日本消化器内視鏡学会雑誌
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27 巻, 4 号
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  • 川本 博司, 飯石 浩康, 竜田 正晴, 奥田 茂, 谷口 春生, 大島 明
    1985 年 27 巻 4 号 p. 447-457
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的Congo red testを受けた820名の健常者および良性胃疾患患者を対象に内視鏡的経過観察ないしは疫学的手法による追跡調査を行い,体部胃炎の胃癌背景因子としての意義について検討した.平均7年7カ月間の経過観察中に11例の胃癌発生がみとめられた.この11例について初回内視鏡検査時の体部胃炎の拡がりの程度を見ると,胃癌は体部胃炎の拡がりがなし,軽度,中等度の群から4例,体部胃炎の拡がりが高度の群から7例発生し,標準化羅患比(O/E比)で比較すると体部胃炎の拡がりがなし,軽度,中等度の群は0 .50,体部胃炎の拡がりが高度の群は2.56と体部胃炎の拡がりが高度な群から胃癌は有意に高い率で発生し,体部胃炎の拡がりが高度な群は胃癌のhigh risk groupと考えられた. 次いで,胃癌のhigh risk group設定の指標としての血清group I pepsinogen(PGI)の有用性について検討した.Receiver Operating haracteristic(ROC)curveより50ng/ml未満を異常値とすると,分化型腺癌とそれ以外の組織型の腺癌および良性胃疾患群を最もよく判別することが可能であった.このときの血清PGIのsensitivityは72%,specificityは67%で,血清PGIは分化型腺癌のhigh risk groupの設定に有用と考えられた.
  • 竜田 正晴, 一居 誠, 飯石 浩康, 野口 左内, 奥田 茂
    1985 年 27 巻 4 号 p. 458-463
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃潰瘍患者159名にendoscopic Congoredtestを施行し,酸分泌領域,胃潰瘍の発生部位と喫煙との関連を検討した.また胃潰瘍患者61名,胃潰瘍瘢痕患者40名を対象とし,胃潰瘍の治癒,再発におよぼす喫煙の影響について検討した. 胃潰瘍の発生部位,酸分泌領域の拡がりと喫煙指数との間には密接な関連が認められ,喫煙指数の大きいもの程酸分泌領域は狭く,胃体部に潰瘍が好発する傾向が認められた.これは喫煙により体部胃炎の発生・進展が促進され,酸分泌領域の縮小とともに潰瘍が,胃体部に発生しやすくなったものと考えられる.また喫煙習慣の持続は,胃潰瘍の治癒を遷延させ,再発を促進させるため,潰瘍の治療に際しては禁煙を指導することが重要である.
  • ―膵疾患を中心として―
    大沼 俊和, 村上 義史, 大橋 計彦, 竹腰 隆男, 岡田 隆雄, 粉川 隆文, 韓 東植, 高木 国夫, 平岩 隆男, 杉山 丈夫, 加 ...
    1985 年 27 巻 4 号 p. 464-473
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵胆道系疾患とその隣接臓器疾患の画像診断法の新しい試みとして,過去2年4か月の間にERCPとCTの組み合わせ検査(ERCP-CT)を57症例に施行した.このうち膵癌10例と慢性膵炎14例を対象にERCP-CTの有用性の検討を行なった.膵CT画像上に鮮明な膵管像を得るためには,ERCP後迅速にCT検査を行う工夫とartifactを防ぐ工夫が必要である.ERCPとCTの組み合わせ検査の有用性が認められたものは,膵癌症例では膵管狭窄部周囲に嚢胞性変化を伴う型および主膵管の偏位と狭窄を示す型の2群であり,慢性膵炎症例では主膵管の限局性狭窄を示す型,および膵嚢胞性変化とくに膵尾部に嚢胞性変化を伴う型の2群であった.2cm以下の膵癌に本法を施行した経験はないが,2cmを越える膵癌と慢性膵炎症例の検討から得られた知見より,2cm以下の小膵癌の診断においても,本法は有用であると考えられた.
  • 伊吹 康良, 平佐 昌弘, 高鍬 博, 工藤 正俊, 藤見 勝彦, 上田 俊二, 宮村 正美, 冨田 周介, 小森 英司, 藤堂 彰男, 北 ...
    1985 年 27 巻 4 号 p. 474-487
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当院において内視鏡的止血法導入前後6年6カ月間に経験した出血性胃・十二指腸潰瘍422例を検討した.内視鏡的止血法はbipolar electrocoagulation法,高張Na-エピネフリン液局注療法,純エタノール局注止血法を用い68例に施行した.1)露出血管を伴なった例では伴なわない例に比べ重症出血例,大量出血例,緊急手術例の割合が明らかに多かった.2)露出血管を伴なった例におけるH2-receptor antagonistの有効率は胃潰瘍51.1%,十二指腸潰瘍75.0%であったが,内視鏡的止血法の有効率は胃潰瘍91.5%,十二指腸潰瘍100%であった.3)露出血管を伴なわない例でのH2-receptor antagonistの有効率は胃潰瘍96 .7%,十二指腸潰瘍98.5%であった.4)内視鏡的止血法導入前後の緊急手術率を比較すると,胃潰瘍は23 .7%から3.7%へ,十二指腸潰瘍は7.4%から2.4%へ低下し,内視鏡的止血法は緊急手術率の低下に大きく貢献した.5)重篤な基礎疾患を有し手術適応のない例にも内視鏡的止血法を行なうことができるが,再出血率が高かった.
  • 横田 勝正, 信田 重光, 難波 美津雄, 多島 直衛, 谷 恒明, 武藤 邦彦, 池口 祥一, 東 宗徳, 丸谷 巌, 畠山 忠信, 小平 ...
    1985 年 27 巻 4 号 p. 488-494_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     消化管内視鏡の機種は検査を行うためになるべく苦痛の少ないこと,その検査で見落す部位,つまり観察しにくい場所を少しでも少くする目的で種々考案されているが,食道についてはまだその試みが緒についたばかりである.上部消化管の内視鏡検査には,例えば胃における直視下観察及び生検などに際し,機種を変える必要があるように,場合によって2,3の機種を交互に挿入する必要があり,また同時に特に食道で行うスポンジ細胞診などは食道癌のスクリーニング法として以下に述べるごとく有効であるので,上部消化管の内視鏡検査を多目的的に行うようにするために誘導管を試作した.この誘導管を用いる時の苦痛の程度は,咽頭麻酔のきいているかぎりにおいて,通常の内視鏡検査の時と大差がないということがアンケート調査で証明された.このことより1981年10月から誘導管法による食道・胃・十二指腸の内視鏡検査を1,574例に行っている.その検査終了後,全例に食道ゾンデによる擦過細胞診を行って,早期食道癌3例を検出し得た.このうちX線検査で病変部位の所在がわかるのは1例のみである. 食道癌は症例数において胃癌の1/10の頻度と言われているが,早期に発見される症例が少く,また胃に比べて予後が悪いことから,少しでも早く発見することが必要である.上部消化管内視鏡検査における機種の交換と,それを用いた染色法の施行及び食道ゾンデを用いた細胞診によるスクリーニングの併用など,同時に多目的的に検査を進めるうえで,この誘導管内視鏡法は有意義なものと思われるので報告する.
  • ―特にcimetidine使用例について―
    溝渕 猛, 清水 一郎, 大浦 正博, 林 紀美子, 井上 修志, 山ノ井 昭, 松村 光博, 伊東 進, 岸 清一郎
    1985 年 27 巻 4 号 p. 495-500_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Cimetidineで治療した胃潰瘍患者163例のうち6例に隆起型胃潰瘍瘢痕を認めた(A群).Cimetidine非使用例にみられた隆起型胃潰瘍瘢痕13例(B群)と比較し,その成因について検討した. A群ではB群に比し,発生頻度は3.7%と高率に出現し,平均年齢は56.7歳と高齢者に多くみられた.発生部位は体部2例,胃角部3例,幽門前庭部1例と胃全域に認められた.潰瘍発見より隆起型胃潰瘍瘢痕を認めるまでの期間は平均1カ月であり両群の間に差はみられなかった.また,隆起部の組織像にも差はみられなかった. B群では全例幽門前庭部急性潰瘍より生じたもので,幽門前庭部という部位的特異性による潰瘍の修復過程における代償性過形成がその成因と推測されている.A群において幽門前庭部以外の慢性胃潰瘍例にも高率に隆起型胃潰瘍瘢痕が認められたことは強力な抗潰瘍作用を有するcimetidine投与により潰瘍部の急激な組織再生がそ
  • 松井 敏幸, 飯田 三雄, 畑中 正文, 岩下 明徳
    1985 年 27 巻 4 号 p. 501-507
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸第2部の観察の機会が最近2年間で増加しているが,十二指腸第2部に8例9病変のリンパ管拡張による小隆起を発見した.その頻度は約2%と推定される.隆起性病変の内視鏡像は白色調,表面は小顆粒状で,山田IないしII型を呈した.直径2mmのものが多く,最大10mmであった.隆起表面からの生検組織像は一層の内皮細胞に被れた拡張した脈管の集簇であり,内腔にリンパ液を入れていることよりlymphangiectasiaと診断された.この病変は蛋白漏出,出血をおこすことはなく,臨床的には無症状と考えられた.
  • 柴田 好, 池 薫, 奥山 修児, 武藤 英二, 武田 章三, 原田 一道, 水島 和雄, 岡村 毅與志, 上田 則行, 並木 正義
    1985 年 27 巻 4 号 p. 508-512_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は64歳女性.吐血のため救急車で当院に搬送された.緊急内視鏡で食道静脈瘤からの出血と診断され,Sengstaken-Blakemore tubeで保存的に止血をはかり,待期的に内視鏡的食道静脈瘤栓塞療法を二度施行した.それによって食道静脈瘤は消失したが,その後の経過観察で胃幽門部に径10~15mmの山田II ないしIII型の多発ポリープ様の病変が出現した.この病変は血管造影により静脈瘤であることが証明された. この症例は食道静脈瘤が栓塞されたために,新たに胃幽門部に静脈瘤が形成された,まれな症例と考えられる.食道静脈瘤栓塞療法の合併症としても,このような症例の報告は見当らない.形成機転についての考察も加え報告する.
  • 横田 欽一, 成沢 恒男, 折居 裕, 峯本 博正, 福井 実, 男沢 伸一, 小西 行夫, 林 英樹, 岡村 毅与志, 並木 正義
    1985 年 27 巻 4 号 p. 513-520_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     肝転移を伴わず,血清α-fetoprotein(AFP)が高値を示したI型早期胃癌の1切除例を報告する. 症例は48歳の女性.成人病検診で貧血を指摘され,精査を勧められて来院した.入院時高度の貧血を認めた.肝機能検査で異常所見はみられなかったが,AFPが1480ng/mlと高値を示した.carcinoembryonic antigen(CEA)は正常であった.胃X線および内視鏡検査で,胃穹窿部後壁に有茎性の隆起性病変を認めた.この病変は易出血性であり,生検で癌が証明され,1型早期胃癌と診断し,噴門側胃切除を施行した.手術では肝転移はみられず,大きさ4×3.5×3cmの有茎性腫瘍であった.病理組織学的検索では,低分化腺癌で髄様型,深達度sm,リンパ節転移は認められなかった.術前2780ng/mlまで上昇していたAFPは,術後急速に正常化し,術後3年2カ月経った現時点でも,0ng/mlと正常であり,肝転移再発の徴候は認めていない.さらにperoxidase antiperoxidase法(PAP法)により,胃癌部におけるAFPの局在が証明された.
  • 王 康義, 酒井 正彦, 内野 治人, 井上 良一, 三宅 健夫, 京極 高久, 永井 利博, 小沢 和恵
    1985 年 27 巻 4 号 p. 523-528_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃クローン病の1例を文献的考察を加え報告した.いわゆる微細病変を除いた胃・十二指腸クローン病の本邦5例目である. 患者は20歳男性.併存する大腸クローン病変はprednisoloneとsalicylazosulfapyridineにより瘢痕化したが,胃幽門部病変は進行し,約1年間頑固な嘔吐と体重減少を認めた.胃内視鏡検査では,幽門前部に認めた結節状隆起が,1年後には縦走潰瘍を伴うようになり,同部よりの生検にて肉芽腫を認めた.胃X線検査にても,幽門前部の短い狭小像が,1年後には全周性の小隆起により幽門輪に向かう漏斗状の狭窄となり"ram's horn"signを呈し,潰瘍及び裂溝も認めた.幽門狭窄症状が改善せず,胃部分切除を施行した.幽門前部は粘膜下層の浮腫が著明で,裂溝を認め,巨細胞を伴う肉芽腫も多数認めた.術後10カ月間prednisolone等服用せず経過良好で,術前より11kg体重増加を認めた.
  • 仲間 秀典, 嶋倉 勝秀, 上野 一也, 白井 忠, 野沢 敬一, 山口 孝太郎, 赤松 泰次, 中村 喜行, 松田 至晃, 河野 恭子, ...
    1985 年 27 巻 4 号 p. 531-538_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ERCPで診断した成人型輪状膵の3例を報告し,本症の診断および発現機序考察の際のERCPの重要性につき述べる.症例1は47歳,男性.ERCPではshort main pancreatic ductの像を示し,副乳頭からの造影でSantorini管の分枝が十二指腸下行脚を全周性に取り囲む像が認められた.肝内結石の合併もみられた.症例2は21歳,女性.急性膵炎の既往を有する.輪状部導管はWirsung管より派生しており,下行脚上部を取り巻く形で存在していた.症例3は67歳,男性.ERCPでWirsung管の分枝が下行脚を輪状に取り巻く像がみられた.以上3例とも,ERCP施行時下行脚の狭窄および牽引所見が認められており,本症の診断の糸口になるものと思われる.成人型輪状膵の本邦報告例は99例みられ,男女比は7:3で男性に多く,年齢は15歳から76歳,平均44.9歳である.臨床症状は上腹部痛および不快感,嘔気が多く,合併症は消化性潰瘍,胆石症,膵炎がそれぞれ21.6%,21.6%,14.4%の頻度でみられた.輪状部導管の開口形式をみると,Wirsung管へ開口する型が多くを占めるが,Santorini管へ開口する型も認められ,Leccoの説に代表される腹側膵原基由来説によってすべてが説明可能なわけではない.今後ERCPによる導管の走行の検討により,本症の発生機序が解明されるものと思われる.
  • 鈴木 洋介, 中沢 三郎, 市川 和男
    1985 年 27 巻 4 号 p. 539-544
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は47歳男性.長期の飲酒歴と胆石手術の既往あり.上腹痛にて入退院をくり返し,慢性再発性膵炎と診断されていた.上腹痛増強にて入院.入院後腹痛は軽減したが,高アミラーゼ血症が遷延するのでERCPを施行した.膵管の造影に続き膵頭部に造影剤の不整なpoolingを認め,これに連続して門脈走行に一致した脈管構造が描写され,膵仮性嚢胞の門脈穿破と診断した.超音波検査,CT,腹部血管造影でもERCPでの診断に矛盾しない変化が把えられた.超音波誘導下に肝内門脈枝を穿刺したところ,アミラーゼ高単位の褐色穿刺液が採取され,造影剤を注入するとERCPで造影されたものと同一走行の脈管構造が描写され診断が確定された.経皮的ドレナージを施行し,腹痛の消失,高アミラーゼ血症の改善を認めた.膵仮性嚢胞の門脈穿破は極めて稀であり生前診断し得た例の報告は少ない.ことにERCPにより診断されたのは本例が2例目である.
  • 今井 寛途, 小林 敏成, 末宗 康宏, 朝倉 康景, 小林 和司, 須藤 淳一, 大村 晃一, 迫田 秀治, 小島 睦枝, 伊藤 茲秀
    1985 年 27 巻 4 号 p. 545-550_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腹臘髄のみでsmall liver cancerの診断可能であったHBsおよびHBe抗原持嬲性の肝硬変症例を纖し,ICG静注法による観察を行ったので報告する.症例は61歳の男性で超音波・CT・シンチグラム・肝血管造影等の画像診断法では腫瘍病変は同定出来なかった.腹腔鏡髄で方形葉の上方丘隆部に直径4mm大の難調の隆起病変を認め,目標生検で肝細胞癌を強く疑う細胞集団を得た.ICG5mg/kgを静注し,観察すると肝硬変結節は暗緑色に染色されたが,腫瘍部への同色素の取り込みは認められず,より明確に微細病変を醸することが可能であった.外科的に腫瘍核出術を行った.腫瘍は1部が肝表面に露出した部分的被包性の径9mm大の高分化型肝細胞癌であった.以上の経験より観察可能な肝表面で襟直下に存在する肝細胞癌は数mm大のものでも腹腔鏡的に診断可能であり,更にICG静注色素腹腔鏡検査を併用することは,その診断により有効であると考えられた.
  • 堤 幹宏, 根井 仁一, 民野 均, 英 尚良, 佐藤 博之, 安原 稔, 木村 透, 高瀬 修二郎, 松田 芳郎, 高田 昭, 伊藤 透, ...
    1985 年 27 巻 4 号 p. 553-558_1
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     S状結腸癌と鑑別が困難であったColitis cystica profundaの2例を経験した.症例1は,45歳の女性で,腹部膨満を主訴として入院した.腹部X線では,大腸ガスの増加を認め,内視鏡検査では,肛門より25cmの部位に2個の立ち上りがなだらかな隆起性病変がみられ,その粘膜面は浮腫状で,発赤を伴い,易出血性であった.症例2は,66歳の男性で,左下腹部痛を主訴として来院した.腹部X線で多数の鏡面形成像を認め,注腸X線検査でS状結腸に辺縁が不整で,軽度狭小化した部位を認め,その粘膜は粗造で,多数の小隆起像がみられた.内視鏡検査では,注腸X線像に一致して,内腔をほとんど占拠する立ち上りが比較的急峻な隆起性病変を認めた.2例ともその臨床症状から入院当初より抗生物質の投与を行っていたが,症例1はステロイドの投与により,症例2は生検を契機に臨床症状および病変の著明な改善をみた。症例1および2の生検組織像は,ともにColitiscystica profundaを強く示唆する所見であった.以上,臨床症状,内視鏡所見およびその後の経過から本2例をColitis cystica profundaと診断した.
  • Toshiaki KAMIYA, 朝倉 均, 森下 鉄夫, 三浦 総一郎, Hugo PINTO, Jorge FOIANINI, 土屋 雅 ...
    1985 年 27 巻 4 号 p. 559-564
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ボリビア国,Centro Medico及びSan Juande Dios国立病院にて,1982年4月より1984年3月まで304例の内視鏡的逆行性胆管造影(以下ERCと略す)を施行したうち26例の胆管癌(胆のう,胆のう管,Vater乳頭除く)につき,その診断的意義を検討した. 対象は男12例と女14例で,平均年齢62歳,通常のERCP手技法を用いて行った. カニュレーション失敗例は5例で,うち2例は寄生虫(回虫成虫)が十二指腸下行脚部に束になり充満していることから不成功に終った. 胆管癌は総ERCP304例中26例(8.6%)と高率であり,胆管結石症が総ERCP304例中98例(32.2%)と多いことも関与しているのではないかと示唆された. 胆道系癌の年齢的,性別的,発生部位頻度,診断率については諸家の報告と同様な成績が得られたが,総胆管部にpolypoidまたはpapillary typeの透亮像が多かった. しかし,術後5年生存率は1例もみられず,今後この国でもERCPを含めた他の検査法の導入と普及が急務だと思われた.
  • 1985 年 27 巻 4 号 p. 568-589
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 27 巻 4 号 p. 589-595
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 27 巻 4 号 p. 595-627
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 27 巻 4 号 p. 627-634
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 27 巻 4 号 p. 634-646
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 27 巻 4 号 p. 647-652
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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