日本消化器内視鏡学会雑誌
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29 巻, 10 号
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  • ―ヌードマウス移植腫瘍における温度分布および抗腫瘍効果について―
    平井 信二, 樫村 博正, 中原 朗, 福富 久之, 大菅 俊明, 崎田 隆夫
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2141-2151
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経内視鏡的非接触レーザー照射法による局所温熱療法の可能性を検討する目的からヌードマウス移植腫瘍を用い,その温度分布および抗腫瘍効果について基礎的検討を行った.レーザーは,Argonレーザー,Argondyeレーザー,Nd-YAGレーザーの3種を使用し,それぞれについて比較検討した.表面温度は赤外線サーモグラフィーで,深部温度はAuメッキサーミスターで測定した.径約1cmに発育した移植腫瘍の温度分布についてみると,レーザー照射時の深部加温効率は,Nd-YAGレーザーが最も優れており,表面中心温度46℃で深部温度を42℃以上に保つことが可能であった.次に,ヌードマウス移植腫瘍に対して,Nd-YAGレーザーによる局所温熱療法を施行し,その抗腫瘍効果を経時的に検討した.まず,温熱療法単独群,MMC単独群,MMC+温熱療法併用群に分け,それぞれを対照群と比較検討した.温熱療法群の腫瘍の表面中心温度は,赤外線サーモグラフィー下で,約46℃に30分間保持した.治療後の平均腫瘍体積は,1週間で最小となり,対照群を100%とすると,MMC単独群58.2%,温熱療法単独群32.1%,MMC+温熱療法併用群13.9%であった.温熱療法後の組織学的変化は,腫瘍の疑固壊死が主体であり,また腫瘍周囲の栄養血管の損傷も著明であった. 以上の基礎的検討から,レーザー局所温熱療法が,消化管の悪性腫瘍に対する有効な治療手段の一つになり得る可能性が示唆された。
  • 永井 祐吾
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2153-2165
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的マイクロ波凝固療法(EMCT)が早期胃癌の局所根治法として有力と考え,本研究を行った.基礎的研究では,早期胃癌治療に際し導入した球状電極の凝固効果を明らかにし,適正条件を40w,5~10秒とした.早期胃癌の術前凝固による検討では,全域凝固群の63%に悪性所見が消失し,EMCTの局所効果が明らかになった.EMCT後経過観察した17例20病変の治療回数は1~5回平均2.3回,悪性所見消失率は100%で,2~68カ月平均23カ月の経過観察中2例にのみ局所再発を認めた.治療成績の分析結果から,直視可能な20mm以内の分化型隆起性粘膜内癌であれば1回のEMCTで根治が可能と思われた.超音波画像上凝固部は,直後ではhyperechoicに変化し,また1日後ではhypoechoicな層で境され,EUSによるEMCTの効果判定が可能であった.EMCTは針状電極に球状電極を用いることにより病巣を安全確実に凝固でき,適応と効果判定を厳格に行えば,早期胃癌の根治法として期待できる.
  • ―とくに内視鏡的食道静脈瘤硬化療法施行例について―
    加藤 啓一郎
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2166-2177
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変患者の胃粘膜の内視鏡的観察をおこない,EIS前後,表層性胃炎例,正常対照例の胃粘膜生検組織の光顕的および電顕的所見から考察をした.内視鏡的検討では発赤と浮腫が高頻度に観察され,特に発赤線状と点状出血の頻度は食道静脈瘤が進展するに従い増加し,EIS1カ月後には治療前より有意に増加した.光顕および電顕的検討から,発赤は,表層性胃炎の炎症性発赤とは異なり,門脈圧亢進による毛細血管の著明な拡張によるものであり,浮腫は,表層性胃炎の炎症性浮腫とは異なり,門脈圧亢進に伴う毛細血管内圧の上昇による漏出性浮腫であることが明らかになった.発赤線状は毛細血管の著明な拡大を反映しており,点状出血は毛細血管からの漏出性出血であると考えられた.発赤線状と点状出血は肝性昏睡の誘因となる胃出血の徴候として肝硬変のEIS施行時の重要な胃粘膜所見である.
  • 斎藤 裕, 狩野 敦, 藤巻 英二, 鎌田 広基, 能戸 伸哉, 加藤 博巳, 渡辺 英裕, 栃内 秀貴, 阿部 弘一, 千葉 俊明, 佐藤 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2179-2187_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近,5年8カ月間に,当科にて経験した腐蝕性薬品飲用者72例中17例に早期内視鏡検査を施行した.最近,社会問題にもなっているパラコート飲用例(8例)では口腔内に発赤・びらん,食道は上部から下部まで,特にE.G.J.に縦走する発赤・びらんを認め,重篤になると潰瘍・狭窄を呈した.しかし,胃・十二指腸への影響は軽微であった.酸性腐蝕剤飲用例のうち,クレゾール(4例)では食道及び胃に発赤・浮腫を認め,有機リン(2例)では胃に軽度の発赤を認めるのみであった.塩酸(1例)及びホルマリン(1例)では食道よりも胃・十二指腸にびらん・潰瘍を認め,塩酸系トイレ洗浄剤(1例)では4カ月後に食道入口部の狭窄を呈し,外科的胃瘻造設術を施行した.他の急性上部消化管病変に比し,腐蝕性薬品によるものは,口腔内・食道病変が著しく,胃・十二指腸への影響は軽微であり,著明な充血・浮腫を伴う傾向があった.本症に対する早期内視鏡検査は全身状態が不良でない限り,病変の把握,その後の治療の目安を知る上で有意義と思われた.
  • 水尾 仁志, 美馬 聰昭, 金川 博史, 井尻 正広, 田辺 利男, 関谷 千尋, 福田 守道
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2188-2199
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経時的に腹腔鏡検査及び肝生検を行い,肝硬変へ進展する上での斑紋肝の位置づけについて検討した.対象は腹腔鏡検査を施行し斑紋肝と診断した後1年以上経過して再度腹腔鏡検査を施行した40例(B型25例,NANB型15例)である.B型慢性肝炎の場合,肝硬変進展群は13例(52%),進展なし群5例(20%),改善群7例(28%)であった.一方NANB型慢性肝炎では,肝硬変進展群10例(67%),進展なし群5例(33%)で,改善例はなかった.B型慢性肝炎の場合,HBeAg-eAb系の関連をみると,改善及び進展なし群を合わせると初回HBeAg陽性の9例中8例(87%)がeAg陰性化し,そのうち3例(37%)がseronegative,5例(63%)がseroconversionした.一方肝硬変進展群では初回11例がHBeAgが陽性で肝硬変進展時にも9例(82%)がHBeAg持続陽性であり,seronegativeは1例,seroconversionは1例のみであった.B型慢性肝炎の場合,斑紋肝のstageでもHBeAgの消失により,組織学的進展を抑えるばかりでなく,改善していくことが示唆された.
  • ―維持療法下の再発と血清ペプシノーゲンI値―
    忌部 明, 隅井 浩治, 上村 直実, 木村 学, 春間 賢, 徳毛 健治, 大越 裕章, 豊島 仁, 福原 一作, 村上 信三, 梶山 梧 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2200-2206
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    60歳未満のDU195例を対象に,初診時のPGIおよび維持療法の状況(I群:完全継続群,II群:不完全継続群,III群:まったく維持療法を行わなかった群)を調べ,DU治癒後1年以内の再発への関与について検討し,以下の結果を得た.1)PGI<68ng/mlのものでは維持療法の状況に関係なく,ほとんど再発を認めなかった。2)68ng/ml≦PGI<95ng/mlでは,1群の再発率は13.3%と低値であるが,III群29.4%,II群45.2%と高率に再発がみられた.3)95ng/ml≦PGI<141ng/mlでは,II群の再発率80.8%,III群では73.3%と高率であるが,I群では33.3%で再発率は有意に低下していた.4)PGI≧141ng/mlでは,II群,III群では全例,1群でも66.7%と高率に再発がみられた.以上より,初診時のPGI測定は,維持療法の程度を決定する際の指標として有用と考えられた.
  • 長廻 紘, 長谷川 かをり, 飯塚 文瑛, 屋代 庫人, 田中 俊夫, 浜野 恭一
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2207-2213
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    コロノスコープで診断し組織学的診断の確定した各種上皮性腫瘍(腺腫,早期癌,進行癌)の部位別百分率を比較した。その結果腫瘍によって部位別の率に相当差があることが分った.直腸は腺腫・早期癌・進行癌とすすむにつれて割合が増える,上昇型分布を示すのに対して,S状結腸は早期癌の頻度が高く(山型分布),右結腸は早期癌の頻度が低い(谷型分布)であった.進行癌の分布は臨床的な数値と実態にあまり差がないと考えることができるので,腺腫や早期癌の分布で進行癌と差の大きい部位について検討し,大腸の部位によって腫瘍の発育・形態は必ずしも同じでないとの結論に達した。横行結腸・上行結腸の早期癌は臨床的に発見の難かしい扁平あるいは陥凹型を呈するものが少なく,その為同部位の早期癌は臨床例では少ないと推測された.
  • 加藤 智弘, 鴨井 隆一, 萱嶋 英三, 小塚 一史, 長崎 貞臣, 藤村 宜憲, 宮島 宣夫, 島居 忠良, 星加 和徳, 内田 純一, ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2214-2218_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    誤って,あるいは,故意に嚥下した異物は,大部分は胃以下の消化管に到達した後,数日中に体外へ排泄される.しかし,症例によっては食道内に停留し,食道穿孔などの重篤な合併症を伴うことがある.従って,正確な診断を迅速に下し,必要に応じて,内視鏡にて摘出する必要がある.今回,われわれは,食道内に基礎疾患を認めない,肉片・魚骨・椎茸・PTP包装薬剤の興味深い7症例を経験した.これらの異物の摘出方法について,若干の文献学的考察を加えて報告する.
  • 洲脇 謹一郎, 西原 修造, 占部 則生, 西山 仁樹, 上坂 好一, 今井 正信
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2219-2224_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    潰瘍底にあきらかな露出血管を認めた上部消化管出血66例を対象とし,3種類の内視鏡的止血法を行った.年齢は19歳から88歳であり,平均年齢は男性59歳,女性66歳であった.疾患別では,胃潰瘍46例(69.7%),十二指腸潰瘍9例(13.6%),胃癌6例(9.1%),ポリペクトミー後の出血3例(4.5%),食道憩室に生じた潰瘍からの出血1例(1.5%),Mallory-Weiss症候群1例(1.5%)であった.重篤な基礎疾患に合併した例は27例(41%)であり,基礎疾患による死亡例は6例(9%)であった.出血の程度は,噴出性または拍動性9例(14%),湧出性31例(47%),内視鏡時止血していたもの26例(39%)であった.止血法はエタノール局注法(A法,7例),A法とsucralfateのdirect-coating法との併用法(B法,16例),A法とsucralfate,thrombin混合物のdirect-coating法(C法,43例)の3種類を行った.A法,B法およびC法の止血率は86%,94%,100%であった.重篤な基礎疾患を合併した例での止血率も100%であった.以上からエタノール局注法と薬剤direct-coating法との併用法は,潰瘍底に露出血管を有する上部消化管出血に対して有効な止血法であると考えた.
  • 大橋 満, 中根 正雄, 堀口 明彦, 杉田 洋一, 山田 博史, 伊奈 研次, 堀内 洋, 松岡 聡明, 須賀 昭二, 永田 二郎, 岩瀬 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2227-2231_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    2%TSSを用いた食道静脈硬化療法の手技をその基礎的検討に基づいて改良した.その結果,急性出血例37例中,36例(97.3%)に止血が得られた.合併症は121例中,51例(42.1%)に認められ,そのうちの46例(90.2%)が潰瘍で,重篤なものとして食道穿孔が1例経験された.手技の要点はTSSを食道静脈療副血行路内へ十分貯溜させる事である.
  • 小原 勝敏, 正木 盛夫, 坂本 弘明, 岩崎 勝利, 三橋 彦也, 折笠 和栄, 和田 敏正, 鈴木 秀, 猪狩 弘之, 五十嵐 勤, 森 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2232-2236_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Injection Sclerotherapy(以下ST)116例中EO単独療法を54例に,EO・AS併用法を62例に施行した.各々の有効率は,89.5%,98%であった。EO法のみでは静脈瘤の完全消失が得られない例もあり,EO・AS併用法によりほとんどの例で静脈瘤の完全消失が可能となった. 次に,ST116例中,ST後1~5年経過した64例について長期予後を検討し,次の結論をえた.ST前の静脈瘤の程度に関係なく,静脈瘤を完全消失させることが長期の効果持続をもたらし,短期再発を防止することができる.完全消失は胃静脈瘤(Lg)を含めて消失させることが重要であり,Lgを残すとLgよりの出血の可能性が高まる.従って,食道静脈瘤と連続のあるLg(+)例のSTは,X線透視下で静脈瘤造影をしながらEOを確実にLgまで注入することが重要である.しかしながら,食道静脈瘤と交通のない,あるいは孤立性に存在するFornixのLgの場合は,STの限界と考えられ,今後の課題と思われる.
  • 古谷 慎一, 辻 秀治, 高升 正彦, 光藤 章二, 丸山 恭平, 岡野 均, 佐藤 達之, 福田 新一郎, 児玉 正, 瀧野 辰郎, 小林 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2237-2240_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的に切除し得た食道線維腫を経験したので報告する.症例は69歳,男性.嚥下困難を主訴として来院し,食道造影,上部内視鏡検査により入口部に有茎性腫瘤を認めた.食道粘膜下腫瘍が疑われたが,上皮性腫瘍との鑑別は困難であった.その形態から内視鏡的ポリペクトミーの適応と判断し,高周波スネアーにて切除した.摘出標本の大きさは,28×25×15mmで病理組織的に線維腫であった.食道線維腫は,極めてまれな疾患であり,本邦では自験例が5例目で,内視鏡的ポリペクトミー施行例としては,本邦で最初と考えられる.
  • 谷口 正次, 児玉 吉明, 小野 二六一, 香月 武人
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2241-2244_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(以下,硬化療法)後に合併した食道気管支瘻を,内視鏡を用いた保存的治療で治癒せしめた. 症例は,55歳男性.肝硬変症に随伴する食道静脈瘤の破裂・出血を,緊急硬化療法で治療した.静脈瘤内5%ethanolamine oleate(5%EO)15m1注入が,2回施行された.2週間後,硬化剤注入部の食道潰瘍より大量出血をきたした.潰瘍に対してはフィブリン糊の散布,残存する静脈瘤には硬化療法を追加して止血に成功した.初回硬化療法約1カ月後から,臥床時の咳嗽,腹部膨満感,排ガスの増加を訴えた.食道内視鏡で潰瘍底部の瘻孔を発見,食道透視で食道気管支瘻であることが確認された.1カ月間の絶食と中心静脈栄養で潰瘍はほぼ治癒したが,食道気管支瘻は残存した.瘻孔閉鎖の目的で,内視鏡下の瘻孔掻爬と瘻孔内フィブリン糊充填を4回試み,2カ月後には瘻孔の完全閉鎖をみた.
  • 石川 秀樹, 岡澤 崇, 井上 利道, 澤田 憲志, 姫野 誠一, 廣田 誠一, 竜田 正晴, 奥田 茂, 石黒 信吾, 谷口 春生
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2247-2252_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性,胃潰瘍にて胃部分切除,Billroth I法にて再建を受けた.その16年後,貧血を指摘され入院となった.胃内視鏡にて残胃の吻合部に1個の有茎性の隆起性病変を認め,生検を施行するも良性と診断された.しかし,4カ月後の内視鏡にて,隆起性病変の増大,変形を認め,生検にて高分化型腺癌と診断され,残胃全摘術が施行された.摘出標本の病理検査では,隆起の頭部の粘膜深層及び粘膜下に,嚢胞状に拡張した腺管よりなるGastritis cystica polyposa(GCP)を認め,その一部に癌病巣が認められた.隆起の茎部は,表層に粘膜筋板を持ち,中心は固有筋層により形成されていた.本症例の癌は組織学的に周囲にはすべてGCPを認め,GCPの拡張した腺管の一部に癌が置き変わっている所見が認められ,GCPを母地として発生したものと考えられた.また,本症例のGCPは,Billroth I法再建後の残胃の吻合部の一部にのみ認められ,有茎性に発育し,隆起の中心部に固有筋層がみられる点が,今までに報告された吻合部隆起性病変と比べて極めて異なっていた.その形態の特徴よりこのGCPの成因は,十二指腸液の逆流などの化学的刺激よりはむしろ手術操作による要因が重要と考えられた.また,4カ月間の経過観察中に隆起性病変の一部に癌が発見され,GCPが癌の発生母地であると考えられた.
  • 広瀬 はるみ, 黒川 きみえ, 丸山 正隆, 横山 聡, 橋本 洋, 光永 篤, 伊藤 弥生, 足立 ヒトミ, 大田 由己子, 屋代 庫人, ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2253-2262_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性.下血を主訴に当科受診し,消化管ポリポージスを発見された.栄養管理開始後に下痢が発現し,その後急速にいわゆる外胚葉系変化の増悪をみた.この症例と1981年以来経過観察中のCronkhite-Canada症候群の2例とあわせて臨床像,治療経過を比較検討した.(1)初発症状は味覚低下,食欲不振であった.(2)本症ではポリポージスが外胚葉系変化に先行すると考えられた.(3)経過観察を始めてから病状は進行性で,栄養管理のみで若干の軽快を示した例もあるが,著明な改善にはステロイドが必要で全例に有効であった.(4)ステロイド開始後11カ月目に投与を中止した例では中止後3カ月目にポリポージスの再燃をみており,再発予防には長期投与が必要と思われた.(5)1例に胃癌の合併があり,2例で大腸に腺腫の組織所見がみられるなど,癌病変に対する追求が望まれる.
  • 宮崎 光一, 鍋島 一雄, 山田 昌信, 小林 道生, 浜口 浩一, 村山 卓, 高瀬 幸次郎, 為田 靱彦, 岩田 次郎, 中野 赳, 小 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2263-2271
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    先天性胆嚢欠損症は比較的まれな疾患であり,診断が困難であったが,近年の画像診断の進歩によって内科的に診断することが可能となってきた.われわれは種々の画像診断にて胆嚢欠損症を疑い,腹腔鏡にて確診しえた1例を経験したので文献的考察を加えて報告した.症例は21歳,女性.腹痛を主訴として来院,腹部超音波検査,computed tomographic scanにて胆嚢は同定されず,さらに経静脈的胆道造影,内視鏡的膵胆管造影にて胆嚢および胆嚢管は造影されなかった.その他の胆道系には著変を認めなかった.腹部血管撮影では,胆嚢動脈は認められず,先天性胆嚢欠損症が疑われた.確定診断のため,腹腔鏡を施行したところ,肝床に胆嚢あるいは胆嚢の痕跡と思われるものはなく,加えて肝鎌状靱帯欠損および肝分葉異常が認められた.腹腔鏡にて本症を診断した報告は少ないが,本症の診断には有用な手段であると思われた.
  • 高尾 雄二郎, 芦田 潔, 多田 秀樹, 黎 維明, 平田 一郎, 竹田 喜信, 大柴 三郎, 常田 実, 中田 勝次
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2272-2277_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵管非癒合の背側膵にみられた膵癌の1例を報告した.患者は70歳男性.上腹部痛,体重減少を主訴に近医を受診し,左頸部リンパ節腫大を指摘され,同部の生検にて,adenocarcinomaが検出され,原発巣検索の目的で,当科に紹介された.血液検査では,CA19-9,3,300U/ml,CEA30ng/mlと著明な高値を示していた.ERCPでは主乳頭からの造影で腹側膵管系と胆管系が描出されたが,背側膵管系は描出されなかった.副乳頭からの造影は不成功に終った.腹部血管造影では脾動脈脾門部にencasementを認めた.以上より膵管非癒合に合併した膵癌と考えられた.剖検時の膵管造影で,副乳頭から約9cmの部位で背側膵管の虫食い・途絶がみられ,割面標本でこの部に腫瘍(4×4×3cm)を確認した.組織学的には中分化腺癌であった.文献上,膵管非癒合例での膵癌は,ほとんどが背側膵に発生することから本症をみた場合には背側膵の病変に十分注意する必要がある.
  • 高升 正彦, 光藤 章二, 辻 秀治, 古谷 慎一, 西田 博, 岡野 均, 佐藤 達之, 福田 新一郎, 布施 好信, 児玉 正, 瀧野 ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2278-2282_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ患者でDouble Pylorus形成から融合までの経過を追跡しえた症例を経験したので報告する.患者は69歳男性,主訴は吐下血.初回緊急内視鏡検査施行時,幽門前庭部小彎に凝血塊の付着した潰瘍を認めた.2週後には凝血塊は消失し,深い潰瘍が観察された.初回検査より2カ月後に行った内視鏡検査で潰瘍は十二指腸球部へ穿通しており,Double Pylorusと診断した.さらに2カ月後,2つの幽門の隔壁に小潰瘍がみられ,初回検査より7カ月後,Double Pylorusが隔合し,拡大しているのが観察された.同検査時,胃角部小彎に活動期の潰瘍も認められた. 本例はDouble Pylorusの形成および隔合の機序を考えるうえで示唆に富む症例と考えられた.
  • 田中 俊郎, 長部 雅之, 千住 雅博, 船津 史郎, 伊津野 稔, 橘川 桂三, 村瀬 邦彦, 村田 育夫, 田中 義人, 牧山 和也, ...
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2285-2291
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近われわれは,いずれも粘血便を主訴として来院し,大腸内視鏡検査にて発赤したいも虫状隆起や潰瘍性病変あるいはびらんを認め,同部の生検にて特徴的な病理所見を示したSolitary ulcer syndrome of the rectumの3症例を経験した.症例は17歳男性,15歳女性,13歳男性といずれも若年者で,トイレに長時間入るいわゆるstrainerであった.潰瘍性大腸炎の治療を受けた時期もあり,診断までに数年の病悩期間を有していた.病因は不明で治療も極めて難治性であるとされているが,われわれの経験した症例も,リンデロン坐薬などによる治療を試みたが効果はなかった.経時的な内視鏡観察では,びらんや隆起に種々の変化を認めた.病理学的には,1例でその経過中に生検にて若干の変化を認めた.
  • 佐藤 貴一, 田中 昌宏, 松橋 信行, 礒田 憲夫, 人見 規文, 木村 健
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2292-2296_1
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    全周性の隆起病変を呈した孤立性直腸潰瘍症候群の1例を報告する.症例;14歳,男性.主訴;肛門出血,排便時の粘液排出.直腸指診にて肛門縁より約4cmの部位に輪状に連なる弾性硬の病変を触知した.大腸内視鏡検査では,下部直腸に表面は発赤状で,微小びらんを有する全周性の隆起性病変を認め,生検組織にて粘膜固有層内に特徴的な線維化(fibromuscular obliteration)が顕著で,本症の診断が確定した.本症においては,肉眼形態上,全周性隆起を呈するものは稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 奥田 茂
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2297-2298
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 竹本 忠良
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2299-2303
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 渥美 和彦
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2304-2305
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 石上 重行
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2306-2308
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • J. F. Riemann, M. Harloff
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2309-2317
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 光夫
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2318-2319
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 大柴 三郎
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2320
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 三宅 健夫
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2321-2322
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2323-2344
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2345-2375
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2376-2386
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2387-2401
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 10 号 p. 2402-2410
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/05/09
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