日本消化器内視鏡学会雑誌
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25 巻, 4 号
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  • 夏川 清志, 布施 好信, 宮川 晴雄, 武知 桂史, 奥田 順一, 井田 和徳
    1983 年 25 巻 4 号 p. 513-519
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸潰瘍に胃病変がしばしば併存することはよく知られている.われわれは胃粘膜性状を腺境界の面から検討し,さらに併存する胃病変の特徴,十二指腸潰瘍との関連性について検討した.まず,胃粘膜の概括的な指標となる胃底腺・幽門腺境界は,十二指腸潰瘍群では,closed typeのものが99%を占めた. しかし瘢痕群では,これが88%に減少し,12%がopen typeであった.十二指腸潰瘍群では,49.8%に胃潰瘍,びらん性胃炎,くし状発赤などの胃病変の併存を認めた.このうち胃潰瘍は,胃角から幽門側に80%が存在していた.胃潰瘍の併存率を年齢別にみると,40歳以上の群に高率であった.びらん・発赤病変の胃内併存率は同瘢痕群より有意に高く(38%),しかも40歳以上の群に多かった.十二指腸潰瘍の治癒後の再発率は,胃病変を併存しない群が31.3%と併存群18.8%より高い傾向にあった.
  • ―とくに陥凹形成型を中心として―
    鄭 容錫, 曽和 融生, 加藤 保之, 向井 龍一郎, 池原 照幸, 樽谷 英二, 冬広 雄一, 西野 裕二, 大北 日吉, 吉川 和彦, ...
    1983 年 25 巻 4 号 p. 520-528_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     従来より陥凹形成型胃癌の壁深達度の診断はむずかしく種々の検討が行われているが,未だ困難な問題であるといわねばならない.そこで今回当教室で経験した術前に早期癌と診断し,術後の病理組織所見で進行癌であった所謂早期胃癌類似進行癌例(類進例)の陥凹形成型41例について陥凹形成型早期胃癌121例と比較検討し,類進例の臨床,病理,内視鏡所見について考察を加えた.その結果,類進例のリンパ節転移頻度は早期癌例の13.2%に比して51.2%と高く,半数以上の症例がn陽性で予後の悪さが推測された.肉眼形態上,類進例にIIc+III,II a+iic型が比較的多くみられ,とくにIIa+IIc型は病巣の大きさ2cm未満症例の半数を占めた.病理組織所見では早期癌例に比較して中および低分化型が多い傾向であった.内視鏡所見で早期癌例に比して類進例に高頻度に観察された所見はヒダの肥大,融合とRC signであった.以上の所見から本症の術前の壁深達度の判定に有用と考えられた.またこれらの結果は本症の外科的治療上重要と思われたので報告した.
  • 野村 幸治, 藤田 潔, 針間 喬, 内田 善仁, 河野 裕, 藤川 佳範, 宮原 妙子, 竹本 忠良, 渡辺 正俊, Masao KAWA ...
    1983 年 25 巻 4 号 p. 531-536_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれは,虚血性大腸炎の内視鏡所見として縦走潰瘍が高率にみられることを,以前から述べてきた.また,臨床的に,縦走潰瘍が結腸ヒモ付着側に認められ,腸管内圧の上昇が誘発因子と考えられる症例が少なからずあった.そこで,動物を用いた実験を行ない,腸管内圧の変化と大腸粘膜血流の関連性,とくに,結腸ヒモ付着側と非付着側の相違について検討した. 内圧を軽度(10mmHg)上昇させると,付着側と非付着側はともに血流量は軽度増加した.ところが,次に30mmHgと強度上昇させると,結腸ヒモ付着側の粘膜血流は非付着側と比べて著明に低下した. このことは,虚血性大腸炎の縦走潰瘍が結腸ヒモ付着側に好発するという臨床的事実の裏付けとなる成績と考えられた.すなわち,虚血性大腸炎の成因のひとつとして,腸管内圧の上昇が関与していることが示唆された.
  • 三芳 端, 山川 達郎, 伊藤 誠二, 広沢 邦浩, 加藤 一富, 飯泉 成司, 白鳥 隆
    1983 年 25 巻 4 号 p. 537-542_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,閉塞性黄疸に対しPTCDが安全かつ確実な減黄手段として確立され,またPTCD瘻孔の拡張手技も進歩し,PTCD瘻孔を介して行う胆管内視鏡検査(PTCS)が安全に施行されるに至った.同様に胆嚢癌に対し経皮経肝胆嚢内視鏡(PTCCS)も試られるようになった.今回、胆管癌5例,胆嚢癌1例にPTCSが,胆嚢癌3例にPTCCSが施行され,内視鏡的観察と直視下生検による確診を得ると共に,PTCSを応用してのendoprosthesisチューブの挿入やレーザー治療なども可能となり,非切除例における内視鏡的処置としても有効であった.これらの胆道内視鏡検査施行例をもとに,同法の方法,目的と意義ならびに今後の問題点について検討した.
  • 鈴木 荘太郎, 三輪 剛, 勝 健一, 伊藤 誠, 武内 俊彦, 塚田 勝比古, 大谷 透, 奥田 茂, 三村 征四郎, 福富 久之, 崎田 ...
    1983 年 25 巻 4 号 p. 543-561
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管内視鏡検査における前処置あるいは術中の鎮痛鎮静法として30%笑気ガス(Anesoxyn-30)吸入法の効果について,従来より内視鏡検査前処置に用いられている遮断剤や鎮痛鎮静剤投与による群(未吸入群)を対照として比較検討を行った. 結果:Anesoxyn-30の吸入効果は(8~101/分)開始後3分で出現し,中止により10~20分で消失した.内視鏡検査時の効果は,不安の除去に70%,鎮痛効果は85%にみとめられ,特に初回受診者において有効であった.吸入方法としては,前処置より持続吸入において,鎮痛効果が増したが催眠性が増強され,鎮痙剤の併用によって,ぜん動の抑制と鎮痛効果が顕著となった.術者の評価で内視鏡の挿入性,検査の順調度に優れ,何ら重大な副作用,合併症をみとめなかった.本吸入法は内視鏡検査時の血圧上昇や頻脈を抑制し,合併症により内視鏡検査が非適応とされていた心血管系合併症や高齢者においても有効である.
  • 井戸 健一, 木村 健, 関谷 千尋, 並木 正義, 桑名 斉, 本田 利男, 黒田 肇, 石田 博, 常岡 健二, 伊藤 誠, 塚田 勝比 ...
    1983 年 25 巻 4 号 p. 562-575
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡検査における30%笑気-70%酸素pre-mixed gas吸入を88例に行った.吸入は鼻マスクから毎分7.8±0.21の流量で,50.7±24.4分間行った.未吸入群47例を対照として,吸入による臨床効果を検討して,以下の様な結果が得られた.なお,前投薬の投与は両群とも同様に行った. 1)術中落ちついている例が吸入群に多かった(P<0.05). 2)注射針挿入時,局麻剤注入時の疼痛についても吸入群でより軽減されていた(P<0.05).しかし,内視鏡操作時の疼痛については有意差がなかった. 3)検査中および検査後に気分がよかった,あるいは気持ちよく受けられたと述べた被検者が吸入群に多かった(P<0.01). 4)術者の総合評価でも,順調であった例が吸入群に多かった(P<0.05). 5)随伴症状の出現頻度は両群で差がみられず,さらに吸入による呼吸,循環器系,肝機能への影響も認められなかった. 6)悪心,嘔吐をきたさなかった前投薬は,鎮静剤と鎮痛剤の組み合わせであった.以上のようなことから,30%笑気-70%酸素pre-mixed gas吸入法は,腹腔鏡検査に適した鎮静鎖痛作用を有する有用な麻酔剤と考えられた.
  • 江藤 一仁, 芦沢 真六, 林 正之, 関谷 千尋, 並木 正義, 原田 一道, 杉村 文昭, 本田 利男, 林 一毅, 常岡 健二, 吉田 ...
    1983 年 25 巻 4 号 p. 576-591
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     笑気の鎮瀞,鎮痛作用は,検査や治療の分野で広く応用されてきた.笑気と酸素の混合ガスは1961年に英国で開発され,消化器内視鏡検査には1971年Bennettらにより導入された.内視鏡検査の際,被検者の不安感を除去し,また疼痛を緩和する目的で用いられるわけだが,現在までに諸家による使用報告は比較的良好な成績を得ているようである.今回特に下部消化管内視鏡検査に対し,笑気酸素混合ガスの吸入を行い,前処置あるいは術中処置として実施を試みた.被検者に多大なる苦痛を余儀無くさせる大腸ファイバースコープ検査を受け易くする事,また検者の操作をより円滑になされるようにするため吸入法を利用した.実施にあたり全国10カ所の医療施設に依頼し,共通の問診,有効性,副作用の判定を設定し統計処理を行った.未吸入群65例,吸入群100例について比較検討し,長所並びに欠点等いささかの知見を得たので報告する.
  • 島本 史夫, 正宗 研, 岩越 一彦, 平田 一郎, 大柴 三郎
    1983 年 25 巻 4 号 p. 592-601
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Schönlein-Henoch紫斑病(以下SHPと略す)は,紫斑・関節痛・腹痛などを主症状とする疾患で,小児に多くみられるが,成人に発症することは比較的少ない.また,その消化管病変についての記載もまれである.著者らは,SHPの経過中に大腸に特異な形状を示した潰瘍性病変を合併した症例を経験したので報告した.症例は48歳の女性で,入院第80病日に突然下腹部鈍痛・下痢が出現し,注腸造影・大腸内視鏡検査で,横行結腸と下行結腸に深い類円形の潰瘍が縦走状に多発していた.経過中,腸管の狭窄が著明となったが,約3カ月後には狭窄部位はほぼ正常まで回復した.そこで,著者らは自験例を含め,本邦で報告された成人SHP135例のうち,消化管病変について記載のある症例について若干の考察を加えて報告した.
  • 柴田 醇, 野村 正博, 井上 純一, 藤井 信, 赤木 笑入
    1983 年 25 巻 4 号 p. 602-606_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     24歳の男で,心窩部痛を主訴に受診した. 胃X線検査では,二重造影により前庭部後壁に粘膜集中と中断を伴うIIc病変を認め,圧迫像では前庭部大彎になだらかな傾斜をもつ隆起性病変を認めた. 内視鏡検査では,胃角部から幽門輪近傍まで小彎を中心に陥凹性病変を認あ,粘膜の中断所見などによりIIc+IIIと診断した.前庭部大彎側には中心陥凹を伴う隆起性病変があり,迷入膵と診断した.胃角部および迷入膵の部よりの生検は,いずれもGroup-V と診断された. 切除胃肉眼所見では,前庭部のIIIc+III は5×4cm大であり,前庭部大彎には1.5cm大の粘膜下腫瘍があり,その肛側にはIICを伴っていた. 組織学的には,前庭部のIIc+III,粘膜下腫瘍上のIIcはいずれも印環細胞癌であり,両者の間には連続性は認めなかった. 迷膜下腫瘍は,HeinrichI 型の迷入膵であり、Adenomyosisの所見も認めた.迷入膵とIIcとの間には連続性は無く,共存例と診断した.
  • 松河 一主功, 西 彰平, 三長 秀男, 西岡 新吾, 矢高 勲, 玄 栄世, 前部屋 進自, 岡田 浪速
    1983 年 25 巻 4 号 p. 607-611_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は54歳の女性で,10年来嚥下障害などの症状があり,食道内視鏡検査,生検にてBarrett潰瘍の瘢痕化による下部食道の狭窄と診断した.食道裂孔ヘルニアおよび悪性病変の合併はなかった.シメチジンなどの制酸剤投与にて約2年間経過観察したが,症状が増強したため手術的にBarrett食道部を摘除した.本例では重層扁平上皮と円柱上皮との移行部が複雑な境界線を示し,炎症所見が認められ,また病悩期間が長く発症年齢が高いことなどから,後天的要因による発生が考えられる.
  • 荒木 一郎, 島崎 英樹, 北野 博嗣, 川上 究, 柳瀬 晴也, 京井 優典, 上野 敏男, 竹田 亮祐
    1983 年 25 巻 4 号 p. 612-617
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     特徴的な食道X線像,及び内視鏡像より診断し,経過中自然寛解をみた高齢者の原発性食道カンジダ症の1例を報告した.症例は78歳の男性で嚥下困難を主訴として来院した.食道造影では,辺縁不整,顆粒状の粘膜像を呈し,内視鏡では全周性の厚い白苔と白苔下に発赤腫脹した粘膜を認めた.以上より食道カンジダ症を疑い,内視鏡下に粘膜生検,及び白苔の培養を行なった.生検標本では,偽膜形成および偽膜下の粘膜内に真菌の菌糸と胞子が認められ,培養によりCandida albicansが同定された.基礎疾患の有無について精査したが何ら誘因となるようなものは発見できず,さらに経過中,治療を加えることなく自然寛解をみた.本邦では基礎疾患のない,いわゆる原発性食道カンジダ症の報告は1例があるのみで,欧米でも数例の報告があるにすぎない.本例にみられた所見を通じて食道カンジダ症の典型的X線,内視鏡像について言及した.
  • 梶川 学, 山本 義樹, 浅井 俊夫, 山口 初宏, 高野 健市
    1983 年 25 巻 4 号 p. 618-621_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸球部に生じた巨大な有茎性ポリープの1例を経験し,ポリープ茎部にエタノールを局注することにより人工的潰瘍を形成し,ポリープを自然脱落させることで除去することができた. 症例は38歳男性.特に自覚症状はなかったが,会社健診の胃X線検査にて十二指腸球部に長径45mm,短径27mm,茎の太さ15mmの有茎性ポリープを指摘され,本人の希望もありポリペクトミー目的で当院へ入院した.ポリープはワイヤーループ式の高周波電気メスを用いた通常のポリペクトミーを行なうには巨大すぎたため,95%エタノール0.5mlをポリープ茎部に2~3カ所つつ3回にわけ局注することでポリープを除去せしめた. ポリープは,その発生部位および内視鏡所見などよりブルンネル腺腫と考えられたが,回収は不能であった.
  • 原田 晴子, 福本 圭志, 山口 恭平, 近藤 元治, 吉田 幸雄, 塩田 恒三, 山田 稔, 古川 佳代子, 多田 正大, 赤松 春義
    1983 年 25 巻 4 号 p. 622-627_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     棘口吸虫,特にEchinostoma hortenseは,人体での感染の可能性は示唆されていたが,虫卵が検出されるのみで,虫体の人体からの排出も確認されず,人体内の寄生部位も不明であった. 今回,生のどじょうを摂取してのち7日~10日目より,腹部症状を来たし,また著明な好酸球増多を認めた48歳の男性と,31歳の男性の二症例において,われわれは試作の小腸ファイバースコープ(SIF-2c,Olympus)をロープウェイ方式により経口的に挿入し,空腸上部に寄生する棘口吸虫の虫体と,粘膜面の発赤・ビランなどの変化を確認することができた.その後の駆虫剤の投与により,Echinostoma hortense,Echinochasmus japonicusの虫体をはじめて便中より検出し得た.このことは医動物学的にも有意義な発見であった.今後,この棘口吸虫の感染が,食生活の変化に伴い増加する可能性も考えられるので報告する。
  • 関 弘明, 片場 嘉明, 岡村 隆一郎, 生田目 公夫, 萩原 優, 渡辺 弘, 長田 博昭, 品川 俊人, 牛込 新一郎
    1983 年 25 巻 4 号 p. 628-635
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は41歳の男性.6カ月前より右大腿部後面の腫瘤に気付くも放置.その後,集団検診にて左肺に異常が認められ,原発性肺癌の疑いにて左下葉切除術を施行,同時に右大腿部臚瘤の生検を行った.組織学的には,右大腿部腫瘤は脂肪肉腫で,左肺病変はその転移であった.術後,原因不明の下血があり当科を受診.精査の結果,幽門前庭部後壁に,中心陥凹を伴う粘膜下腫瘍を認め,生検にて転移性胃脂肪肉腫を強く疑う所見を得,幽門側切除を施行した.組織学的には,粘膜下組織内に限局し,血管肉腫様像を顕著に示したmyxoidmixed typeの転移性胃脂肪肉腫であった. 転移性胃腫瘍は比較的めずらしく,特に,臨床的に診断され,治療されることが少ない疾患であり,さらに,脂肪肉厘の胃転移の報告はみられず,臨床的な転移形式や組織学的に,非常に興味ある症例であった.
  • 乾 和郎, 中江 良之, 中村 二郎, 佐藤 太一郎, 加藤 岳人, 金井 道夫, 二村 雄次
    1983 年 25 巻 4 号 p. 636-642_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     リニア式電子スキャン装置を利用して,急性及び慢性胆嚢炎の症例に対して,超音波映像下経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTCCD)を施行し,X線造影で癌を強く疑う所見が認められた場合,さらに診断を確実なものにするために,その瘻孔を介して経皮経肝胆嚢内視鏡検査(PTCCS)を施行した. 1例はPTCCS時,直視下生検にて癌と診断され,手術にても体部より発生した胆嚢癌と診断された.2例は超音波映像下胆嚢穿刺造影にて強く癌が疑われたが,直視下生検にて悪性所見は認められず,手術にて胆嚢炎と診断された.1例は胆石胆嚢炎であったが,高齢のため,また希望にて手術ができず,PTCCSにて截石を試み,成功した. 今後PTCCSは,内視鏡検査が微細な病変に対して有力であることと,直視下生検を同時に施行できるということなどから,胆嚢内病変,特に早期胆嚢癌に対する診断法としての有用性が期待され,発展していくものと思われる.また高齢者,poorrisk患者などの胆嚢結石に対する非観血的治療法として応用される可能性があると思われる.
  • 富士 匡, 有山 重美, 播磨 一雄, 相部 剛, 天野 秀雄, 浅上 文雄, 衣川 皇博, 竹本 忠良
    1983 年 25 巻 4 号 p. 645-650_1
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     経口的胆道鏡の開発は1975年の竹腰らに始まり,すでに7年が経過し,最近では処置用経口胆道鏡の開発に移行してきた.われわれはこれまでに開発されたすべての機種を実際に使用してきたが,処置用の機種では施行した半数以上に胆管内挿入が不成功に終った.このため胆管内に直接挿入が容易なことを主眼とした処置のできる機種の開発をめざし,富士写真光機の協力で新しい機種を試作した. このスコープは105゜の超広角視野,上方に7.5゜の斜視,up方向に補助アングルなどの特徴を備え超広角視野のため,胃十二指腸内でのオリエンテーションがつきやすく,斜視のため十二指腸乳頭の正面視,近接観察が容易で,短時間で総胆管に挿入ができる. まだ少数の経験であるが,総胆管結石症7例に本機種で胆道鏡検査を施行し,6例に胆管内挿入が成功し,内視鏡直視下のバスケット排石や胆石と癌との鑑別にも有効であった.
  • 陣内 伝之助
    1983 年 25 巻 4 号 p. 651-652
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 小林 世美
    1983 年 25 巻 4 号 p. 653
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 25 巻 4 号 p. 655-661
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 25 巻 4 号 p. 661-664
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 25 巻 4 号 p. 664-669
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 25 巻 4 号 p. 670-678
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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