日本消化器内視鏡学会雑誌
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25 巻, 5 号
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  • 大国 篤史, 中村 孝司, 糸数 憲二, 伊藤 善志通, 菅又 成雄, 黄 沾, 鳥居 正男, 三宅 和彦, 山中 正己
    1983 年 25 巻 5 号 p. 689-695
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     H2-受容体拮抗剤が,最近本邦でも一般臨床に用いられる様になったが,このニトロソ化合物に変異原性があることが知られている. 従来,十二指腸潰瘍患者に胃癌が合併することは極めて稀という報告が多かった.そのため,同薬使用以前の状況を把握する必要があると考え検討を行った.当院での十二指腸潰瘍患者1,263名を内視鏡的に検討し,7名(0.55%)に胃癌の合併を認めた.そこで,越谷市における15年間の内視鏡による住民検診での年齢,性別胃癌発見率を基準として,当院の十二指腸潰瘍患者での胃癌発見期待数を算出し,実際の発見数と比較した.その結果,十二指腸潰瘍患者に胃癌が合併する率は,一般の胃癌発見率とほぼ同程度であるとの結論を得た. 更に,関連施設の症例を加え,十二指腸潰瘍に合併した胃癌患者11例について検討し,(1)合併胃癌は,早期癌が53.6%を占めたが,高齢者(65歳以上)では,80%が進行癌であった.(2)胃癌はすべて陥凹型で,組織型では低分化型が46%であった.(3)背景胃粘膜に高度の腸上皮化生,萎縮が認められたものが62.5%であった.などの結果を得た.
  • 赤坂 裕三, 中島 正継, 木本 邦彦, 山口 勝通, 川井 啓市, 吉本 信次郎
    1983 年 25 巻 5 号 p. 696-702
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的膵実質造影法(ERPP)を膵癌患者40例に実施し,本法の有用性を検討した.同一の膵癌患者25例に対する検討では,界面活性剤の添加が膵実質像の描出能の向上に推計学上有意を示した.また膵癌の実質像は,膵癌が欠損陰影(defect)として表現されるD型と,濃厚陰影(hyperopacification)として表現されるH型とに大別された.さらにD型は5つの亜型に,H型は3つの亜型に分類された.癌占居部位と膵実質像との関係では,頭部癌13例についてはD1-bまたはD2のパターンをとるものが多く,体尾部癌15例ではほとんどがD1-bまたはD1-cであった.ERCPによる主膵管像とERPPによる膵実質像との関係についてみると,ERPPは膵癌の浸潤範囲などに関する情報を提供していた.また全例において,本法に伴なう特別な偶発症の発現を認めなかった.
  • 岡村 正造, 中澤 三郎, 川口 新平, 芳野 純治, 小沢 洋, 岩田 雅人, 岡田 正典, 清水 豊, 松井 俊治
    1983 年 25 巻 5 号 p. 703-710_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃体部スキルスの初期像の特徴とその後の進展過程を追求するために,癌の浸潤範囲が切除胃で半周程度に限局し早期のスキルスの原発巣の特徴を具備していると考えられる5例を対象に選んだ.これら5例につき特に術前に得られた胃X線写真を重視すると共に切除胃固定標本,病理組織標本を用いて原発巣の病理・形態学的検討を試みた. 原発巣は5例とも径が2cm以下と小さく,棘状突起を有する角ばった不整形で,1例はIIc型早期癌類似の陥凹面を呈し,他4例はIII あるいはIII+IIc型早期癌に類する陥凹であった.組織学的にはUI IIの浅い陥凹であったが周囲粘膜が肥厚した胃底腺上皮であることから明らかな陥凹としてとらえられた.また皺襞集中の有無に関しては,3例が皺襞集中を認めず,2例は集中像を示す皺襞もあるが同時に原発巣に接しながら集中像を示さない皺襞がみられた. これらの原発巣が示す特徴は,スキルスの初期像を追求する上で重要な所見であり,臨床的にもスキルスの早期診断に寄与するものと考えられる.
  • 沢田 美彦, 森山 裕三, 蝦名 鉄徳, 佐々木 博海, 吉田 豊, 田辺 和彦, 千葉 理輔
    1983 年 25 巻 5 号 p. 713-717_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     北海道以外では報告は少ないが,胃テラノーバ症14例を青森県内で経験したので報告した. 胃X線検査は8例に行ない全例虫体を描出できた.胃内視鏡検査では胃壁に穿入した比較的太く長い黄褐色のテラノーバ幼虫A型が見られ,周囲粘膜は浮腫状で出血斑,びらんがあり,アニサキス幼虫との鑑別は容易であった.13例が胃角から体上部,1例が前庭部で小彎側が1例の他はすべて後壁あるいは大彎に穿入していた.2隻の穿入が1例あった.海産魚介類を生食後数時間以内に出現する心窩部痛を主とする激症型が12例で,幼虫を生検鉗子で摘出すると症状は消失した.生食した魚の筋肉内に虫体を発見し診断された無症状の緩和型が2例であった.1月から4月が12例で大部分を占めた. 胃テラノーバ症14例を経験した同一期間に胃アニサキス症は7例で従来と異なる頻度であり,青森県内においては胃テラノーバ症は稀な疾患ではないことが明らかとなった.
  • 小田 正隆, 児玉 隆浩, 小西 知己, 半田 哲朗, 江崎 隆朗, 坪田 若子, 安藤 啓次郎, 沼 義則, 森本 哲雄, 松田 彰史, ...
    1983 年 25 巻 5 号 p. 718-724_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡検査や腹部超音波検査の盲点を補う目的で,町田製作所ならびに東芝メディカル株式会社によって新しく開発された周波数5.0MHzの探触子を内蔵するリニア型電子走査式超音波腹腔鏡を使用する機会をえたので,若干の考案を加えて報告する. 周波数3.5MHzに対して,表層部のエコー解像力は数段に向上したが,診断距離深度は,3.5MHzが165~180mmまで可能なのに対して,本機は100mmが限界と思われ,深部病変の検索には適していないようである. しかし,通常腹腔鏡検査後に,本機を使用すれば,皮下脂肪層,腸管ガスなどに妨げられることなく,肝,膵の良好な内部エコーがえられる.とくに,通常腹腔鏡検査では,今まで小網や大網におおわれていて十分検索できなかった膵臓に対して,肝左葉下方からのアプローチによって良好な内部エコーがえられる. 本機は,早期膵癌,細小肝癌の検索がおこなえ,また手術適応の有無などの検索が行なえるので,腹腔鏡検査の補助的診断法として有用であると思われる.
  • 鈴木 誠治, 狩野 敦, 加藤 泰之
    1983 年 25 巻 5 号 p. 725-733
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     成人にみられたSchoenlein-Henosh症候群で,典型的な臨床経過をとり,内視鏡的に胃・十二指腸・小腸・大腸のほぼ全消化管に出血性病変を観察し,出血部位も確認し得た1例について報告した.患者は,心窩部痛と下痢を主訴とする33歳女性で,家族歴に特記事項はないが,20歳の時,腹痛を伴なった結節性紅斑の既往があった.来院時には四肢伸側部を中心とした紫斑と下血が認められた.末梢血液で,血小板数は137,000とほぼ正常であり,赤沈の亢進と便潜血強陽性以外,臨床検査上異常はなく凝固系の異常もなかった.X線検査では消化管に異常はなく,内視鏡所見では胃体部,十二指腸下行脚,回腸末端部,大腸全般にわたって輪状あるいは馬蹄状の溢血斑が散在しており,特に直腸部においては出血をともなった全周性の著明な溢血斑が認められた.経過中に関節症状もあらわれたが,安静とステロイド療法により症状が改善し,消化管粘膜病変は完全に消失した.
  • 田中 義人, 林田 研司, 市丸 治秋, 谷岡 一, 井手 秀水, 寺尾 英夫, 川本 充, 三島 致衍, 城間 盛光, 今西 建夫, 村上 ...
    1983 年 25 巻 5 号 p. 734-739_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例1は75歳の女性.昭和52年9月頃より鼻出血が出現し,昭和53年1月5日malignant melanomaの診断のもとに手術を受けた.9月初めより右季肋部痛や腰痛が出現し,肝シンチにて,肝に多発する陰影欠損を認めたため,当科へ入院した.腹腔鏡検査では,癌臍形成のみられない淡黄色調の腫瘤を肝の両葉に多数認め,生検組織にて,鼻腔の腫瘍組織とよく一致する所見を得た. 症例2は62歳の女性.昭和54年4月眼前に黒点が出現し,5月4日malignant melanomaの診断のもとに左眼球摘出術を受けた.昭和56年4月より全身倦怠感が出現し,6月より全身の移動痛が加わり,当科へ入院した.腹腔鏡検査にて,肝両葉に黒々とした多数の腫瘤を認めた. 以上悪性黒色腫の肝転移の2例を腹腔鏡にて観察し得たので報告した.
  • 若林 泰文, 田中 三千雄, 渋谷 隆, 野尻 裕之, 稲土 修嗣, 窪田 芳樹, 島田 一彦, 藤倉 信一郎, 斉藤 清二, 佐々木 博, ...
    1983 年 25 巻 5 号 p. 740-747_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸リンパ管系攤の本邦報告例は,1981年12月までの集計で8例にすぎない.ここに報告した自試験例では,実体顕微鏡および光顕所見を基に本例の特異な内視鏡像について解析を行なった.症例は23歳男性.合併した胆石症によると思われる心窩部痛・黄疸を主訴に来院し,内視鏡査および低緊張'性十二指腸造影にて,十二指腸下行部に山田分類III 型・拇指頭大の隆起性病変を認めた.通常内視鏡観察では半球状の粘膜下腫瘤様所見を呈し,その表面には顆粒状~斑状の白色部("散布性白点"の集合状態を示す)を認めた.メチレンブルーによる染色性は比較的乏しい状態にあった.同部の拡大観察では絨毛巾の大小不同,絨毛丈の低下を認めた.以上の内視鏡所見より・同腫瘤の粘膜上皮におけるlymphangiectasiaの存在が診断され,鉗子生検により確認できたが,腫瘤の主体と考えられる粘膜下層の変化に関しては直接診断を下すことはできなかった.合併する胆石症に対する手術時に切除された腫瘤は12×10×9mmの半球状攤で,組織学的には粘膜固有層および粘膜下層のlymphangiectasiaであった.SudanIII 染色にて拡張リンパ管内における乳糜の存在が確認され,これが同腫瘤粘膜面における韻色調の原因と考えられた.メチレンブルー染色法の所見は同部粘膜上皮細胞における吸収機能の低下を示唆し,アルカリフォスファターゼ染色併用実体顕微鏡および光顕所見は,酵素的あるいは形態的にも同部粘膜上皮細胞が異常であることを示した.
  • 水入 紘造, 陳 鴻章, 安部井 徹, 安川 透, 難波 経彦, 国府田 幸男
    1983 年 25 巻 5 号 p. 748-752_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     劇症肝炎の亜急性型で生存し得た1例を経験した.患者は42歳,女性で嘔気,黄疸を主訴として来院した.入院時理学的に黄疸と圧痛のある肝臓を1横指触知し,神経学的には異常は認めなかった.入院第4病日よりflappingtremorを認めるようになり,ステロイド30mgを経口投与で開始した.第10病日にはプロトロンビン時間30%,総ビリルビン値は25.6mg/dl(直接型18.6mg/dl)で,脳波で三相波を認め血中アンモニア202μg/dlであった.第18病日のα-fetoproteinは500ng/mlを示した.第41病日に腹腔鏡を施行し,右葉は瘢痕肝,左葉は白色肝であり,右葉の肝生検所見は,広汎な肝細胞壊死を呈した.5年後のCT検査は正像画像であった.劇症肝炎では,臨床所見と組織所見の不一致が認められることがあるが,自験例のごとく左右差が認められることがあるので,腹腔鏡下での肝生検が望ましい.また,精神神経症状の異常を早期に発見,経過観察のためには脳波検査が有用である.
  • 木村 浩, 中村 卓次, 竹之下 誠一
    1983 年 25 巻 5 号 p. 755-761_1
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     若年性大腸ポリポージス(Juvenile polyposis coli)の姉妹を報告した.いずれも20歳代である.また同一家系内に大腸ポリープ,大腸癌患者が多発している.二人とも下痢,下血,下腹部痛を主訴として来院した.注腸造影,内視鏡検査でいずれも大腸に多発性の,有茎性で表面は分葉状,顆粒状のポリープを認めたが,妹のポリープはやや小さく,表面は平滑のものもみられた.姉は内視鏡的に,あるいは開腹し,計13個のポリープを摘出し,妹はすべて内視鏡的に計9個のポリープを摘出した. 組織学的には若年性ポリープと類似しているが部分的に大腸腺腫と同様の異型腺管が混在していた.姉妹とも,治療後,それぞれ6年及び2年経た現在,特に症状もなく健在である.本症の本邦報告は自験例を含め12家系14例である.これら報告例の検討から大腸腺腫症との関係において興味深い.ポリープ発生個数は家族性大腸腺腫症と比較して遙かに少ない症例が多く,特にわれわれの例では10数個であり,診断,治療上,内視鏡的ポリペクトミーが有用であった.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 5 号 p. 762-769
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 5 号 p. 770-778
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 5 号 p. 779-792
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年 25 巻 5 号 p. 793-819
    発行日: 1983/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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