日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
29 巻, 1 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
  • 崎田 隆夫
    1987 年 29 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1987 年 29 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 光永 篤
    1987 年 29 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     X線あるいは内視鏡により粘膜下腫瘍と診断された46症例にEUSを施行し,粘膜下腫瘍36例と壁外性圧迫10例とに鑑別診断できた. 粘膜下腫瘍は更に,筋原性腫瘍28例,迷入膵4例,脂肪腫3例,胃嚢腫1例に鑑別診断でき,それぞれ消化管壁内の存在部位およびEUS像に特徴を認めた. 筋原性腫瘍については,EUS像と病理組織診断との対比から,その良・悪性診断の上でEUS画像による腫瘍の大きさが最も重要と考えられた. 上部消化管に接する臓器から突出した形の腫瘍や嚢腫による圧迫は,X線や内視鏡でしばしば粘膜下腫瘍との鑑別が困難であるが,EUSはこれらを鑑別する上で最も有用な検査と考えられた.
  • -radioimmunoassay法による検討-
    清水 明浩, 三木 一正, 黄 士哲, 一瀬 雅夫, 丹羽 寛文, 岡 博
    1987 年 29 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管外来患者136名を対象に,内視鏡検査時に体中部大彎および前庭部小彎で,可及的同一部位より2個つつ生検採取し,1個を病理組織学的検索に,他の1個を粘膜内ペプシノゲンI(PGI)およびペプシノゲンII(PGII)の濃度測定用試料に用いた.試料1mg湿重量中ペプシノゲン濃度を既報のradioimmunoassay(RIA)法で測定し,以下の成績を得た.(1)内視鏡的健常者群(n=34)に比し,胃潰瘍群(n=40)の粘膜内PGI値およびPGII値はやや低値を示したが両群間に有意差を認めなかった.十二指腸潰瘍群(n=26)は体部粘膜内PGI(CPGI)値で有意な高値(P<0.01)を,体部粘膜内PGII(CPGII)値および前庭部粘膜内PGII(APGII)値は高値傾向を認めた.胃癌群(n=18)はCPGI値で有意な低値(P<0.01)を,CPGII値およびAPGII値は低値傾向を認めた.胃ポリープ群(n=18)はCPGI値およびCPGII値で有意な低値(P<0.001)を,APGII値は低値傾向を認めた.(2)病理組織学的に萎縮性胃炎および腸上皮化生の程度が強くなるに従い,粘膜内PGI値およびPGII値の減少を認めた.
  • ―血清ペプシノーゲン1値の関与について―
    忌部 明, 隅井 浩治, 上村 直実, 木村 学, 春間 賢, 田利 晶, 吉原 正治, 徳冨 正, 関藤 雅喜, 稲葉 義郎, 大越 裕章 ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に1年以上の経過観察が可能であった十二指腸潰瘍症例142例を対象として,初回内視鏡検査時の十二指腸潰瘍の形態と血清ペプシノーゲン1値をしらべ,それらの再発への関与について検討し,以下の結果を得た.1)初回内視鏡検査時の十二指腸潰瘍の形態(単発潰瘍,接吻潰瘍,線状潰瘍)と再発の有無に有意な差は認められず,十二指腸潰瘍の形態からその再発を予測することは困難と考えられた.2)再発群は,各形態とも高ペプシノーゲン1血症(以下HPG1)のものが多く,非再発群は正ペプシノーゲン1血症(以下NPG1)のものが多かった.3)全形態でみると,再発群はHPG1が70.6%,NPG1は29.4%,非再発群ではHPG1が23.0%,NPG1が77.0%と,再発群に有意に高率にHPG1がみられ,血清ペプシノーゲン1測定は十二指腸潰瘍の再発の予測に有用と考えられた.
  • 美馬 聰昭, 福田 守道, 金川 博史, 水尾 仁志, 田辺 利男, 平田 健一郎, 関谷 千尋
    1987 年 29 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     外科的切除を行った3cm以下の局在性肝病変について超音波腹腔鏡による画像と病理所見との対比を行い,肝細胞癌の鑑別診断について検討した.肝血管腫の超音波腹腔鏡像は内部の隔壁構造をよく反映した独特なエコーパターンを呈することから診断は容易であった.肝細胞癌については,通常のリアルタイム断層像では低エコー像を呈するが,超音波腹腔鏡ではむしろ高あるいは等エコーパターンを示した.これに対して高エコー型肝細胞癌は本法でも高エコーパターンを呈した.tumor in tumorの所見もよく表現された.FNHの超音波腹腔鏡像は,central stellate scarに一致して腫瘤内に特徴的な高エコー部の出現をみた.adenomatous hyperplasiaは,体外性超音波検査でも本法でもともに低エコー像を呈した.超音波腹腔鏡による画像は組織病変を明確に弁別しうることで肝細胞癌の確定診断に有効な検査法であることを確認しえた.
  • 横山 靖, 大井田 正人, 西元寺 克礼
    1987 年 29 巻 1 号 p. 40-53_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃潰瘍106症例,十二指腸潰瘍69症例を対象とし,1年間の維持療法下の再発,内視鏡像の推移について検討し,併せて生検組織学的検討を行った.内視鏡的累積再発率(1年間)は胃潰瘍57.5%,十二指腸潰瘍60.9%と高率であった.しかし,再発例の約70%は無症状再発であり,また無症状再発群は,有症状群に比して明らかに小さくかつ,浅い潰瘍が多く,維持療法の効果と考えられた.背景因子の検討では,胃潰瘍で服薬状況,喫煙,潰瘍の大きさ,十二指腸潰瘍で潰瘍歴,服薬状況が再発に大きく影響していた.内視鏡的検討において,胃潰瘍の再発は全例赤色瘢痕からの発生であった.しかし,1年間未再発例で赤色瘢痕より白色瘢痕への移行率をみると51.1%であった.ヒスタミンH2受容体拮抗薬を投与し,隆起性治癒経過を呈した潰瘍は,呈さない潰瘍に比して,治療開始時潰瘍面積は,著明に大きいが,再発率に差はなく,内視鏡像から再発を予知することは困難であった.
  • 大庭 健一, 真方 良彦, 井口 和幸, 白浜 龍興, 佐藤 亮五
    1987 年 29 巻 1 号 p. 54-61_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Campyrobacter jejuniの分離培養法の開発とともに本菌による腸炎の重要性が指摘されている.われわれは昭和57年8月より60年4月の間に48例のCampylobacter腸炎(15歳以上)を経験し内視鏡所見,臨床所見等を検討した.29例に大腸内視鏡検査を行い,うち24例は全大腸を観察した.異常なしは3例(10.3%)のみで,26例(89.7%)に発赤,びらん,潰瘍等を認めた.各部位の有所見率は直腸31.0%,S状結腸72.4%,下行結腸46.4%,横行結腸30.8%,上行結腸28%,盲腸(全例バウヒン弁部)62.5%で,S状結腸,バウヒン弁の有所見率が高かった.バウヒン弁上の所見は急性潰瘍(10例)と潰瘍瘢痕様の限局性発赤(5例)で,この潰瘍は辺縁鋭で不整形の比較的大きな急性潰瘍でその治癒には約1カ月を要するものと思われた.病理組織学的に特異的な所見はなかった.自覚症状としては,水様性下痢,腹痛,発熱が主症状で,血便のみられたものはわずか1例であった.
  • 佐々木 宏晃, 水谷 元雄, 田宮 誠, 久保 井宏, 進藤 仁, 長廻 紘
    1987 年 29 巻 1 号 p. 62-66_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     従来,急性大腸炎は一過性の経過で,比較的短時日のうちに治癒するため,診断のつかないままに放置される例が少なからずあった.最近では,病初期に積極的に内視鏡検査を施行することにより,形態学的な特徴がある程度把握出来るようになり,その診断に寄与する率が高まってきている. 近年,報告例が増加してきているCampylobacter腸炎もこの急性大腸炎に含まれるが,内視鏡的には,潰瘍性大腸炎や他の感染性大腸炎との鑑別が困難であるとされてきた.しかしながら,回盲弁上の浅い潰瘍と,大腸にみられる特徴ある発赤が内視鏡的に確認できれば,この所見のみでCampylobacter腸炎と診断し得ると考えた.
  • ―エトキシスクレロール(R)とエタノールアミンオレイトの併用法(EO-P法)―
    三好 博文, 鄭鳳 鉉, 林勝 吉, 松本 章夫, 浅田 修二, 白木 正裕, 平田 一郎, 岩越 一彦, 大柴 三郎
    1987 年 29 巻 1 号 p. 69-76_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは52例の食道静脈瘤患者にEO(エタノールアミンオレイト)とpolidocanol(エトキシスクレロール®)の両薬剤を併用(EO-P法)し,内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を施行している.その利点は(1)X線透視装置をはじめ特殊な器具を用いないため,施行にあたっての制約が少なく,いつでも簡単に行うことができる.(2)生命に関わるような危険な合併症はほとんど認められない等である.欠点としては造影剤を用いないために(1)静脈瘤の形態に関する情報がEOMA法より少ないこと,(2)注入量の決定が客観的には行い難い等の点である.
  • 柳井 秀雄, 多田 正弘, 苅田 幹夫, 岡紳 爾, 松田 和也, 川野 博章, 重枝 正樹, 嶋田 正勝, 藤村 寛, 大谷 達夫, 水町 ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 79-83_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,胃生検組織診断でGroupIIIとされる病変と,胃腺腫,IIa subtypeあるいは異型上皮巣等のいわゆる境界領域病変との関連が問題となり,1983年にGroup分類の改正をみるに至ったが,著者らは,胃のGroupIII病変60個にstrip biopsyを施行し,その最終診断を得るとともに,strip biopsyの腺腫に対する診断,治療効果について検討した. Strip biopsyにより,GroupIII病変のうち41個(68.3%)が病理学的に腺腫と診断されたが,18個(30.0%)は癌と診断された.またstrip biopsyにより陥凹型や扁平なものを含めて腺腫の78.3%は完全に切除された.strip biopsyは,腺腫の診断・治療に有効であり,鉗子生検でGroupIIIとされた病変に対しては,その最終診断を得るために,癌の可能性のある陥凹型の病変,あるいは発赤や表面の不整をもつものに積極的に施行されるべきであると考えている.
  • 清田 啓介, 中島 正継, 藤本 荘太郎, 今岡 渉, 吉田 俊一, 安田 健治朗, 小林 正夫, 趙栄 済, 西村 和彦, 向井 秀一, ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回われわれは,Microvasive社製RIGIFLEX balloon dilatorを用い12例の各種胆道狭窄にバルーン拡張術を施行し,10例に満足できる結果を得た.狭窄部位へのバルーンカテーテルの挿入は経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)の瘻孔を利用した経肝的アプローチと,十二指腸ファイバースコープ下に十二指腸乳頭より挿入する経乳頭的アプローチの2経路を用いた。症例の内訳は肝内結石に伴う肝内胆管狭窄症3例(胆管空腸吻合部狭窄1例を含む),総胆管結石に伴う肝門部胆管狭窄1例,肝門部胆管癌2例,総胆管結石に伴う胆管末端部狭窄症3例,胆管末端部腺腫性狭窄2例および胆摘後炎症性胆管狭窄1例である。肝内胆管および肝門部胆管狭窄の6例のうち良性狭窄の4例では良好な拡張効果を示したが,2例の胆管癌では拡張不良であった.また,良性の胆管末端狭窄に行なった6例では全例に有効であった。 本法施行後の再狭窄の可能性については長期観察が必要であるが,良性狭窄の10例では最長22カ月の経過観察中,自覚症状,生化学的検査で増悪をみたものはない.本法は従来の方法に比べ安全で手技も比較的容易であり,各種の胆道狭窄の治療に積極的に用いるべき方法と思われた。
  • 森田 豊, 谷川 徹, 伊谷 賢次, 粉川 隆文, 山本 實, 夏川 清志, 瀬戸 治, 丸尾 直幸, 福本 圭志, 近藤 元治, 奥田 順 ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 91-95_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     16歳男性の急性骨髄:性白血病(以下AMLと略す)の経過中,大量の吐下血をきたした重症の食道モニリアーシスの1例を,内視鏡検査を中心にその初期より治癒までを経時的に観察した. AML発症第20病日に心窩部痛の訴えにより施行した初回内視鏡検査時には,散在性の黄白色苔を有する浅い食道潰瘍であったが,急激に悪化,融合傾向を示し,ついには食道全域に深い巨大な出血性潰瘍を多数形成するにいたった.AMLの緩解とともに潰瘍は速やかに治癒傾向を示し完全に消失したが,下部食道には狭窄を,中部食道には多数の偽憩室とともにmucosal bridgeの形成を認めた.このmucosal bridgeは食道においては非常にまれな合併症である.
  • 小口 晋平, 鍋谷 欣市, 小野沢 君夫, 小林 義氾, 鈴木 昇
    1987 年 29 巻 1 号 p. 96-100_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道血管腫はその報告も少なく,食道良性腫瘍のなかでも稀な疾患である.症例は82歳,男性.主訴は嚥下障害および咽頭部不快感.約20年前よりごく軽度の嚥下障害があるも放置していた.58年2月になり,上記症状が増悪したため,近医受診し,食道X線検査で異常を指摘され,当院を紹介受診した.食道造影では,胸部下部食道の前壁に,やや凹凸不整のある超母指頭大の卵円形の陰影欠損を認めた.内視鏡では,食道胃接合部直下前壁に山田III型の腫瘤を認めた.内視鏡下にて茎部にスネアをかけ高周波電流を用いて切断した.摘出標本は18×11×8mm,基部は7×7mmであった.病理組織学的に毛細血管腫と診断した.今回,われわれは本邦報告32例の文献的考察を行い,食道血管腫を臨床所見より3群に分類し,それぞれの特徴および治療方針について検討を加えた.
  • 星加 和徳, 鴨井 隆一, 加藤 智弘, 萱嶋 英三, 小塚 一史, 長崎 貞臣, 藤村 宜憲, 宮島 宣夫, 島居 忠良, 内田 純一, ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 101-106_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道貯留性嚢胞の1例を経験した.症例は77歳男性で,腹部症状はなかったが,近医で上部消化管造影を受けたところ異常を指摘され,当科へ紹介された.高血圧と心房細動の他は,理学所見で異常はなかった.上部消化管造影では,食道下部に1.8cm大の亜有茎性の隆起性病変を認め,bridging foldの所見も認められた.内視鏡検査では,門歯列より39cmの食道左前壁に柔らかい表面平滑な亜有茎性の粘膜下腫瘍を認めた.表面粘膜の色調変化もなく,内視鏡所見より嚢胞性病変と診断し内視鏡的ポリペクトミーを施行した.粘膜下腫瘍は完全に摘出されており,摘出標本は,1.5×1.6×1.0cm大で,割面では,単胞性の病変で内容はやや白濁した漿液であった.組織学的所見より食道貯留性嚢胞と診断された.食道貯留性嚢胞は,本邦では3例の報告があるにすぎない.
  • 福家 博史, 佐藤 兵衛, 東山 浩敬, 財田 至啓, 生駒 次郎, 吉峰 順子, 鈴木 司郎, 秋山 俊夫
    1987 年 29 巻 1 号 p. 109-114_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     平滑筋芽細胞腫の2例を経験したので報告する.症例1:54歳女性.胃集団検診で異常を指摘され入院した.内視鏡にて,胃体部後壁に中心潰瘍を伴った粘膜下腫瘍が認められ,中心潰瘍部およびエタノール局注後生検を行ったが確診は得られなかった.症例2:77歳女性.嘔吐を主訴として入院した.便潜血反応陽性であったので,胃内視鏡検査を施行した.胃体部後壁に中心潰瘍を伴った粘膜下腫瘍が認められ,潰瘍底より生検を行ったが陰性であった.2例共に,CTスキャンでは転移を認めず,腫瘍は胃内腔に突出しており,手術時迅速標本にて平滑筋芽細胞腫と診断された.いずれも楔状切除が施行された. 2例目に超音波内視鏡検査が行われ,腫瘍は平滑筋層由来で,内部エコーは高エコーと低エコーが混在していた.超音波内視鏡は,粘膜下腫瘍に対し術前に,腫瘍の発育形式および存在部位の判定に有用な検査と考えられた.
  • 坂上 博, 平林 靖士, 柴田 洋, 太田 康幸
    1987 年 29 巻 1 号 p. 115-121
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は67歳女性.右眼窩部および上顎洞腫瘤を主訴として当院耳鼻科に入院した.胃内視鏡検査にて,胃角,前庭部に潰瘍が認められ,10日後,眼窩部腫瘤の増大とともに,胃潰瘍の増大,潰瘍周辺粘膜の不規則な隆起をきたした.眼窩腫瘤および胃生検組織よりWegener肉芽腫と診断し,prednisolone,azathioprine投与をおこない,眼窩腫瘤,胃病変の著明な改善がえられた.治療開始4カ月後,再び全身状態の悪化,黒色便をきたし,胃体部大彎に巨大な潰瘍を認め,prednisolone,azathioprine増量にて寛解した. Wegener肉芽腫に胃腸病変を合併することは比較的稀であり,その経過を内視鏡にて長期にわたって観察した報告はほとんどみられない.本症における胃病変の経過について内視鏡所見を中心にして若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 藤田 直孝, 李 茂基, 望月 福治, 伊東 正一郎, 池田 卓, 豊原 時秋, 長野 正裕, 村上 大平, 矢野 明, 小林 剛, 長南 ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 122-129
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     高アミラーゼ血症を契機として発見された膵尾部T1癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は53歳,男性で,主訴は左季肋部痛である.高アミラーゼ血,尿症およびCA19-9の高値から膵癌が疑われERCPを行った.主膵管は尾部で狭小化,中断し,分枝の欠如,造影剤のextravasationがあり,血管造影では大膵動脈の一部にencasementを認めた.手術を施行し,1.3×1.0×1.0,stageIのT癌であった.本例ではCA19-9も80U/mlと上昇していた.文献上12例を渉猟し得,記載のあった全例で血中または尿中アミラーゼの上昇,ERCPでの主膵管の異常が認められた.膵癌の切除率,予後の向上のためには,本症を念頭においてのアミラーゼ,腫瘍マーカー,US,CT,ERCP,血管造影など総合的な診断が必要で,特に積極的なERCPの実施が重要と考えられた.
  • 神谷 順一, 二村 雄次, 早川 直和, 長谷川 洋, 塩野谷 恵彦, 早川 哲夫, 榊原 啓
    1987 年 29 巻 1 号 p. 130-133_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     経皮経肝胆道鏡(PTCS)で診断し,治療したconfluence stoneの1例を報告した.本例では胆嚢に多数の結石が充満していたが,すべてPTCSで切石することができた.切石終了時には,胆嚢は3.5×1.8cmの大きさに縮小し,胆管と大きな口径の胆嚢管で交通することから,胆嚢摘出術の適応はないと判断した.
  • 大坂 直文, 天津 孝, 正木 秀博, 安藤 三男, 田中 実, 森田 邦夫, 今木 正文, 大柴 三郎
    1987 年 29 巻 1 号 p. 134-140_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は49歳男性.昭和60年10月ジョギング中に下血をきたし,来院した.緊急内視鏡検査にて,十二指腸下行部の隆起性病変より噴射状の出血が認められ,エタノール局注にて止血に成功した.しかし,第14病日に再出血をきたしたため,開腹術施行,同部を楔状切除して救命した.組織学的検索により,小隆起は静脈瘤と判明したが,自験例は術後の血管造影で門脈圧亢進を伴わず,他の部位にも静脈瘤をみとめなかったため,血管奇形によるものと考えられた. 十二指腸の静脈瘤は1931年Albertiが報告して以来,海外本邦を合わせて97例を数えるが,ほとんどが門脈圧亢進症を伴うもので,血管奇形によると考えられる症例は1966年にShearburnらが報告したのが最初で,自験例が4例めである.
  • 松本 利彦, 松本 文子, 河島 祥彦, 広原 淳子, 関 寿人, 是枝 ちづ, 水野 孝子, 鮫島 美子, 飯田 都, 何 国彦, 飯田 ...
    1987 年 29 巻 1 号 p. 141-151_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Exulceratio simplex(Dieulafoy)と思われた3症例4病変の出血に対し,内視鏡下に純エタノール局注療法を行い,止血し得たので報告する.症例1は49歳男性,心窩部痛と吐血を来したため入院,噴門直下小彎前壁よりに噴水状出血を認めた.症例2は61歳男性,突然下血を来し入院,体中部後壁に小粘膜欠損と拍動性湧出性出血を認めた.症例3は74歳女性,気管支喘息で入院し,ステロイド治療中,突然吐血した.体中部後壁,その後,体下部後壁に動脈性出血を認めた.以上3症例4病変に純エタノール局注を行い止血し得た. 以前,稀とされたExulceratio simplex(Dieulafoy)は,本邦では自験例を含め,1986年3月までに123例報告されている.これらの報告例の臨床像および内視鏡的治療法について,統計的・文献的考察を行い報告する.
  • 野中 卓, 恩地 森一, 道堯 浩二郎, 山下 善正, 堀池 典生, 中西 公王, 山下 恵子, 太田 康幸
    1987 年 29 巻 1 号 p. 152-156_1
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     特発性門脈圧亢進症に肝紫斑症を合併した症例を報告した.患者は19歳男子で,主訴は全身倦怠感.特発性門脈圧亢進症の疑いで腹腔鏡検査を施行したところ,肝表面にびまん性に肝紫斑症を観察した.特発性門脈圧亢進症に肝紫斑症を合併した症例の報告は本邦ではなく,特発性門脈圧亢進症と肝紫斑症の成因の関連性について考察を加えた.
  • 高安 博之, 板倉 勝, 門阪 利雄, 牧野 孝史, 松崎 松平, 猪口 貞樹, 佐々木 哲二
    1987 年 29 巻 1 号 p. 157-163
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     AFP高値が契機となり,腹腔鏡検査が診断に有用であった細小肝癌と早期胃癌の同時性重複例を経験した.症例は70歳の女性で食思不振を主訴に近医を受診し,肝機能障害とAFP高値を指摘されて当院に入院した.検査上,慢性の肝機能障害が認められたほかAFPは333ng/ml,CEAは4.Ong/mlと高値を示し,便潜血反応は陽性であった.腹部超音波,CT,血管造影では腫瘍の同定は困難であったが腹腔鏡検査を施行したところ,硬変肝に加え右葉横隔膜下に径2cm前後の半球状腫瘤を認め,目標生検により肝細胞癌と診断しえた.また胃X線検査及び内視鏡検査を行い,胃幽門前庭部後壁にIIa+IIc型早期胃癌を認めた.以上より,細小肝癌と早期胃癌の同時性重複と診断し肝右葉部分切除,胃亜全摘及びリンパ節郭清術を施行して同時に切除しえた.術後AFP,CEAはともに正常化し良好な経過をたどっている.細小肝癌と早期胃癌の両者を術前に内視鏡的に診断しえた症例は極めて稀であり,女性患者における報告は本邦では本症例が初例である.
  • 日本消化器内視鏡学会雑誌
    1987 年 29 巻 1 号 p. 164-190
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会雑誌
    1987 年 29 巻 1 号 p. 191-216
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会雑誌
    1987 年 29 巻 1 号 p. 217-218
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top