日本消化器内視鏡学会雑誌
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27 巻, 2 号
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  • 円山 正博
    1985 年 27 巻 2 号 p. 147-161
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,早期胃癌の内視鏡レーザー治療が普及すると共に,胃癌の正確な深達度診断法の確立が,強く望まれている.内視鏡所見からの深達度診断では,隆起型78%,陥凹型56%,全体で59%の診断率であった.そこで,胃癌深達度診断を目的に胃粘膜下造影法を考案し検討した.動物実験で,(1)使用造影剤の選択,(2)界面活性剤の併用を検討し,臨床例36例では,(1)注入造影剤の拡散傾向,(2)切除標本における癌と拡散造影剤の関係,(3)本法のX線像と組織学的深達度の関係を検討した.その結果,造影剤としてはMyodilが適切であった.本法のX線像は,癌腫の制限を受けない正面像A型(側面像A型),わずかに制限を受けるB型(B型),完全にせき止め像を示すC型(C型)の3型に分類され,A型は深達度m,B型はsm,C型はpm以上の指標となった.本法による深達度診断率は75%であり,内視鏡所見との併用診断では81%の診断率が得られた.本法は,胃癌深達度診断に有用である.
  • 岡本 平次
    1985 年 27 巻 2 号 p. 162-175
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に切除された大腸微小ポリープ(5mm以下)1,010個の内視鏡学的,組織学的所見及び解剖学的分布を検索した.neoplastic polypは667個で66.0%を占め組織学的に大部分腺管腺腫(99.0%)であったがfocal carcinoma 4個0.6%,カルチノイド1個も含まれている.non-neoplastic polypは343個34.0%で過形成ポリープ231個67 .3%と最も頻度が大であった.その他正常粘膜63個,benign lymphoid nodule 19個,過誤腫11個,炎症性ポリープ10個,黄色腫6個,脂肪腫2個,平滑筋腫1個と種々の組織所見が得られた.これら微小ポリープは内視鏡的に橙色調であればそれだけで,周囲粘膜と同色か青色調でかつ亜有茎性であると高頻度にneoplastic polypであった(88.5%,96.0%,85.4%).neoplasticpolypの分布に関しては5mm以下と6mm以上では明らかに分布の差異が認められた.6mm以上は直腸・S状結腸に頻発していたが,5mm以下では下行結腸より深部にも61.2%が認められ,大腸微小neoplasticpolypは各部位にほぼ均等に存在していることが示唆された.大腸微小ポリープは種々の内視鏡学的,組織学的所見を呈し,癌化例も確実に存在する.従って臨床的に無視することなく発見次第切除され組織学的検索がなされるべきであろう.
  • 奥島 憲彦, 吉田 操, 室井 正彦, 杉山 明徳, 久米川 啓, 村田 洋子, 吉田 克己, 丸山 正隆, 井手 博子, 鈴木 茂, 遠藤 ...
    1985 年 27 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Photoradiation therapy(PRTと略す)はヘマトポルフィリン誘導体(HpDと略す)が癌組織に特異的にとり込まれ,波長630nmのアルゴン色素レーザーを照射するとHpDが励起され光化学反応をおこし,癌組織が変性壊死に陥る事を利用している.われわれは内視鏡にて深達度が上皮内または深くともせいぜい粘膜内にとどまると診断した食道表在癌4例にPRTを行なった. まずHpD(3mg/kg)を静注し,48時間後にアルゴン色素レーザーを内視鏡下に照射した.照射条件は先端出力300~500mWで5~15分間照射した.1~3日後に照射部は白色の偽膜様の壊死物質でおおわれ,潰瘍を形成した.2週~4週間後に壊死組織は脱落し潰瘍底は清浄化した.1カ月~3カ月後に潰瘍は治癒し,多少ひきつれを残すのみであった.4例とも定期的に施行した生検にて治療後9カ月~16カ月の現在,悪性細胞を検出していない(Table 1).現在の方法でPRTの効果は粘膜筋板までは確実であるので,粘膜内にとどまる病変でリンパ節転移の可能性の少ないものでは根治性も期待できる.
  • 塚田 英昭, 三宅 健夫, 酒井 正彦, 内野 治人
    1985 年 27 巻 2 号 p. 185-190_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ラット下行結腸の辺縁動静脈を結紮し,実験的虚血性大腸炎を作成した.これらにヒト上部消化管用ファイバースコープを用いて経時的に詳細な内視鏡的観察をすると同時に,水素ガスクリアランス法を用い病変部粘膜血流の測定を行なった.非病変部粘膜では,ヒト大腸粘膜像と同様,明瞭な血管透見像が観察された.また,病変部粘膜では術直後より著明な粘膜浮腫が出現し,しだいに潰瘍形成が認められた.その後粘膜浮腫はすみやかに消失したが,潰瘍の消失には約4週を要した.術前のラット大腸粘膜血流は,脾わん曲部に高く肛門付近では低い傾向を示した.また術直後では,著明な血流減少を示したが,内視鏡的に粘膜浮腫の消失する1~2週間後には,かなりの血流回復が認められ,粘膜浮腫の存在は病変局所の還流障害に深く関係していると思われた.また本法は,他の実験的大腸病変の内視鏡検討にも有用と思われた.
  • 荒川 正博, 野田 岳水, 福田 一典, 松本 新一, 赤木 保久, 鹿毛 政義, 中島 敏郎, 向坂 健男, 永田 一良, 江口 敏, 井 ...
    1985 年 27 巻 2 号 p. 191-198_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     門脈圧亢進症症例のうち,剖検に際して,胃冠状静脈からゼラチン添加バリウムを注入し,かつ,生前に内視鏡検査が施行されている10例を対象とし,Red-Color signに対応すると考えられる組織像を有する部と静脈瘤破綻部との関係につき検討を行った.その結果,(1)多数切片による上皮の菲薄化像(Red-Color signに対応する組織像と考えている.)の程度とRed-Color signのGradingとはほぼ比例し,この像は血管構築上critical areaに多くみられた.(2)4例の静脈瘤破綻部を連続切片で追求するとその血管の破綻口前後およびその周囲に上皮の菲薄化像をみることができた.以上の成績から病理学的にRed-Color signを示す部と静脈瘤破綻部との密接な関係が推察された.
  • 加藤 修, 杉原 真, 山近 仁, 倉下 隆, 服部 和彦
    1985 年 27 巻 2 号 p. 201-209
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     何らかの理由により,消化管の癌19例19病巣に内視鏡的Nd:YAGレーザー治療を試みた.癌による管腔狭窄解除目的群は食道癌1例,胃癌3例であったが,有効であったものは胃癌の1例のみであった.しかし,これらは未だ少数のため結論を出すのはもう少し待ちたい.直腸癌の1例はtumor reductionという胡息的治療目的であったが,結果的に局所根治が得られ,剖検にて完全治癒が確認された.隆起型早期食道癌の1例とIIa型早期胃癌の1例は消化管保存目的にてレーザー治療を施行し,1年以上を経た現在,生検癌陰性が続いている.外科的手術high risk例もしくは手術拒否例の隆起型胃癌4例4病巣も治療より1年以上を経て生検癌陰性が続いている.同様の理由でレーザー治療を施行した陥凹型早期胃癌8例8病巣中,治療より1年以上を経ても生検癌陰性が続いているものは3例3病巣で,5例5病巣は初回治療より6カ月以内に生検癌陽性となり追加レーザー照射を施行している.その原因は,病巣中心部へのレーザー照射の不足,病巣範囲把握の不充分性および病巣部位によるレーザー狙撃の困難性によると考えられた.前2者は技術の問題と,抗腫瘍効果が非特異的であるNd:YAGレーザーの解決し得ない問題であると考えたが,後者に関しては内視鏡の改良,レーザープローブの更なる細径化が急務であると考えた.内視鏡的Nd:YAGレーザー治療の適応となる消化管の癌は進行癌では,狭窄解除目的,止血目的に限られると考えた.局所根治目的では,内視鏡的にsm深くに癌浸潤のないと考えられ隆起型では長径4cm以下,陥凹型では長径3cm以下のものが適応となると考えたが,隆起型では長径2cm以下,陥凹型では長径1cm以下のものであればNd:YAGレーザーを第1選択としてもよいと考えた.なお,レーザー治療に際しては常に出血,穿孔などの危険性を考慮してかかるべきである.
  • 久山 泰, 黒沢 弘之進, 藤本 秀明, 西浦 政代, 大草 敏史, 鹿戸 福子, 中村 理恵子, 林 正孝
    1985 年 27 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,消化管出血をはじめとし,隆起性病変や悪性病変に対して,高周波,レーザーなどによる内視鏡的治療が行なわれ,当科においても臨床検討を加えてきた,今回,われわれは,田伏らにより開発されたマイクロ波組織凝固装置によっても同様の治療が可能と考え,基礎的検討を行ない,さらに昭和58年1月より臨床応用を開始した.現在までに出血5例,胃tリープ5例,大腸ポリープ3例,胃adenoma3例,胃早期癌4例の計20例に対してマイクロ波治療を試みた.マイクロ波凝固は30W,10~20秒で,止血例では数回,隆起性病変,悪性病変では,3~22回の治療を行ない現在まで偶発症は認めていない.出血では,動脈出血1例を含む5例全例で止血可能であり,早期癌の2例では局所治癒を1年,および1年半それぞれ経過観察している.本治療は病変部に針を刺入するため凝固が確実であり,針の長さや型により,凝固の深達性を調節でき有効な内視鏡的治療と思われた.
  • 加藤 文人, 小林 世美, 吉井 由利, 杉浦 弘, 杉浦 昭, 伊藤 克昭, 春日井 達造
    1985 年 27 巻 2 号 p. 219-227
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当院における大腸内視鏡的ポリペクトミー症例は年々増加しており,その要因として腸出血を重視した大腸癌診断のdecision treeの確立があげられる. 大腸ポリープの発見のためには,肛門出血例に対して必ず大腸の精査を行うこと,更に顕出血をみない例を便潜血テストによって拾い上げることが重要である.このような方法により内視鏡的ポリペクトミーで治療された大腸ポリープの88.3%が拾い上げ可能であった. 腫瘍性ポリープ中の癌の頻度は11.5%で大きいポリープ程癌の比率は高く,かつ癌の深達度も深かった.特に重要なのは,6~10mm大のポリープの中に9。3%の癌例が認められ,またこの大きさの癌15例中3例(20%)はすでにsm癌であったことであり,この程度の小ポリープといえども軽視せずポリペクトミーを積極的に行うべきである.
  • 大谷 達夫, 岡崎 幸紀, 相部 剛, 有山 重美, 大下 芳人, 田辺 一郎, 山口 昌之, 水町 宗治, 竹内 憲, 多田 正弘, 原田 ...
    1985 年 27 巻 2 号 p. 228-236_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     重篤な合併症等,何らかの理由で外科的切除不能な早期胃癌25症例30病変に対し,局所的根治を目的としてレーザー照射を行い,経過観察を行った.照射後の臨床経過について,病変の大きさ,タイプ,組織型および,部位別に検討を加えた. 今回の検討では,隆起型早期胃癌に対するレーザー照射は非常に有効であったが,陥凹型早期胃癌,特に直径が30mmに達するものおよび,印環細胞癌に対する治療効果は不十分で,その予後には十分な注意が必要である.さらに,再発例に対しても検討を加えたが,全例IIc型早期胃癌であり,レーザー照射効果の及ばなかった粘膜下層深部に癌細胞が残存したことが原因と考えられた. これら再発例を防ぎ,レーザー治療の効果を高めるための新しい併用法として,超音波内視鏡を応用した.本法の応用により早期胃癌に対するレーザー治療もより確実に行えるようになると考えている.
  • 井上 修一, 伊藤 万寿雄, 佐藤 家隆, 井上 義朗, 久保 信之, 荒井 嗣
    1985 年 27 巻 2 号 p. 239-243_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道胃境界領域の胃癌(噴門部胃癌)は高率に食道浸潤を示すので,癌浸潤の範囲を判定することが重要である.自験例は噴門部原発と思われる印環細胞癌で,胃では前庭部まで,食道は噴門より13cm以上の上部まで広範に癌浸潤を示していた. 症例.37歳,男性.嚥下困難を主訴として来院.X線検査で胸部中部食道から下部は全周性の狭窄を示し,胃では胃体部小彎の壁硬化像と胃体部粘膜レリーフの肥厚がみられた. 内視鏡検査では切歯から30cmの部に全周性の狭窄があり,GIF-P3は胃内に挿入できたが,噴門部に腫瘍と胃体上部に多発びらんがあり,食道と胃生検標本では印環細胞癌であった.下部食道切除術兼胃全摘術を施行したが根治手術はできなかった.
  • 田井中 憲三, 小野寺 秀記, 繁田 正子, 伊谷 賢次, 粉川 隆文, 瀬戸 治, 山本 実, 柴田 糺, 福本 圭志, 近藤 元治
    1985 年 27 巻 2 号 p. 244-249_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,腹部大動脈への人工血管置換手術後の合併症であるaortoenteric fistula(以下AEF)が注目されて来ている.われわれはAEFの一つであるaortoduodenal fistula(以下ADF)を内視鏡的に診断し得た.症例は72歳男性で,腹部大動脈に人工血管置換手術をうけた既応があり,下血を主訴に入院した.内視鏡検査にて,十二指腸第III 部に周堤を伴う潰瘍を認め,経過とともに,同部に拍動と新鮮出血を見るようになり,ADFと診断した.手術では,大動脈周囲は炎症性に一塊となり,人工血管中枢側吻合部と十二指腸第III 部とに交通を認めた.upper GI series,aortogram,腹部CTなどは診断に直接役立たず,病変の存在を示唆するにとどまった.診断のためにはこの疾患を認識することがまず大切で,腹部大動脈に人工血管置換手術をうけた患者で消化管出血が持続する場合は,ADFを疑って早期に内視鏡的に,食道から十二指腸第IV部までを観察することが重要であると痛感したので報告する.
  • 西田 龍三, 大本 恭裕, 小林 篤, 秋山 俊夫
    1985 年 27 巻 2 号 p. 250-257
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸球部に原発した十二指腸球部進行癌の1例を報告した. 患者は68歳の男子で,上腹部不快感と体重減少を主訴に来院し,胃透視検査で十二指腸球部後壁に限局性の不整形バリウム欠損像を認めた.内視鏡検査では,球部後壁にBorrmann II 型の病変を認め生検により高分化型腺管腺癌と診断した. 膵頭胃十二指腸切除術を施行した.癌は十二指腸球部後壁に限局し,大きさは50×45mmであった.肝臓に,直接浸潤による転移巣と2個の血行性転移巣が認められた。所属リンパ節にも2個の転移巣が認められた. 患者は,術後3か月めに肝膿瘍を併発し死亡した. 十二指腸球部の早期癌は,本邦16症例を数えるが,球部進行癌の報告例は本例を含め7症例であり非常に稀と考えられる.
  • 勝島 慎二, 日高 昭斉, 徳田 康孝, 大西 良男, 本田 豊彦, 安達 秀樹
    1985 年 27 巻 2 号 p. 258-262_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     肝内末梢胆管の先天性多発性嚢胞状拡張症はCaroli病と呼ばれ,比較的稀である.最近その1例を経験し,特徴的な画像診断学的所見ならびに腹腔鏡所見を得たので報告する. 患者は45歳女性で,右上腹部痛にて来院.胆石症を疑い,US施行.USでは肝内に径1~2cmのcyst様のecholucentな領域を多数認め,これらの領域の一部が胆管系と交通している所見が得られた.以上よりCaroli病を疑い,DIC-CTを施行した.単純CT像で肝内に多数のcyst様のlow density areaを認めたが,DIC-CT像ではこれらのlow density areaのすべてが明瞭に造影された.これに対し,総胆管,主肝管等の拡張は軽度で,Caroli病と診断できた.更に先天性肝線維症合併の有無を明らかにする目的で腹腔鏡を施行した.腹腔鏡検査では肝は硬く腫大し,肝表面には著明な白色紋理の増強と背の低い小さな凹凸を認めた.肝生検所見では門脈域の線維化と小葉間胆管の増生が著明で,以上から本症例は先天性肝線維症を合併した混合型Caroli病の1例と考えられた.
  • 男澤 伸一, 浦 等, 山野 三紀, 久保 英機, 林 英樹, 原田 一道, 岡村 毅與志, 水島 和雄, 並木 正義
    1985 年 27 巻 2 号 p. 263-269_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は72歳の男.繰り返すタール便と貧血を主訴として受診.上部,下部消化管の内視鏡およびX線検査で異常所見はみられなかった.しかし,上腸間膜動脈造影にて空腸動脈の動脈相で血管の異常増生像,濃染像,早期流出像を認め,動静脈形成異常と診断し,手術を行った.術中に内視鏡検査を施行したところ粘膜下腫瘤様の小隆起と周囲の毛細血管拡張がみられ,ここが出血部位であることが確認できた.切除腸管の血管構築所見では,屈曲蛇行する太い血管増生と周辺の毛細血管の拡張がみられ,拡張した血管が表層近くまで及び,おもな出血はこの部位からと考えられた.
  • 杉浦 克明, 稲葉 英造, 金崎 勝男
    1985 年 27 巻 2 号 p. 270-275
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     69歳男性.double pylorusと診断約6か月後に,本来のpylorusと二次性の穴との問の橋状粘膜部分が,再発した潰瘍のために欠損した.内科的治療をつづけたところ,幽門狭窄にならずに治癒した.これまでのdouble pylorusの報告例のうち,経過観察が十分になされた保存的治療をうけた19例についてまとめ,本症の治療法について考察した.
  • 蜂巣 忠, 中尾 照男, 鈴木 直人
    1985 年 27 巻 2 号 p. 276-281_1
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     林,倉俣らにより開発された経内視鏡的クリップ止血法は約10年の歴史にもかかわらず,現在では他の止血法に押された形で普及に至っていない.しかし止血理論が単純明解で合理的な本止血法はまだまだ捨て難い有用な手技と考える.われわれは,上部消化管出血に対応出来る,組織把持は深いが組織挫滅は少く,しかもクリッピング後のクリップの離れが確実な止血クリップを開発し,24例(27回)の上部消化管出血例に使用した.結果は永久止血74.1%,一時止血14.8%及び無効11.!%であった.また本止血操作による重篤な合併症は特別経験しなかった.安価で簡便なクリップ止血法は,今後幅広い適応が期待出来る極めて有用な止血法と考える.
  • 杉村 文昭
    1985 年 27 巻 2 号 p. 282-285
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近6カ月間アメリカに滞在し,アメリカにおける消化器内視鏡検査の現状を見て来たので,特に日本の内視鏡検査との相違について報告する.アメリカではmeperidineとdiazepanの静注によって,呼びかければ覚醒し,施行医の指示に応じられる程度に意識レベルを落して,消化器内視鏡検査を行っている.上部消化管の内視鏡検査は,直視式のファイバースコープによって,全例に食道,胃,球部,十二指腸下行脚の観察を行っている.大腸の内視鏡検査は,原則として左側臥位で,X線装置やスライディングチューブを用いることなく,α ターンも行わずに,telescopingを主体とした方法で,上部消化管内視鏡検査なみのごく日常的な検査法として行われている.検査データーの整理には,パーソナルコンピューターがさかんに利用されている.最近アメリカにおいてelectoronic endoscopeが発売され,近い将来アメリカでは急速に普及するものと思われる.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1985 年 27 巻 2 号 p. 288-291
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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