日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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ISSN-L : 0387-1207
29 巻, 12 号
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  • 鋤柄 稔, 大畑 昌彦, 駒崎 敏郎, 尾本 良三
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3025-3035
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    血流のカラー表示を特徴とするreal-time two-dimensional Doppler echography(2 DD)用の経食道探触子を用いて,奇静脈,肋間静脈並びに食道静脈瘤の観察を行い,血流に関しての定性的および定量的評価を試みた.過去に奇静脈が切断されていない17例の門脈圧亢進症例においては,奇静脈の同定とそのカラー表示が可能であった.奇静脈の血流速度パターンは,収縮期と拡張期のそれぞれにピークを有する二峰性の拍動流(13例)か,または心臓の収縮・拡張にかかわりなく速度の一定な定常流(2例)のいずれかであった.最大血流速度は26~104cm/sec(平均:57±20 cm/sec),一方,平均血流速度は15~57 cm/sec(平均:36±12 cm/sec)であった.奇静脈が過去に切断されていた2例ではそのカラー表示は得られなかった.肋間静脈,食道静脈瘤は,門脈圧亢進症例の半数にそれらのカラー表示を得た.本法は奇静脈血流動態の半侵襲的分析手段として有用なものと考えられた.
  • 柳井 秀雄, 多田 正弘, 苅田 幹夫, 林 延彦, 山崎 隆弘, 広田 和子, 松田 和也, 岡 紳爾, 川野 博章, 重枝 正樹, 河内 ...
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3036-3045
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    正常十二指腸粘膜の再生過程を検討する目的で,雑種成犬十二指腸の,Brunner腺非存在領域およびBrunner腺存在領域に,strip biopsyの方法で内視鏡的に人工潰瘍を作製し,その治癒経過を検討した. Brunner腺の存在しない絨毛部のみの部分では,再生上皮は潰瘍辺縁部のみから伸び,実体顕微鏡的に繊細なクシ状となる1週後には,1層の再生上皮に増殖細胞は認められず,3週後に形成された丈の低い涙滴状再生絨毛で,陰窩様部に多数の増殖細胞が認められた.これに対し,粘膜下にBrunner腺の存在する領域では,1週後にすでに,潰瘍底に残存したBrunner腺と連続する再生上皮が認められ,同部および腺細胞が扁平化しPAS陽性粘液を減じたBrunner腺に多数の増殖細胞が認められた. これらの結果より,UL-II程度の潰瘍が十二指腸に生じた場合,Brunner腺が,潰瘍修復に大きな役割りを果たすことが確認された.
  • 中島 滋美, 阪本 善邦, 堀口 雄一, 小山 茂樹, 内藤 英二, 冨増 寛夫, 小笠原 孟史, 木津 稔, 高田 洋
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3046-3053
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    急性の上腹部激痛で発症し,多発性の出血性びらんや著明な浮腫を主徴候とする前庭部型急性胃粘膜病変(AGML)に対し,体外式の超音波断層法(US)にて胃壁の層構造を観察した.AGML13例中胃壁層構造の描出可能な12例では,発症第4病日以内で胃壁第3層のびまん性の高度の肥厚を認め,この肥厚は平均6.1±1.0mmとコントロール群に比し有意(p<0.01)であった.他の4層の肥厚は見られなかった.経過観察による比較で,胃壁第3層は,第4病日以内で,6.1±1.0mm,第5病日以後で1.6±1.1mmと急速に改善し,1週間以内に正常化した.AGML急性期における胃壁第3層の肥厚は粘膜下層の高度の浮腫を表現していると推定され,USによりこれを客観的にとらえることが可能であった.また,USは簡便かつ非侵襲的であるため,AGMLの早期鑑別診断に有用と判断した.
  • 光島 徹, 大城 宏之, 鶴田 修, 横内 敬二, 中元 和也, 阿部 陽介, 永谷 京平, 坂谷 新, 前谷 容, 有馬 信之, 吉田 竜 ...
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3055-3063_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1984年10月より1987年3月までの2年6カ月間に,私達の施行した小児大腸内視鏡検査は44例48回であった.対象となった患児の内訳は1歳未満の乳児12例27.3%,1歳より6歳未満の幼児13例29.5%,6歳以上の学童19例43.2%であった.男女比は29:15であった.発見疾患は腸重積症10例,急性出血性大腸炎10例,大腸腺腫症,若年性polyp各1例,Hirschsprung病2例等であった.これらのうち血便を主訴として腸重積症等の急性腹症が疑われた乳幼児19症例に対しては,浣腸等の前処置を行わず,来院後ただちに緊急大腸内視鏡検査を施行した.この結果,腸重積のうち8例が内視鏡観察下に空気整腹に成功した.私達の施行している原則的にX線透視を用いない全大腸内視鏡検査法は,ほとんど患児に対して非侵襲的で,小児における下部消化管病変の診断に際して第1選択とすべき検査法と考えられた.
  • 中井 健裕, 田伏 克惇, 永井 祐吾, 田伏 洋治, 山上 裕機, 玉置 幸子, 正木 和人, 森 一成, 勝見 正治
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3064-3069_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    吻合部瘢痕性狭窄に対して当教室では,マイクロ波凝固法を用いた内視鏡的切開術を施行している.これまで胃癌術後14例,食道癌術後8例,食道静脈瘤術後2例,直腸癌術後1例に対して本法を行い,全例に狭窄および臨床症状が改善し,穿孔,出血,狭窄増悪等の合併症は認められなかった.治療回数は,1回が19例(76.0%),2回以上が6例(24.0%)で,狭窄長の短い,いわゆる膜様狭窄に対しては,ほぼ1回の治療(平均1.1回)で有効であったが,非膜様狭窄は,やや頻回の治療を要し(平均2.1回),難治性の傾向にあったものの,本法は有用な方法と思われた.再狭窄は食道癌術後の3例にのみ見られたが,原因として逆流性食道炎の関与が考えられた.本法は,安全性,確実性の面からも狭窄解除に対する一治療手段として有用な方法であると考える.
  • 山中 貴世, 山道 昇, 小西 二三男
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3070-3079
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸上皮性隆起性病変は比較的稀な疾患であるが,近年の内視鏡技術の進歩によりその発見頻度が増加してきている.過去12年間に11症例の十二指腸腺腫を経験し肉眼,内視鏡像と組織形態を比較検討した.6例は手術切除例,5例は内視鏡的生検もしくはポリペクトミー症例である.1例は大腸腺腫症に合併していた.組織学的異型度を本邦における大腸,胃腺腫の規約分類に準じ3段階に分類した.さらにCEA,CA19-9の免疫組織学的染色性も同時に比較検討した.平均年齢は56.4歳,男女比8:3,全例が十二指腸I・II部に発生し肉眼型は広基性8例,有茎性3例であった.大きさは7mmから5cmまで様々で,組織型は管状腺腫6例,管状絨毛腺腫5例であった.異型度別にみると中等度異型例が大部分で,高度異型腺腫は1例でむしろ小型の管状絨毛腺腫であった.内視鏡像では軽度異型例は表面白色調で光沢は良好,異型度が高くなると光沢を失い赤色調を示した.大きさ・肉眼型と異型度の間には相関関係はなく小型でも異型度の高いものが存在し,CEA,CA19-9の組織内局在は異型度と相関を示した.小型で高度異型の腺腫,大腸腺腫症に合併した7mmの中等度異型腺腫と4cm以上の中等度異型腺腫の分離から,前癌病変に相当する腺腫と腺腫のまま大型化する病変の2種類があることを推論した.
  • 清水 誠治, 水間 美宏, 尾川 美弥子, 稲富 五十雄, 多田 正大, 川本 一祚, 川井 啓市
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3080-3086_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸内視鏡検査の前処置としてPolyethylene glycol electrolyte lavage solution(PEG-ELS)を用いたが,PEG-ELSの服用時期と食餌制限の有無によって3群に分けた.第1群(n=25)では検査前日までの食餌制限を行わず当日の朝にPEG-ELSを服用させ,第2群(n=26)では食餌制限を行わず検査前日の夜にPEG-ELSを服用させ,第3群(n=25)は検査前日に低残渣食による食餌制限を行った上で前日の夜にPEG-ELSを服用させた.各群間で腸管清浄効果,腸管内液体貯留の程度,被検者の受容性等について比較検討したが,対照群としてはBrown法により前処置を行った25例の成績を用いた.腸管清浄効果に関しては第1群が最も優れており,第3群,第2群,Brown法の順であり,第1群では腸管内に多量の液体貯留が見られたのに対し,第2群,第3群では液体貯留は少量であった.被検者の受容性は第1群が最も優れており,第2群とBrown法がこれに続き,第3群は最も劣っていた.総合的に第1群が最も優れていると評価されたが,今後腸管内の液体貯留を減少させる工夫が必要であると考えられた.また第3群も清浄効果では優れており,液体貯留が少ない点で注腸X線検査の前処置法としての応用も可能性で,今後被検者の受容性を向上させることが重要であると考えられた.
  • 小泉 和三郎, 西山 和男, 広門 一孝, 横山 靖, 副島 慎一, 安海 義曜, 西元寺 克礼, 岡部 治弥, 三重野 寛喜, 比企 能樹 ...
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3087-3092_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    59歳女性,上部消化管造影検査にて胸部上部食道にくびれを有するポリポイド病変を認めた.内視鏡的には表面平滑で軽度の発赤を呈し,ヨードにて黒変した.超音波内視鏡では病変深部の第3層の連続性は保たれていた.手術標本では1.0×0.9×0.5cm大のポリポイド病変であり,組織学的には食道粘膜固有層に限局する小型のカルチノイドでリボン状~柵状に配列する腫瘍細胞より成り,argyrophil stain陽性顆粒を認め,免疫組織化学的にcalcitoninを証明し得た.極めてまれな食道カルチノイドを文献的考察も含め報告した.
  • 市川 寛, 粉川 隆文, 北住 清治, 岡田 隆, 吉江 住次, 岸 泰三, 吉川 敏一, 近藤 元治
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3095-3101_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    成人で発見されたH型気管支食道瘻に対し,内視鏡的に瘻孔閉鎖術を試み,著効を得た症例を経験したため報告する.症例は58歳女性.主訴は発熱及び咳嗽.幼少時より原因不明の呼吸器感染症を繰り返しており,5年前より食道摂取時の突発性の咳嗽が増強,昭和61年7月,気管支食道瘻と診断された.食道X線検査及び内視鏡検査で,中部食道と右B6との間に気管支食道瘻を認め,また瘻孔付近に食道mucosal bridgeを確認した.外科用接着剤methyl-cyanoacrylate(アロンアルファA)を食道内視鏡下に瘻孔内に注入,閉鎖術を2度にわたり試み,また口側食道粘膜内へのOK-432局注の併用により,術後8カ月の現在,症状の完全消失を認め,良好な経過を得ている. 15歳以上で発見された先天性気管支食道瘻の報告は,1986年までに欧米例を含め77例である.瘻孔閉鎖術は現在でも外科的治療が主体であり,自験例以外に,接着剤による内視鏡的閉鎖術の報告はない.methyl-cyanoacrylateによる内視鏡下での瘻孔閉鎖術は,比較的簡単な手技で,安全に繰り返し施行できるため,症例と適応を選べば,今後外科治療にかわるものと期待される.
  • 遠藤 一夫, 岡山 直司, 友松 武, 伊藤 誠, 武内 俊彦
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3102-3106_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,大きな潰瘍形成を伴った食道平滑筋腫の1例を経験したので報告すろ. 症例は71歳女性.心窩部痛と軽度の嚥下障害を主訴に来院した。胸部単純X線にて右縦隔に巨大な腫瘤状陰影を認めた.胸部CTでは中部食道に腫瘤を認めた.腫瘤は主に右後縦隔に向かって発育しており,食道内腔への突出部に潰瘍形成を認めた.食道造影と内視鏡により,中部食道の約10cmを占め,大きな潰瘍を伴う粘膜下腫瘍と診断した.生検によって組織診断は得られなかったが,平滑筋由来の腫瘍と考え食道切除術を施行した.切除標本では主に管外性に発育する大きな腫瘍であり,大きさ7×4×5cm,潰瘍は3×1cmであった.組織学的には,腫瘍は核分裂像をほとんど伴わない長紡錘形細胞よりなり,平滑筋腫と診断した.本例の如く潰瘍形成を伴った食道平滑筋腫は極めて稀であり,Brunetonらは食道平滑筋腫の1.4%にすぎないとしている.稀有な症例であることから,文献的考察を加えて報告した.
  • 高木 均, 斎藤 修一, 高山 尚, 小島 亨, 片貝 重之, 山田 昇司, 小林 節雄
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3109-3114_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の女性.右季肋部痛,背部痛を主訴に来院しエコー,CT,ERCP,血管造影にて進行胆嚢癌と診断された.門脈~動脈への浸潤により,手術不能と判断し,Mitomycin C (MMC)のone shot動注を施行した.経過中下血が見られ,胃内視鏡によりBorrmann III型胃癌からの出血が確認された.保存的に止血され,以後胆嚢と胃の栄養動脈よりMMC,Adriamycinの動注を行ったが治療後2週間で胃癌よりの出血が止まらずショック状態で死亡した.剖検にて,胆嚢の腺扁上皮癌と胃の腺癌が確認され同時重複癌であった.重複癌の頻度は増加傾向にあり今後も内視鏡と超音波検査の併用により同様の症例の増加が予想される.さらに胃,胆嚢重複癌と胆嚢腺扁平上皮癌に関する文献的な考察を加えて述べた.
  • 大西 真, 青山 弘, 白滝 博通, 石川 隆, 松橋 信行, 森山 貴志, 油谷 浩幸, 井廻 道夫, 高久 史麿
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3115-3121
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    D-ペニシラミンの治療により,特異な腹部エコー及び腹腔鏡所見の改善したWilson病の1例を報告する.症例は34歳男性で,神経症状を呈したが,治療により改善した.治療前,multipleにhyper-echoic及びlow-echoicなSOL(space occupying lesion)が散在する,特異な肝のエコー像を呈したが,治療後消失した.腹腔鏡像では,治療前は暗褐色及び黄色調の強い結節が混在する肝硬変の所見を呈したが,治療後色調は減じた.肝組織所見では,治療前銅及び脂肪の沈着が顕著かつむらがあったが,治療後銅及び脂肪沈着は著減しむらがなくなった.
  • 老子 善康, 米島 学, 平井 信行, 卜部 健, 古沢 明彦, 田中 延善, 小林 健一, 服部 信, 田尻 潔, 小西 孝司
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3122-3129
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性.軽度の上腹部痛を認め,近医にて膵嚢胞を疑われ,精査目的で当科に紹介された.腹部超音波検査では胃と膵の間にコンマ状の嚢胞状構造を認め,超音波内視鏡検査では嚢胞に接する胃壁の5層構造は保たれ,膵との境界は明瞭であり,エンハンスCTによる濃染は認められなかった.以上より胃漿膜側あるいは膵の後腹膜側の腹膜嚢胞と診断した.開腹術により,胃幽門小彎後壁と小網に跨って存在する,3×4×1.5cmの単房性の胃漿膜嚢胞で,内容液は漿液性であり,組織学的には,嚢胞壁が一層の扁平な中皮細胞よりなる腹膜嚢胞が確認された.本例では,超音波内視鏡,腹部超音波検査により術前に腹膜嚢胞と診断可能であり,上記検査の有用性が示唆されたので報告した.
  • 乾 由明, 河田 純男, 三好 志雄, 今井 康陽, 斉藤 隆三, 野田 修造, 田村 信司, 稲田 正己, 松田 幸彦, 伊藤 信之, 南 ...
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3130-3133_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    皮膚症状を欠いた遅発性皮膚ポルフィリン症porphyria cutanea tarda(以下PCT)の1例を報告する.患者は52歳男性.多飲者で肝機能異常と安静時手指振戦を主訴に来院.腹腔鏡検査で肝表面は軽度の凹凸不整と被膜肥厚及び点~斑状の暗紫青色の色素沈着を認めた.紫外線照射により,生検標本の暗紫青色部は赤色の螢光を発した.肝生検組織像は慢性肝炎非活動型で肝細胞の水腫様変性と鉄沈着を認め,針状結晶を含む肝細胞が散見された.また尿中ポルフィリン体の分析では,ウロポルフィリン量の著増を認めた.以上の所見より,本症例はPCTと診断された.本症例では皮膚症状を欠いたことより,腹腔鏡下肝表面の観察がPCTの診断の契機となった.
  • 星加 和徳, 鴨井 隆一, 加藤 智弘, 萱嶋 英三, 小塚 一史, 長崎 貞臣, 藤村 宜憲, 宮島 宣夫, 島居 忠良, 内田 純一, ...
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3134-3141
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    クローン病はわが国では増加の傾向にあるが,十二指腸病変合併例の報告はいまだ少ない.著者らは,小腸・大腸クローン病の経過観察中に十二指腸病変を認めた症例を経験した.症例は25歳男性で,昭和58年に発熱・下痢を主訴として当科に入院した.入院後の検査で小腸・大腸クローン病の確診例と診断した.このとき,十二指腸球部に潰瘍瘢痕を認めたが,生検にては肉芽腫を証明できなかった.昭和59年には十二指腸潰瘍を認め,その経過を追っていると幽門狭窄症状を訴え,十二指腸球部では小隆起が多発し全周性狭窄へと進展した.この部を切除したが,十二指腸壁は肥厚し肉芽腫が認められ,クローン病の十二指腸病変と考えられた.その後,大腸病変の増悪を認めたが,残存十二指腸ではびらんの出没を認めるものの,著明な病変への進展は認めていない.
  • 村田 雅彦, 大窪 天三幸, 千葉 満郎, 正宗 研
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3143-3148_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    若年者に発症した左側結腸憩室炎の1例を経験した.症例は24歳男性,左下腹部痛を主訴に湖東総合病院に入院.入院時理学的に左下腹部に限局性圧痛ありBlumberg徴候陽性であった.検査成績では白血球11,600/mm3,CRP(+)で軽度炎症所見がみられた.注腸検査(入院第3病日)では,下行結腸後壁よりに直径約5mmの憩室あり,辺縁は不整で,憩室側腸管の壁外からの圧排像,憩室周囲のハウストラの乱れ,アコーディオン様歯状陰影を認めた.内視鏡検査(入院第5病日)では,肛門輪から約60cm口側の部位にほぼ正常粘膜からなる憩室入口部を,憩室周囲粘膜に浮腫と発赤,腸管外からの圧排所見を認めた.抗生剤CEZ,CMZ,抗菌剤OFLXにより治癒し,入院第24病日に退院した.なお,入院第20病日の注腸検査,入院第16病日の内視鏡検査では,憩室のみで前回みられた所見は消失していた.症例の報告に加えて,本邦における若年者の左側結腸憩室炎の報告例について考察した.
  • 鶴居 信昭, 千葉 満郎, 豊島 至, 五十嵐 潔, 荒川 弘道, 正宗 研
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3149-3152_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    多発性硬化症に合併した虚血性大腸炎の1例を報告した.症例は34歳女性.16歳で多発性硬化症が発症し,緩解,増悪をくり返した.昭和61年1月対麻痺,尿閉,便秘が出現し,2月当科に入院した.入院時,知能正常,両側失明,中部胸随での横断性脊髄障害による完全弛緩性麻痺と感覚脱失がみられた.入院中2日間の便秘後,肛門から鮮血の排出があった.当日の内視鏡検査でS状結腸に分節状に著明な浮腫,管腔の狭小,発赤,出血が,非炎症部にmelanosis coliの所見がみられた.生検組織では,非特異性の炎症および腺管の壊死,脱落など,ghostlike appearanceの所見がみられた.出血は漸次減少して,4日後に消失した.39日後の内視鏡検査では前回みられた所見は消失していた.以上の臨床経過,内視鏡,生検所見から,S状結腸の病変は虚血性大腸炎と診断した.多発性硬化症でみられた虚血性大腸炎の発症機序に考察を加えた.
  • 佐々木 英, 池田 英雄, 松尾 義人, 松隈 則人, 鴨井 三朗, 日高 令一郎, 鶴田 修, 池園 洋, 江口 敏, 村山 俊一, 占部 ...
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3153-3161
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸X線検査で小潰瘍ないしアフター様潰瘍の多発を契機として診断されたクローン病6例について検討を行った.6例の小病変の変化は4例が治療後消失し2例は経過中に敷石像が出現してきた.6例の小腸病変に関しては,初回検索時4例認められすべて敷石像を呈していた.発症時,発熱,口腔内アフター,関節炎,結節性紅斑などの腸管外合併症を伴っていることが多く,少なくともアフター様潰瘍は全身症状の一症状として大腸に現われている可能性が示唆された.
  • 早川 誠, 岡 勇二, 黒川 晋, 坂 英雄, 杉藤 徹志, 奥川 恭一朗, 森瀬 公友
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3162-3166_1
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過去5年間に15歳未満の小児16例に対して,上部消化管異物を内視鏡的に摘出した. 胃内異物は15例でアルカリ乾電池7例,歯髄管針4例,次いでマチ針,十円硬貨,バネコイル,ゲームコインが各1例であり,1例が先天性食道狭窄による肉塊であった.3歳以下は前処置として全身麻酔下で施行し,4歳以上で理解力のある患児では咽頭麻酔で施行した.6歳以上は咽頭麻酔で施行した.内視鏡はGIF-P3およびGIF-XQを使用した. 内視鏡的摘出方法としては,マチ針・釘・歯髄管針はポリペクトミースネアー,アルカリ乾電池は磁石付異物鉗子,硬貨・ゲームコインはゴム付異物把持鉗子,玩具・PTP・魚骨はW字型異物把持鉗子がそれぞれ有効であった.小児の消化管異物で穿孔・炎症・出血・中毒の危険のある場合は内視鏡的摘出か手術による摘出が必要となる.小児の内視鏡検査は比較的簡便に施行可能であり上部消化管異物の摘出に非常に有効と考えられた.
  • 早期胃癌の内視鏡的診断法と治療法の進歩
    奥田 茂
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3167-3189
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回の報告を要約すると早期胃癌の診断面の進歩として 1.早期胃癌の確定診断に際しては肉眼病型に応じて生検採取部位を選ぶことが重要である.早期胃癌自験例1,500例の検討でm/sm比,C領域の%,10mm以下の小胃癌の増加を認めた. 2.内視鏡テレビジョン・電子スコープは内視鏡手技の客観化をもたらし,画像処理は病巣の識別能を高める.3.色素内視鏡(コンゴーレッド法,コンゴーレッド・メチレンブルー法)は粘膜癌の拡がりを正確に診断するのに役立っ. 4.レーザー蛍光診断法,特にモノクロナール抗体法は癌に特異的なより早期の診断法として有望である. 5.赤外レーザー血管造影法は粘膜内癌と粘膜下巣癌の診断に役立つ. 治療面の進歩として 1.エタノール局注法は隆起性早期胃癌の治療に有用である.その後進歩をみた高周波法は組織の回収が可能な点ですぐれている. 2.レーザー光化学療法(HpD-PDT)は陥凹性胃癌,特に他の内視鏡治療法では限界とされる潰瘍性病変を伴う早期胃癌の治療に有効である. とまとめることができる.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3191-3197
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3197-3202
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3202-3207
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3207-3210
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 12 号 p. 3211-3353
    発行日: 1987/12/20
    公開日: 2011/05/09
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