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崎田 隆夫
1986 年 28 巻 1 号 p.
1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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城所 仂
1986 年 28 巻 1 号 p.
2
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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平田 牧三
1986 年 28 巻 1 号 p.
3-10
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Mallory-Weiss症候群について,その成因を明らかにするため,自験例115例について臨床像の特徴と発症に関与すると思われる臨床的諸因子の検討を行った. 年齢は平均51.5歳で男性が92.2%を占めた.中高年の男性に多いことは,飲酒家が72.2%であり,飲酒ともっとも関連づけられた.裂創の発生部位は,噴門部胃粘膜(79.2%)で,しかも小彎(51.5%)に多かった.慢性萎縮性胃炎の併存は,51例の病理組織学的検討では92.2%に認められ,44例の内視鏡的コンゴーレッド法での検討ではopentypeが72.7%,31例の胃液検査での検討では低酸が58.1%で頻度,程度とも高いことが示された.食道裂孔ヘルニアの併存については確診は13.4%でコントロール群と比べても多くはなかった. 発症助長因子として,慢性萎縮性胃炎に伴う粘膜の脆弱性が大きな役割を果たしていると推察された.
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平田 牧三
1986 年 28 巻 1 号 p.
11-17
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Mallory-Weiss症候群の成因を明らかにするため,ヒトおよびイヌにおいて実験的検討を行った. ヒトの嘔吐運動時の噴門部の形態変化について,内視鏡シネ撮影での検討から,嘔吐時には一過性にヘルニア状態になり,食道・胃接合部が過伸展されることや噴門部前壁大彎寄りを中心に胃粘膜が食道腔内に脱出をおこすことなどが解明できた.なお,嘔吐運動時の胃内圧は8例について170~290cmH2O(平均231cmH
2O)を示した.さらに,イヌ10頭での拡張伸展による粘膜裂創形成実験では裂創形成圧は平均200cmH
2O,破裂圧は平均232cmH
2Oを示し,臨床例でみられるのと類似の裂創が噴門部から胃体上部の小彎を中心に形成された. Mallory-Weiss症候群の裂創形成機序について胃噴門部で小彎に多いことの部位規定因子および胃長軸方向に平行な縦長という形態的特徴は解剖学的,組織学的要因が大きく関与していると考えられた.
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―治療効果の判定に関する基礎的・臨床的研究―
大谷 達夫
1986 年 28 巻 1 号 p.
19-31
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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フリー
早期胃癌に対するNd-YAGレーザー照射後の効果判定に,超音波内視鏡はきわめて有用で,レーザーの癌治療に超音波内視鏡を併用することによって,レーザー治療成績の向上が十分に期待できる. すなわち,レーザー照射によって凝固変性・壊死に陥った部位は,超音波断層像上,高エコー帯として描出される.レーザー照射直後に超音波内視鏡を行い,この高エコー領域の範囲および深達度を読影することにより,レーザー照射効果の及んだ範囲を正確に診断することが可能である.そして,術前診断で低エコーとして描出される癌病巣の浸潤範囲を越えて高エコー化を確認するか,粘膜下層までが完全に高エコー化すれば,早期胃癌に対するレーザー治療の効果ありと判定できる. 超音波内視鏡を応用することによって,これまでレーザー治療の問題とされていた辺縁,および深部における癌の残存の有無が診断でき,レーザー治療の効果が,治療後ただちに判定可能となり,早期胃癌に対するレーザー治療が確実に行えるようになった.
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佐々木 宏晃
1986 年 28 巻 1 号 p.
32-37
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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過去5年間に一般施設において施行した,1,083例,1,351件の大腸内視鏡検査を臨床的に検討した.年齢分布をみると40~50歳台にピークがあり,男性に多く,顕出血,腹痛,下痢などが主訴で,主要疾患としては大腸ポリープ,大腸癌,大腸憩室症,潰瘍性大腸炎などがあげられる.注腸X線検査との対比では,大腸憩室症の発見率において劣るが,他疾患とくに大腸ポリープや急性炎症性疾患の診断においては優る,と考えられた. 更に,全国主要施設のアンケート調査による"コロノスコピーの現況"とも対比検討した.
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―電解式組織血流測定法との対比―
島倉 秀也, 福冨 久之, 宮本 二郎, 中原 朗, 大菅 俊明, 崎田 隆夫
1986 年 28 巻 1 号 p.
38-51
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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電解式水素ガスクリアランス法(以下電解法)使用上の留意点を明かにするとともに,電解法をCalibrationとした熱勾配式組織血流計を新たに導入し,観血的にイヌ胃粘膜血流を連続的に測定した(以下本法).本法により以下の結論を得た. 1)電解法は常に拡散の要素を考慮せねばならないが,実際の測定においては,対数変換されたクリアランスカーブはほぼ直線となり,指数関数と近似でき,電解電流と時間の積が500であれば,血流量算出に支障はなかった。 2)本法の測定値,すなわち熱起電圧差△Vの連続線は安定しており,腹腔動脈本幹遮断及びVasopressin0.5unit/kg/hr投与,AOC tetrapeptide 8μg/kg/hr投与,KCI急速静注後の予想される胃粘膜血流変化を忠実に反映しており,胃粘膜血流変動の連続的モニターが可能であった. 3)本法と電:解法の測定値の相関はr=0.95(危険率0.1%以下)の有意な相関をみせた.
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―内視鏡所見,病理所見,組織生化学所見について―
島本 史夫, 岩越 一彦, 平田 一郎, 浅田 修二, 白木 正裕, 阿部 和夫, 林 勝吉, 大柴 三郎, 岡島 邦雄
1986 年 28 巻 1 号 p.
52-61
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
膀胱腫瘍などのために膀胱全摘術を施行された後の尿路変更法の1つに,尿管S状結腸吻合術がある.本法は外瘻を造らないため患者の社会生活にとり有効であるが,その反面,感染など種々の合併症が知られており,欧米では吻合部にpolypや癌が発生するという報告が注目されている.しかし,わが国においては,吻合部を内視鏡的に経過観察した報告はなされていない.そこで,尿管S状結腸吻合術を施行した自験例29例(37尿管)を内視鏡的に観察した結果,吻合部には高率(71%)に隆起性病変が認められた.大部分は亜有茎性であり,組織学的には全例炎症性肉芽腫であった.吻合部周囲粘膜は内視鏡的にはほぼ正常であったが,組織学的には軽度の炎症性細胞浸潤,浮腫とPaneth細胞の増加がみられた.組織生化学的には術前群に比べて術後群ではsialomucinの増加がみられ,しかも術後経過がながくなるほど,その割合は増加した.わが国では欧米に比して高齢者に施行されることが多く,術後経過期間が短い症例が多いが,内視鏡による吻合部の経過観察は必要と思われた.
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―早期胆管癌3例を含む81例について―
鮫島 由規則, 渋江 正, 山口 淳正, 喜入 昭, 宮田 晋, 桑波田 仁, 田中 啓三, 小吉 洋文, 松元 淳, 山下 行博, 橋本 ...
1986 年 28 巻 1 号 p.
62-68_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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教室において1965年来15年間に内視鏡的逆行性胆膵管造影法(以下ERCPと略)により胆管癌と診断されたのは201例であった.そのうち81例が外科的に胆管癌が確認されそのうち,腫瘍摘出可能例は19例で,3例はS0のいわゆる早期胆管癌であった.ERC所見からみて,腫瘍摘出可能率が高かったのは総胆管の棍棒状の中断または狭窄像を呈する例で29.2%,陰影欠損像を呈する例の50.0%であった.大きさは早期胆管癌の3例は2cm径以下であったが,進行癌例は2cm径以上が68.8%と多くを占めた.肉眼的形態分類では早期癌は乳頭型あるいは結節型を呈し,他の例は浸潤型の所見を呈するものが多かった.術後5年以上生存例が2例あり1例は早期癌で9年4カ月生存中,他の1例はS1の6年4カ月死亡例であった.無黄疸例は併発した胆石による右季肋部痛を主訴として来院した1例のみで,発黄以前のチェックが必要であると考えられた.
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野口 隆義, 相部 剛, 秋山 哲司, 衣川 皇博, 浅上 文雄, 天野 秀雄, 播磨 一雄, 有山 重美, 富士 匡, 伊藤 忠彦, 西村 ...
1986 年 28 巻 1 号 p.
69-76_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
われわれは,X線および内視鏡検査で診断した胃・食道の粘膜下腫瘍9症例に超音波内視鏡検査を施行し,粘膜下腫瘍の診断における超音波内視鏡の有用性を検討した.その結果,粘膜下腫瘍は8症例において,境界鮮明な低エコーレベルの腫瘍像として描出され,残る1例は無エコーの嚢胞像として描出された.発育様式の判定についてみると,消化管内発育と診断されたものが3例,消化管外発育と診断されたものが4例,壁内にとどまっていると診断されたものが1例であった。また,粘膜下腫瘍(嚢胞を除く)は消化管壁の第4層(固有筋層)より発生していることが確認され,平滑筋由来の腫瘍と考えられた.ただ,胃嚢胞と考えられた1例は胃壁の第3層(粘膜下層)より発生し,胃内外の両方への発育が確認された.すなわち,粘膜下腫瘍の確定診断,発育様式の判定,組織像の推定に超音波内視鏡の有用性が確認された.なお,手術を施行された症例は2症例で,ともに平滑筋腫であったが,腫瘍内部エコー像による良・悪性の鑑別については,今後さらに症例を増やし,臨床的検討を重ねる必要があると考えられる.
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飯石 浩康, 竜田 正晴, 奥田 茂, 谷口 春生
1986 年 28 巻 1 号 p.
79-87_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
悪ぜ所見に乏しい早期胃癌の内視鏡診断の実態を分析し,このような癌症例を確実に診断するために,どのような内視鏡所見を有する病変を生検の対象とすべきかについて検討し,更にわれわれの考案したCongo red-methylene blue testの診断的意義についても検討を加えた. 悪性所見の乏しい早期胃癌は早期胃癌切除例全体の6.5%に認められ,病巣が小さく平坦で,癌浸潤が粘膜内に限局した分化型腺癌に多くみられた.悪性所見に乏しい早期胃癌は内視鏡的に,(1)良性サイクルにある潰瘍,(2)びらん様,(3)小ポリープ様,(4)軽微な粘膜所見のみを呈するものにまとめられ,慢性胃炎との鑑別が問題となるものが少なくない. 内視鏡的に癌を否定できないと診断された病変(272病変)の生検陽性率は19.5%であった.悪性所見に乏しい早期胃癌を確実に生検するためには,悪性を否定できない病変すべてに生検を行うことが必要で,このためには癌の約4倍の良性疾患を生検対象としなければならない.内視鏡的に良性と診断された1372病変からの生検陽性率は僅かに0.1%(2例)で,いずれも潰瘍性病変であった.潰瘍性病変に対しては,経過中に必ず生検を施行し,良性と確認の上で厳重な経過観察が必要である. Congo red-methylene blue testは悪性所見に乏しい早期胃癌の診断に有用で,本法では癌巣をCongo red,methylene blue両色素がともに白く退色した領域として観察することができる.
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岡崎 幸紀, 苅田 幹夫, 藤村 寛, 有山 重美, 鈴木 昭一, 原田 元, 安藤 啓次郎, 河原 清博, 竹本 忠良, 長崎 進, 南園 ...
1986 年 28 巻 1 号 p.
88-95
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
消化器内視鏡のファイバー光学系に代わる映像伝導方式として,固体撮像素子によるマイクロテレビカメラ方式による新しい消化器内視鏡システムを応用した電子スコープ"TV-EndoscopeI型"(Toshiba-Machida)が開発された.従来のファイバー光学系に比較し,高度の解像力と豊かな色調により,きわめてすぐれた画像が得られるとともに,35mmフィルム,VTR,ポラロイドカメラに,すぐれた記録性をもたせている.われわれの臨床例63例の観察の結果では,粘膜の微細な凹凸,わずかな色調の変化も明瞭に観ることができ,通常の病変はもちろん,微細病変や胃炎などの凹凸の少ない病変の性状も,これまでにない所見が得られた. 今後,コンピューター等の併用による画像処理,機能面での計測への応用,内視鏡教育への応用が期待されるとともに,消化器内視鏡の新時代を作るものとして,新しい展開が予想されている.
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若林 時夫, 沢武 紀雄, 尾崎 監治, 米島 正広, 登谷 大修, 竹森 康広, 米島 学, 木谷 恒, 北川 浩文, 高橋 洋一, 牧野 ...
1986 年 28 巻 1 号 p.
97-103
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胆管像のえられた慢性膵炎102例中膵部総胆管狭窄が39例(38%)にみられ,その膵管像,膵内外分泌能の成績を非狭窄群と比較し,慢性膵炎における胆管狭窄の臨床的意義を検討した.一般に,狭窄群は非狭窄群に比して,膵内外分泌能の低下している場合が多かった.また,膵管造影上高度な異常を有するもの程,総胆管狭窄のみられる頻度が高かった.一方,膵管像のみでは高度膵炎と診断しえない44例中15例にも胆管狭窄がみられ,これらも非狭窄群に比して,膵内外分泌能の低下している頻度が高かった.この様に,膵管像のみの判定では膵病変の程度を過小評価する場合が少なからずあり,この様な場合は胆管狭窄の有無を把握することが特に重要であろう.
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小杉 廣志, 松本 純一, 小田島 博, 荒井 泰道, 矢作 和也, 下條 宏, 近藤 忠徳
1986 年 28 巻 1 号 p.
104-109
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
近年,本邦において大腸癌の増加が予測されることから,大腸癌早期診断のための集団検診体制の確立が望まれている.小集団の検診ではfiberscopeによる検診が可能であると考えられ,当院における1泊2日の人間ドックにおいてsigmoidofiberscopyeによるS状結腸検診を試みた.検査前日の夜に下剤を投与し,当日早朝に浣腸を行なってから検査を施行した.検査は無透視下,2人法で行なわれた.検査実施者はドック受診者708名中701名であった.観察部位はS状結腸中部までしか観察できなかったもの15名(2.1%),S-D移行部まで336例(47.9%),下行結腸まで147例(21.0%),脾彎曲部まで112例(16.0%),横行結腸まで62例(8.8%),肝彎曲部まで15例(2.1%),盲腸まで14例(2.0%)であった.検査時間は概ね5~10分であった.癌は2例に発見され,ともにS状結腸にみられ,深達度はmおよびsmであった.ポリープは73症例に94病変発見され,全体では701例中83例(11.8%)になんらかの病変が認められた.また過去7年間に当院で扱われた大腸癌137例中104例(75.9%)は直腸,S状結腸に認められ,S状結腸までの検診の重要性が考えられた.またtotal colonoscopyに比べてsigmoidofiberscopyeは容易な手技であり,かつ被験者の苦痛も少なく人間ドックのような小集団検診においては非常に有用な方法であると思われた.
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岡村 正造, 山本 義樹, 浅井 俊夫, 高野 健市
1986 年 28 巻 1 号 p.
110-115_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Lymphoid stromaを伴なう胃癌は,その肉眼所見とともに予後の良いことなどで注目されている.今回,約3年間の経過を観察できた1例を経験したので報告する. 患者は69歳,女性.主訴は上腹部不快感.胃X線および内視鏡検査にて,胃体部前壁に表面に不整形の小ビランのある径約2.5cmの粘膜下腫瘍と思われる隆起性病変を認めたが,胃生検でGroupVと診断され手術された.病理学的には,癌はビラン部以外では粘膜下層にのみ認める早期癌で,組織型は低分化型腺癌であった.そして,リンパ球が癌を包み込むように浸潤増生し,非癌部との境界が鮮明な,いわゆるlymphoid stromaを伴なう胃癌であった.また,約3年間におよぶ遡及的検討では,形態上の変化はほとんどなく,腫瘍の長径の増大も約5mmと少なかった.なお,過去4回の生検結果もGroup IかIIであった.本例はlymphoid stromaを伴なう胃癌の発育形態と進展速度を知る上で貴重な臨床例と考えられる.
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三林 裕, 藤岡 正彦
1986 年 28 巻 1 号 p.
116-119_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
急性呼吸不全の経過中,大量の下血を来たしたが,その原因と思われる潰瘍が胃幽門前部小彎に認められた.その後,この潰瘍はdouble pylorusを形成するに至った.2年後にもdouble pylorusはそのまま存続し,形態学的に恒常的なものであった.本症例はdouble pylorusの成因を考える上で貴重な1例と思われた.
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加藤 俊幸, 佐藤 幸示, 斉藤 征史, 丹羽 正之, 五十嵐 良典, 小越 和栄
1986 年 28 巻 1 号 p.
120-126_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は43歳男性のサルコイドーシスで,胃に肉芽腫性病変を認めた.心窩部痛をくりかえし,胃X線検査で多発性潰瘍瘢痕像を認めた.胃内視鏡検査では,穹窿部に結節性隆起病変を認め,胃体部から胃角部にかけて多発性の潰瘍と潰瘍瘢痕像を認めた.胃生検で巨細胞を混じえた類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断された.本症例の胸部X線所見には異常を認めず,Kveim反応は陰性で,血清ACE値も正常であったが,生検で前斜角筋リンパ節と気管支粘膜に肉芽腫性病変を認めた. 本症例は診断後,7年間にわたり内視鏡による長期観察がなされた.ステロイド療法により症状の消失と潰瘍の瘢痕化を認めたが,肉芽腫は消失せず,結節性隆起性病変は縮小しなかった.5年後より潰瘍の出現をくりかえしているが,肺など他臓器の異常は現在まで認めていない.
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五十嵐 良典, 阿部 好一郎, 西川 邦寿, 剛崎 寛憲, 鈴木 金剛, 藤沼 澄夫, 澤井 寛人, 酒井 義浩
1986 年 28 巻 1 号 p.
129-131_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は19歳男性で,飲酒を契機として吐血したため入院した.胃内視鏡検査を施行し食道胃移行部のすぐ胃側前壁に赤紫色の直径5mm前後の血腫様隆起を認め,そこより出血しているのを確認した.直ちに純エタノールを局所注入して止血に成功した.その2日後の胃内視鏡検査では基部は赤色調に変わっていたが,出血は認められなかった.その3日後に3回目の胃内視鏡検査を施行したところ,血腫様隆起が腫大していたため,再度エタノールを局所注入した.更に4日後の胃内視鏡検査では血腫様隆起は脱落し小白苔のみ付着していた.以上のことからMallory-Weiss症候群の典型的な臨床像を示しながらも,内視鏡像は血腫様隆起を呈し,そこよりの出血に対してエタノールの局所注入が有効であった1例を経験したので報告する.
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中西 徹, 坂田 泰昭
1986 年 28 巻 1 号 p.
132-136_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
全身的ホルモン療用(estrogen-progesterone併用)が有用であった遺伝性出血性毛細血管拡張症(Rendu-Osler-Weber病)の2例を報告する.症例1は60歳女性で反復する鼻出血の既往あり,今回消化管出血を合併し入院した.表在性皮膚,粘膜所見がなかったが胃内視鏡検査で特徴的なtelangiectasiaを認め診断し得た.症例2は54歳男性で腰痛治療中に下血,鼻出血きたし胃内視鏡検査で胃のtelangiectasiaよりの出血を確認した.両例とも消化管出血は一般的治療で止血し得たが,鼻出血が持続するためホルモン療法を行ない,投与数週間で各々の例においての鼻出血の頻度は1/3,1/2と減少した.本療法の副作用としては症例1で一過性の乳房緊満感,症例2で疼痛性gynecomastiaがあったが軽度で中止する程でなかった. 以上から本療法は鼻出血と多分消化管出血を軽減するのに有効な方法と考えられた.
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趙 栄済, 清田 啓介, 向井 秀一, 西村 和彦, 小林 正夫, 安田 健治朗, 吉田 俊一, 今岡 渉, 藤本 荘太郎, 中島 正継, ...
1986 年 28 巻 1 号 p.
137-143_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は67歳の男性で,全身倦怠感を主訴として来院した.血液生化学検査ではLAP,γ-GTP,LDHが高値を示し,腹部超音波断層法にて主膵管の著明な拡張を認めたため精査入院となった.内視鏡的超音波断層法にて頭部主膵管内にやや低エコーレベルの充実性腫瘍が描出され,内視鏡的逆行性膵管造影法にても頭部主膵管内に類円形陰影欠損像を認めた.さらに経口的膵管内視鏡検査法により乳頭状に発育した腫瘍を確認したが,内視鏡下経乳頭的膵管生検ではGroup2の所見であった.腹部血管造影でも著変を認めなかったが,悪性病変を完全には否定できないため,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では,頭部主膵管内に灰白色調で大きさ約20×16×16mmの充実性腫瘍を認め,組織学的には一部に異型性を呈する良性乳頭腺腫であった.本例は主膵管内乳頭腺腫というきわめて稀な症例であり,文献的考察を加え報告した.
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岡本 一馬, 高場 憲夫, 小川 光代, 小根森 礼子, 神原 明彦, 黄 八成, 山本 昌弘, 春間 賢, 隈井 浩治, 井上 正規, 岸 ...
1986 年 28 巻 1 号 p.
144-149
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
十二指腸球部の巨大有茎性ポリープの1例を経験し,内視鏡的ポリペクトミーを施行した. 症例は49歳,女性.生来健康で特に自覚症状は無かったが,胃集検にて異常を指摘され,精査目的にて来院.上部消化管X線検査及び内視鏡検査にて,十二指腸球部から胃前庭部にかけて,表面平滑で白色調の巨大有茎性ポリープを認め,内視鏡的ポリペクトミーにより切除回収した.切除標本は大きさ70×22×15mmで,病理組織学的にはリンパ管腫であった.I緒言 十二指腸リンパ管腫は,十二指腸良性腫瘍の中でも非常に稀な疾患であり,欧米では1982年までに11例,本邦では1975年までの集計で4例報告されているにすぎない. 今回われわれは,胃集検にて発見され,内視鏡的ポリペクトミーにて切除回収し得た巨大十二指腸リンパ管腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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今薗 靖博, 那須 繁, 西原 秀一郎, 益田 龍彦, 田中 晃, 吉田 浩樹, 山内 孝, 三澤 正, 宮崎 耕治
1986 年 28 巻 1 号 p.
150-153_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は69歳男性.右下腹部腫瘤,発熱,体重減少を主訴として来院し,小腸X線検査,内視鏡検査及び直視下生検により回腸悪性リンパ腫と診断した.術前に確定診断された小腸悪性リンパ腫の報告は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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浅井 俊夫, 山本 義樹, 岡村 正造, 大橋 信治, 越知 敬善, 三竹 正弘
1986 年 28 巻 1 号 p.
154-161
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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フリー
53歳の女性の潰瘍性大腸炎に併存した虫垂原発のmucinous cystadenocarcinomaを報告した.十二指腸潰瘍で通院加療中に突然1日数回の粘血便が出現した.注腸造影で微少ニッシェを呈する全結腸型の潰瘍性大腸炎と辺縁の不整を伴う虫垂内腔の拡張が認められ,内視鏡的にも虫垂開口部の腫大が観察された.手術切除標本で虫垂は6×2cmと腫大し,壁は肥厚し,拡張した内腔には膠様の粘液が充満していた.病理組織学的に潰瘍性大腸炎に併存した虫垂原発のmucinous cystadenocarcinoma, mixed typeで局所的な腹膜偽粘液腫の像も示していたが,所属リンパ節転移はなく,患者は術後11カ月健在である.本症例は潰瘍性大腸炎の癌化例というよりは,むしろ虫垂癌が潰瘍性大腸炎に先行,または独立して発生した例と考えられた.
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岡野 重幸, 柴田 好, 鈴木 安名, 武藤 英二, 武田 章三, 本原 敏司, 原田 一道, 水島 和男, 岡村 毅与志, 並木 正義
1986 年 28 巻 1 号 p.
162-168_1
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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種々の原因による食道狭窄9例に対しCelestin dilator(英国Medoc社製)を用いて食道拡張術を施行したところ,全例に良好な結果が得られ,特に問題となるような合併症はなかった.再狭窄が4例にみられたが追加治療にて軽快した.当院において従来施行してきた内視鏡的高周波切開術と比較して,Celestin dilatorによる食道拡張術は手技が容易であり,外来でも行えるし安全性も高い.また再狭窄をきたした症例でも再狭窄に至るまでの期間が長かった.具体的症例を示し,本法の有用性を述べた.
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日本消化器内視鏡学会
1986 年 28 巻 1 号 p.
169-171
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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崎田 隆夫
1986 年 28 巻 1 号 p.
172-181
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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丹羽 寛文
1986 年 28 巻 1 号 p.
182-209
発行日: 1986/01/20
公開日: 2011/05/09
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The endoscope which has attained a remarkable development is not only indispensable for diagnosis but also playing important roles in treatments and studies of pathophysiology of the gastrointestinal tract. However, the development has not always been attained smoothly as is seen today but is a result of accumulated efforts exerted by many people involved in it. Attempts to observe rectum and vagina with speculum dates back to Hippocrates' time, but the initial attempt to examine the inside of body with light through a tube which could be the origin of the endoscope was first made by Bozzini in 1795, which was called Lichtleiter. The word `endoscope' was used initially by Desormeaux in 1853. He described the use of a straight tube endoscope for obsrervations of the urinary tract, bladder and rectum. It was Kussmaul who developed this procedure further in 1868 and made observation of the esophagus. He was succeeded in inserting the scope into the stomach but was unable to observe it at all. In 1886, Nitze and Leiter produced a cystoscope with an electric bulb as the light source. Based on this cystoscope, the subse-quent development of gastroscope was attained by Mikulicz, Rosenheim, Kuttner, Elsner, Schindler (1920), Korbsch (1925) et al. And a rigid gastroscope was introduced and put to practical use. Then a flexible gastroscope was completed by Schindler and Wolf (1932). It was used widely in Europe but was not in Japan. On the other hand, it was by Einhorn in 1889 that the conception of a gastrocamera, describing that a miniture camera is directly inserted into the stomach and that gastric mucosa is examined from the pictures taken, first appeared in the literature. However, because of the underdeveloped photography, the conception had never developed into a practical use, and only gastrodiaphany was in use. It was Lange and Meltzing (1898) who performed clinical experiment initially with a trialmanufactured gastrocamera, but this again was left entirely abandoned without practicability due to the underdeveloped photography. A pinhole type stereogastrocamera was developed by Porges and Heilpern in 1929, but the value for its practical use was scarce. In 1950, Uji et al developed a gastrocamera on their own, but the initial medel was extremely imperfect. The gastrocamera suffered frequent disorder and was almost discarded. What required for practical use of a gastrocamera depended entirely upon the energetic study being carried out by 8th laboratory, 1st Department of Internal Medicine, University of Tokyo. Subsequently, many improvements were made on the gastrocamera, and as a result its practical value was widely recognized, for which the gastrocamera has come into wide use and become the instrument indispensable for clinical purposes. Development of the fiberscope was originated from Lamm's experiment in 1930 which proved that a bundle of glass fiber can transmit images. Lamm recommended to Schindler its application to gastroscope, but no further progress was made. A fiberscope of practical value was produced initially byHirschowitz et al in 1957. The subsequent develop-ment of the fiberscope has been remarkable to date and is now at the zenith of prosperity. In connection with the development of the gastrocamera, Japan Gastrocamera Society was established in 1959 and developed into Japan Endoscopy Society in 1961 and finally into Japan Gastroenterological Endoscopy Society. The activities of these societies have given a great deal of contribution to the progress of endoscopy. In addition to the development of instrument itself, the matter particularly emphasized in this lecture is the importance of our positive attitude to make the most of its function, to make the observation with a fresh eye, and to analyze the records of photography repeatedly. The endoscope today is applicable to biopsy, for which it is the fact that easygoing attitude is seen on the part of the examiners. However, no progress is obtained b
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