日本消化器内視鏡学会雑誌
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28 巻, 2 号
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  • (1)副乳頭の形態と膵疾患との関連
    衣川 皇博
    1986 年 28 巻 2 号 p. 237-245
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸副乳頭の臨床的意義を明らかにする目的で,13歳から86歳までの94例を対象として,十二指腸副乳頭の内視鏡的形態分類を行い,その形態と膵液ドレナージとの関連性について検討を行った. 副乳頭を内視鏡的に,I 型:commontype,II 型:swelling type,III 型:solid-swelling type,と大きさを加味した形態分類を行った.そして膵液ドレナージ正常群ではI 型,膵液ドレナージ障害群ではIII 型を示すものが多かった. 筆者の内視鏡分類は副乳頭の内視鏡所見から,膵液ドレナージ障害に関する情報がある程度までえられることで利点があると考えられた.また,この臨床的検討によって,副乳頭が膵の病態を反映している可能性が高いことが示唆された.
  • (2)内視鏡的副乳頭切開の試み
    衣川 皇博
    1986 年 28 巻 2 号 p. 246-252_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ビマン性慢性膵炎2例,pancreas divisum症例1例にneedle typeのpapillotome(fistulotome)を用いて,内視鏡的副乳頭切開術を施行した.その結果,pancreas divisum症例では背側膵管造影に成功し確診がえられるとともに,背側膵管ロドレナージに成功した.また,慢性膵炎の症例に対する副乳頭切開は,高度膵炎症例では症状の緩和を目的とし,軽度膵炎症例では病勢の進行の遅延を期待して施行した. 本法は高度慢性膵炎に対しては,外科的手術あるいは内視鏡的膵管口切開術に対する補助的治療として位置づけることができた.また,軽度膵炎症例では,とくにアルコール性再発性膵炎における積極的治療法としての意義を見出した. なお,副乳頭切開後に一過性の腹痛を認めたが,なんら重篤な合併症なく,安全に施行できるものと考えている. 膵疾患に対する内視鏡による治療的アブローチは,まだ始まったばかりであるが,主乳頭ばかりでなく,副乳頭からのアプローチも有用であると考えられる.
  • ―胃癌深達度診断を中心に―
    安田 健治朗, 清田 啓介, 向井 秀一, 西村 和彦, 趙 栄済, 小林 正夫, 吉田 俊一, 今岡 渉, 藤本 荘太郎, 中島 正継, ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 253-263
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡を用いた上部消化管病変診断の一環として,EUSの癌深達度診断能を検討した.EUS施行食道癌8例と胃癌78例を対象とし,このうち特に組織との対比が可能であった胃癌58例について解析,検討を行った.従来からの報告の通りEUSにより上部消化管壁は5層構造として観察される.この5層構造の変化を解析し,癌深達度診断を行った.この結果,粘膜内にとどまる癌(m癌)では病変の変化は第1層と第2層にとどまり,第3層の高エコー粘膜下層以下には変化は認められなかった.また,粘膜下層にとどまる癌(sm癌)では第3層のsm層に不整像を示したが中断像は認めなかった.一方,固有筋層の浸潤を示す癌(pm癌)では第3層のsm層の中断が観察されたが,第5層のss+s層に変化は認めなかった.さらに,漿膜下層以上の浸潤を認める場合には高エコーsm層の中断と第5層ss+s層の不整像または中断像が観察された.潰瘍変化を合併した場合にはsm層の中断形態から,癌性中断か潰瘍性中断かの鑑別も可能であった.また,スキルス胃癌では,sm層を中心とした胃壁全層の腫大と層構造の破壊を特徴とする断層像が観察された.このEUSの癌深達度診断を組織との対比が可能であった胃癌58例について,術前の早期癌と進行癌の鑑別を行ったところ,診断率は54/58(93.1%)で,さらに最近の41例をm癌,sm癌,pm癌,ss以上の癌に分けるとその診断率は33/41(80.5%)であった.以上,EUSによる癌深達度診断の可能性並びに有用性について検討し報告した.
  • 松本 好市, 梅原 規子, 森山 茂, 松嶋 一晃, 岩田 康, 山本 純二, 本多 栄一
    1986 年 28 巻 2 号 p. 264-270
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    私共の教室で行なっている大腸の内視鏡検査及び1975年3月からスタートした内視鏡的ポリープ切除術の方法について簡単に述べると共に,1984年末までに切除された232例363個のポリープ(腺腫内癌,及び非上皮性の脂肪腫,平滑筋腫を含む)について臨床病理学的に検討を行なった.切除ポリープは,71%が直腸S状結腸にあり,229個63%が腺腫であった.いわゆる腺腫内癌は31個認められ,最大径1cm以下の小ポリープにおいても3.7%に,1cm以上のものでは23%の高頻度に腺腫内癌が認められた.ポリープの多発例は59例25.4%あり,殊に初回検査時に2個以上のポリープが切除された症例のポリープ再発見率は高く,こうした症例はより慎重なfollow-upが必要であることが示唆された. 以上の結果より,今や大腸内視鏡検査,あるいはポリープ切除は比較的安全に行なえることとも考え合わせ,大腸隆起性病変の診断,治療,殊に大腸癌の発生予防の意味からも大腸ポリープ内視鏡的切除の益々の普及発展が期待される.
  • 蔡 承熹, 福富 久之, 川北 勲, 樫村 博正, 熊谷 博彰, 中原 朗, 大菅 俊明, 崎田 隆夫, 吉崎 亮造
    1986 年 28 巻 2 号 p. 271-282_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは生体内のhematoporphyrine derivative(HpD)の相対濃度を体外から測定する方法(optical density method)を開発し,この方法を用いて,HpD投与後の担癌ヌードマウスおよび胃癌患者の生体内相対HpD濃度を経時的に測定し,HpDの腫瘍集積性およびそのメカニズムについて検討した.さらに,HpD投与後の内視鏡的蛍光分析による悪性腫瘍の診断における意義についても検討した.結果:(1)optical density methodにより計算した生体内のHpD濃度と投与量との相関は0.97と高かった.この測定法によって得られる値は生体内のHpD濃度を正確に反映しているものと確認した.(2)ヌードマウス移植担癌体においては,HpDの腫瘍親和性は認められなかったが,腫瘍蓄積性は認められた.この腫瘍蓄積性のメカニズムはHpDと血清蛋白との結合体の腫瘍からの排出低下によるものと推測された.(3)HpD投与後の胃癌患者の腫瘍部は高い630nmのピークを示し,健常粘膜のスペクトルとはかなり異なった波型を示した。HpD投与後の経内視鏡的蛍光分析は癌の診断に有用であると考えられた.
  • 野口 隆義, 相部 剛, 大谷 達夫, 衣川 皇博, 秋山 哲司, 浅上 文雄, 天野 秀雄, 播磨 一雄, 有山 重美, 富士 匡, 竹本 ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 283-289_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ERCP,USで膵癌が疑われた自験の15症例に超音波内視鏡検査(以下,EUSと略す)を施行した.EUSにより,15例中14例に腫瘍エコー像が描出され,このうち13例の腫瘍内部エコーは低エコーレベルであった.残る1例は小膵癌症例であり,低エコーレベルの腫瘍像として描出されたが,超音波の入射角度によっては,等エコーレベルの腫瘍像としても描出された.さらに,腫瘍辺縁は14例中10例(71%)が不整であり,腫瘍内部エコーは14例中11例(78%)が均一であった.現時点では,EUS上,膵癌は辺縁が不整な,内部エコー均一な低エコーレベルの腫瘍像として描出されると考えられた.次に,ERCP,US,血管造影およびEUSでの膵癌の正診率を比較した.膵癌15症例において,ERCPは術後胃や癌の十二指腸浸潤のため,膵管像が得られなかった3例を除く12例中11例(92%),USは15例中9例(60%),EUSは15例中14例(93%),血管造影は12例中8例(67%)に正診可能であり,EUS,ERCPは膵癌診断に有力な検査法であることが示唆された.
  • ―Ethanolamine oleateとPolidocanol(Aethoxysklerol)の比較―
    三好 博文, 鄭 鳳鉉, 島本 史夫, 浅田 修二, 白木 正裕, 阿部 和夫, 芦田 潔, 折野 真哉, 林 勝吉, 岩越 一彦, 大柴 ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 290-297
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経内視鏡的食道静脈瘤の硬化塞栓療法をethanolamine oleate(EAO)の静脈瘤内注入とpolidocanolの静脈瘤内,外注入により行った.EAOで15症例23回,polidocanolで9症例21回の療法を行い,各々の薬剤による効果,合併症を比較検討した.平均施行回数はEAOで1.5回,polidocanolで2.3回であり,ほとんどの症例でCW,F1,RC(-)以下に改善した.polidocanolの静脈瘤内注入では,ほとんど静脈瘤の改善の見られなかった症例が2例あり,効果の面ではEAOが優れていた.合併症はpolidocanol使用時に少なかった.EAOは静脈瘤内以外に多量に注入すると穿孔の恐れがあり,必ず透視下にて確認しなければならず,手技としてはpolidocanolより繁雑であった.
  • 伊藤 克昭, 杉浦 弘, 鳥山 和彦, 堀田 茂樹, 春日井 達造
    1986 年 28 巻 2 号 p. 298-309
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経内視鏡的な光線力学的治療(photodynamic therapy)の胃・大腸腫瘍に対する治療効果と至適な治療条件を検討し報告した.治療効果は手術(剖検を含む)による組織学的検討か,初回治療後の経過観察の成績で評価された.胃腺腫の初回治療有効率は88%(8病変中7病変)であった.早期胃癌の初回治療有効率は67%(30病変中20病変),Nd:YAGレーザー不成功の早期胃癌例は43%(7病変中3病変)であったが,追加治療を含めた有効率は各々77%,71%であった.胃腺腫を含めm癌と推定した病変の初回治療有効率が82%であったのに対し,sm癌と推定した病変は25%であった.追加治療後はsm癌の4例も癌陰性で経過しているが,sm癌を1回で治療することの困難さが示唆された.胃腺腫,早期胃癌等の表在型腫瘍に対する治療条件は,先端出力300mw,90joules/cm2以上が必要と考えられた.大腸腫瘍例は,腫瘤型の大きい病変が多く,治療効果はほとんどが部分的であった.腫瘤型腫瘍に対する照射条件の検討とともに,病巣の占居部位による照射角度の制約を克服する特殊な照射装置の開発が急務と考えられた.今回,私どもが開発した環状照射装置を供覧したが,今後症例を重ね検討したい.光線力学的治療に重篤な合併症はなかったが,ヘマトポルフィリン誘導体の副作用として,治療を要した皮疹や皮膚炎を22%に認めた.
  • 鳥本 悦宏, 矢崎 康幸, 高橋 篤, 鈴木 貴久, 富永 吉春, 佐藤 仁志, 長谷部 千登美, 石川 裕司, 奥野 一嘉, 関谷 千尋, ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 311-317
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    当教室において経験した胆道癌症例29例(胆管癌19例,胆嚢癌10例)と膵・胆管合流異常(以下単に合流異常とする)症例19例につき検討した.その結果,胆道癌症例29例中10例(34%)に合流異常の合併を認め,合流異常症例19例中10例(53%)に胆道癌の合併を認めた.また合流異常合併胆道癌症例10例の平均年齢は59.7歳で,合流異常を合併しない胆道癌症例の平均年齢61.6歳よりもやや低い傾向がみられた.以上より合流異常と胆道癌の発生との間に深い関係のあることが示唆された.合流異常合併胆道癌症例のうちわけは,先天性総胆管拡張症に合併したものが2例で,いずれも拡張胆管壁の癌化であった.残りの8例は総胆管が嚢腫状拡張を示さないもので,5例が胆管癌,3例が胆嚢癌であった.したがって,総胆管が嚢腫状に拡張しない症例に胆嚢癌のみならず,胆管癌も発生することがわかった.また合流異常症例では,加齢とともに癌の合併頻度が高くなる傾向がみられた.これらの問題につき自験例を示すとともに,文献的考察を含め報告した.
  • 工藤 正俊, 平佐 昌弘, 高鍬 博, 伊吹 康良, 藤見 勝彦, 宮村 正美, 冨田 周介, 小森 英司, 藤堂 彰男, 白根 博文
    1986 年 28 巻 2 号 p. 318-325
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    極めて稀な腫瘍である食道血管腫の1例を経験し内視鏡的ポリペクトミーにて切除し得たので報告する.症例は76歳の男性で,主訴は嚥下困難.初診時の食道造影にて上部食道の隆起性病変を指摘された.食道内視鏡では門歯列より約20cmの部位に鉗子による圧迫で容易に陥凹する青赤色調の有茎性隆起性病変を認めた.CTにては,食道内腔に突出する腫瘍像に加え造影剤急速静注により同腫瘍は血管と同程度に濃染し食道血管腫に合致する所見が得られた.ポリペクトミーは,大量出血に備え気管内挿管を行った上で,ポリープ茎部に無水エタノールを局注し,血管腫への血行を途絶させた後に電気焼灼した.切断端よりの出血は全く認めず摘出標本は2 .2×1.2×0.9cmで組織学的にも毛細血管腫と最終診断された.文献上食道血管腫の本邦報告例は25例で,そのうち4例に内視鏡的ポリペクトミーが施行されている.血管腫といえども慎重に施行されれば安全に内視鏡的切除が可能と考えられた.
  • 岩井 彰, 井出 政芳, 林 澄彦, 広瀬 昭憲, 大野 恒夫, 永原 鉱二, 角鹿 精二, 伊藤 誠, 武内 俊彦
    1986 年 28 巻 2 号 p. 327-333
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Barrett潰瘍の2例を報告した.症例1は69歳男性で動悸を主訴とし入院した.食道X線検査ならびに内視鏡検査で下部食道に巨大潰瘍が認められた.症例2は70歳男性で胸部圧迫感を主訴とし入院した.食道X線検査では下部食道に狭窄像と粘膜面のバリウム斑がみられ,内視鏡検査にて狭窄部の口側に地図状潰瘍,狭窄部の中にも浅い潰瘍が認められた.両症例とも潰瘍の背景粘膜からの生検で特殊円柱上皮が認められ後天性成因によるBarrett潰瘍と診断した.pirenzepine,sucralfate,cetraxateを投与し両症例とも潰瘍の順調な治癒がえられ,Barrett潰瘍の治療に胃酸の分泌抑制剤と粘膜防禦因子増強剤による併用治療が有効であると推測された.
  • 村田 哲也, 竹川 正純, 恒矢 保雄, 吉峰 順子, 福家 博史, 鈴木 司郎, 秋山 俊夫
    1986 年 28 巻 2 号 p. 335-339_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    山田IV 型のポリープ型食道癌の1例を報告する.患者は75歳男性で,健康診断の上部消化管透視で食道にポリープ状病変を指摘され,その精査治療目的で当科入院となった.入院時理学的検査,血液生化学検査はほぼ正常であった.腹部及び縦隔のCTスキャンにも異常所見を認めなかった.内視鏡検査では門歯列より33cmの食道に径1cmで表面細顆粒状のポリープ状病変を認めたが,その周囲の粘膜には異常を認めなかった.内視鏡的ポリペクトミーが施行され,切除標本では粘膜上皮に非角化型高分化型扁平上皮癌が認められたが,血管やリンパ管への脈管浸襲は認められなかった. 一般に食道癌は肉眼的に隆起型,表層型,潰瘍型に分類されるが,隆起型の内でもポリープ状のものは稀で,特に山田IV 型のものは極めて稀である. 本症例に対し,内視鏡的ポリペクトミー後に根治的放射線療法を行なったが,本症例の予後は比較的良好であろうと考えられた.
  • 横沢 禎二, 佐藤 信行, 鈴木 誠, 西野 執, 成木 行彦, 松尾 賢二, 水落 勝明, 大塚 幸雄, 新藤 健, 工藤 玄恵
    1986 年 28 巻 2 号 p. 340-347
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Barrett食道に発生した腺癌はまれなものである.著者らは,色素内視鏡検査でBarrett食道に発生した表在癌を診断した.症例は72歳女性.偶然,食道X線造影検査で,腫瘤型病変が発見され,食道内視鏡検査では,上門歯列より29cmの部で粘膜面の色調が変化しているZ-lineを認め,その肛側に表面隆起型病変が認められた.色素内視鏡検査では,ルゴール液での反応後に食道は,Z-lineまで口側が変色したが,肛側の腫瘍は変色しなかった.コンゴレッドによる反応後では,Z-lineから肛側が黒褐色調に変色したが,腫瘍は変色しなかった.生検を行ない,Barrett食道に発生した腺癌と診断した.食道裂孔ヘルニアの合併はなかった.食道亜全摘術・胸骨下食道胃吻合術を施行した.摘出標本の病理組織学的検討では,不規則な食道胃粘膜接合部の肛側に2×2cmの隆起型の高分化型腺癌が認められ,粘膜下層まで浸潤しており,リンパ節に転移を認めた.Barrett食道はfundictype epitheliumとintestinal type epithelium, junctional type epitheliumが混在しており,その粘膜下層に食道腺が観察された.また,円柱上皮の中に島状にとりのこされた扁平上皮があり,後天的要因によりBarrett食道が発生したと考えられた.本邦報告9例についての検討を加えた.
  • 佐藤 邦夫, 狩野 敦, 金 俊夫, 山下 純一, 増山 仁徳, 小坂 陽一, 折居 正之, 増田 友之, 小豆島 正博, 千葉 俊明, 加 ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 348-355
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    集団検診で発見した胃ポリープに対し,明らかな増大を示したのでポリペクトミーを施行したが,その後9個の胃ポリープが新たに成長する過程を追跡し得た症例を報告する.患者は59歳女性で,49歳時の昭和49年秋,幽門前庭部壁に山田III 型の過形成性ポリープを発見した.このポリープは昭和54年には大きさを増し,形もVI型へと成長していたので,同年4月ポリペクトミーを施行した.その後現在まで次々と9個のポリープが新生,成長したが,これらのほとんどはいわゆるポリープの芽から山田I,II,III,IV 型へという発育経過をたどった.組織学的にはいずれも過形成性ポリープであった.ポリープの成長期間にははっきりとした時間的な法則性はなかったが,各型から次の型までの成長には約10カ月を要しているものが多く,また芽からIV型まで成長した4個のポリープの成長期間は最短1年8カ月,最長4年1カ月で,平均2年7カ月であった.
  • 櫻井 剛, 小西 恭司, 当銘 節, 黒岩 重和
    1986 年 28 巻 2 号 p. 356-360_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    消化管,特に胃の血管性腫瘍は比較的少なく,本邦ではこれまで70数例が報告されている.本報告の症例は18歳女性,吐血にて来院し,胃内視鏡検査ならびに胃X線検査にて胃の血管腫と診断された.手術切除標本では,肉眼的に胃体部大彎を中心に巨大皺襞症を思わす広汎な病変があり,組織学的には海綿状血管腫であったが,肉眼型が比較的特徴的でMorsonのいうびまん浸潤型に相当するものと考えられた.
  • 島本 史夫, 岩越 一彦, 大柴 三郎, 伊左治 治子, 岡島 邦雄
    1986 年 28 巻 2 号 p. 361-365_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Crohn病は消化管のあらゆる部位に発生する慢性炎症性肉芽腫性疾患である.本邦では比較的まれな疾患であるが,近年その報告例は急増している.今回,著者らは,胃結腸瘻を伴った,Crohn病の1例を経験したので報告する.症例は48歳の女性,主訴は腹痛と下痢,消化管精査により,横行結腸とS状結腸に縦走潰瘍と敷石状所見を認め,胃前庭部大彎と横行結腸に瘻孔形成が認められた.回腸末端付近にも縦走潰瘍がみられた.大腸全摘術が施行され,切除標本では,壁の肥厚,硬化が著明であり,敷石状所見,縦走潰瘍,全層性炎症像,非乾酪性肉芽腫を認めた.以上より,回腸結腸型のCrohn病と確診した.胃結腸瘻を伴ったCrohn病はきわめて稀であり,本邦では自験例を含め3例しか報告されておらず,Crohn病の症例の豊富な欧米においても1937年から1984年までに13例の文献的報告がなされているのみである.
  • 赤司 隆裕, 川口 新一郎, 権藤 和久, 樋野 隆文, 山内 一明, 力武 潔, 永田 一良, 江畑 浩之, 中嶋 文行, 佐々木 英, ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 366-373
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Schoenlein-Henoch紫斑病(以下SHP)は成人では比較的稀である.今回私たちは,内視鏡的生検組織の免疫組織学的検索が診断に有用であった症例を経験したので報告する.症例は,四肢紫斑,腹痛,下血,血尿を主訴に入院した60歳の男性で以前より肝硬変を指摘されていた.入院時の内視鏡検査で,胃,十二指腸,大腸の粘膜下出血斑と胃前庭部小彎側に浅い潰瘍を認めた.肝硬変に合併した消化管病変も考えられたため,ステロイド投与が躊躇された.病変部よりの生検組織に間接螢光抗体法を用いて,IgA,C3の沈着が認められたため,SHPによる消化管病変と考えられた.その後,ステロイドパルス療法,血漿交換施行により消化管病変はほぼ改善を示した.
  • 原 久人, 柴田 好, 岡野 重幸, 鈴木 安名, 武藤 英二, 武田 章三, 神田 誠, 原田 一道, 水島 和雄, 岡村 毅與志, 上田 ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 374-381
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大量の消化管出血で搬送され,緊急内視鏡検査によりExulceratio simplex(Dieulafoy)と診断し,直ちに内視鏡的止血法を行なった4例について報告した.症例は全例男性で,症例1は54歳,症例2は77歳,症例3は51歳,症例4は77歳であった.主要症状は症例2がタール便,他はいずれも吐血であった.緊急内視鏡検査の結果,症例1は体下部後壁に,症例2は噴門直下後壁に,症例3は体上部後壁に,症例4は穹窿部大彎側にそれぞれ径2~3mmの微小な粘膜欠損部とその中央に1mm程度の露出血管を認め,Exulceratio simplex(Dieulafoy)の所見を呈していた.症例1に対しては,高張ナトリウムーエピネフリン(Hypertonicsaline epinephrine:HS-E)液局注療法,他の3例に対してはHS-E液局注療法後,高周波電気凝固療法を併用した.その結果症例1,2,4は内視鏡的止血法で永久止血を得たが,症例3は第5病日に大量吐血後ショックに陥ったため緊急手術に踏み切り,胃切開後病変部の結紮切除を行なった.Exulceratio simplex(Dieulafoy)に対する内視鏡的止血に関する報告は少ないが,この治療法は本症に対し十分止血効果があると思われる.文献的考察を加え述べた.
  • 小野 稔, 関谷 千尋, 並木 正義, 小西 行夫, 折居 裕, 山口 建, 阿部 薫, 亀谷 徹
    1986 年 28 巻 2 号 p. 383-392_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝転移を伴う悪性膵ラ氏島腫瘍によるWDHA症候群の1症例を報告した.症例は59歳女性で周期的に出現する水様性下痢を主訴として来院した.上部および下部消化管のX線検査,内視鏡検査などでは異常は認められなかったが,血中のVIP(Vasoactive Intestinal Polypeptide)は著明な高値を呈した.他にPancreatic Polypeptide, Calcitonin, Somatostatineも血中濃度の増加がみられた.膵原発巣組織中ではVIP, Pancreatic-Polypeptide, C-peptide, Somatostatin,Calcitoninが,肝転移巣ではVIP,Glucagon,Somatostatinが腫瘍組織中で産生されていることが,ホルモン含量のRadioimmuno-Assayおよび免疫組織化学的検索で判明した.
  • 奥 篤, 石川 隆弥, 河合 純, 横矢 行弘, 辻本 守幸, 福 美和子, 安村 政芳, 西村 弘, 池田 明彦, 中山 恒夫, 西岡 新 ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 393-401
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    抗生物質に起因すると思われる大腸炎6例(偽膜性1,出血性5例)について検討した.年齢13~58歳,平均38歳,男4,女2例,基礎疾患は膀胱炎,肺炎,扁桃腺炎,感冒,扁桃摘出術後,喉頭癌各1例.使用薬剤としてはamoxicillin 3,cefotiam ampicillin,cefoxitinとcefaclor併用各1例に常用量を使用,使用してから発症までの期間は4~23日,平均11El,全例に1日10数行に及ぶ下痢,うち血性下痢5例,腹痛は軽度であった.全例内視鏡検査を施行し,1例に偽膜形成を直腸・上行結腸部に認め,他の5例に出血,びらん,浮腫等をS状結腸に,うち3例に直腸または下行結腸に認めた.糞便培養では偽膜性大腸炎でClostridium difficile,出血性の2例でKlebsiella oxytocaを認めた.全例とも特別な治療なく,抗生特質を中止して2~14日,平均6日と短期間に治癒した. 本症の診断,病態把握,さらに良好な経過を得るために早期の結腸全体に及ぶ内視鏡的観察が重要であると思われる.
  • 白木 正裕, 林 勝吉, 岩越 一彦, 浅田 修二, 阿部 和夫, 芦田 潔, 折野 真哉, 島本 史夫, 岡 博行, 三好 博文, 大柴 ...
    1986 年 28 巻 2 号 p. 402-407_1
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    著者らは現在使用されているImagefiberを通して画像を見る内視鏡とは全く異なる原理を応用したElectronic endoscope systemを上部消化管内視鏡検査43例および下部消化管内視鏡検査10例に施行した.この装置はScope先端に付いた小型TV camcraともいえるImage sensorにて画像を捉え,電気信号化したものをProcessorに送りTVmonitorにて可視化させる方式を採用している.使用経験を検討した結果以下の結論を得た.上部消化管検査では操作性に若干の難点を認めた.特に噴門部と胃体上部前壁では約半数(45%)が観察盲点になった.下部消化管ではCaecum到達率は50%であったが,腸管癒着が高度なため従来のColonoscopeでも無理であったと考えられる例が2例あり,それを除くと75%であった.このSystemから得られた画像は極めて鮮明であり,従来の内視鏡像よりも優っていた.画像の保存もvideotapeのみではなく,Freeze機構により画像を選択的に静止させ,直接写真撮影が出来る.またこのSystemは同時に多人数にて観察することができ,更に再生したビデオ画像も鮮明なことより教育にも有効に利用できた.
  • V. P. Strekalovsky, S. L. Khankin, G. I. Ezhova, V. M. Arablinsky
    1986 年 28 巻 2 号 p. 408-415
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    The authors analysed the results of endoscopic examinations of the small intestine in 4043 patients. This study was undertaken to evaluate the effectiveness of different methods of endoscopy of the small intestine. It has been established that on the given stage only transanal ileoscopy and peroral jejunoscopy may be recommended to the widely practice as a most informative and safe methods.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 2 号 p. 416-435
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 2 号 p. 435-440
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 2 号 p. 441-470
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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