日本消化器内視鏡学会雑誌
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24 巻, 8 号
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  • 前谷 昇
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1195-1205
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    著者は,細径前方直視型panendoscopeを用い,メチレンブルー染色法を併用して,150例を対象とし,胃・十二指腸粘膜境界の内視鏡的検討を行った.そして,粘膜境界を,境界がほぼ十二指腸側幽門輪上にあるtype Iと,境界が球部内に入りこんだtype IIの2型に分類した.この頻度は各々17.3%,82.7%であった.胃粘膜萎縮の軽度な例ではtype IIが98.6%と大部分をしめたが,萎縮が広汎となるにつれtype IIが67.9%と減少しtype Iが32.1%と増加した.なお,幽門前庭部に腸上皮化生を認めない例では,粘膜境界はすべてtype IIであったが,腸上皮化生の著明なものでは,type I, IIが同率であった.また,切除組織と対比できたものについて,内視鏡的粘膜境界の位置と切除組織の粘膜境界の位置を検討した結果,よく一致していた.さらに,十二指腸球部潰瘍31例36病変について検討したところ,33病変(91.7%)は境界との距離10mm以内に位置しており,全病変の粘膜境界との平均距離は7.2mmであった.加えて,十二指腸球部内胃粘膜に発生した幽門輪潰瘍と,粘膜境界の十二指腸側に島状に存在した胃底腺巣の症例を経験した.
  • 桜本 邦男, 岡田 勝彦, 安田 正幸, 〓水尾 哲也, 山田 真一, 三枝 達明, 岡島 邦雄, 末沢 慶昭
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1206-1213_1
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤107例を食道静脈瘤内視鏡所見記載基準(門脈圧亢進症研究会)により分類し,各種所見別に出血頻度を検討した。色調分類では出血頻度は有意差なく,占居部位分類ではLsはLi,Lmより有意に高く,形態分類ではF2,F3はF1より有意に高く,静脈瘤の進展と占居部位,形態の進行には相関が認められた.発赤所見ではcherry-red spot(++)似上,hematocystic spot(+), diffuse redness(+)に高い出血頻度が認められた. 手術例48例について,術前術後の内視鏡所見を比較検討し,消失(7例),改善(30例),不変(11例)の3群に分け手術効果を判定した.食道離断術は86%(31/36)に手術効果(消失,改善)が認められたが,経胸離断のみでは食道静脈瘤の消失はなく,胃上部血行遮断と摘脾の追加が必須と考えられる.不変には再出血例が2例含まれ,予後は不良であった.
  • ―とくにその性能と胃癌の早期発見について―
    志賀 俊明, 西沢 護, 野本 一夫, 細井 董三, 岡田 利邦, 山田 耕三, 牧野 哲也, 江藤 :和美, 田代 義教, 有村 謙七
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1215-1220_1
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃癌の早期発見のために,細径パンエンドスコープがどの位有用であるかを,特に早期胃癌を対象として検討し,合わせて従来より用いられてきた胃内視鏡に比べ,どの位の性能を持つものかを検討した. 結論として,細径パンエンドスコープは個々細部の問題では,従来のファイバースコープに劣る点もあるが,患者に与える苦痛が非常に少なく,偶発事故もほとんどなく,また早期胃癌の見つけ出し診断では,従来の内視鏡よりも盲点が少なく優れており,性状診断,生検診断とも劣らない.以上のように近年開発改良された細径パンエンドスコープは,観察能,操作性,写真撮影,耐久性などを総合すれば,従来の内視鏡より優れており,上部消化管のルーチン検査として十分使用しうると考える.
  • ―色素撤布法による肝表面像の解析を含めて―
    矢崎 康幸, 関谷 千尋, 富永 吉春, 高橋 篤, 美馬 聡昭, 武田 章三, 小野 稔, 並木 正義
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1221-1237
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis以下PBC)16例につき,経時的観察および色素撤布法による肝表面紋理の解析を含めた腹腔鏡検査所見を検討し,その肝表面像と臨床像との関係を調べた.PBCの進展に伴う定型的な肝表面像の変化として,なだらかな起伏(1~3cmの粗大な区域化)→微細な凹凸(0.3~0.5cmの微細な区域化)→胆汁性肝硬変症という移行パターンが考えられた.このうち,なだらかな起伏または色素撤布法による粗大な区域化の所見は比較的早期のPBCの肝表面像として診断的意義があると考えられた.色素撤布法による検討では,なだらかな起伏の谷の部分はPBCの門脈域病変がより密に分布する部位であり,山の部分はそれが疎に分布する部位であった.粗大な区域化はこの谷の部分の線維の増生がより進展した状態と考えられた.非定型的なPBCの肝表面像として,慢性肝炎を思わせる凹凸不平な肝表面像に赤色紋理を伴うもの,発症当初より肝表面平滑なまま,高度の胆汁うっ滞所見を伴い長期にわたって経過するもの,慢性アルコール性肝障害など他の肝疾患が合併したものがみられた.これらの症例ではしばしば腹腔鏡検杏所見のみからはPBCの診断は困難であった.
  • 斎藤 清二, 田中 三千雄, 樋口 清博, 窪田 芳樹, 青山 圭一, 島田 一彦, 紺田 健彦, 藤倉 信一郎, 佐々木 博
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1238-1247_1
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    236例のERCP施行症例につき主に選択的胆管造影率の向上を目的として,超広視野角十二指腸ファイバースコープとストレシチ法の併用の有用性を検討した.Fujinon社製DUO-X(視野角105°)を使用した149例では,膵管造影率はOlympus社製JF-B3(視野角64°)を使用した87例の成績と差はなかったが,胆管造影率は明らかに高値であった(各々93.5%,77.8%).DUO-Xを使用してプッシュ法でERCPを行った群47例の選択的胆管造影率はJF-B3の45例のそれと統計的有意差を認めなかったが(各々89.4%,77.8%),DUO-Xとストレッチ法を併用した群61例では有意に高い胆管造影成績(96.7%)が得られた.DUO-Xとストレッチ法を用いて施行条件を一定としてERCPを行った32例中胆管造影成功30例の所要時間は平均11分24秒であった.ストレッチ法でのERCPは試みた大部分の症例において容易に施行され,症例の胃形態とスコープ走行形態の間には一定の関連は見い出し得なかった.以上よりERCPにおけるストレッチ法は選択的胆管造影に有利な方法であり,超広視野角十二指腸ファイバースコープの併用により比較的容易かつ確実に施行できる勝れた方法であると思われた.
  • ―とくにその予後について―
    河村 奨, 榊 信宏, 飯田 洋三, 富士 匡, 有山 重美, 前谷 昇, 東 光生, 清水 道彦, 相部 剛, 天野 秀雄, 永冨 裕二, ...
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1248-1255
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,球後部潰瘍の診断と経過観察について,細径型panendoscopeがたいへん有用であることを,報告してきた.日常外来で遭遇する球後部潰瘍の大多数は,臨床症状や治癒において,球部潰瘍と比較してさほど差位がないと理解して,球部潰瘍と同じ方針で取り扱っているのが現状であろう.しかし著者らが経験した球後部潰瘍24例についてみると,10歳代の4例と80歳代の3例については,臨床症状や経過予後において,他の年代にくらべ特異的であった.そこで今回は,初発時期が高校受験前後の男性で,症状が激しく,かつその予後が悪かった10代の若年者球後部潰瘍4例について報告するとともに,その治療に細心の配慮が必要であることを強調した.
  • 勝 健一, 和田 勝則, 高雄 裕三, 吉田 佐知子, 市岡 四象, 竹本 忠良
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1256-1261
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは難治性胃潰瘍で心疾患および腎障害の合併のため外科より手術を拒否された患者にcimetidineを投与した.胃潰瘍は速かに瘢痕治癒に至ったが,その後の再発予防のためにcimetidineを減量しつつ内視鏡検査および血液生化学検査を毎月おこない2年間を経過した.内視鏡検査毎にcrystal violet色素法を行ない胃粘膜表面のpHを定性的に観察し,その呈色および機能的腺境界の位置によりcimetidineの投与量を変更した.その結果,呈色により示される機能的腺境界はcimetidineの投与量に依存して変化することを発見した.この症例では機能的腺境界を胃潰瘍部位より噴門側に移動させるcimetidineの投与量で再発を予防し400mg/dayで充分であった. cimetidineの長期投与および機能的内視鏡検査法を臨床治療に応用した最初の症例と考えるので観察経過を報告する.
  • 小野 稔, 関谷 千尋, 矢崎 康幸, 高橋 篤, 梶 巌, 上原 聡, 並木 正義
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1262-1269_1
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は38歳男性で上腹部痛と発熱を主訴として受診した.肝機能検査成績でGOT,GPT,の軽度上昇とALP,γ-GTP,LAPの上昇を認めたが,ERCP,肝シンチグラム,腹部CTスキャンなどでは異常所見はみられなかった.しかし,腹腔鏡検査で肝左右両葉,腹膜および大腸の漿膜面に径2~3mmの黄白色円形小結節が認められ,その肝生検組織からLanghans巨細胞と乾酪壊死を伴う結核結節が証明された.また胸部X線検査でも右上肺野に微細な石灰化を伴う陰影が認められた.INH,SM,EBによる三者併用療法を開始したところ,発熱,上腹部痛は消失し,赤沈,CRPも正常化し,ALP,γ-GTP,LAPも著明に改善した.治療開始後4カ月で再び腹腔鏡検査を行ったところ,前回みられた黄白色の結節は小白斑に変化し,周囲の毛細血管も消退していた.本症例は従来報告されてきた肝結核に比較すると比較的早期,かつ軽症であるが,腹腔鏡検査の普及により今後こうした症例に遭遇する機会も増えると思われるし,この患者のような臨床症状をみたなら肝結核をも念頭において腹腔鏡検査を施行することが必要であると考え報告した.
  • 小山 恒, 前田 正人, 戸塚 慎一, 坂本 龍, 小泉 精策, 金山 正明
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1270-1275_1
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下肝生検で診断された多発性微小肝膿瘍の1例を報告する.症例:48歳,男性.家族歴,既往歴には特記すべきことはない.昭和56年6月,39℃以上の間欠熱が続き,抗生剤の投与をうけ,約2週間で下熱し,以後無症状であったが,同年8月2日より,同様の発熱が出現し,当科に入院した.入院時身体所見では,肝を右肋弓下7横指,軟く触知した。入院時検査所見は,血沈98mm/時,CRP7mm,WBC14,400/mm3,GPT84U.,T.Bil.1.0mg/dl,Al-P603IU/Lであった。肝scintigram, Ga scintigram,腹部超音波検査,腹部computed tomographyにて,肝の腫大を認めたが,肝内限局性病変は検出されず,腹腔鏡にて,肝右葉上面に,黄色の小結節の散在を認め,同部位の肝生検にて,肝膿瘍と診断された。抗生剤の投与にて,約1ヵ月で下熱し,肝腫大の縮小,白血球数の正常化,Al-P等の検査所見の改善が得られた。本症例では,肝膿瘍が微小なため,画像診断が困難で,腹腔鏡が決め手となった。
  • 池田 昌弘, 丹羽 寛文, 三木 一正, 平山 洋二, 木村 正儀, 張 景明, 藤野 雅之
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1277-1282_1
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    10年以上にわたり慢性関節リウマチの治療をうけていた39歳男.激しい水様下痢,悪心,嘔吐のため全身衰弱をきたして入院.小腸,大腸の生検でアミロイドーシスと診断された.内視鏡的に胃前庭部粘膜の発赤を認め,十二指腸から空腸にかけ蒼白顆粒状の粗慥な粘膜に発赤を伴った結節状隆起が多数みられた.大腸内視鏡所見は潰瘍性大腸炎の寛解期に似た像であった.近年消化管の内視鏡直視下生検で診断されるアミロイドーシスの症例がふえているが,大部分は胃であり,小腸で診断された症例は本例が最初と思われる.また本例でみられた小腸の内視鏡所見は他の疾患ではみられないものであり,アミロイドーシスに特徴的な所見である可能性が示唆された.
  • 長廻 紘
    1982 年 24 巻 8 号 p. 1283-1289
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    アンケートにもとづき日本におけるコロノスコピーの使用現況を調べた.全国主要325施設にアンケート用紙を発送し,202施設(62%)より返信を得た.そのうちわけは内科系111,外科系50,その他(消化器科,内視鏡科など)41であった. コロノスコープの保有台数は1台の所が69施設(35%)と最も多いが,4台以上の所も36施設(18%)あった.年間検査数は1980年についてみると,100回以下が114施設(57%)である.一方,年間200回以上が38施設(19%)である.コロスコープの使用方法(適応)は注腸X線検査で異常のあるものに対し行ない,出来るだけ回盲部にまで達するよう努力する.挿入にはX線透視,スライディングチューブを必要に応じて積極的に用いる,といったところが,アンケートからみた最大公約数である.
  • 1982 年 24 巻 8 号 p. 1290-1334
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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