日本消化器内視鏡学会雑誌
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28 巻, 12 号
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  • 乾 和郎, 中澤 三郎, 瀬川 昂生, 内藤 靖夫
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3051-3063
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経口的膵管鏡において,直径3.2mmで,アングル機構および洗浄用チャンネルを備えた細径ファイバースコープを試作したところ9従来の膵管鏡と比較して,良質の画像が得られるようになったため,内視鏡所見の詳細な検討が可能となった.そこで,この細径ファイバースコープを用い,各種膵疾患で得られた膵管内視鏡像について検討した.また,切除例での内視鏡所見と病理組織所見との対比検査を行った。主膵管の狭窄を示す膵癌では,膵管内視鏡所見として狭窄部粘膜に,粘膜粗造,発赤,増殖性変化,毛細血管拡張を認めたが,慢性膵炎との対比から・膵癌の内視鏡像の特徴は,増殖性変化と毛細血管拡張と考えられた.病理組織との対比から,増殖性変化は癌の膵管上皮への浸潤様式を,毛細血管拡張は,癌による膵管壁内の血管増生を反映していると考えられた.粘液産生膵癌の内視鏡像は特徴的で,主膵管内に乳頭状に増生する隆起性病変としてとらえられ,その中心部には発赤が透見された。これは,病理組織所見で腫瘍内の増生した血管と一致した。膵管鏡により,膵癌の質的診断だけでなく,主膵管上皮に沿う癌浸潤の拡がり診断も可能であった.
  • ―特に潰瘍合併の有無による鑑別点を中心に―
    岡井 高, 太田 英樹, 里村 吉威, 澤武 紀雄, 北村 徳治, 米島 学, 米村 豊
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3064-3072
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡による陥凹型早期胃癌の壁深達度診断について,病理組織像との対比および治癒過程期良性潰瘍の超音波内視鏡像との比較により検討した.その結果,m癌でも潰瘍合併により第3層を中心に種々のエコーパターンの変化をきたすことを確認した.そして,潰瘍合併に由来する所見として,第2層低エコーの不整狭窄像,第3層全層の肥厚,第3層低エコー部のfine high echo networkの出現,第3層高エコー部の不整中断,第4層低エコーの潰瘍中心部の肥厚などが見られた.一方,癌固有の変化としては,第1層高エコーの減弱,第2層低エコーの不整狭窄を伴わない部分的欠損像,第3層高エコーの部分的狭小化像などが認められた.これらの点に留意して胃壁各層の超音波内視鏡像を分析すれば,より適確な壁深達度診断が可能であろう.
  • 池田 健次, 熊田 博光, 中村 郁夫, 荒瀬 康司, 野澤 靖美, 吉場 朗, 福地 創太郎, 煎本 正博
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3073-3077_1
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    81例の食道胃静脈瘤を有する肝癌症例に対し肝動脈塞栓術(TAE)を施行し,静脈瘤に及ぼす影響について検討した.TAE施行後,4例(4.9%)に静脈瘤の破裂がみられたが,全例が術後6日以内であった.TAEの直前直後に内視鏡により静脈瘤の検査を行った45例についてみると,2例で形態所見(F因子)の悪化,4例で発赤所見(RCS)の悪化がみられた.TAEの後に静脈瘤の破裂した症例も,内視鏡所見の悪化した症例も,いずれも門脈主幹部浸潤を伴う進行肝癌症例か非代償期の重症肝硬変症例であった.臨床的には,進行肝癌症例や重症肝硬変例では,TAEが静脈瘤に悪影響を及ぼし得ると考えられた.
  • 浦岡 正義, 渕上 忠彦, 飯田 三雄, 岩下 明徳
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3078-3085
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1981年1月より1983年12月までに,当施設で19,987件の上部消化管造影と2,390件の十二指腸内視鏡検査を行い,23例の胃底腺および幽門腺からなる十二指腸異所性胃粘膜を経験した.このうち単発隆起は7例(胃底腺例5例,幽門腺例2例)で,径10±7(M±SD)mmの半球状を示し,多発隆起は16例(胃底腺例14例,幽門腺例2例)で,径2~5mmの不揃いな類円形扁平隆起を示した.単発隆起と多発隆起の間には,臨床的にも組織学的にも差はみられなかった.本症の15例(胃底腺例13例,幽門腺例2例)を対象に,内視鏡にて十二指腸球部内反転を行い,胃十二指腸境界部より生検を施行したところ,13例に胃底腺巣が認められた.さらに本症13例の胃幽門前庭部から,生検にて7例に胃底腺巣が認められ,胃十二指腸全体としてのparietal cell populationの増加が示唆された.また,本症における十二指腸球部の背景粘膜は,肉眼上,潰瘍やびらんを伴わない健常粘膜を示しており,その成因に関しては化生よりも迷入が考えられた.
  • 三宅 周, 安原 高士, 岩野 瑛二, 佐々木 俊輔, 川口 憲二, 尾上 公昭, 河野 宏
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3086-3090
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対する内視鏡的栓塞療法(以下EISと略す)は,その効果の持続期間について注目されている.このたびは,EIS施行後6カ月以上内視鏡的に追跡可能であった症例を中心に検討を加えて報告する. EISを施行した57例中,男22例,女11例の計33例を対象とした.EISの方法としては高瀬法を用い,5% ethanolamine oleateを食道静脈瘤の血管内に直接注入した. 33例の平均観察期間は19.8カ月であった.EIS直後には,31例(94%)に発赤所見(RC sign)の消失あるいは形態(F)の改善をみとめた.17例(52%)において,平均17カ月の良好な経過が確認された.14例は増悪をきたし,RC sign消失の持続期間は9.9±5.5カ月(平均±SD),F改善の継続期間は17.5±12.9カ月であった.静脈瘤出血死は極度に減少した.以上より,4カ月ごとに内視鏡検査を行うことにより静脈瘤の増悪を早期に発見し,早期に治療することが重要であると考えられた.
  • 鈴木 邦夫, 郡 大裕, 加藤 卓次, 多田 利男, 野村 元積, 木下 晴生, 浅田 尚紀, 山下 敬司, 浜中 大三郎
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3091-3099
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    スコープ先端部にCCD(Charge coupled device)を内蔵した電子内視鏡(WAVE system)による胃内視鏡像を用いて,コンピューターを利用した画像処理,画像解析の試みを行った.画像処理に使用した装置は,カラー画像入出力演算装置nexus 6400とミニコンピューターVAX11/750である. 画像強調処理法としては高周波成分強調処理法,赤成分微分処理法が有効であり,微分処理法により従来のインジゴカルミン色素撒布法によるアレア模様とは異なるより微細な模様像が描出された.また,RGBの成分比率による画像解析法をいくつか呈示した. 今回試みた画像処理および画像解析の臨床的意義については今後詳細な検討が必要であり,さらにその臨床応用についての問題点などについて考察した.
  • 山中 桓夫, 吉田 行雄, 上野 規男, 渡辺 洋伸, 杉山 新一, 木村 健, 渡辺 賢司, 斎藤 建
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3100-3109
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌6例を対象として、超音波内視鏡による浸潤範囲判定の有用性と問題点について検討した. 対象全例において,超音波内視鏡の十二指腸下行脚までの挿入が可能であり、腫瘍の明瞭な断層像が得られた.腫瘍の大きさ,総胆管・膵管浸潤の有無とその程度,十二指腸浸潤の有無の判定が可能であり,その所見は切除標本の病理所見とよく一致した.膵浸潤に関しては、膵と膵周囲脂肪織が明瞭に識別されず、明らかな膵浸潤像を認めた2例以外の症例では判定困難であった. 超音波内視鏡は,十二指腸乳頭部癌浸潤範囲判定の新しい有力な検査法と考えられた.
  • 金子 栄蔵, 大井 成子, 山田 正美, 本田 西男, 張 景明, 丹羽 寛文
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3110-3117
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    40歳以上の胃集検で発見された十二指腸潰瘍(DU)299例を,病期の如何を問わず未治療のまま6カ月毎の内視鏡検査で1年間経過を追跡した.その結果初回発見時openであったものの24.1%が1年後瘢痕化し,初回瘢痕であったものの31.8%が1年後再発していた.初回H2期潰瘍であったものはその59.4%が1年後もH2期であった.初回S1期とS2期のものの1年後では後者で有意に再発が少なかった.この間疼痛のため投薬を行ったものは12例,出血は1例で,手術例,死亡例はなかった.DUではopenであっても無症状のまま長時間経過するものが稀でなく,画一時H2プロッカー投与の必要性について再考すべきであろう.
  • 内田 雄三, 友成 一英, 重光 修, 葉玉 哲生, 柴田 興彦, 調 亟治, 松本 興三, 横山 繁生, 古澤 毅
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3118-3125
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道癌が上皮内癌の状態で発見されることは比較的稀である.症例は60歳男性.4年間にわたり十二指腸潰瘍の薬物療法を受け,毎年4回以上の内視鏡検査を受けていた.4年目の第3回目の内視鏡検査では食道に異常所見はみられず,それから6カ月後の内視鏡検査で,門歯列から38cmのEi領域に,爪甲大の発赤がみられ,Lugol染色法で不染帯として認められた.この部位の生検で扁平上皮癌と診断された.胸部食道全摘,リンパ節郭清が右開胸下に施行された.切除標本では,食道胃接合線より約3cm口側の食道の約半周に,2.5×2.0cm大で,境界不整,粘膜面が顆粒状不整の表在平坦型の病変がみられた.組織学的には食道上皮内癌(扁平上皮癌)であり,リンパ節転移はなかった. 食道癌を上皮内癌の状態で発見するためには,愁訴のない人も含めて,6カ月に1回の内視鏡検査が行われることが望ましい.
  • 安村 政芳, 風呂谷 匡彦, 奥 篤, 中山 恒夫, 西岡 新吾, 矢高 勲, 永井 祐吾, 勝見 正治
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3126-3130_1
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    三重複隆起型早期癌を合併した胃過形成性ポリポーシスの1例について報告した.患者は56歳男性.上部消化管透視,胃内視鏡検査にて胃体上部から胃角部に隆起性病変の多発を認め入院となった.数個の比較的大きなポリープからの生検では悪性所見を認めず,過形成性ポリポーシスと診断されたが,癌の併存を否定できないため胃全摘術を施行した.切除標本では胃体上部から胃角部に最小2×2mmの山田1型から最大20×17mmのIV型ポリープを計39個認めた.病理組織学的検索にて,胃角部小彎,後壁および大彎にそれぞれ12×7mm,5×4mm,7×6mmの隆起型早期癌(m,pap)を認めた.これらの癌腫は肉眼的に他の過形成性ポリープと識別することはほとんど不可能であり,本症例の如き胃ポリポーシスでは可能な限り胃切除術を施行することが望ましいと思われる.
  • 釜田 秀明, 波多野 剛之, 佐藤 康雄, 大岡 一昭, 吉田 浩之, 渡辺 浩之, 竹内 治男, 佐田 博, 田口 進, 八田 善夫, 副 ...
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3131-3137
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃病変を主体とした全身性原発性アミロイドーシスの1例を経験したので報告した. 症例は53歳,女性,心窩部痛,全身倦怠感を主訴として入院,上部消化管X線検査にて胃角から胃体部にかけて約5mm幅のヒダが小彎大彎ほほ伺じ密度で平行に走り,その表面に大小不同の顆粒形成を認めた.胃内視鏡検査では噴門部から胃体部,胃角部にかけて平行に行るヒダの表面に微細顆粒状隆起をびまん性に認め送気により易出血性であった.同時施行した胃生検の結果アミロイドーシスと診断した.下部消化管はX線,内視鏡検査とも著変を認めなかったが直腸から上行結腸に至る10カ所の生検のすべてにアミロイドの沈着を認めた.貧血の改善目的で胃全摘術を施行,同時摘出した胆嚢及び肝切片にもアミロイドの沈着を認めた.アミロイド蛋白の検索の結果AA,Ax,Aλ,pre-albuminともに陰性でplasmacell dyscreasiaの所見も認められないことよりALtypeの原発性アミロイドーシスと診断した.
  • 平井 信二, 小山 捷平, 海老原 次男, 中原 朗, 山形 迪, 武藤 弘, 福富 久之, 大菅 俊明, 菊池 正教, 浅倉 禮治, 崎田 ...
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3139-3145_1
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例1は67歳の男性で,心窩部痛および黒色便を主訴に来院し,胃内視鏡および胃生検にて,分化型腺癌と共存するBorrmann 2型の胃の腺扁平上皮癌と診断された.患者は術後約5年を経た現在でも外来通院中である.症例2は72歳の女性で,上腹部不快感を主訴に来院し,同様に胃内視鏡および生検にて,低分化型腺癌と共存するBorrmann1+IIa型の胃の腺扁平上皮癌と診断された.病理組織学的所見では,sm浸潤までの1+IIa型早期胃癌であった.術前に診断された胃の腺扁平上皮癌は稀な症例であり,文献的考察を加えて報告した.
  • 多田 秀樹, 芦田 潔, 三好 博文, 黎 維明, 糠谷 伝一, 中川 憲, 竹田 喜信, 大柴 三郎
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3146-3150_1
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Nd-YAGレーザー照射により排石し得た総胆管結石の2症例を報告した.症例1:68歳,女性.ERCPで総胆管に33mm×20mmの結石を認めた.ESTは施行できず,結石が嵌頓したためPTCDを行った.PTCD瘻孔より胆道ファイバーを挿入し,クオーツファイバー先端を結石に密着させ30W,1~2秒間の反復照射を行った.照射後,結石は十数個に截石され完全排石し得た.尚,成分分析ではコレステロール結石であった.症例2:78歳,男性.総胆管に3個(最大25mm×22mm)の結石あり,EST後バスケットによる排石を試みたが,総胆管の著明な屈曲のためバスケットが開かず完全排石はできなかった.症例1と同様にPTCDを施行し,密着レーザー照射にて完全排石し得た.成分分析ではビリルビンカルシウム石であった.これらの2症例より,EST不可症例及びESTのみでは排石し得ない総胆管結石症例に対するPTCD瘻孔よりのNd-YAGレーザー照射,ことに密着照射の有用性が確認された.
  • 高橋 豊, 磨伊 正義, 荻野 知己, 上田 博, 北村 徳治, 上野 雅資, 菅 敏彦, 太田 孝仁, 浅井 透
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3153-3159
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.胃集団検診にて異常陰影を指摘されて当院受診した.胃X線写真並びに胃内視鏡にて胃体下部後壁に粘膜下腫瘍像を呈し,CTにて後腹膜の腫瘤像が認められたため,それによる胃の圧排と考えられた.開腹術により腫瘍は容易に摘出可能で,周囲臓器への浸潤やリンパ節転移などは認められなかった.腫瘍は,やわらかく被膜を有する卵円形を呈し,大きさは3.0×3.0×2.5cm,重量は15.59であった.病理組織学的検索にて,クロム親和性を持つparagangliomaと診断された.後腹膜原発のparagangliomaは,文献的に本邦でこれまで19例の報告をみるにすぎず,その中でも本症例は最も小さい腫瘍と考えられた.
  • 松本 悠輝, 藤岡 利生, 村上 和成, 首藤 龍介, 末綱 純一, 松永 研一, 寺尾 英夫, 谷口 友章, 那須 勝, 糸賀 敬, 伊藤 ...
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3160-3168_1
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Deuble pylorusは,本来の幽門のほかに,幽門前庭部と十二指腸球部との間に副交通路を認める稀な形態異常である.今回われわれは,潰瘍治癒過程において生じた後天性double pylorusを経験したので報告する.症例1:40歳,男性.心窩部痛を主訴に来院し,幽門前庭部小彎側および十二指腸球部にUl-IVの潰瘍が認められた.2カ月後両潰瘍間に瘻孔を形成し,cannulaを用いdouble pylorusと診断し得たが,6カ月後内視鏡検査にて2本の交通路は融合しているのが確認された. 症例2:73歳,男性.胃潰瘍の診断のもとで経過観察を行っていたところ幽門前庭部小彎側前壁と十二指腸球部の間に瘻孔を形成し,本来の幽門輪より色素を注入して瘻孔の門口部より逆流を認め,double pylorusと診断した. 本症例2例は,後天性double pylorusの経過を観察し,診断し得た稀な症例であり,本報告ではその成因等に関して考察を行い,あわせて本邦46例の文献的考察を加えて報告した.
  • 多田 正大, 清水 誠治, 岡田 博子, 岩破 淳郎, 吉中 正人, 稲富 五十雄, 川井 啓市
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3169-3173
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    坐薬の挿入および浣腸によって起こった直腸粘膜損傷による大量出血に対して,ヒートプローブ法を用いて安全に止血することに成功した2症例を報告した. ヒートプローブ法は上部消化管出血に対する新しい止血法として,最近,注目されているが,適応を誤らなければ,大腸出血に対する内視鏡的止血法としても活用できることが確認された.
  • 鈴木 俊太郎, 五十嵐 潔, 千葉 満郎, 島 仁, 長崎 明男, 荒川 弘道, 正宗 研, 吉田 司
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3175-3179_1
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的polypectomyにより確定診断し得た翻転虫垂切除断端の1例を報告した.症例は34歳男性,主訴は右下腹部痛.注腸X線検査で盲腸外背側に亜有茎性,卵円形,表面平滑な10×15mmの腫瘤陰影を認めた.大腸内視鏡検査では同部位に正常大腸粘膜に覆われた,黄色調で一部に発赤のある,表面平滑なポリープを認めた.虫垂基部を確認できず,鉗子にてsoftness, sliding sensationを認めなかったことから,翻転虫垂切除断端の可能性を否定できなかった.しかし,ポリープが,通常虫垂基部がみられる回盲弁の下方内背側と異なり,盲腸外背側に存在したこと,鉗子で圧迫すると陥凹し,cushionsign, pliabilityを認めたことから脂肪腫と診断した.腸重積,出血の可能性も考えられ内視鏡的polypectomyを施行し,摘出標本の病理組織学的検索で翻転虫垂切除断端と確診した.
  • 李 成来, 今村 達也, 加来 数馬, 青沼 脩次郎, 岡田 安浩, 連 吉時, 飯田 三雄
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3180-3187
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は46歳の男性で,主訴は粘液水様便と倦怠感であった.4年前に下痢が始まり次第に頻回となり,半年前には8~10回/日にも達し,倦怠感も出現した.排出粘液は1,300~1,800ml/日で,粘液中のK濃度は20.0mEq/Lと高濃度であった.血清Kは3.3mEq/Lと低K血症を呈していた.直腸指診で肛門より5cmの直腸壁に柔らかい腫瘤を触知した.大腸X線及び内視鏡検査で,同部に結節状の柔らかい大きな腫瘍を認め,生検ではGroup4でsevere atypiaを伴うvillous tumorと診断された.Miles法による腫瘍を切除,術後血清Kは正常化した.腫瘍は18×17×3.0cmで,表面は顆粒状あるいは結節状を呈していた.組織学的には,腫瘍は絨毛状に増殖し,異型を示す高円柱細胞が密に配列しており,大部分は粘膜内にとどまっていたが一部異型の強い部分では粘膜下層への浸潤がみられた.さらに所属リンパ節への転移も認められたことより,癌を合併した絨毛状腺腫と診断された.
  • 三宅 健夫, 酒井 正彦, 並木 正義, 石川 誠, 小黒 八七郎, 多賀須 幸男, 林 貴雄, 横山 泉, 三輪 剛, 福富 久之, 小越 ...
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3188-3195
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 張 斉耿
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3196
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 12 号 p. 3197-3304
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 28 巻 12 号 p. 3313
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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