変),d)びらん→線状潰瘍→治癒(12病変)の4型である.なお,不整形潰瘍は本症発生後2週間以内の早期にだけ認められたが,線状潰瘍は早期からかなり遅い時期にも認められた.内視鏡下に判定した治癒期間は最も早いもので10日,平均するとおよそ3週間以内であった.生検組織中で担鉄細胞の沈着を認めたものは5例だけであったが,発生後3日めに2例認めた.
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布施 好信, 内藤 英二, 福田 新一郎, 岡田 勝弘, 須藤 洋昌, 児玉 正, 瀧野 辰郎, 郡 大裕
1982 年 24 巻 4 号 p.
641-648_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/20
ジャーナル
フリー
過去20年間の早期胃癌切除例267例中,胃潰瘍(または瘢痕)併存例(以下併存群と略す)44例(16.5%)について,潰瘍非併存例(以下コントロール群と略す)と比較検討した.併存群は50歳代の男性に多く,その癌巣はコントロール群に比べ陥凹型,なかでもIIc+III型病変が多かった.また深達度m癌が多く(63.6%),癌巣も3.9cm以下の比較的小さいものが90%を占め,コントロール群との間に有意差を認めた.組織型では両群間に差がなく分化型腺癌が多かった.癌と潰瘍の位置関係では癌が肛側にある例が75%を占め,2病変の組み合わせでは癌が前庭部,潰瘍が胃角部にある例が43.2%と最も多かった. CMA分類による癌占居部位の検討では併存群ではA領域に多く(50%),逆にコントロール群ではM領域に多かった(63.6%).また癌巣の背景胃粘膜をみると,両群とも幽門腺領域に多く,癌巣周辺の腸上皮化生の程度は併存群の方が有意に軽かった.胃液酸度は併存群,なかでも開放性潰瘍併存群で高酸を示し,コントロール群との間に有意差を認めた.
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―最近約5年間の本邦報告例に関する考察―
楠神 和男, 上松 慶三, 青山 茂夫, 山崎 嘉弘, 片岡 邦孝, 山本 幹夫, 半田 満里子, 中島 伸夫, 北村 明
1982 年 24 巻 4 号 p.
651-659
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は71歳の女性.全身結核症で入院中,大量の吐血のため緊急内視鏡検査を施行し,胃体部に皿状の潰瘍を認めた.呼吸不全,DICのため死亡し,剖検がなされた.両肺,右腎に広範な乾酪壊死を伴う活動性の結核病巣がみられ,胃体部後壁に46×48mmのUI-IVの皿状の潰瘍を認めた.組織学的には潰瘍底に乾酪壊死の所見がみられ,深部には類上皮細胞およびラングハンス巨細胞からなる多数の肉芽腫が存在しZiehl-Neelsen染色で結核菌を認め,胃結核の確診を得る事ができた.回盲部には65×60mmの帯状潰瘍がみられ,組織学的にも胃と同様の所見を呈したが,この部では潰瘍底の類上皮細胞内にも多数の結核菌を認めた. 胃結核は稀れな疾患であり,われわれが調べ得た範囲内では最近約5年間の本邦文献報告例は本例を含めて17例を散見するにすぎない.この17例について内視鏡診断を中心とした文献的考察を加えた.
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丹羽 寛文, 永井 正俊, 藤原 研司, 張 景明, 三木 一正, 平山 洋二
1982 年 24 巻 4 号 p.
660-666_1
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝血管腫により胃穹窿部に著明な圧迫を来し,X線的,内視鏡的に胃粘膜下腫瘍が疑われた1例を報告した.症例は49歳男性で,集団検診の間接X線像にて胃穹窿部に異常像を認めたため精査を行い,胃粘膜下腫瘍力疑われたが,人工気腹後の胃X線検査で胃外性の圧迫であることが明らかとなった.手術の結果,肝左葉から用外性に限局的に発育した肝血管腫であることが判明した.胃穹窿部においては,胃粘膜下腫瘤の圧迫に基づく隨起との鑑別がしばしば非常に困難であり,両者の鑑別上の問題点を述べ,診断の一補助手段として,人工気腹蓚の胃X線検査が有用なことを強調した.さらに,肝海綿状血管腫について若干の文献的考察を加えた.
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佐々木 博司, 渡辺 博文, 鈴木 康男, 小山 力
1982 年 24 巻 4 号 p.
667-671
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
家庭冷蔵庫にて24時間以上冷凍した俗称ソイ(Sebastes spp.)の刺身を食べて,十二指腸下行脚のアニサキス症を発症した1例について記載した.患者は52歳の主婦で,右季肋部痛と嘔気を主訴として来院した.検査の結果,十二指腸下行脚に一線虫の組織穿入を認めたので,オリンパスJF-B3による摘出術で,発症後17日目に虫体を摘出した.検査の結果,本線虫はほぼAnisakis l型幼虫と同定された.十二指腸下行脚からのAnisakis l型幼虫と思われる線虫の確実な検出は,これが最初と思われる.なお本症発生予防の見地からは,一般用家庭冷蔵庫での生魚の凍結保存は本症発生予防に必ずしも安全とは言えない.
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田中 啓三, 渋江 正, 山口 淳正, 喜入 昭, 宮田 晋, 壱岐 慎一郎, 有馬 貞三, 坂口 健次郎, 桑波田 仁, 小吉 洋文, 深 ...
1982 年 24 巻 4 号 p.
672-679
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡的逆行性膵胆管造影法により診断された輪状膵の3例について報告する. 症例1:アルコール多飲歴のある47歳男性でERCPにより膵石と主膵よりなる管輪状膵と診断された.慢性再発性膵炎の経過中膵に一致して腫瘤が出現し,開腹により輪状部上方十二指腸に潰瘍を認めた.腫瘤は11,200Somogyi単位のAmylaseを含む膵仮性嚢胞と診断された. 症例2:下痢を主訴とした76歳男性でERCPによりWirsung管に注ぐ分枝の輪状膵で,輪状部膵管,主膵管共に慢性膵炎像を呈していた.症例3:悪性リンパ腫の経過中ERCPを施行した47歳女性でWirsung管に注ぐ分枝の輪状膵で,主膵管に軽度の慢性膵炎像を認めた.以上の3症例に加え本邦報告成人輪状膵65例についても検討したが,診断面においてはERCPが最も有意義であり輪状膵の発生機序の解明や治療方針の決定にも大きく寄与するものと考えられた.
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1982 年 24 巻 4 号 p.
680-685
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 4 号 p.
686-691
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 4 号 p.
691-698
発行日: 1982/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー