腹腔鏡下肝生検で診断された多発性微小肝膿瘍の1例を報告する.症例:48歳,男性.家族歴,既往歴には特記すべきことはない.昭和56年6月,39℃以上の間欠熱が続き,抗生剤の投与をうけ,約2週間で下熱し,以後無症状であったが,同年8月2日より,同様の発熱が出現し,当科に入院した.入院時身体所見では,肝を右肋弓下7横指,軟く触知した。入院時検査所見は,血沈98mm/時,CRP7mm,WBC14,400/mm3,GPT84U.,T.Bil.1.0mg/dl,Al-P603IU/Lであった。肝scintigram, Ga scintigram,腹部超音波検査,腹部computed tomographyにて,肝の腫大を認めたが,肝内限局性病変は検出されず,腹腔鏡にて,肝右葉上面に,黄色の小結節の散在を認め,同部位の肝生検にて,肝膿瘍と診断された。抗生剤の投与にて,約1ヵ月で下熱し,肝腫大の縮小,白血球数の正常化,Al-P等の検査所見の改善が得られた。本症例では,肝膿瘍が微小なため,画像診断が困難で,腹腔鏡が決め手となった。
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