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―減黄効果および維持期間の評価―
今 陽一, 樋口 次男
1987 年 29 巻 11 号 p.
2429-2436
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸に対するドレナージ術として,最近その臨床的有用性が認められている内視鏡的胆管ドレナージのドレナージ効果を減黄効果および維持期間について評価検討した.減黄効果の評価には,"減黄指数"により減黄効果の定量的な比較を可能とし,内視鏡的胆管ドレナージのドレナージチューブの差による減黄効果を経皮経肝胆管ドレナージも含め比較検討した.減黄効果は,内視鏡的内瘻術が,外瘻法である経皮経肝胆管ドレナージやnaso-biliary drainageに比べて極めて優れており,さらに,内径の太いチューブの減黄効果が良好である傾向を認めた.ドレナージチューブの維持期間は,チューブの差に伴う明らかな差を認めず,症例側の要因がその維持期間にもたらす影響が大きいと考えられた.
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Pao-Huei Chen, Yeong-Shan Jeng
1987 年 29 巻 11 号 p.
2437-2442
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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One hundred and fifteen cases of endoscopically proven esophageal varices were treated with EIS involving 375 sessions at Taipei Municipal Jen-Ai Hospital from September 1983 to June 1986. The patients were treated with 5% ethanolamine oleate 6-8 ml (30 cases) or 2% sodium tetradecyl sulfate 2 ml (85 cases) in each varix. The technique we employed was the Takase's modified intravascular injection method.
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―自動局所温熱システムの開発,及び,犬胃壁における局所温度分布と組織所見について―
青木 純, 鈴木 荘太郎, 三輪 剛
1987 年 29 巻 11 号 p.
2443-2451
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1979年以来,消化管腫瘍に対して,Nd-YAGIaser照射による治療が盛んに行われるようになり,種々の検討がなされている.しかし,現在まで,computerによるNd-YAGlaser照射の制御を行った報告は見当たらない.一方,近年,癌の集学的治療法の1つとして,温熱療法が注目されており,消化器内視鏡領域における検討も散見される. 筆者らは,computer制御による自動局所温熱システムを開発し,低出力Nd-YAGlaserによる内視鏡下局所温熱療法の基礎的研究を行い,局所温度分布及び組織学的検討を行った.その結果,Nd-YAGlaserの出力3W,0.5秒pulse照射,設定温度43.0~43.5℃,5分間の温熱照射によって,同心球状の範囲に温熱効果を惹起させうることが確認された.温熱効果による組織変化は,従来の非接触照射及び接触照射の効果であるcoagulationあるいはvaporizationなどと比較して,より浅く幅広い範囲に及んでいた.このcomputerを用いた自動局所温熱システムにより,より安全・確実な内視鏡下局所温熱療法が可能となり,臨床への応用が期待しうる.
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高橋 豊, 岡井 高, 磨伊 正義, 上野 雅資, 荻野 知己, 上田 博
1987 年 29 巻 11 号 p.
2452-2455_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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術前超音波内視鏡がなされ,切除術が施行された進行胃癌17例を対象に,間質反応からMedullary,Intermediate,Scirrhousに分類し,その腫瘍内部の超音波像を胃壁の筋層を指標に検討したところ,間質反応がScirrhousの症例では,高エコーが6例中,5例(83,3%)であったのに対し,Medullaryの症例では逆に筋層と同等から低エコーの内部構造が6例中5例(83.3%)にもみられた.以上より,転移形式と高い相関を持ちながら術前診断が困難であった胃癌の間質反応が,超音波内視鏡により客観的に判断することが可能であることが示唆された.
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(1)胃における臨床的・基礎的検討
柳井 秀雄, 多田 正弘, 苅田 幹夫, 広田 和子, 松田 和也, 岡 紳爾, 川野 博章, 重枝 正樹, 河内山 高史, 岡崎 幸紀, ...
1987 年 29 巻 11 号 p.
2456-2465
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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stripbiopsyにより内視鏡的に形成される人工胃潰瘍は,深さUL-IIであり,その経過は,慢性化素因を持たない臨床的な急性潰瘍の治癒経過のモデルと考えられる.この人工潰瘍は,臨床的・基礎的(雑種成犬)検討において,潰瘍形成の1週間後には,表面拡大観察により再生上皮が観察されるようになり,細胞動態的には,潰瘍辺縁部で増殖帯の拡大がみられ,2週目以降の棚状再生上皮の伸長とともにその一部に増殖細胞が出現し,また,潰瘍の面積は,ほぼ直線的に減少した. 臨床例では,人工胃潰瘍は6週間ですべて瘢痕化し,4週治癒率は,非H2プロッカー群で50.0%,H2ブロッカー群で68.8%,そして併用群で75.0%であり,正常胃粘膜の再生にも酸分泌抑制状態が望ましいことが示唆された. 以上より,中等度の大きさのUL-IIの急性胃潰瘍は,上記の経過をたどって,通常の抗潰瘍療法により6週間以内には治癒するものと推測された.
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三浦 正明, 樋渡 信夫, 小林 和人, 桑島 一郎, 今野 保敏, 江川 春延, 安海 清, 中嶋 和幸, 山崎 日出雄, 鈴木 邦彦, ...
1987 年 29 巻 11 号 p.
2466-2470_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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最近10年間に当科で経験した大腸非上皮性腫瘍について,その内視鏡診断上の特徴,問題点を検討した.昭和51年から60年までの当科における大腸内視鏡検査件数は8,236例であり,そのうち組織学的に確定診断のついた大腸非上皮性腫瘍は16例(全検査件数の0.19%,癌に対して4.31%)であった.非上皮性腫瘍中,脂肪腫は8例(50.0%)であり,ほとんどの症例は内視鏡的に診断がついていたが,うち2例は巨大な脂肪腫であり,癌との内視鏡的鑑別が困難であった.リンパ管腫は3例(18.8%)であり,全例内視鏡的診断が可能であった.平滑筋腫は3例(18.8%)で,うち1例は,同一病変内で腺腫と合併しているものであったが,内視鏡的には全例ポリープの診断にとどまっていた.悪性リンパ腫は2例(12.5%)であり,内視鏡的には,1例がボールマン2型癌,もう1例はアメーバ赤痢疑いとの診断であったが,生検で確診が得られた.
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里村 吉威, 岡井 高, 竹森 康弘, 中村 勇一, 森岡 健, 太田 英樹, 沢武 紀雄, 津田 功雄
1987 年 29 巻 11 号 p.
2471-2476_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は,66歳の女性で,腹痛,悪心,嘔吐を主訴に来院し,胃透視にて体穹窿部の伸展不良と巨大皺襞を指摘され,精査目的に入院した.入院時,著明な末梢血好酸球の増多(19%)と血清IgE値上昇(5,200U/ml)を認めた.胃内視鏡では,体部大彎を中心に粘膜壁の肥厚を認め,超音波内視鏡にて,粘膜下層の肥厚が観察された.その後,自覚症状の速やかな改善に一致して,好酸球数,IgE値は低下し,巨大皺襞も消失した.この間,ジャンボ生検を含む3回の胃生検を施行したが,得られた粘膜層には悪性所見や好酸球の浸潤はみられなかった.その特異な臨床像より粘膜下層を中心とする好酸球性胃炎を疑い食物によるチャレンジテストを施行したが,症状の再現は認められなかった.以上,本例は,病理学的な診断はできなかったが,胃巨大皺襞の成因を考える上で非常に示唆に富む症例と考えられたので,若干の文献的考察を加えて報告した.
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橋村 直隆, 竹田 喜信, 多田 秀樹, 三好 博文, 築山 順一, 板橋 司, 黎 維明, 大浦 元孝, 藤田 亨, 馬嶋 和雄, 進藤 ...
1987 年 29 巻 11 号 p.
2477-2482_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は37歳,男性.腹部膨満感を主訴として来阮,腹水・黄疸・肝障害にて入院した.初回腹腔鏡検査にて肝表面の平滑な半球状再生塊と深い溝状陥凹を認め馬鈴薯肝と診断した.組織所見は軽度の慢性非活動性肝炎であった.食道静脈瘤を認め,内視鏡的食道静脈瘤硬化術を施行した.施行後,第6日目より発熱・発疹・消化器症状を伴う肝障害の急性増悪をきたした.薬剤投与による肝障害の増悪を疑いリンパ球刺激試験を行った結果,抗生剤ラタモキセフナトリウム(LMOX)とシメチジンに陽性を示した.増悪後の腹腔鏡検査では肝の再生結節は肥大し,不均一な緑色調を呈し,多数のリンパ小泡を認めた.組織所見は小葉改築傾向を伴う慢性活動性肝炎であった.本症例は入院時より肝予備能の低下を認め慢性肝不全の状態にあったが,さらに薬剤性肝障害の修飾が加わり,馬鈴薯肝の機能的・形態的異常を示し特異な経過をたどった1例であった.
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狩野 吉康, 西川 秀司, 佐野 公昭, 大滝 裕敏, 柳田 健司, 林下 尚之, 目黒 高志, 佐賀 啓良, 武田 宏司, 木村 宗士, ...
1987 年 29 巻 11 号 p.
2485-2489_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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肝機能障害を持続する21歳男性のB型肝炎ウイルスキャリアーに対して組織学的検索を目的に腹腔鏡検査を施行した.肝鎌状間膜の左側にはわずかに母指頭大の肝左葉と思われる臓器を認めるのみであった.肝右葉は正常大であり過分葉を認めたが,肝硬変を示唆する所見はなく,右葉より行った生検では慢性活動性肝炎の診断であった.肝左難の臓器の組織診断は出来なかったが,腹腔鏡所見より肝左葉低形成と診断した.腹腔鏡にて診断された肝左葉低形成は文献的な報告は無く,今回の症例が第一例目と思われ,他の画像診断の所見と文献的考察を加えて報告した.
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藤巻 英二, 狩野 敦, 澤田 哲伸, 黒田 継久, 寺崎 公二, 片山 佐登志, 山田 宏之, 班目 健夫, 加藤 章信, 吉田 俊巳, ...
1987 年 29 巻 11 号 p.
2490-2498_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は20歳,男性,発熱を主訴とし,腹部超音波検査にて肝右葉後区に多発嚢胞状病変を認め,炎症症状が消失しても形態の変化は認められなかった.臨床経過よりCaroli病を強く疑い,ERCPを施行し,肝内末梢胆管の多発性嚢胞状拡張を認め,特に右肝管後上行枝の拡張が著明で小結石も認めた.両側肝管は軽度拡張していたが,肝外胆管の拡張はなく,膵・胆管合流異常も認めなかった.腹腔鏡では肝表面に白色樹枝状の変化を認め,組織学的には先天性肝線維症の所見であった.本邦のCaroli病報告例を形態学的に細分化し,比較したところ,末梢性,嚢胞状,多発性の症例が大部分であり,ほとんどの症例が先天性肝線維症や腎嚢胞性疾患を合併していたため,単なる先天性胆道拡張症の1型と考えるより,先天性肝線維症と同一スペクトラムに入る特殊なタイプとする方が妥当と考えられた.この考えに基づき,先天性多発性嚢胞状肝内末梢胆管拡張症の本邦報告例を集計し,検討した.先天性肝線維症の合併が多いにもかかわらず,静脈瘤の合併は少なく,胆道感染はほぼ必発であったが,結石の合併も比較的低率であった.本症のスクリーニングには無侵襲の腹部超音波検査が非常に有効であったが,本症の病態の解明にはERCPや組織学的検索は不可欠で,腎も含めた十分な画像診断を行い,症例を積み重ねることが必要と思われた.
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松野 浩一, 山口 淳正, 迫田 晃郎, 田畑 富士男, 美園 俊明, 田中 貞夫, 佐藤 八郎, 渋江 正, 桶谷 真
1987 年 29 巻 11 号 p.
2501-2505_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は56歳男性で,以前より糖尿病・膵石症を指摘されていたが,昭和56年,57年,60年,61年に下血がみられた.今回,下血の精査目的にて入院した.入院時,貧血・上腹部圧痛があり,血清アミラーゼ値低下,PFDテスト42。5%と低値であった.上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部より出血を認めた.ERCP時の選択的カニュレーションによる膵液の採取,及び造影所見,エコー,CTの所見より慢性膵炎に合併した膵嚢胞からの出血と診断し,膵体尾部,脾合併切除が施行された.切除標本所見より脾動脈膵枝からの嚢胞内出血と考えられた.また膵嚢胞は病理組織所見より主膵管が嚢胞状に拡張した膵貯溜性嚢胞と考えられた.本症は診断の難しい面もあり,消化管出血の原因としては一般的ではない.上部消化管の緊急内視鏡検査時に十二指腸下行脚までスコープを進めることにより一見原因不明と思われる症例でも,本症例のような疾患が発見されることもある.消化管出血を主訴とした膵嚢胞内出血中,貯溜性嚢胞内出血は本邦において稀と考えられたので若干の文献的考察を加えて報告した.
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坂戸 政彦, 嶋倉 勝秀, 野沢 敬一, 赤松 泰次, 仲間 秀典, 中村 喜行, 松田 至晃, 古田 精市, 上野 一也
1987 年 29 巻 11 号 p.
2506-2513_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
十二指腸乳頭部の腺腫4例および癌の共存した腺腫1例につき報告する.男性4例,女性1例で,年齢は50~80歳.4例はそれぞれ心窩部痛,掻痒感,黄疸,体重減少を主訴として受診したが,1例は肝硬変で通院中,上部消化管内視鏡検査により偶然発見された.内視鏡所見では3例に乳頭部腫瘤を認めたが,2例は乳頭腫大のみであった.生検を施行した4例中3例はGroupIII,1例はGroupII.ERCPでは全例膵管像には異常なく,胆管像では2例に総胆管末端部の腫瘤陰影を,1例に総胆管結石を認めたが,2例には異常を認めなかった.治療は1例に膵頭十二指腸切除術,3例に乳頭部切除術を施行したが,1例は肝硬変のため手術を施行しなかった. 乳頭部腺腫は,術前の生検によっても良悪性を鑑別することは困難なことがあり,癌の共存する例もあることより,治療方針を決定する上にはERCP等による十分な検索が必要と思われる.
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藤田 直孝, 李 茂基, 矢野 明, 小林 剛, 伊東 正一郎, 池田 卓, 豊原 時秋, 村上 大平, 長野 正裕, 長南 明道, 望月 ...
1987 年 29 巻 11 号 p.
2514-2521
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
各種画像診断から胆嚢隆起性病変の形態を示し,術後の病理組織学的検討で胆嚢壁内結石と結石周囲の膿瘍形成がその原因と判明した1例を経験したので報告する. 症例は49歳,男性で,主訴は心窩部痛である.USでは胆嚢は萎縮性で,底部に結石像を取り囲む低エコーの腫瘤像が得られた.ERCPでも底部に半球状の陰影欠損と近傍壁の不整がみられた.CTでみると,結石周囲の実質性隆起部分はcontrast enhancementによりenhanceされた.PTCCSでは,底部側に周辺粘膜より大きいpapillary patternの粘膜構造からなる半球状の腫瘤像がえられ,周辺粘膜での細血管の増生が認められた.切除標本の検討では15×15×10mm大の隆起性病変で,割面をみると胆嚢壁内から壁外にかけて黒色で不整形の結石が存在した.その周囲には肝内にもおよぶ著明な膿瘍形成を伴っていた.線維性瘢痕収縮により粘膜が内腔側に向かい圧出されたものであった.このような例はわれわれが文献上渉猟しえた範囲では見あたらず,胆嚢隆起性病変の鑑別診断上も重要と考え報告した.
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小林 剛, 藤田 直孝, 李 茂基, 矢野 明, 池田 卓, 豊原 時秋, 長野 正裕, 村上 大平, 長南 明道, 望月 福治
1987 年 29 巻 11 号 p.
2522-2527_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
59歳,男性.黄疸を指摘され当科に紹介入院となった.PTCDによる減黄の後,ERCPを施行した.十二指腸下行脚に狭窄があり,主乳頭は口側の観察のみが可能であり,同部に不整陥凹がみられた.内視鏡所見からは膵癌もしくは乳頭部癌が考えられた.主乳頭への挿管は不可能であった.副乳頭は腫大しており,副乳頭からの造影を施行した.背側膵管はわずかに拡張しているのみであったが,腹側膵管との交通はなく,Pancreas divisumの合併が根本にあると考えられた.CTscan,USから,腹側膵管の嚢胞状拡張が認められた.以上より切除可能な十二指腸乳頭部癌と診断し手術を施行した.病理学的検索の結果Pancreas divisumを伴った十二指腸乳頭部癌であった.
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古谷 慎一, 光藤 章二, 高升 正彦, 辻 秀治, 布施 好信, 内藤 英二, 福田 新一郎, 児玉 正, 瀧野 辰郎
1987 年 29 巻 11 号 p.
2528-2531_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大量出血をきたした十二指腸海綿状血管腫を内視鏡的ポリペクトミーにて治癒し得た.症例は72歳,女性.主訴は大量下血.上部内視鏡検査にて十二指腸下行脚に易出血性の亜有茎性隆起性病変を認め,粘膜下腫瘍を疑った.頻回の下血にて,全身状態が著しく不良となり外科的切除を断念し,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.切除標本の大きさは19×14×5mmで組織像は,海綿状血管腫であった.偶発症もなく,切除後の経過も良好で現在,再発,再出血は認めていない.
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林 繁和, 中村 常哉, 土田 健史, 佐竹 立成
1987 年 29 巻 11 号 p.
2532-2536_1
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸内視鏡検査で縦走潰瘍を認めた薬剤性腸炎7例を報告した.男女比5:2,平均年齢は41.6歳,ほとんどの例で血性下痢と腹痛があり,抗生剤は5例は感冒のために投与され,全例経口的に,3例はセフェム系,2例は合成ペニシリン,2例はセフェム系と合成ペニシリンの併用であった.3例は約1カ月前の服用であるが,4例はほぼ服用中に発症した.罹患部位は5例はS状結腸から下行結腸に,2例は深部大腸に見られ,うち1例は終末回腸までみられた.6例中5例は白血球増多,CRP陽性を示し,便培養は全例病原菌陰性,Clostridium difficileの毒素は検索した3例中1例陽性であった.薬剤性腸炎のうち偽膜の形成のみられない出血性腸炎は一般臨床症状などは一過性型虚血性大腸炎に酷似し,内視鏡的にも虚血性大腸炎に酷似した縦走潰瘍を呈する例もまれならず存在し,出血性腸炎の病態に腸管虚血の関与が示唆された.
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荒井 秀典, 浜島 博, 木村 達, 中島 啓吾, 小島 博美, 篠崎 弘一, 原田 公也, 戸塚 哲夫
1987 年 29 巻 11 号 p.
2539-2545
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は58歳男性.昭和60年6月頃より下痢,腹痛を認め,その後,食思不振,脱毛,浮腫,両上下肢の色素沈着が次々と出現し,同年9月精査目的にて当院入院となる.入院時,栄養状態不良で頻回の下痢を訴えていた.消化管造影及び内視鏡検査にて,胃,十二指腸,大腸にび漫性ポリポージスを認め,Cronkhite-Canada症候群(以下CCSと略す)と診断した.栄養療法として,まずElemental Dietを開始したが,低蛋白血症は改善せず,中心静脈栄養に切り替え,同時に副腎皮質ホルモン投与を開始した.約3カ月後,臨床症状,検査所見共に著明な改善をみた.同時期に施行した大腸内視鏡検査にて,S状結腸に残存する3個のポリープのうち17mmと最大のものに癌組織を証明,ポリペクトミーを施行したが,断端浸潤を認めたため,S状結腸切除術が施行された.CCSは癌の合併やポリープの癌化の報告例があり,診断上十分注意を払う必要があろう.
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多田 正大, 清水 誠治, 尾川 美弥子, 稲富 五十雄, 川本 一祚, 川井 啓市
1987 年 29 巻 11 号 p.
2547-2551
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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大腸内視鏡検査に際して,S状結腸のループを防止してスコープを進めることが技術的にも困難さを伴う.そのための挿入補助用具として従来からスライディングチューブが広く用いられてきたが,中間尺の大腸ファイバースコープ・PCF-10にも用いることができるような操作性の優れた組立式スライディングチューブ・ST-CXを臨床に用いて,その使用成績を報告した.ST-CXを用いた場合,回盲部への挿入に要した時間は平均7.3分間であり,安全にしかも確実に腸管を直線化して,スコープを深部大腸に進めることができ,ST-CXは大腸内視鏡検査に有用な挿入補助用具であると評価された.
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―消化器内視鏡:国際協力の経過,現状と指導施設の対応に関する集計報告―
小黒 八七郎, 熊谷 義也, 鈴木 博昭, 岡崎 幸紀, 藤田 力也, 矢花 剛, 酒井 義浩
1987 年 29 巻 11 号 p.
2552-2556
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
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日本消化器内視鏡学会
1987 年 29 巻 11 号 p.
2557-2730
発行日: 1987/11/20
公開日: 2011/05/09
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