昭和47年から57年12月までの約11年間に,15歳以下の小児108例に延べ144回の内視鏡検査を施行した.上部消化管,下部消化管に対して,それぞれ51例ずつ,逆行性膵胆管造影(以下ERCPと略)施行例は6例であった.性別は男児64例,女児44例で,年齢は1歳未満は4例(4 .7%)であり,1歳から6歳までは41例(38%),7歳から12歳までは34例(32%),13歳から15歳までは29例(27%)であった.施行時の麻酔法は上部消化管検査では,8歳以下は主として全身麻酔で,9歳以上は咽頭麻酔で行った.下部消化管検査では,ポリープ切除例,回盲部観察例のみ全身麻酔で行い,他は無麻酔で行った.上部消化管例の有所見例は39例(77%)で,胃内異物14例,胃潰瘍12例,十二指腸潰瘍7例,胃癌2例,その他4例であった.下部消化管例の有所見例は26例(51%)で,潰瘍性大腸炎8例,結腸ポリープ7例,大腸炎4例,Peutz-Jeghers症候群3例,その他4例であった.ERCP例では総胆管拡張症が2例であった.以上の結果から,内視鏡的検査は小児に対しても安全に行うことができ,諸疾患の診断,治療に有用であることがわかった.
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