日本消化器内視鏡学会雑誌
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25 巻, 12 号
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  • 永冨 裕二
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1901-1911
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃の過形成性ポリープ(以下ポリープと略す)の発生・発育を解明するための重要な糸口であるポリープの芽の特徴とその発育様式について臨床病理学的に検討し,以下の結果を得た.1)ポリープの芽は「限局した3mm程度の顕発赤調の粘膜膨隆」と内視鏡的に定義され,ポリープの発育過程において,現在内視鏡で観察できる最も早期の状態と位置づけられる.2)ポリープの芽の組織像は過形成性ポリープの組織像とは異っており,大きさの増大とともにそれに近づいていくと考えられる.3)ポリープの芽を6カ月間以上経過観察し,19.2%に増大を認めた.増大例は位置的に胃前庭部に多く,その発育様式として急速型と緩徐型とが考えられ,後者の症例が多かった.4)ポリープのなかには明らかにポリープの芽から発育するものがある.5)ポリープの芽の発生前の胃粘膜の変化はとらえられなかったが,ポリープの芽の発生までの期間は10カ月以内と推測された.
  • 王 康義, 白波瀬 均, 松永 隆, 尹 彦詔, 酒井 正彦, 森賀 本幸, 内野 治人, 村上 元庸, 三宅 健夫
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1913-1919
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の種々の病態における粘膜血行動態を知るため,接触電極を用いた水素ガスクリアランス法により,本症13例(のべ34回),正常対照17例の直腸粘膜血流を測定し,その意義を検討した. 本法は,直腸粘膜血流測定法として良好な再現性を有した.潰瘍性大腸炎の活動期の血流(68.0±19.6m1/min/100g;mean±S.D.;n=19)は,緩解期の血流(43.1±11.9;n=15)に比べ有意に増加を認め,活動期の重症度と血流は比例する傾向がみられた.一方,緩解期の血流は,対照群の血流(43.6±8.3;n=17)とほぼ等しかった.直腸炎型では,活動期と緩解期の血流に差はなく,正常ないし低値であった.本症7例について,4~18カ月にわたり経過をみると,血流は,排便回数や粘血便の有無,炎症反応等の臨床経過をかなりよく反映した. 直腸粘膜血流の測定は,本症の重症度分類や治療の指標として,さらには,本症の病因解明にも有用と考える.
  • 三木 一正, 張 景明, 一瀬 雅夫, 丹羽 寛文, 岡 博
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1920-1927
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     各種胃疾患患者64例に,通常の上部消化管内視鏡検査に引きつづいてCongored法を行ない,酸分泌領域を同定し,これにより内視鏡的腺境界を各type別に分類し,各typeと既報のradioimmunoassay(RIA)法による同一患者での血清ペプシノーゲン各成分値,とくに総ペプシノーゲン値に占めるPG I値の割合である%PG I,および後日施行した57例における胃液酸・ペプシン分泌量との関連性について検討を加え以下の結論を得た.1)血清%PGIは,内視鏡的腺境界分類で閉鎖型のC0-typeから開放型のO3-typeへと腺境界の上昇とともに段階的に低値を示し,C0-typeに対してC2およびO1-typeはStudent's t-検定で危険率1%以下で,O2およびO3-typeは0.1%以下での有意差を認めた.2)血清%PG Iは,胃粘膜の萎縮の程度を推定する場合,血清PG I値,PG II値単独または胃液検査成績よりも有用であり,Samloffらの提唱する,血清PG I値およびPG II値の同時測定により胃粘膜萎縮の程度を推定する,いわゆる血清学的生検(serologic biopsy)となりうる可能性が示唆された.
  • 小泉 亮道, 井上 修一, 荒川 弘道, 久保 信之, 佐藤 誠, 島 仁, 那須 宏, 太田 弘昌
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1928-1934_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     入院した胃潰瘍125例の53例(42.4%)に胃びらんの合併を認めた.内視鏡検査からWalkの分類に準じてVarioli formとpuncti formに分けて検討した.1年以上経過を観察しえた25例につき,潰瘍の転帰から再発,非再発に分けてみると,再発潰瘍に合併したP型は初発潰瘍で少なく,胃角部潰瘍が多く,非再発潰瘍に合併したP型は初発潰瘍が多く,胃体部潰瘍が多い.いずれも潰瘍が活動期から瘢痕治癒するにつれ,P型びらんは消褪傾向を示し,V型びらんは潰瘍の瘢痕治癒に依らず残存傾向を示すものが多かった.非再発潰瘍は潰瘍瘢痕化後は1例を除いてP型のびらんの出現はみられなかった.
  • 黒坂 判造, 竹添 和英, 大原 毅, 青野 義一, 市川 恒次, 神保 勝一, 田尻 稲穂
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1937-1941_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃内視鏡診断において,胃粘膜の微細な変化を観察するため,従来の内視鏡診断に加えて色素撒布による診断が発達して来た. しかし色素撒布法も全く無害であるとはいい得ないし,繁雑であるという欠点もある.そこで今回内視鏡接眼部に青系の色ガラスフィルターを装着してみたところ,フィルター使用時の内視鏡所見は,色素撒布法におけるとほほ伺様に,診断上有利な情報が得られることがわかった.その上胃内視鏡診断における診断医の色覚の疲労を大幅に軽減した. 今後これらの利点に加えてさらに操作が簡単であるところからも,この補色フィルター併用による胃内視鏡診断の普及することが望まれる.
  • 平尾 雅紀, 小林 多加志, 長谷 良志男, 池田 由弘, 松浦 侯夫, 奥山 敬, 仲 紘嗣
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1942-1953
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは胃の腫瘍性病変に対し,内視鏡的切除法を考案し,臨床に応用した.その特徴は(1)消化管出血時の内視鏡下止血のために開発した高張Na-Epinephrine液(HS-E)を局注し,メスの使用を容易にしたことと切開切除後の出血を予防できること,(2)2本のファイバースコープを同時に使用するdouble scope法を導入したこと,(3)切除予定線に高周波メスで切開を加えたうえで切除するので切除範囲を正確にすることができる,(4)切除組織を回収し病理組織学的に検討できることなどである.必要な器機は2本のスコープ,高周波電源装置,メスおよびスネア,把持鉗子,局注用注射針などである.HS-EはNaclが3.7%,エピネフリン濃度が0.05mg/mlのものを使用する.体制は医師2名,内視鏡助手2名,看護婦1名である.29例30病変に施行した,胃癌25病変,異型上皮4病変,潰瘍瘢痕1病変である.病変の大きさは4~25mmで平均13.4mmである.手術時間は15~120分で平均51分である.胃癌ではIIc16例,IIa6例,IIa+IIc2例,i1例である.切除断端陽性またはsm癌で外科的胃切除術が行われたのは5例である.他の症例は経過観察中であるが再発の所見はない.合併症として胃穿孔が2例あった.後出血は1例もない.われわれの行なう内視鏡的切除法は隆起性病変のみならず陥凹型早期癌にも有用な方法である.
  • 斎藤 清二, 渋谷 隆, 稲土 修嗣, 野尻 裕之, 窪田 芳樹, 松井 俊二郎, 田中 三千雄, 佐々木 博
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1954-1961
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ルーチンのERCP検査における被験:者の苦痛の実態を明らかにし,それを軽減する方法を検討する目的で103名のERCP被験者に対してアンケート調査を行った.その結果は以下の如くである.(1)被験者の苦痛は検査所要時間にほぼ比例し,15分以内に検査が終了した場合には苦痛は極めて軽いと思われた.(2)スコープ挿入法としてストレッチ法を用いてERCPを施行された被験者ではプッシュ法で施行された者に比し明らかに苦痛は少ない傾向にあった.(3)鎮静剤(diazepam)を前投薬として投与した症例の被る苦痛は,通常の上部消化管内視鏡検査における苦痛よりもむしろ少ないと思われた.(4)細径スコープ(PJF:オリンパス)を用いた症例においても鎮静剤の投与を省略するとかなりの苦痛を避け得ないものと思われた.以上の検討よりERCPにおける被験者の苦痛軽減のためには適切な鎮静剤の投与,検査時間の短縮,スコープ挿入法の工夫,スコープ性能の改良などが必要であると考えられた.
  • 杉山 明徳, 勝呂 衛, 五十嵐 達紀, 戸田 智博, 南園 義一, 長崎 進, 岡崎 幸紀
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1962-1967_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは十二指腸球部の早期癌を2例経験した.第1例は72歳の男性で,定期検診にて十二指腸球部内の異常陰影を認め,入院後の生検によりGroup IIIであったが,患者の希望で手術を施行した.切除標本の組織検査で,深達度mの早期癌と判明した.第2例は54歳の女性で,胃集検時に球部内の陰影欠損を指摘され,当院での内視鏡検査で球部内にカリフラワー状のポリープを認め,生検でpapillary adenomaと診断された.しかし,軽度のatypismも認められ悪性も否定できないために胃切除術を施行した.組織学的には深達度smの乳頭状腺癌であった.内視鏡的ポリペクトミーが普及しつつある現在,外科的処置にとって代わるような報告も散見されるが,今までに報告された早期十二指腸癌23例中,6例に脈管侵襲が見られ,その最小のもので1.8×1.3×0.9cmであった.少なくとも現時点では2cmを越えるものに対しては,積極的に外科的治療を行なうべきであると考えている.
  • 八木澤 仁, 小松 眞史, 向島 偕, 戸堀 文雄, 伊藤 善信, 太田 弘昌, 石田 秀明, 荒川 弘道, 井上 修一, 増田 久之
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1968-1974_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡検査が有意義と思われた細小肝癌の1例を経験したので報告する.症例は46歳男性で,エタノールに換算して約1,700kgの飲酒歴がある.吐血,腹部膨満感を主訴として来院し,stage IVの食道静脈瘤とびらん性胃炎を認めた.腹腔鏡検査では乙型肝硬変,さらに肝左葉外側区(lateral inferior area)に2cmの半球状突出をみた.腹部超音波検査ではposterior enhancementを伴う高エコーとして,CTでは周囲よりやや低濃度の突出像として描出された.肝シンチグラムでは多発性のcold areaを認めた.腹腔動脈造影ではhypervascularityは認めなかつた.噴門下離断術と摘脾術を施行し,腫瘤は核出した.腫瘍は10mm大の肝細胞癌で,被包を有し,索状型でEdmondson II型であった.AFPの最高値は35ng/mlであった.
  • 杉本 吉行, 高山 哲夫, 佐野 博, 片田 直幸, 小川 裕, 小山 泰生, 加藤 活大, 武市 政之, 妹尾 知己
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1975-1978_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸脂肪腫は比較的稀な疾患ではあるが,腸重積を合併する頻度が高くそれがその診断の契機となることが少なくない.今回,筆者らは腸重積にて来院し大腸内視鏡検査施行中腸重積を整復し得た大腸脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で腹痛と下痢を主訴として来院した.注腸造影にて下行結腸脾彎曲部に鶏卵大のソーセージ様の腫瘤を認め,その口側は半月状に閉塞されており大腸腫瘍による腸重積を疑った.大腸内視鏡検査にて同部位に球状の腫瘤を認め粘膜下腫瘍による腸重積と診断した.また内視鏡検査中ファイバーを押し進めることにより腸重積を横行結腸肝彎曲部付近まで整復することができた.手術にて腫瘤は同部位に存在し腸重積は完全に整復されているのを確認した.切除された腫瘤は4.0×4.0×3.5cmの大きさで軟らかく無茎性でその割面は黄色で脂肪織様であった.組織標本では粘膜下によく分化した脂肪組織を認め大腸脂肪腫と診断した.
  • 小坂 健夫, 上野 桂一, 上村 卓良, 片山 外一, 喜多 一郎, 山口 明夫, 高島 茂樹, 宮崎 逸夫
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1981-1985
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     抗生物質投与後に発症した偽膜性大腸炎の1例を報告した.症例は65歳,男性で膀胱腫瘍手術後,CET,DKB及びPPAの併用化学療法が施行されたが,術後3日目より発熱と水様性下痢をきたし,直腸鏡にて直腸全域にわたる散在性,淡黄白色,半球状の偽膜形成を認めたため偽膜性大腸炎と診断した.また,発症後2日目の便嫌気性培養ではClostridium difficileが2.7×107個,同時にcytopathic toxinが1:2,560倍に検出された. 治療としてすべての抗菌剤の中止とともに,Metronidazole1,000mg/日を投与したところ症状は速やかに改善し6日目にはcytoapthic toxinは陰性化し,15日目にはClostridium difficileも陰性化した. しかしながら臨床症状の改善ならびに嫌気性培養陰性にもかかわらず,15日目の直腸鏡ではなお偽膜の存在が確認され,症状消失後43日目で初めて粘膜の正常化を確認し得た.かかる臨床成績と内視鏡所見の解離から本症の診断のみならず治癒判定には内視鏡的検索が極めて重要であることが示唆された.
  • 坂上 博, 赤松 興一, 山口 修司, 多田 康二, 浅田 耕造, 金岡 光雄, 水上 祐治, 田中 昭, 太田 康幸
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1986-1990_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は34歳,男性.体重減少と下痢を主訴として来院.末梢血中に多数のacanthocyteがみられ,血清コレステロールは60mg/dl,中性脂肪は8mg/dlと著明な低下が認められた.電気泳動法でβおよびpre-βリポ蛋白が欠如しており,免疫電気泳動法ではApo-B蛋白の欠損が証明され,無βリポ蛋白血症と診断した.上部消化管X線検査では異常所見を認めなかったが,内視鏡検査で十二指腸第II部より肛側にかけて粘膜面はびまん性に白色を呈していた.生検組織では,絨毛周囲に脂肪滴の沈着が認められ,電顕でも多数の脂肪沈着が認められた.消化吸収機能に関しては,脂肪吸収障害と乳糖不耐症が認められた.血清中ビタミンA,D,E,B12はほぼ正常範囲内であった. 無βリポ蛋白血症は,きわめて稀な疾患であり,その特徴ある消化管病変に関して,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 益沢 学, 久保 光彦, 加藤: 道夫, 寺田 昭, 浅野 雅文, 東堂 龍平, 伊藤 昭和, 房本 英之, 鎌田 武信
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1991-1996_1
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     パンエンドスコープとして広角斜視上部消化管内視鏡UGI-G(フジノン)を試作した. スクリーニングや緊急内視鏡検査には,従来より直視型内視鏡がパンエンドスコープとして用いられ,その有用性が認められ,現在ではその目的別,用途別に応じた多数の改良型がひろく使用されている.しかし,問題点もあり,その改良のため視野変換可能な直側視兼用型内視鏡(UGI-R)が試作されたが,まだ問題点を残していた. 今回試作された広角斜視型内視鏡(UGI-G)は視野角125.の広い視野を持ち,直視から側視まで十分に観察可能で,鉗子起立機構もそなえており,生検や硬化療法も容易に行なえる有用な器種である.上部消化管の検査,処置に延150例を越える症例に対して使用し,その有用性を確認した.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 12 号 p. 1999-2019
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 12 号 p. 2020-2048
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 12 号 p. 2049-2088
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 12 号 p. 2089-2121
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 12 号 p. 2122-2124
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 12 号 p. 2125-2192
    発行日: 1983/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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