日本消化器内視鏡学会雑誌
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27 巻, 1 号
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  • 崎田 隆夫
    1985 年 27 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1985 年 27 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 荻野 幸伸
    1985 年 27 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     リニア型超音波内視鏡の開発・改良を行い食道疾患に対する有用性を検討した.切除標本による脱気水中での基礎的検討では,食道壁は7層に描出され第1,2層が粘膜,第3層が粘膜下層,第4~6層が固有筋層,第7層が外膜と対応することが明らかになった.またリンパ節は,長径5mm程度より描出可能であったが,超音波像による転移診断は困難であった.臨床例での成績では,食道癌の深達度診断率は通過例で83.3%であった.長径5mm以上のリンパ節の描出率は,前期27.6%であったが,後期には57.9%に向上した.さらに,長径5mm以上のリンパ節の領域別存在診断率は,前期52.6%であったが,後期には79.1%に向上した.また,食道粘膜下腫瘍・外圧迫例では,超音波像による鑑:別診断が可能になり,非常に有用であった.今後超音波内視鏡検査は,食道疾患にとって欠くことのできない,新しい診断法になると思われる.
  • 中村 洋三
    1985 年 27 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道静脈瘤剖検例9例と食道および胃に静脈瘤を認めなかった対照剖検例3例で食道の透明標本を作製し,血管構築像を立体的に観察した.さらに,食道静脈瘤内視鏡所見を血管構築像の観察より得られた所見と対比検討した.その結果,1. teleangiectasiaとRed wale markingは,ともに上皮下静脈に由来し,両者のあいだに移行像が観察された.2. Red wale marking(および一部のCherry red spot)として取り扱われている発赤所見には,1)柵状静脈の部分的拡張,2)柵状静脈より静脈瘤への移行部における短絡枝の拡張,3) 吻合枝の拡張,という少なくとも3つの異なる発生機序が認められた.3. teleangiectasiaには,1) 柵状静脈に連続する上皮下静脈の拡張,2) 棚状静脈に連続性がなく,穿通枝を介して静脈瘤に連続する上皮下静脈の拡張,の二種類がみられた.以上の結果より,teleangiectasiaは,静脈瘤破綻出血を予知する所見として発赤所見と同様の意義をもつと考えられた.
  • 山崎 義和
    1985 年 27 巻 1 号 p. 27-43
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆道鏡下截石の問題点は,大結石や嵌頓結石の砕石および狭窄胆管への胆道鏡挿入の困難さにある.そこで結石を砕く手段にNd:YAGレーザーを,狭窄胆管の拡張に高周波メスとレーザーを応用し,その基礎的検討および臨床的検討を行なった.レーザーの砕石効果をみるため,生食水灌流下ビーカー内,照射距離5mmの条件で50,70,90Wの出力で結石に対し各々0.2,0.5,0.8,1.0秒間照射.また犬総胆管を使い胆管壁への損傷度を検討,ビリルビン系石では70W,0.5秒の反復が,コレステロール系石では70~80W,2秒の反復が安全かつ有効な照射条件であった.次に狭窄胆管に対する切開深度の検討に手術摘出肝を含む16例に左第1分枝附近の胆管周囲の組織学的検討を行なった.胆管内壁より血管までの距離は平均1.2±0.7mmで,狭窄切開は1mm以内の深度が安全であると結論した.以上を臨床に応用,胆道結石の完全截石率は47例中31例(66.0%)から42例中40例(95.2%)と著明に向上した.
  • 竜田 正晴, 飯石 浩康, 奥田 茂
    1985 年 27 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的Congored-methylen blue testにより健常者44名,胃潰瘍患者106名および胃ポリープ患者26名を対象とし,平均3年5カ月間の経過を観察し,体部胃炎と腸上皮化生の進展について観察した. 体部胃炎の拡大は,健常者では6.8%に認められたに過ぎない.これに対し胃潰瘍,胃ポリープでは,それぞれ24.5%,38.5%に体部胃炎の拡大がみられ,体部胃炎の拡大は有意に高頻度で,その進展も有意に迅速であった.体部胃炎の拡大は前庭部から噴門側へ拡大するものが大部分を占め,噴門部より下行性に拡大するものは少数であった. 腸上皮化生の進展は,健常者では僅かに4.5%に認められたに過ぎない.これに対し胃潰瘍,胃ポリープでは,35.8%,38.5%に腸上皮化生の進展が認められ,腸上皮化生の進展は有意に高頻度で,その進展も有意に迅速であった.腸上皮化生の進展は,体部胃炎が高度で,酸分泌領域が殆んど認められないものに高頻度に認められ,酸分泌が腸上皮化生の発生・拡大に関与していることが示唆される.腸上皮化生は,いわゆる移行帯より上行性または下行性に拡大するものが最も多く,次いで前庭部より上行性に拡大するものが多く認められたが,噴門部または胃体部より下行性に拡大するものは少数であった.
  • 富士 匡, 天野 秀雄, 有山 重美, 播磨 一雄, 相部 剛, 浅上 文雄, 衣川 皇博, 竹本 忠良
    1985 年 27 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近わが国でも内視鏡的胆道ドレナージ法(ERBD)がさかんに行なわれるようになってきた.われわれは教室での自験例にもとついて,ERBDの施行成績とその評価,ERBDの適応ならびに合併症への対策について検討を加えた結果,以下の結論がえられた. ERBDを44例に施行し,33例(75.0%)に成功し,良好なドレナージ効果がえられた.しかし,胆のう癌の肝門部浸潤をふくむ胆道癌では不成功例が多かった。このため,ガイドワイヤーを新たに試作し使用したところ,ERBDの成功率が上昇してきている. 次に,ERBDの適応は肝外性閉塞性黄疸を呈する,すべての症例であるが,とくに,切除不能の膵胆道癌症例に加えて,黄疸増強前で,肝内胆管に拡張の少ない膵・胆道癌症例や,良性胆道狭窄症例には有利なドレナージ法である. ERBDの合併症として,早期には胆管炎3例,胆管穿孔1例,後期合併症としては,endoprosthesisの逸脱3例,目づまり4例,十二指腸粘膜損傷1例を経験している.しかし,これらの合併症の多くは,endoprosthesisの洗浄と交換で対応できることが判明し.ERBDは安全性の高い胆道ドレナージ法と評価できた.
  • ―術前照射群よりみた局所根治の可能性―
    加藤 修, 杉原 真, 服部 和彦, 三木 芳夫
    1985 年 27 巻 1 号 p. 58-64_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に陥凹型早期胃癌と診断した8症例8病巣に,外科手術前に内視鏡的Nd:YAGレーザー光を照射し,切除標本の病理組織学的検索を試みた.病巣のほぼ全体にレーザー照射し得たものは4病巣で,これらはすべて内視鏡的にm癌と診断したものである.これらの切除胃の病理組織学的検索では,直径1cm以下の微小IIc型癌と考えた1例は癌の根治をみた.他の3例ではレーザー潰瘍の1部辺縁に僅かにmに留まる癌の遺残がみられ,陥凹型早期胃癌の正確な病巣範囲把握の困難性を示唆したが,これらはレーザー追加照射にて根治は可能と考えた.またレーザー部分照射をした4症例4病巣は,内視鏡的にsmと考えたもの3例,病巣範囲の直径が3cm以上とみたm癌の1例である.sm癌と診断した3病巣の切除胃の病理学的検索では,レーザー潰瘍下のsmに厳然として癌の遺残がみられた.即ちsm深部にまで癌が浸潤しているものに対する局所根治を狙ってのNd:YAGレーザー治療には限界があると考えられた.一方,浸潤範囲の広いm癌の摘出胃の病理学的検索ではレーザー潰瘍下に癌はみられなかったが,追加照射をしても局所根治をし得るとの確信は持てなかった.なお,これら8症例すべてに他臓器への転移もリンパ節転移も認めなかった.以上より,内視鏡的Nd:YAGレーザー照射を用いて局所根治を得る可能性のある陥凹型早期胃癌は,例外もあるであろうが,深達度がせいぜいsm上部までのもので,病巣の長径が3cm以下のものと考えた.なお,レーザー照射後の合併症として1例に吐下血をみているが重篤なものではなかった.また1例にレーザー照射の影響と思われる固有筋層の断裂をみたことより,胃壁の1点に対する過剰なレーザー照射は避け,レーザープローブ先端出力は50W以下で,0.5~1.0秒間の間歇照射とすべきと考えた.
  • 榊 信広, 竹内 憲, 斉藤 満, 大下 芳人, 飯田 洋三, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1985 年 27 巻 1 号 p. 65-68_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃粘膜を,細胞や核の単位で観察する目的で,超拡大内視鏡を試作したので,その成績を報告した. 最初に,170倍拡大の実験用の硬性鏡を作り,cresyl violet染色したラット胃粘膜を観察した.次に,臨床応用を目的として,親子式超拡大胃内視鏡を用い,メチレンブルー染色した胃粘膜の170倍拡大内視鏡をおこなった.その結果,良好な超拡大所見が得られたが,実用化するにはさらに改良が必要と考えた.
  • 渋木 諭, 山家 泰, 菅原 伸之, 浅木 茂, 後藤 由夫, 伊東 正一郎, 望月 福治
    1985 年 27 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃内視鏡像と切除の肉眼像や組織像との詳細な対比や病態生理の問題解明のために,胃粘膜に「点」の指標を自由舳に設定できる新しい点墨法を考案した.点墨後に,胃切除を行った胃癌93例と経過観察を行っている胃びらん1例の計94例を対象とし,満足できる点墨を行うための基礎的検討を行った. 注射筒は1mlのプラスチック製ディスポーザブル註入色素は消毒滅菌墨汁原液,内視鏡用注射針は針が先端部から1.5mm突出するように改良したもの,1回注入量は0.01mlが適していた. 点墨部は,内視鏡ばかりでなく,切除胃の肉眼でも黒い「点」として認められた.黒点は,組織標本内では,粘膜固有層内に限局した黒色顆粒の集合像としてみられた.また,「黒点」は1年9カ月経ても明瞭に残存していた. 本法は安全性が高く,簡便で容易に操作でき,長期間残存する「点」の指標を自由に胃粘膜内に設定することが可能であり,内視鏡診断や病態生理などの諸問題を解決するのに有用と考える.
  • ―手技と安全性を中心に―
    天野 秀雄, 富士 匡, 播磨 一雄, 相部 剛, 浅上 文雄, 衣川 皇博, 有山 重美, 竹本 忠良
    1985 年 27 巻 1 号 p. 79-84_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ビマン型慢性膵炎症例を中心に11症例に内視鏡的膵管口切開術を行った.その結果,10症例に満足のいく膵管口を得ることができ,慢性膵炎8例中6例(75%)に臨床症状の改善がみられた. 内視鏡的膵管口切開術による重篤な合併症はみられなかった.本法は膵頭部に線維化をきたしているような慢性膵炎症例に行えば安全な方法と考えられる. さらに,本法によって経口膵管鏡による膵石の観察とバスケットによる排石ができ,慢性膵炎の新しい治療法として評価できる.
  • 樫村 博正, 三田村 圭二, 中原 朗, 井廻 道夫, 松崎 靖司, 松木 康彦, 山口 高史, 正田 純一, 福富 久之, 大菅 俊明, ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 85-90_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下肝生椥こ伴ってみられる偶発症として出血・胆汁性腹膜炎は頻度も高く重篤である.これら肝生検時の出血・胆汁漏出を防止する目的でgelfoamによる止血法を腹腔鏡下肝生検後の止血に応用した. 腹腔鏡下肝生検を施行した69症例のうち49症例に対しgelfoambによる止血を,残り20症例に対しては触診ゾンデによる圧迫止血を試みた.両群において,止血に要する時間,止血効果,生検前後の肝機能検査,画像診断等を比較検討した. gelfoam止血法は止血効果に優れ,髄に要する時間を著明に短糸宿することができた.しかし,生検後に腹痛・発熱・白血球増多,CRPの陽性化,肝内占処性病変の出現等の副作用を高頻度に認めた.これらは過剰なgelfoamの注入に起因する可能性が高く,注入量を必要最小限度にすることによりに軽減させることが出来た. 本法は迅速かつ容易であり,進行した肝硬変症例においても生検後の硬実な止血が可能であり,腹腔鏡下肝生検の適応範囲を拡大することができる.
  • 田中 義人, 林田 研司, 市丸 治秋, 井手 秀水, 谷岡 一, 川本 充, 三島 致衍, 今西 建夫, 城間 盛光, 中村 憲章, 牧山 ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 91-96_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     昭和45年より昭和56年までに腹腔鏡検査を実施した841例のうち,虫垂切除術と鼠径ヘルニア手術を除く,開腹手術既往者48例について,腹腔鏡検査の適応と実施法を知る目的で検討を加えた.48例のうち上腹部手術既往者は9例で,下腹部手術既往者は39例であった.その結果,手術例では2例に全く肝臓の観察が不可能な症例が存在したが,非手術例にも5例の観察不可能症例が存在した.手術例では全例に腹壁と腹腔内臓器との癒着が多少とも認められたが,非手術例にも3例に腹腔内癒着による肝臓の観察が不可能な症例が存在した.以上より開腹手術の既往を持った症例では,十分に気腹を実施し,套管針を手術創より離して挿入することが大切と考えられた.また非手術例にも強い癒着例が認められたことから,套管針挿入部の麻酔時に,注入気体の排出を確認して,以後の操作を行なうことが重要と思われた.
  • 小山 茂樹, 木津 稔, 高田 洋, 細田 四郎
    1985 年 27 巻 1 号 p. 99-103_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     比較的まれな疾患である下部食道Web症例に対して内視鏡的切開術を行ない,狭窄部の拡大と自覚症状の完全消失を得た. 症例は47歳男性で,37歳頃より固形物摂取時に嚥下障害があった.42歳時,嚥下困難を主訴に当院を受診し,上部消化管透視・食道内視鏡・生検組織にて下部食道Webと診断された.それ以後,定期的に外来経過観察されていた.最近,嚥下困難の増悪と狭窄の進展を認めたため,内視鏡下にオリンパス製ヘラ型メスを用いた高周波切開術を施行した.術後合併症なく経過し,狭窄部は面積比で約2倍の拡大を認め,自覚症状の完全な消失を得た. 下部食道Webの治療は,嚥下困難症例に対し,外科的切除術・ブジー拡張術・Endoscopic removal of Webなどがなされているが,それぞれになんらかの問題点が指摘されている.粘膜固有層肥厚である下部食道Wedに対するヘラ型メスによる内視鏡的高周波切開術は,簡便かつ安全で確実性があり,術後再狭窄の可能性の少ない方法と考えられた.
  • 西門 博之, 熊田 博行, 奥平 勝, 松本 利彦, 松本 淳, 平松 新, 水野 孝子, 鮫島 美子, 西 正晴, 小柳津 直樹, 泉 春 ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 104-111
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Diffuse eosinophilic gastroenteritisは,比較的稀な疾患で1983年末までに欧米で120例,本邦では21例が報告されているにすぎない. 症例は50歳男性で,主訴は腹部膨満感である.末梢血好酸球増加はなかったが,IgEは高値を示し,鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を認めた.上部消化管透視で,胃穹窿部から体下部まで全周性に壁の不整,硬化がみられ,内視鏡所見では著明な皺襞の肥大,蛇行と不整潰瘍が認められた.生検からは質診断が得られず手術となったが,手術所見では胃は周辺臓器と一部癒着がみられ,多数の所属リンパ節が腫脹していた.組織学的には粘膜下層を中心に全層性にびまん性好酸球浸潤,粘膜下層に水腫像と一部肉芽腫様変化がみられた.本例のようにほぼ全胃におよぶ病変を有し,肉芽腫様変化の強かった症例は非常に稀であり,Churg & Straussらのallergic granulomatosisに該当すると思われる.
  • 細江 雅彦, 熊原 正, 足立 信幸, 渡部 和則, 清水 勝, 大島 健次郎, 小林 成禎, 田尻 下孝夫, 須原 邦和, 笹岡 郁乎, ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 112-118_1
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     先天性胆道拡張症は,青春期以前に発症する症例が多いが,近年成人例の癌発生例の報告が増えている.今回,先天性胆道拡張症に合併した胆嚢癌の1例を経験したので報告する.患者は,67歳女性で心窩部痛を主訴に来院.腹部超音波検査,腹部CTscan.,ERCPにて,胆嚢底部の表面凹凸のある隆起性病変,総胆管拡張症(Alonso-Lej type I)と胆管が膵管に合流する膵胆管合流異常を認めた.拡張した総胆管と胆嚢を摘出し,Roux en Y anastomosisにて総胆管空腸吻合術を施行した.胆嚢底部に3×2×1.5cmの乳頭型腫瘤を認め,病理組織学的に腺扁平上皮癌であった.総胆管拡張部,胆嚢非腫瘤部の粘膜は,部分的に剥脱し,粘膜下には円形細胞浸潤,腺の増生などの慢性炎症所見が観察されたが,悪性像は認められなかった.先天性胆道拡張症に胆嚢癌が合併した本邦報告例は,自験例を含め最近8年間で41例で,膵胆管合流異常を37例(90%)に認めたが,従来より胆嚢癌発生の重要因子とされている胆石保有は,5例(12%)のみであった.本例の胆汁中のAmylase値は高値を示し,膵液逆流現象という本症に特有な病態が胆嚢癌発生に大きく関与したと考えられた.
  • 蜂矢 仁, 鈴木 敏行, 鈴木 邦彦, 亀谷 章, 川村 益生, 中井 富夫, 加藤 敏夫, 村上 善正, 鈴木 貞輔
    1985 年 27 巻 1 号 p. 119-125
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸以外のintraluminal diverticulum(ID)は極めて稀な疾患である.われわれは内視鏡的ポリペクトミーにて切除し得た盲腸IDを経験したので報告した.症例は48歳,男性.主訴は右側腹部痛. 注腸検査で盲腸に母指頭大の有茎性腫瘤陰影を認め,内視鏡検査では脂肪腫などの粘膜下腫瘍が疑われたため内視鏡的ポリペクトミーを施行した.切除標本は2×2×3cmの腫瘤で,頂上に小孔を有し内部に糞泥が充満した嚢状構造であった.壁の両面は粘膜筋板を有する正常の結腸粘膜が覆っており,両者の間には筋層は存在せず,IDと診断した.本症は粘膜下腫瘍,とくに脂肪腫との鑑別を要するが,粘膜の平滑な捲れ込みを示す憩室入口部の所見が本症の特異的所見として重要であると考える.また,本症の成因に関しては小憩室が糞泥の流入などにより伸展,拡大したが,筋層によってその増大が阻止されたため,逆に憩室壁が管腔に突出してきたと推測される.
  • 樋口 次男, 藤田 力也, 相馬 智
    1985 年 27 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 1985/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     第26回日本消化器内視鏡学会総会におけるワークショップ「内視鏡的胆道ドレナージ」の討論をもとに,わが国における内視鏡的検査を応用した胆道ドレナージの現況をアンケートにもとづき調査した.資料は,前記ワークショップに参加した全国12施設からのものであり,昭和59年5月末日現在のものである.
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