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友田 純
1982 年 24 巻 9 号 p.
1341-1351_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患患者402例に食道内視鏡を行ない,食道静脈瘤を食道静脈瘤内視鏡所見記載基準に従って分類した.静脈瘤所見の内Red-color sign(RCと略す)特にHematocystic spotおよび中等度以上のcherry-red spotとRed wale markingが出血との関連が強いことが確認された.中等度以上のTeleangiectasia陽性患者にも高率に静脈瘤出血を認め,RCと同様Teleangiectasiaも重要な所見と考えられた.肝硬変症および慢性肝炎の症例において,F
3の症例では脾腫または腹水を伴う症例が多く認められ,K
ICG0.08以下またはthrombotest60%以下の症例が多く,これらの臨床所見,検査は食道静脈瘤の有無および出血の危険性予知の参考になると考えられた.脾内圧はF
3群ではF
2以下の症例より高値を示し,さらにF
3群のうちRC(+)群はRC(-)群より高値を示した.これは脾内圧とこれに関連する短胃静脈の血流が食道静脈瘤およびRCの形成に強く影響を与えていることを示す興味ある結果と考えられた.
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小橋 恵津
1982 年 24 巻 9 号 p.
1353-1362_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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各種胃隆起性病変35例(過形成性Polyp 13例,ATP 10例,早期癌5例,進行癌7例)と正常7例の生検Stamp標本を用いて,Feulgen-DNA CytofluorometryによるDNA定量を行なった。過形成性Polypは正常と変らず,平均DNA量,Diploid Valueはほぼ一定した値を示し,多倍体細胞も認めなかった.ATPは平均DNA量がやや高値を示し,多倍体細胞を認める異常型と,それらを全く認めない正常型の2型が存在した.癌では一般に平均DNA量は高く,全例に多倍体細胞を認めたが,その程度は正常に近いものから高度なものまでとバラツキが大きかった.Stem Lineは多くAneuploidyに存在したが,Diploidyにあるものもあり多様性を示した.DNAパターンと癌の深達度は関係がなく,境界病変を分析した結果,これらをDNAパターンから完全に良性・悪性に分類するのは困難であると考えられた.
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田中 昌宏, 井戸 健一, 酒井 秀朗, 吉田 行雄, 木村 健
1982 年 24 巻 9 号 p.
1363-1373_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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肝硬変症50例に,バリウム食道造影と食道内視鏡を施行し,それぞれの検査における食道静脈瘤(以下静脈瘤)の診断能を比較検討した.両検査における静脈瘤の診断一致率は74%(共に静脈瘤有は,68%,共に静脈瘤無は,6%)であった.更に8例の軽度静脈症例に,精密な食道造影を行ない,静脈瘤の存在診断の読影上の誤差,即ち,個人相互間誤差と個人内誤差(第1回目と第2回目の読影における誤差)を調べた.誤差は,それぞれ22~41%,9~34%であった.また12症例に拡大食道内視鏡を行ない,静脈瘤の存在診断において,検者2名の間に17%の個人相互間誤差がみられた.これらの診断上の誤差(observer variation)が,バリウム食道造影と食道内視鏡における静脈瘤の診断不一致の最大の原因と考えられた.
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川野 淳, 福田 益樹, 佐藤 信紘, 房本 英之, 鎌田 武信, 阿部 裕
1982 年 24 巻 9 号 p.
1374-1379_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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臓器反射スペクトル解析法を内視鏡下に応用し,胃内20点の粘膜血灘の測定を行ない粘膜血灘の胃内分布及びその変化の三次元及びカラー表示を行なった.その結果,熱傷などのストレス負荷状態下では,従来の内視鏡検査では識別不能であった粘膜血液量の低下が明瞭にとらえられた.一方慢性胃潰瘍存在時の粘膜血液量の変化は潰瘍活動期において胃内全体の粘膜血液量が低下し,治癒期,瘢痕期には元に復することが、その変化をカラー表示することにより,より明瞭に示された.このことにより,病変発生の予知,更には病変局在部の予測が可能となることが考えられた. 以上,従来の内視鏡検査では得られなかった粘膜血液量という不可視機能情報の画像化を行ない,その有用性について報告した.
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竜田 正晴, 奥田 茂, 谷口 春生
1982 年 24 巻 9 号 p.
1381-1390
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
切除胃・剖検胃37例を用い胃上部胃炎について病理組織学的に検討した. 胃上部胃炎は加齢により幽門側へ拡大し,腸上皮化生が著明になることを明らかにした.噴門腺―胃底腺移行帯では加齢による拡大と胃底腺の萎縮性変化と腸上皮化生の程度が著しくなるが,噴門腺領域はヒトでは見られないものが多く,また噴門腺領域のみられる症例でも加齢による噴門腺領域の拡大はほとんどみられず,胃上部の萎縮性胃炎の進展は噴門腺―胃底腺移行帯の萎縮性胃炎(上部体部胃炎)の拡大によるものと考えられる. 噴門腺領域を含めた胃上部の腸上皮化生は平坦型で点状に分布し,組織学的にはびらん再生像を伴ない,Goblet細胞,Paneth細胞を欠き,刷子縁の発達が不良な未熟なものが多い.
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中島 正継, 藤本 荘太郎, 今岡 渉, 吉田 俊一, 小林 正夫, 梶原 譲, 安田 健治朗, 白川 和夫, 光吉 靖夫, 竹林 政史, ...
1982 年 24 巻 9 号 p.
1391-1400
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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内視鏡的電気水圧砕石法(EEL)による胆石の破壊効果について検討した.本法は液体中での高電圧放電にて生じた衝撃波の固体物破壊作用を応用したものであり,砕石装置として西独Waltz社製の電気水圧発生装置および附属の砕石用バスケットカテーテルを用いた.In vitroにおける実験では,各種の胆石は本法によって比較的容易かつ確実に砕石され,その有用性が確認された.家兎小腸を代用モデルとしたin vivoでの胆石の砕石実験では,高出力の頻回放電にて腸管の損傷や穿孔の可能性を有するが,これらの合併症を生じない条件下での砕石も行なえることが判明し,臨床応用への可能性(安全性)が示唆された.これらの予備実験の結果をもとに,巨大胆石や他の理由によって内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)のみでは除去困難と判定した7例の総胆管結石症に対してEELの併用を試み,6例において何らの合併症もなく安全に胆石の砕石除去に成功した.EELの併用によってESTの胆管結石除去方法としての適応の拡大や有効性の向上が一層期待されるようになった.
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松浦 昭, 小林 世美, 平岡 義章, 春日井 達造
1982 年 24 巻 9 号 p.
1401-1405_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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胃カルチノイドは比較的まれな疾患であり,X線的にも内視鏡的にも特異的所見に乏しいため診断が困難であることが多い.私共は1965年以降5例の胃カルチノイドを経験した(症例3と4の症例はすでに報告した)ので,これらの内視鏡所見について検討し,文献的考察を加え,とくに胃カルチノイドの形態的特徴を見い出す努力をおこなったが,胃カルチノイドは粘膜下腫瘍,Borrmann I型,Borrmann II及びBorrmann III型胃癌,ポリープ様隆起,ポリポーシスなど様々な形態を示すため,X線あるいは内視鏡検査にて質的診断は困難と思われた. 自験例の内視鏡診断はBorrmann I型胃癌,多発性ポリープが各々1例,粘膜下腫瘍が3例でカルチノイドの診断はできなかった.これらのうち生検が施行されたのは4例で,うち3例が生検で術前にカルチノイドと診断され生検の有用性が示された. 顔面紅潮のカルチノイド症候群を呈した症例は1例経験したが,多発性肝転移がみられ尿中5HIAA,5HTヒスタミンが高値であった. 5例中2例に異時性のS状結腸癌を合併し胃カルチノイド治療後,経過観察するうえで留意すべき点である.
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狩野 敦, 山岡 豊, 佐藤 邦夫, 松谷 富美夫, 河合 清隆, 加藤 浩平, 菅井 俊, 堺 順一, 藤巻 英二, 海藤 勇
1982 年 24 巻 9 号 p.
1406-1411_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は50歳,男子.吐下血を主訴として入院.内視鏡検査で胃体中部前壁の小さな粘膜欠損部に一致して半球状に突出した凝血塊の付着を伴う露出血管からの出血が確認された.小病変であったが保存的には止血し得ず,従来このような病変は,Dieulafoy潰瘍,submucosal gastric artery microaneurysm,gastric artery sclerosis, arteriovenous malformationなど種々の名称で呼ばれているが,通常の出血性消化性潰瘍と異なり,前駆症状を示さず突然に吐下血を起こす死亡率の高い疾患で,早期の外科的処置が必要である.組織学的にも,粘膜下を蛇行する太い動脈が,Ul IまたはIIの浅い潰瘍部分で破綻しているものである.本症の臨床的特徴および問題点を考案すると同時に,このような特異な病態を呈する本症に対し,共通の名称(Gallard-Dieulafoy潰瘍)をつけて出血性胃病変の一疾患単位として位置づける必要があると考える.
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佐々木 裕一, 中尾 昌弘, 山田 英明, 三谷 栄時, 鎌田 悌輔, 小野 時雄, 小林 絢三, 山本 祐夫
1982 年 24 巻 9 号 p.
1413-1418_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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59歳男性で,胃角部小彎後壁寄りの巨大潰瘍に,新H
2-receptor antagonist(Ranitidine)を投与したところ,治癒過程で肉芽の隆起を認めた極めて稀な一症例を経験したので報告する.胃角部小彎後壁寄りの巨大潰瘍は,Ranitidine投与1週間後に,縮小傾向はなかったが,潰瘍底は急速に浅くなり,4週間後には,この病変は白色調の隆起に変化していた.なお,組織学的に,この隆起は表面に再生上皮を認めず,毛細血管の著明な増生にリンパ球の浸潤を伴った肉芽組織であった.その後も2週間に1回,内視鏡にて経過観察を行った結果,隆起性変化は21週間後に消失した.
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田中 武, 秋山 俊夫, 真田 修, 東海 浩, 木村 光政, 島地 泰敏, 野北 毅, 宮地 一馬
1982 年 24 巻 9 号 p.
1419-1425_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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成人の巨細胞封入体症は稀であるが重症疾患の感染症として注目されている.今回,Lennertリンパ腫患者に認められた胃の巨細胞封入体症の一例を経験したので報告した.症例は47歳男性,主訴,発熱,理学的に全身リンパ節腫大,肝腫大を認め,リンパ節生検にてnon-Hodgkinリンパ腫と診断した.臨床経過中に消化管の精査施行.胃X線検査にて体部大彎側に陥凹性病変を認め,胃内視鏡検査で体部大彎側に8個の白苔を有する境界明瞭な潰瘍を認め,生検では悪性所見を認めなかった.内科的治療により潰瘍は不変であった.第107病日に死亡.剖検にてLennertリンパ腫と診断した.胃にはUl-IIIの潰瘍を8個認め,組織診断で潰瘍部の小血管内皮,腺管上皮,神経叢に多数の巨細胞封入体を認めた.本例の潰瘍は治癒機転に乏しい事,形態学的に特異な事より巨細胞封入体により発生した潰瘍と考えた.過去の報告例について文献的考察を加えて報告した.
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宮岡 弘明, 恩地 森一, 日野 寿子, 金岡 光雄, 谷口 嘉康, 太田 康幸
1982 年 24 巻 9 号 p.
1427-1432_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は42歳の男性で,慢性肝炎の精査目的で腹腔鏡検査を施行したところ,偶然胆のうに腫瘤を発見した.点滴静注肝のう造影法,腹部超音波断層法で異常所見なく,腹部血管造影にて悪性病変が疑われたため胆のう摘出術を行った.病理組織学的にはadenomyomatous hyperplasiaの診断を得た.本症の過去10年間の本邦での報告例は236例であったが腹腔鏡での観察は1例のみであった.本症の好発部位と腫瘤の性状から腹腔鏡検査が本症の診断に利用できうることを報告した.
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渋谷 隆, 丹羽 正之, 斉藤 征史, 加藤 俊幸, 小越 和栄
1982 年 24 巻 9 号 p.
1433-1438_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
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術前に小腸内視鏡直視下生検にて診断した原発性空腸癌の1例を呈示し,主として診断について報告する. 症例は66歳男性.1980年8月より食欲不振が出現.1981年7月28日,体重減少も加わり初診.臍部に腫瘤を触知して入院した.胸部X線検査・胃内視鏡検査・ERCPなどは,いずれも正常.注腸検査で横行結腸に圧排所見を認め,腹部CT及びエコー検査で小腸をまきこんだ腫瘤を認めた.上腸間膜動脈造影で空腸動脈と回腸動脈の不整形狭窄と閉塞,及び腫瘍血管の増生,腫瘍濃染像を認めた.選択的小腸造影で十二指腸空腸曲より20cm肛門側に周堤を伴った潰瘍病変を認め,小腸内視鏡検査でもBorrmann III型様の病変を認め,生検にて腺癌の所見を得た.以上より原発性空腸癌の診断で1981年8月26日,腫瘤を含めた小腸広範切除術を施行した.
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荒井 泰道, 松本 純一, 小田 島博, 近藤 忠徳, 関口 利和, 石田 稔, 小林 節雄
1982 年 24 巻 9 号 p.
1439-1445_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
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急性回腸末端炎はYersinia enterocoliticaやアニサキスの感染によって発症することがしられている.しかし多くは原因不明の疾患である.著者らはYersinia enterocoliticaの検出された1例を含めて4例の急性回腸末端炎を経験した.4例とも発熱,右下腹部痛,下痢を主訴として来院した.急性期の内視鏡所見は回腸末端部に不整形の潰瘍やびらんの形成がみられ,1例ではあるがいわゆるcobble stone像を示した.回復期に入ると潰瘍やびらんは消失し,粗大結節状あるいは微細顆粒状の隆起性病変を認めた.生検によって炎症性細胞浸潤とリンパ濾胞の形成がみられたことから,それらはリンパ濾胞の増殖によるものと考えられた.経過とともに隆起性病変も消失することが認められた.急性回腸末端炎の急性期内視鏡所見及び内視鏡的に経過観察を行なった文献はみられていないように思われ意義あるものと考え報告した.
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太田 博郷, 綿引 元, 中野 哲, 北村 公男, 武田 功, 熊田 卓, 佐々木 智康
1982 年 24 巻 9 号 p.
1446-1451_1
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
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症例1:56歳の男性が右下腹部痛を訴えて当院を受診した.注腸造影と大腸内視鏡検査で盲腸に平滑な芋虫様の亜有茎性の病変があることがわかった.粘膜下腫瘍の診断のもとに内視鏡的ポリペクトミーが施行され摘除標本は粘膜下脂肪腫であった. 症例2:74歳の女性が肛門部不快感を訴えて当院を受診した.注腸造影と大腸内視鏡検査で盲腸に平滑な黄色調を帯びた卵型の亜有茎性の病変があることがわかった.粘膜下脂肪腫の診断のもとに内視鏡的ポリペクトミーが施行され摘除標本は粘膜下脂肪腫であった. 大腸脂肪腫は本邦で100例近くの報告がある.しかし内視鏡で観察されたものは32例でありさらに内視鏡的ポリペクトミーが施行されたものは11例にすぎない.大腸脂肪腫は報告例からみると多くが亜有茎性か有茎性であるので慎重に適応を決めれば内視鏡的ポリペクトミーは本症の治療の主流となりえると思われる.
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1982 年 24 巻 9 号 p.
1453-1456
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 9 号 p.
1456-1462
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 9 号 p.
1462-1474
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1982 年 24 巻 9 号 p.
1474-1486
発行日: 1982/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー