日本消化器内視鏡学会雑誌
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28 巻, 10 号
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  • 矢崎 康幸, 奥野 一嘉, 石川 裕司, 山田 政孝, 小野 稔, 太田 知明, 田村 保明, 長谷部 千登美, 鈴木 貴久, 富永 吉春, ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2257-2267
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     5% ethanolamineo leate meglumine amidotrizoate(5% EOMA)を用いて食道静脈瘤の内視鏡的栓塞療法を施行した肝硬変症例35例につき,paravariceal injectionに起因する食道病変を検討した.この場合注入量が2.0mlを超えると注入局所の潰瘍発生率が急増する.重篤な合併症として食道潰瘍からの大出血1例,食道粘膜の広汎な剥離脱落2例,巨大血腫による食道内腔閉塞1例,胸腔への食道潰瘍穿孔1例をみた.これらの合併症を予防する手技的な工夫につき述べた.5%EOMAのintravariceal injectionがなされた例では重篤な合併症は1例もなかった.イヌを用い,種々の濃度および量のEOを食道粘膜下に注入して検討した結果,食道潰瘍の発生率とその程度は,注入したEOの濃度および量が増すほど高度なものとなった.病理組織学的検討ではEOによる食道潰瘍は,内視鏡的に潰瘍として観察される部分よりも,はるかに広い範囲にわたり粘膜下に炎症性細胞浸潤,浮腫,組織の変性壊死の像が広がっていることがわかった.このことは臨床の実際において追加治療を行う場合,注意すべき点である.
  • 星原 芳雄, 福地 創太郎, 早川 和雄, 山田 直行, 吉田 行哉, 橋本 光代, 竹本 忠良, 須田 昌夫, 加藤 賢一
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2268-2273
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1985年東芝-町田により開発された電子内視鏡(TV-Endoscope)は,約10万画素の解像力を有し,その内視鏡像は鮮明で,通常のファイバースコープでは観察困難であった胃小窩紋様の観察記録が可能である.この様な表面微細構造をより明瞭に記録し,コンピューターによる画像解析を容易にする目的で,ハードウェアにより映像信号を処理し,微細構造のエッジ強調を行った所,ソフトウェアにより得られるものと同様の効果を,容易に,より短時間に,しかも安価に得ることが出来た.
  • 五十嵐 潔, 渡部 博之, 島 仁, 長沼 晶子, 鈴木 俊太郎, 長沼 敏雄, 千葉 満郎, 荒川 弘道, 正宗 研, 吉田 司, 佐藤 ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2275-2281
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過去6年間に内視鏡検査で診断した大腸polypは312症例635病変である.外科で手術を受けた早期癌16症例22病変を除き,すべてに内視鏡的polypectomyを施行した.病理組織学的診断の結果は,腺腫433病変68.2%,早期癌78病変12.3%(m癌53病変,sm癌25病変),その他124病変19.5%であった.腺腫,早期癌について検討した.腺腫と早期癌の比率は男性に比べ女性でやや高かった.年齢分布は腺腫,早期癌いずれも50歳代にpeakがみられ,病変の大きさが増すほど早期癌の頻度は高かった.部位別に腺腫に対する早期癌の比率を求めると,直腸,S状結腸,および上行結腸では下行結腸,横行結腸に比し高かった.腺腫を伴った早期癌の頻度は89.7%,腺腫を伴わないものは10.3%であった.腺腫を伴った早期癌のうち,ca/adではm癌が,ad/caではsm癌が多かった.m癌,sm癌ともIsの形態をとるものが最も多かったが,次いでm癌ではIp,sm癌ではIIa,IIa+IIcが多かった.腺腫を伴わない早期癌は,すべてsm癌で,IIa+IIc,IIaの形態をとるものが多かった.adenoma-carcinoma sequenceはほぼ確立された概念であるが,摘除した早期癌の標本は癌への進展過程の一断面を示したものであり,癌化の過程,あるいはその進展経路,すなわちnatural historyを解明するには,今後集積された多くの症例について,綿密な解析が必要と考えられる.
  • ―実験的研究を含めて―
    田尻 久雄, 斉藤 大三, 塩谷 英史, 三浦 かおる, 土方 淳, 山口 肇, 吉田 茂昭, 吉森 正喜, 小黒 八七郎, 大倉 久直, ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2282-2288_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ヌードマウスに移植したヒト膵癌を用いて光化学療法と低出力Nd:YAGレーザーによる局所温熱療法の効果を検討した.(1)光化学療法:ヘマトポルフィリン誘導体(HpD)を3mg/kg濃度で静注し,72時間後高拡散マイクロチップを腫瘍内に穿刺しアルゴンダイレーザーを300~400mWで10分間照射した.7日後の組織学的変化は凝固・融解壊死,線維化が腫瘍の面積比で30~50%にみとめられた.(2)低出力Nd:YAGレーザーによる局所温熱療法:(1)と同一のチップを腫瘍内に穿刺しNd:YAGレーザーを3Wで腫瘍辺縁部の皮下温度を42℃~43℃として10分間~20分間維持した.7日後に解剖したものの組織学的変化は壊死に陥った組織が面積比で70~80%の広範囲にみとめられた.これらの作用機序として,加温効果とNd:YAGレーザーエネルギーの殺細胞効果さらに生体内で腫瘍血管の損傷がおきると考えられた.われわれはすでに胃癌の2症例に本治療を行い,現在経過観察中である.
  • 加藤 肇, 服部 和彦, 西川 久和, 林 隆一, 川本 雅徳, 藤原 庸隆
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2291-2296_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     H2受容体拮抗剤(H2ブロッカー)と他の抗潰瘍剤による胃潰瘍治療例の内視鏡像を比較し,H2プロッカー投与例において治癒過程に特異性があるかどうかを検討した. 対象は100例のH2プロッカー投与例で,72例の他の抗潰瘍投与例を対照とした.潰瘍の内視鏡像のうち潰瘍底あるいは潰瘍周辺の隆起様所見,潰瘍底の白苔の性状,潰瘍周辺の粘膜発赤の強さについて検討を加えた.隆起はH2ブロッカー群で22例(22.0%),対照群で7例(9.7%)に認められ,H2ブロッカー群でその出現頻度が有意に高かった.内視鏡的ステージ別にみると,A2,S1で隆起が出現する頻度が高かった.また治療前の潰瘍の大きさが大きいものほど隆起の出現する頻度が多かった.さらに潰瘍底の白苔は薄いものがH2プロッカー群で多かった.しかし粘膜の発赤の程度は両群で差は認められなかった.隆起部よりの生検組織像は,新しい肉芽組織を示していた. 以上の結果から,隆起,白苔の菲薄化はH2ブロッカーによる治療例にみられる特徴的な所見であると思われる.これらの所見は,強力な酸分泌抑制効果のための急速な組織修復,特に肉芽組織の過剰な増殖の結果生じた変化を反映しているものと考えられた.しかし,他の抗潰瘍剤による治療例で短期間に治癒した症例においてもその頻度は低く,また程度も軽いが同様の経過がみられたことより,これらの所見は,H2ブロッカーのみの特異的な像ではないと考えられた.
  • 溝上 裕士, 谷田 憲俊, 西村 正二, 高橋 彰, 川岸 考二, 沢田 康史, 井上 裕彦, 入江 一彦, 楢林 尚
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2297-2305_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     慢性関節リウマチ(RA)患者85例の上部消化管内視鏡所見を分析し,RAにおける食道・胃・十二指腸病変の性状,特徴などについて検討した.内視鏡的に異常病変を認めたものは73例で,非常に高率であった.胃粘膜障害(GMI)は69例に認め,その内訳は潰瘍30例(35.3%),びらん22例(25.9%),発赤17例(20%)であり,さらに十二指腸潰瘍7例,食道炎,食道潰瘍各1例を,他に胃ポリープ3例,早期胃癌IIc2例,アミロイドーシス5例を認めた.特にRAにおける潰瘍の特徴は,浅く不整形で多発傾向にあった.RAの臨床所見とGMIについてみると,一女性に相対的に多く,RAの病期,病悩期間の進行とともに増加の傾向にあった.なお,GMIの成因としては,RAの一分症としての末梢血管炎や抗リウマチ剤投与による粘膜防御因子の低下が関与しているものと推察された.
  • 横田 広夫, 金沢 寛, 人見 憲一, 山崎 忠光, 近藤 高志, 藤井 佑二, 長浜 徴, 林田 康男, 城所 仂, 津田 靖彦
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2306-2313
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸内視鏡は各過程において,被検者に多大な苦痛を余儀なくさせることが多い検査法である.そこで私共は,大腸内視鏡検査を円滑かつ安全に行うために術前処置および術中の和痛法として,新しく低周波ツボ療法(S.S.P,療法と略す)を導入し,従来の方法を対照として比較検討を行った. 方法および結果:S.S.P.療法群では,検査の15分前より開始し,周波数30Hz,平均20mAで持続通電し,検査終了と同時に終了した.従来の前処置法を行った群を対照群とし,以下の結論を得た. 1) S.S.P.処置群では,自覚的苦痛率は30%,対照群では70%であり,かつ,他覚的な苦痛指数もS.S.P,処置群では有意の低値を示した. 2) Vital signsとくにshock indexの推移からみてもS.S.P.処置群では,術前・中・後を通じて一定の安定した状態を示した.全身状態に及ぼす影響が軽微であった. 以上,S.S.P.療法はパリ麻酔を簡易化したものであるが,使用法が簡単,合併症が皆無などの特徴を有している.さらに本法では,細い神経線維(slow pain)しかブロックされず,もし術中に穿孔などの偶発症が併発しても,その痛み(sharp pain)は早期に発現し,危険を防止できた.このように,特に大腸内視鏡では,選択的神経ブロックの概念の導入が特に重要であることを強調した.一方,欠点として,誘導時間が長く短時間に多くの患者を検査することは困難であった.今後,誘導時間を短かくする工夫が望まれた. 結語:S.S.P.和痛法は,検査中の被検者との意思疎痛は十分に保たれ,和痛効果も高く,かつ安全であることから,極めて有用な方法であることを述べた.
  • 児玉 正, 岡野 均, 大石 亨, 佐藤 達之, 丸山 恭平, 西田 博, 今村 政之, 内田 秀一, 堀口 雄一, 小林 和夫, 岸本 三 ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2314-2317_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は72歳,女性,悪性黒色腫の診断で皮膚科にて化学療法および放射線療法を施行.施行後,軽度嚥下困難があり,食道・胃腸透視を行なった所,胸部中部食道(Im)に不整な陥凹性病変を認めた。内視鏡検査でも歯列から30cm部に1/3周を占める,退色した陥凹性病変が認められ,ルゴール液撒布で同部は不染であった.内視鏡的に表在陥凹型食道癌と診断した.生検組織で扁平上皮癌であった.
  • 斉藤 裕輔, 峯本 博正, 真口 宏介, 折居 裕, 奥村 利勝, 成沢 恒男, 小西 行夫, 岡村 毅与志, 横田 欽一, 並木 正義
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2318-2324_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は56歳の男性で,マガレイを食べた直後より嚥下時の前胸部痛が出現,翌日当科を受診した.初診時の血液検査で白血球増多とCRP陽性を示したが,胸部X線検査では異常所見はみられなかった.食道内視鏡検査で門歯より30cmの8時方向に長径約5cmの魚の骨が刺さっているのを認め,これを生検鉗子で摘出した.それから2週間後に再び強い前胸部痛と少量の新鮮血の吐血をみたため入院した.その時の心電図には心筋梗塞を思わせる所見はなかった.入院の翌朝大量の新鮮血を吐血し死亡した.剖検の結果,魚の骨の刺入部位に一致して食道穿孔と縦隔膿瘍がみられ,aorto-esophageal fistulaが形成されていた.結局動脈性の出血による循環不全と血液誤飲による窒息死と判断された.aorto-esophageal fistulaは極めて稀な疾患であり,食道異物の内視鏡的摘出後に生じたaorto-esophageal fistulaの本邦報告例は,われわれが調べ得た限りでは見当たらない.参考症例として文献的考察を加えて報告した.
  • ―超音波内視鏡検査および電子スコープ検査による検討を加えて―
    西村 滋生, 吉田 智治, 伊藤 忠彦, 苅田 幹夫, 安武 隆二郎, 大谷 達夫, 多田 正弘, 相部 剛, 宮崎 誠司, 河原 清博, ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2327-2334_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道乳頭腫は,稀な疾患とされているが,その2例を経験した.症例1は,67歳男性で,腹部膨満感を主訴として来院した.上部消化管X線検査では,中部食道に山田III型の隆起性病変がみられ,内視鏡検査では,上門歯列より35cmの食道右壁に7×5mm大の乳頭状隆起性病変を認めた.病巣の深さ,広がり及び形態を知る上で超音波内視鏡,電子スコープ検査は有用であった.ポリペクトミーを行ったが,大きさは7×2×8mmで扁平上皮乳頭腫であった.症例2は,71歳女性で,心窩部不快感を主訴として来院した.上部消化管X線検査では,食道下部に山田III型で縦長の隆起性病変がみられ,内視鏡検査では,EC junction直上右壁に15×5mm大の隆起性病変を認め,生検で扁平上皮乳頭腫と診断された.心疾患の既往があることなどよりレーザー照射を行ったが,ほぼ完全に消失した.今回,本邦における著者らの集計を含めその臨床像,成因,食道癌との関連性について検討したので報告したい.
  • 森田 雅範, 門脇 徹, 中澤 慶彦, 田村 智, 坂本 芳也, 宮尾 昌宏, 岡崎 和一, 山本 泰朗, 山本 泰猛, 園部 宏
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2335-2338_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は,57歳の男性.心窩部鈍痛を主訴とし来院,上部消化管検査にて下部食道右後壁に8×5mmの細長い隆起性病変を認め,上部消化管内視鏡検査にて門歯列より40cmの部位に山田III型隆起性病変を認めた.ルゴール染色にてポリープ様病変部には不染帯を認めず,粘膜下腫瘍と推定された.病理組織学的診断と治療を兼ねて,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.病理組織学的には,軽度の扁平上皮層粘膜の肥厚と,粘膜下層にリンパ球を主体とする炎症性細胞浸潤を伴った食道腺過形成より成る病変を認めた.現在まで,本病変の様な病理組織所見を示す食道の隆起性病変の報告はなく,極めて稀な症例と考えられた.
  • 足立 ヒトミ, 黒川 きみえ, 内藤 はるみ, 光永 篤, 平田 文子, 伊藤 弥生, 大田 由己子, 丸山 正隆, 鈴木 博孝, 村上 義 ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2339-2347
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性貧血の発症7年後に橋本病を合併し,内視鏡的コンゴーレッド法で,輪状変色帯を有する1例を経験した.症例は56歳の女性で,悪性貧血と診断され,Vit.B12の治療後7年目に甲状腺機能低下症を合併し,橋本病と診断した.同時期に施行した内視鏡検査で,胃体部粘膜萎縮がみられ,コンゴーレッド法で胃角対側大彎から小彎角上部にかけて輪状変色帯がみられた.本症は自己免疫機序の関与があるA型胃炎の進展様式を知る上で示唆に豊む症例と考えられた.さらに他疾患で,輪状変色帯がみられた症例について検討すると,それらは免疫機序の関与が考えられる疾患であった.
  • 若林 敏弘, 川田 裕一, 勝部 隆男, 小豆畑 博
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2348-2352
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     急性胃軸捻症はまれな疾患で,外科的治療の適応とされる.最近,本症の1例を経験し,内視鏡的に治癒せしめえた.患者は28歳の男性で,主訴は嘔気と腹痛であった.上部消化管X線検査で腸間膜軸性の急性胃軸捻症と診断した.直視型内視鏡を挿入したところ,内視鏡は逆α型に進み,前庭部に閉塞がみられた.体位を腹臥位に変換することにより,閉塞は解除された.内視鏡先端を十二指腸まで進めた後,抜去するように引くと捻転は整復された.本症の内視鏡による治療は本邦第1例と思われる.捻転による絞扼が軽度な症例には,噴門部の通過性が保たれていれば,内視鏡的な治療を試みるべきと考える.
  • 山野 三紀, 北守 茂, 男澤 伸一, 黒川 洋, 柴田 好, 原田 一道, 梶 巌, 岡村 毅興志, 水島 和雄, 並木 正義
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2353-2361
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃粘膜下異所腺は切除胃などの検討では決して稀な病変ではないが,ポリープ様隆起を呈することは少ない.今回われわれは山田III型隆起を呈し,高周波ポリペクトミーで摘出した病変の組織学的検索で,胃粘膜下異所腺であることを確め得た1例を経験したので,文献的考察を加え報告した.症例は70歳の女性.食欲不振で某医を受診し,上部消化管検査で異常を指摘され,精査のため当科に紹介され入院となる.胃エックス線検査,および内視鏡で胃前庭部後壁小彎寄りに頂部に潰瘍を有する約13×16mm大の山田III型の隆起性病変を認め,胃粘膜下腫瘍と診断した.確定診断と治療を目的に,高周波ポリペクトミーを施行した.摘出標本の病理組織学的検索では胃粘膜下異所腺であった.
  • 樫村 雅典, 姫野 誠一, 黒川 正典, 篠村 恭久, 黒島 俊夫, 奥野 優, 金山 周次, 川本 博司, 辻 景俊, 東本 好文, 山崎 ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2362-2367_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は23歳女性で,既往歴に気管支喘息,蕁麻疹がある.腹部膨満,嘔気,嘔吐,腹痛を訴え本院受診,対症療法にて経過観察中,症状悪化のため入院,入院時白血球数46,200,好酸球は71%と増加し,血清IgEは2,400U/mlと高値を示した.Radioallergosorbent-testでは豚肉,卵白が陽性,内視鏡にて,胃は噴門部から胃体部にかけて,十二指腸は上部から下行脚まで皺襞の肥厚と粘膜の浮腫,斑状発赤を認め,粘膜生検では多数の好酸球浸潤が見られた.経過中さらに,全身の浮腫,心襄液の貯溜等,症状の悪化を認めたが,プレドニゾロン30mg/日の投与を開始したところ,直ちに血中好酸球の消失,IgEの減少とともに症状軽快し退院した.本症例はUrelesの分類によるdiffuse eosinophilic gastroenteritisのpolyenteric typeに相当し,Kleinの分類によるpredominant mucosal disease,predominant subserosal diseaseの混合型と考えられるeosinophilic gastroenteritisと診断した.
  • 江川 直人, 伊沢 友明, 田畑 育男, 五関 謹秀, 岡本 篤武, 川口 研二, 小池 盛雄
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2368-2374_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は40歳の男性である.昭和57年に胃集団検診で十二指腸腫瘍を指摘され,他院にて精査を受けたが確診に至らなかった.同年12月に当院を受診し,ERP施行時の観察で,乳頭部に一致して存在する凹凸不整の腫瘍と,それより肛側の粘膜下腫瘍とが認められた.翌年,手術目的で入院したが,生検では確定診断が得られないまま膵頭十二指腸切除術が行われた.乳頭部の他に,膵頭部前面と膵体部にも腫瘍があり,これらは別に切除された.病理組織学的には,いずれもparaganglioneuroma(gangliocytic paraganglioma)と診断された.paraganglioneuromaは十二指腸の下行部に好発する非常に稀な腫瘍であり,われわれが文献から調べ得た限りでは約40例を数えるにすぎず,多発例は本症例が2例目である.本腫瘍の臨床的特徴について若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 海老原 次男, 中原 朗, 松本 好正, 平井 信二, 樫村 博正, 山形 迪, 小山 捷平, 三田村 圭二, 武藤 弘, 福富 久之, 大 ...
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2375-2380_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     多彩な皮膚粘膜病変を伴ったCrohn病の1例を経験した.患者は29歳女性で,2年前からの下痢及び腹痛,発熱を主訴として来院した.入院時,関節痛,結節性紅斑様皮疹,口腔内アフタ,陰部潰瘍が認められた.前医及び当院の14カ月にわたる大腸X線及び内視鏡検査では,初期には非連続性の片側性縦走潰瘍が認められ,入院時には下行結腸肛側に縦走潰瘍が,横行結腸にcobble stone像が認められた.大腸粘膜生検ではサルコイド様肉芽腫の所見を得ることはできなかったが,その特徴的な大腸X線,内視鏡所見よりCrohn病と診断した.また,多彩な皮膚粘膜病変は,臨床的には不全型BehGet病との鑑別を必要としたが,組織学的には好中球よりむしろ組織球を主体とする肉芽腫様変化であり,したがって,これら皮膚病変もCrohn病に起因する変化であると診断した.本症例のように不全型Behcet病様の症状を合併したCrohn病は少なく,また本症例はCrohn病に皮膚病変を伴った場合の鑑別に,皮膚生検像が有用であることを示す1例と考えたので報告する.
  • 岡村 正造, 山本 義樹, 浅井 俊夫, 越知 敬善, 三竹 正弘, 大橋 信治
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2383-2388_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は73歳の主婦.主訴は顔色不良で,腹部症状や便通,便の性状の異常は自覚せず.17年前に胆嚢摘出の既往あり.現症は結膜に軽度の貧血を認めた以外に異常なく,一般検査上も便潜血(〓),Hb 10.1g/dl,以外はCEAも正常であった.上部消化管に異常なく,大腸X線・内視鏡検査にて上行結腸中部に(1)径2.6cmの卵円形の平盤状隆起,(2)径約5cmの大小の結節の集簇からなる病変,(3)径約3cmのBorrmann2型様病変,さらに盲腸にも(4)径2.2cmの表面が結節状の隆起性病変を認めた.ほかに,S状結腸,横行結腸,上行結腸に各1個ずつポリープを認めた.S状結腸ポリープに対し内視鏡的切除術を実施後右半結腸切除術を行った.病理学的には,(1)は深達度pmの中分化型腺癌,(2)はごく一部に高分化型腺癌を認める腺腫内癌で,深達度はsm,(3)は藻達度ssの粘液癌,(4)は深達度pmの高分化型腺癌であった.3個のポリープはいずれもtubular adenomaであった. 本例は胆嚢摘出と大腸癌の関連を考える上で貴重な1例と考えられた.
  • ―特に回腸末端部の内視鏡所見と生検所見について―
    萱場 佳郎, 遠藤 克博, 大方 高志, 佐藤 恒明, 鵜浦 章, 渡辺 晃, 舟田 彰
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2389-2393_1
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Yersinia enterocolitica感染による急性回腸末端炎の1例を報告した.症例は26歳の女性で,右下腹部痛と下痢を主訴として来院した.注腸X線検査では,回腸末端部に伸展不良,壁の不整を思わせる不規則な陰影斑,粗大結節状の陰影欠損を認め,内視鏡検査でも同部位に不整形で白苔を被る境界鮮明な潰瘍を数個認めた.潰瘍周囲よりの生検組織片より連続切片300枚を作製して検討したところ,表層のびらん,多数のリンパ球浸潤,リンパ濾胞の過形成が認められた.しかし肉芽腫の形成は認められなかった.なおYersinia enterocolitica-0:3株に対する抗体価は最高80倍まで上昇したが,第38病日には消失した.
  • 信田 重光
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2394-2395
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • ―内科と外科の接点―
    城所 仂
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2396-2397
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 藤田 力也
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2398
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 竹本 忠良
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2399-2402
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 信田 重光
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2403-2410
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2411-2414
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2415-2442
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2443-2454
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2455-2470
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2471-2486
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 10 号 p. 2487-2502
    発行日: 1986/10/20
    公開日: 2011/05/09
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