日本消化器内視鏡学会雑誌
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26 巻, 12 号
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  • 飯石 浩康, 竜田 正晴, 奥田 茂, 谷口 春生
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2341-2351
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当院で切除した102例の胃スキルスの内視鏡診断成績とその初期病像について検討した. 肉眼的に胃スキルスを皺襞型,皺襞びらん型,びらん型,結節型に分類した.びらんが目立たない皺襞型の診断成績は不良であったが,内視鏡下穿刺吸引細胞診を考案し好成績を得た. 胃スキルスの初期病像は,いずれの病型でも皺襞集中を伴わないびらんで,スキルスは萎縮のない胃底腺領域以外に,体部胃炎領域からも発生し,前者からは巨大皺襞の目立つスキルスが,また後者からは大きなびらんの目立つスキルスが発生し,その進展速度は前者で特に速かった. スキルスの早期診断には,胃内全域を盲点なく観察し,皺襞集中を伴わないびらんの発見に努め,生検を施行することが必要である。われわれの考案したCongored-methylene blue testでは癌巣が退色領域として観察できる以外に,微小びらんの発見,胃底腺領域内病変の発見にも役立ち,本法はスキルスの早期診断に有力な方法である.
  • 松本 俊雄, 松本 温子, 関根 迪弐, 加藤 洋
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2353-2361
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らの経験した早期胃癌130例141病変の中で,長径5mm以下の微小胃癌は13例13病変(9.2%)で,術前診断できたものは9病変,術後の病理組織検査で発見したものは4病変である.術前診断の限界は3mmであった.微小癌は初回X線検査では2例(15.4%),再度のX線検査では4例(30.8%)が診断されたが,内視鏡では9例(69.2%)が初回検査で発見された.術前診断例はいつれも切除胃所見ではIIcの特徴を有したが,内視鏡的にはIIa+IIc, IIcおよび不整な発赤,出血を伴う瘢痕様所見を示し,いつれも何らかの悪性指標を有した.胃潰瘍をはじめとする胃の併存病変が微小胃癌発見のいとぐちとして有意義であった.小胃癌13例においても内視鏡診断能は13例中12例(92.3%),X線診断能は13例中7例(53.8%)であった.微小胃癌について,若干の臨床的事項を検討し,その発見における内視鏡の有用性を考察した.
  • 幸田 弘信, 関谷 千尋, 矢崎 康幸, 高橋 篤, 佐藤 仁志, 長谷部 千登美, 富永 吉春, 奥野 一嘉, 並木 正義
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2362-2367_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過栄養性脂肪肝48例をその程度により高度群,中等度群,軽度群の3群に分類し,肝線維化の状態について検討した.腹腔鏡でみた脂肪肝の肝表面は,ほぼ平滑でびまん性に黄褐色調を呈するか,敷石状に配列した黄色紋理のみられることが特徴的である.そのほかに小陥凹や門脈終末枝の拡張あるいは増生所見がしばしば観察される.今回の検討でもこの所見がそれぞれ17例(35.4%),9例(18.8%)に認められた.これらの所見はいずれも高度脂肪化群に多く,その肝生検組織像でも中心静脈域の肝細胞壊死や線維化を認めることが多かった.特に脂肪蓄積高度群ではP-P結合が25%, P-C結合が30%にみられた.ただし,肝全体の小葉構造が乱れたものは1例もなかった.以上のことから過栄養性脂肪肝でも重症になると脂肪滴によりsinusoidal blockが起こり,中心静脈域を中心に肝細胞の壊死および線維化をきたすものと思われる.
  • 樫村 博正, 川北 勲, 中原 朗, 蔡 承熹, 三田村 圭二, 福富 久之, 崎田 隆夫
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2368-2377
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡下の癌治療法として光化学的治療(PRT)を行なうときの基礎的データを得る目的で,培養ヒト肝細胞癌(PLC/PRF/5)とヌードマウス移植腫瘍を用いて各種ポルフィリン体のもつ光増感作用を検討した. PLC/PRF/5にHpD, PPNa, Hp, COPP, Coproporphyrinを添加した後レーザー照射を行ない,その殺細胞効果を51Cr-遊離法により測定し,(I)レーザー単独照射群は殺細胞効果が認められない.(II)PPNaは細胞障害性が少なく,しかもレーザー照射によりHpDより強い殺細胞効果が得られるという結果を得た. さらに,ヌードマウス移植肝細胞癌を用いてPPNaとHpDを光増感剤としてPRTを行ない,その抗腫瘍効果を腫瘍増殖曲線,病理組織像より検討し,(I)レーザー単独照射群とPPNa単独投与群には抗腫瘍効果が認められない.(II)PPNa-PRT群はHpD-PRT群より抗腫瘍効果の点で優れた傾向を示すという結果を得た. 以上よりPPNaは, PRT時の光増感剤として今後の臨床応用が期待できる.
  • 佐藤 和一, 花田 稔, 佐々木 雅桂, 中目 千之, 盛合 範彦, 小松 寛治
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2379-2387
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     アロカ及びオリンパス光学社共同開発による超音波腹腔鏡LPS-UM Iを使用し,196症例234疾患に対して超音波腹腔鏡を施行した.おもに肝・胆・膵の描出法を検討するとともに,体表よりの超音波断層検査と併用できた100例について,両者の比較検討をおこなった.超音波腹腔鏡検査は体表よりの超音波断層検査に比し,次の点で優れているものと考えられた.肝では1)横隔膜直下及び肋骨直下を障害なく走査,描出できる.2)肝内の微小腫瘤を描出しうる.3)肝実質の微細構造の描出がさらに詳しく得られる.4)門脈系,肝静脈系,胆管系の末梢までの追跡が可能である.胆道系では1)肝のうを立体的に走査することが可能である.2)胆のう壁構造が明瞭に描出しうる.3)胆のう内微小結石,胆のう壁内結石,胆のうポリープの描出がより詳しく得られる.4)胆のう頸部,胆のう管の描出率が高い.5)総胆管末端の描出率が高い.膵では1)直視下に膵表面より走査することが可能である.2)内部構造がより明瞭に描出することが可能である.3)辺縁の状態が明瞭に描出することが可能である.4)横断面及び縦断面の走査が可能である.5)尾部の描出率が高い.6)微小病変,膵石灰化の診断に有効である.
  • 小山 茂樹, 木津 稔, 冨増 寛夫, 高田 洋, 打田 日出夫, 細田 四郎, 瀧野 辰郎
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2388-2394_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     X線および内視鏡技術の進歩により,消化管の悪性腫瘍の診断学はほぼ完成の域にあるといえる.しかしながら,局所リンパ節への転移の診断はいまだ開腹術による摘除リンパ節の病理学的検索によってのみ可能である.著者らは,内視鏡的リンパ造影法Endoscopic Lymphography (ELG)の開発により,胃周囲リンパ系の造影に成功し,胃癌の転移リンパ節をX線上明瞭に描出しえた.早期癌4例,進行癌10例にELGを施行し,各々2例(50%),8例(80%)に所属リンパ系の造影が可能であった.病理学的検査との比較で,転移のないリンパ節は直径5mm以下で規則正しい微細顆粒状を示し,転移リンパ節は腫大,陰影欠損,辺縁不整像などを認めた.本法は,現時点では造影能の恒常性において十分とはいえないが,レーザー光線などによる消化管癌の局所治療法や手術に際してのリンパ節廓清の指標としての有用性が高いと考える.
  • 泉 良平, 小西 孝司, 倉知 圓, 永川 宅知, 宮崎 逸夫
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2397-2402_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     乳頭部癌5例に行った内視鏡的経鼻的胆道ドレナージ(ENBD)の減黄効果を,下部胆管閉塞35例に行ったPTCDの減黄効果と比較検討した.ENBDとPTCDの減黄効果は,ほぼ同等で有効であった.また,ENBDではPTCDと異なり減黄術後も体動を制限されることがなく,手術までのドレナージ期間を短縮できた.ENBDの1例にドレナージ管の閉塞をみたが,チューブの交換によって容易に対処しえた.PTCDの合併症として3例に胆管内出血をみ,2例に手術を施行し,うち1例に腎不全の発症をみた.乳頭部癌では,EPTを付加することなしにENBDが可能であり,術前の減黄術として有効である.
  • 今野 保敏, 樋渡 信夫, 小林 和人, 江川 春延, 佐藤 彰, 西村 敏明, 浅木 茂, 後藤 由夫
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2403-2407_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的大腸ポリープ切除術後の切除断端からの出血に対し,浅木らが開発した内視鏡直視下の純エタノール局注止血法を用いた.2例では後出血を予防する目的で残存茎部断端に純エタノールを局注した.ポリープ切除術後の滲出性出血8例,拍動性出血1例の計9例の出血部位に対して内視鏡直視下に純エタノールを局注し,全例止血に成功した.滲出性出血の1例で局注止血後10日目と14日目に再出血がみられたが,再度の純エタノール局注により完全に止血し,輸血や開腹術を回避することができた.本法は操作が比較的簡便であり,内視鏡的に出血部位を同定することができれば,直視下に純エタノールを出血血管の周囲に的確に局注することにより充分な止血効果を期待することができ,内視鏡的大腸ポリープ切除術に伴った出血に対する非観血的止血法として,安全かつ有用な方法のひとつと考えられた.
  • 加藤 文人, 松浦 昭, 吉井 由利, 春日井 達造, 田中 康之, 加藤 孝治
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2408-2415
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道色素内視鏡検査のため撤布したルゴール液によって発生したと考えられる急性食道ビラン,胃潰瘍の2症例を経験した. 症例1は59歳男性で,食道癌精査のためルゴール液撤布内視鏡検査(以下ル法内視鏡)を施行したところ,検査直後より強度の上腹部痛を訴え,3日後の内視鏡検査で,食道の帯状ビランおよび胃噴門直下後壁から大彎にまたがる著しく厚い白苔を有する潰瘍を認めた.抗潰瘍治療で2カ月後,線状瘢痕となって治癒した. 症例2は61歳男性で,食道癌精査のためル法内視鏡を施行したところ,検査直後より嘔気および強度の上腹部痛を訴え,その後吐下血をきたした.薬物治療で止血せず,翌日の内視鏡検査で食道のビランと胃噴門直下に数条の線状潰瘍を認め,同部より動脈性出血が認められたため,レーザーで止血を図った.6日後食道癌の分割手術にて摘出された胃には,噴門より放射状に走る7条の線状潰瘍を認めた. ル法内視鏡に際し,十分注意すべき合併症と考えられたので,ここに報告するとともに留意点,対策について述べた.
  • 鈴木 豊, 富樫 整, 鈴木 利宏, 多田 久人, 金子 正幸, 安日 新, 佐藤 純一, 和田 潤一, 高橋 恒男, 上野 恒太郎, 石川 ...
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2416-2420_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     74歳の女性.入院約2年前より左第4指と右下腿部に?痒感のある皮疹が出現した.皮疹は次第に増大し,近医で生検の結果Bowen病と診断され来院した.特に自覚症状はなかったが内臓悪性腫瘍合併の有無を検索したところ,胃体下部小彎に20×28mmのIIc型早期胃癌を発見し,胃亜全摘術により病理組織学的に深達度mの中分化型管状腺癌であることを確認した.よって,文献的に本邦におけるBowen病と胃癌の合併13例についても併せて検討し,Bowen病の際の消化管精査の必要性を論じた.
  • 正木 啓子, 松本 恒司, 斉藤 治, 田中 実, 大柴 三郎, 正宗 研
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2421-2425_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Menetrier病にBuerger病と多発性脂肪腫を合併した症例を報告した.患者は34歳の男性で,Buerger病の経過中低蛋白血症を指摘され精査のため来院した.躯幹および四肢に多数の脂肪腫を認めた.検査所見では血清総蛋白およびアルブミンの低下が認められ,131I-RISA試験,125I-PVP試験より消化管からの蛋白漏出が証明された.また胃液中の蛋白電気泳動像は血清蛋白によるものと同じパターンを示した.胃・十二指腸X線検査および胃内視鏡検査で穹窿部から胃角部まで全周性に著明な巨大皺襞が認められた.胃生検による病理組織所見では腺窩上皮の過形成が認められた.Menetrier病と診断し,胃全摘術を施行したところ術後約1カ月で血清総蛋白,アルブミン,131I-RIBA試験,125I-PVP試験とも正常値に改善された.
  • 西川 邦寿, 五十嵐 良典, 武安 宣明, 漆畑 修, 澤井 寛人, 酒井 義浩
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2426-2431
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は50歳の女性で,皮膚筋炎の経過観察中であったが,下肢の浮腫,黒色便が出現したため入院.入院時に大量の胸,腹水,貧血などが認められ,皮膚筋炎に悪性腫瘍の合併を疑い精査.胃内視鏡検査にて食道静脈瘤を認め,腹部CT検査,肝臓シンチグラムなどにより肝硬変症の合併が疑われた.皮膚筋炎と肝障害の関連についての報告は稀れであるが,膠原病は全身性疾患とされており皮膚筋炎も例外ではない.今後の検討により皮膚筋炎における肝障害の報告も増加すると思われる.本症例は皮膚筋炎において肝臓の精査の重要性を示唆し,膠原病と肝障害の検討に貴重な症例と考えられた.
  • 藤田 直孝, 李 茂基, 望月 福治, 伊東 正一郎, 池田 卓, 豊原 時秋, 山崎 匡, 伊藤 喜和, 日下 隆, 菅原 伸之, 山家 ...
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2432-2438_1
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     二房性胆嚢は胆嚢の形態異常の一つとして臨床上比較的高頻度に経験され,先天性および後天性の種々の原因が考えられている.しかし,癌によるhourglass deformityを強調する論文はわれわれの渉猟しえた範囲では見当らなかった.今回われわれは,ERCなどの胆嚢造影において胆嚢癌により二房性胆嚢の像を呈した2症例を経験し,臨床診断上示唆に富むものと考えここに報告した.2例の胆嚢造影所見から,1)ERCなどの直接胆道(嚢)造影により明瞭な胆嚢像を得ること,2)狭窄部分の多方向からの観察,撮影により同部の軸の偏位や拡がり,辺縁の性状をよく描出すること,3)圧迫法を併用していくこと,が鑑別診断のために重要と考えられた.
  • 並木 正義
    1984 年 26 巻 12 号 p. 2439-2455
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 26 巻 12 号 p. 2456-2571
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 26 巻 12 号 p. 2578
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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