日本消化器内視鏡学会雑誌
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29 巻, 2 号
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  • 名和田 浩
    1987 年 29 巻 2 号 p. 235-245
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,腹腔鏡検査におけるICG静注肝染色法の有用性が報告されるようになり,腹腔鏡検査を施行するうえで,重要な補助診断法として注目をあびてきている. 当科においても過去3年間136例に本法を施行したが,今回ICG染色法の臨床的有用性を明らかにするために,3つの項目について検討を加えた.第1に慢性肝炎における腹腔鏡診断が,本法の併用によって,通常の腹腔鏡観察以上により生検診断に近づくかどうか,第2に脂肪肝診断における本法の有用性についての基礎的検討,第3に肝細胞癌における本法の有用性についての基礎的検討を行った. 検討の結果,慢性肝炎の進展を考えるうえで重要な指標となる肝表面微細所見の照診率に向上がみられた,つまりマクロ的診断をよりミクロ的診断に近づけることが可能となった.さらに,肝表面を染色性により3群に分類し,0.5および2.0mg/kgICG静注後の15分値と比較したところ,肝表面の染色性の淡く均一なものは肝予備能が保たれており,染色性が濃く不均一なものほど肝予備能が低下していることがうかがわれた. また脂肪肝については,脂肪沈着部位の診断がより明確になった. 肝細胞癌についても癌部は染色されず,非癌部との境界が明瞭となることから,きわめて小さい肝癌(mm肝癌)診断の有力な検査法になることが示唆された.肝発癌ラットによる実験においてもこの事実を証明することが可能であった. 以上のことからICG静注肝染色法は,臨床的に肝表面微細所見観察に有用であるばかりでなく,脂肪肝,肝細胞癌の診断にも有用であることが立証された.また肝予備能との対応から,本法は機能的腹腔鏡の要素もあると考えられた.
  • 山田 正美, 金子 栄蔵, 熊谷 純一, 縄野 光正, 渡辺 文利, 大井 成子, 梶村 昌良, 瀬野尾 一孝, 本田 西男
    1987 年 29 巻 2 号 p. 247-253
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     9例のアカラシア患者に対し,著者らの開発したパンエンドスコープに装着したpneumatic bagを用い機械的拡張術を試みた.4例の拡張術前後の平均安静時LES圧は,拡張術前60.3mmHgから拡張術後20.3mmHgへと有意(P<0.05)の低下を認め,さらに下部食道最大横径も拡張術後減少する傾向にあった.また,8例の拡張術後1カ月間の体重増加率は平均10.5%であった.9例中2例はその後手術されたが,本拡張法におけるX線学的な拡張型・拡張度による適応の良否は特に認めなかった.本法では,拡張時軽度出血・中等度疼痛が全例に認められたが,穿孔などの重大合併症は1度も出現せず,本法はアカラシアに対する安全かつ有効な治療法であると言える.
  • 荒川 哲男, 佐藤 博之, 福田 隆, 樋口 和秀, 中村 肇, 佐久間 裕之, 重本 達弘, 北田 恵一, 小林 健司, 中村 厚, 根引 ...
    1987 年 29 巻 2 号 p. 254-258_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     健常ヒトボランティア6名を対象として,常用量のindomethacinによる胃粘膜傷害の発生と胃粘膜prostaglandins(PG)量におよぼす影響を検討した.その結果,内視鏡的に,6名中3名にindomethacinによる胃粘膜病変が認められた.すなわち,1名は幽門前庭部に2個の点状出血ビラン,他の1名は胃角~胃体部後壁に5個の線様出血ビラン,残りの1名には胃全体に多発性の発赤と出血ビランを認めた.生検粘膜組織のPGについては胃体部,幽門部とも,PGE2量はindomethacinにより著明な低下を認め,推計学的有意差がみられた.6-keto-PGF(PGI2の最終代謝産物)量もindomethacinにより低下傾向を示した.以上のことから,常用量のindomethacinが,健常ヒトボランティアにおいて胃粘膜PG(特にPGE2)量を低下させ,その結果,胃粘膜を脆弱化させることが示唆された.
  • 熊谷 一秀, 安井 昭, 西田 佳昭, 栗原 稔
    1987 年 29 巻 2 号 p. 261-267_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     癌巣内潰瘍を有する陥凹性胃癌は潰瘍の消長に伴いその陥凹面形態の変化を観察できることから,陥凹面形態が深部浸潤癌量の指標となり得るかを検討した.対象は教室で切除された癌巣内潰瘍あるいは瘢痕を有する陥凹性胃癌33例で,陥凹性早期胃癌14例,早期胃癌類似進行癌4例,Borrmann型進行癌15例である.これらを内視鏡所見,切除胃肉眼所見,病理組織学的所見と対比し,癌巣陥凹面の性状と浸潤癌量との相関を検討した.その結果,顆粒像を主体とする陥凹面は主に粘膜癌(m癌)の所見と判断でき,陥凹面形態が不整顆粒→結節→粗大結節→無構造と粗となるに従い深部浸潤癌量も増す傾向にあり,Borrmann型進行癌の陥凹面形態は全例粗大結節,無構造を示した.この傾向を癌巣表層の病理組織所見と対比すると,粘膜癌(m癌)の陥凹面の病理組織学的所見は悪性サイクルでいう地層型,全層型,聖域型で占められ,粘膜下層以下多量浸潤例および進行癌例ではそれらの出現の程度はごく弱かった.以上,陥凹性胃癌の癌巣内潰瘍の消長(悪性サイクル)と癌巣陥凹面の形態は密接な関連を有すと推察された.
  • 森田 豊, 松井 亮好, 安藤 貴志, 奥田 順一, 井田 和徳
    1987 年 29 巻 2 号 p. 268-274
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ヘマトポルフィリン誘導体(HpD)を用いた光化学療法の向上のため,N2,Ar両色素レーザーを用い基礎的検討を行い,下記の結果を得た. 1.パルス発振レーザーか連続発振レーザーのどちらが光化学療法における組織深達効率がよいかを調べるため,パルス発振レーザーであるN2 dye laserと連続発振レーザーであるAr dye laserを,50mW10分間という同一条件でHpDを投与した犬の肝表面に照射し比較したところ,N2 dye laserのほうが約1割深達性において優れていた。 2.HpDを投与した犬の肝表面にN2,Ar両色素レーザーを種々の条件で照射し,その組織障害の深達性について比較した結果,組織障害の深達性は照射総エネルギーが増加するほど深くなるが,同一エネルギーでは,低出力で長時間照射する方が高出力で短時間照射するより深達効率がよかった。 3.光化学療法の臨床応用の際に問題となる癌周囲の非癌組織に及ぼす影響をみるため,正常犬胃粘膜およびNd-YAGlaserで作製した胃潰瘍に,HpD投与後N2dye laserを照射したところ,正常部ではU1-IIの潰瘍を形成するにとどまったが,潰瘍部へ照射すると潰瘍は明らかに増大した。したがって,潰瘍性変化を伴う癌へ照射する場合は潰瘍の深化,ときには穿孔の危険もありうることを認識しておく必要がある。
  • 藤巻 英二, 狩野 敦, 河田 孝彦, 鎌田 広基, 加藤 博巳, 田沢 義人, 能戸 伸哉, 渡辺 英裕, 片山 佐登志, 佐藤 俊一, ...
    1987 年 29 巻 2 号 p. 275-281
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道静脈瘤患者のうち,その原疾患が肝硬変であった126症例を対象として,出血例については緊急内視鏡により,その出血源を食道静脈瘤,胃静脈瘤あるいは消化性潰瘍等に明確にし,それぞれからの出血率と内視鏡所見との関連を,非出血例と対比して検討した.対象126例中,出血例は82例(65.1%)であり,食道静脈瘤からの出血例は55例(43.7%),胃静脈瘤からの出血は10例(7.9%),消化性潰瘍からの出血は21例(16.7%)であった.食道静脈瘤からの出血率は発赤所見,形態との結びつきが深く,teleangiectasia存在例も出血率が高かった.胃静脈瘤の合併率は30.5%で,胃静脈瘤からの出血率は食道静脈瘤が軽度の方が高かった.消化性潰瘍の合併率は29.7%で,合併例では潰瘍からの出血率が60%に及び,静脈瘤からのそれより高率であった.潰瘍からの出血率は食道静脈瘤の程度に比例する傾向があった.潰瘍の発生部位は通常の潰瘍と比較して,特に出血例で胃角部より肛門側に多い傾向があった.食道静脈瘤については発赤所見,形態,teleangiectasiaが重要であり,胃静脈瘤については胃静脈瘤自体の客観的指標が必要と考えられた.消化性潰瘍については,その頻度,好発部位より,静脈瘤患者の出血例でも十二指腸までの観察が必要と考えられた.
  • 大舘 敬一, 宮本 英雄, 田中 一郎, 後町 浩二, 山田 恭司, 橋本 正, 鈴木 裕麿, 生沢 啓芳, 草刈 幸次, 柳川 忠二
    1987 年 29 巻 2 号 p. 282-287_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法専用2チャンネルファイバースコープEsophagofiberscope(FE-34TH)を試作し,9名の食道静脈瘤症例に35回の内視鏡的硬化療法(Endoscopic injection sclerotherapy: EISと略す)を行った.またスプリット型フードを先端につけ,静脈瘤内への穿刺率を静脈造影にて比較検討したので報告する. (1)従来の処置用2チャンネルファイバースコープは汎用でありEIS施行には過長であり,また穿刺針の出る方向が4時と6時半に位置し下半分にかたよっていたため12時方向を中心とした静脈瘤は穿刺しにくかった.しかし本機種はEIS施行には適正な長さでまた穿刺針方向が5時と11時とに対峙しているため,全視野の静脈瘤の穿刺が容易になった. (2)本機種を用い高瀬法にて内視鏡的硬化療法を9名の食道静脈瘤症例に35回の処置を行った.ファイバースコープ(FE-34TH)にスプリット型フードをつけた場合と,つけない場合とで,完全にintravasal injectionになった比率を比較すると,前者が53%,後者が44%でありファイバースコープ(FE-34TH)にスプリット型フード装着が静脈瘤穿刺に有効である傾向が見られた.
  • 寺本 研一, 竹下 公矢, 清原 秀康, 青井 東呉, 吉野 邦英, 羽生 丕, 遠藤 光夫, 那須 道世
    1987 年 29 巻 2 号 p. 288-295
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年食道癌診断技術の進歩により,早期食道癌の症例が増加している.今回,われわれは食道と胃の同時性早期重複癌で食道については大きさ1cm以下の微小癌であった1症例を経験したので報告する.症例は62歳男性で,近医で早期胃癌の診断を受け,手術のため当科入院となった.当科で上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃病変のほかに食道にも小発赤を認め,この部分の生検から食道癌の組織診断を得た.手術は右開胸による下部食道切除,胃全摘術を施行した.切除標本の病理組織学的検索では,大きさ0.5×0.7cm,深達度mmの早期食道癌と,大きさ1.8×5.0cm,深達度smの早期胃癌であった.なおリンパ節に転移は認めなかった. 食道と胃の同時性早期重複癌はまれで,本邦においては現在のところ10例が報告されているのみである.
  • 武市 俊彰, 増田 和彦, 渡辺 滋夫, 小原 卓爾, 東 博之, 藤本 浩史, 小阪 昌明, 斎藤 史郎, 白神 〓
    1987 年 29 巻 2 号 p. 296-301_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は57歳の女性.Vasculo-Behget病で上大静脈血栓症を発症後,11年目にdownhill esophageal varices (DEV)を認めた例である.39歳時口腔内アフタ,皮膚結節性紅斑,外陰部潰瘍が出現.46歳時頭痛,顔面浮腫が出現,静脈造影で上大静脈閉塞を認めた.今回は発熱,右季肋部痛の精査のため入院した.腹部エコー,CTで胆嚢,肝内胆管に結石を認めた.Alkaline-phosphataseは軽度上昇,ICG停滞率,血小板数,γ-globulinなどは正常,RI-angiography,腹部CTで下大静脈の閉塞も疑われた.食道透視・内視鏡検査にて食道上部2/3に限局するDEVを認めた.文献上,上大静脈血栓によるDEVは本例を含め9例の報告があり,原因の明らかな4例はすべてvasculo-Behcet病であることが注目される.また3例に下大静脈血栓も見られ,血栓の多発,進展により静脈瘤が拡大する可能性が考えられた.したがって上大静脈血栓によるDEVには慎重な抗凝固療法が必要と考えられる.
  • 杉浦 克明, 重沢 立郎, 吉田 秀三, 平田 りえ, 江畑 明, 稲葉 英造, 三宅 祥三
    1987 年 29 巻 2 号 p. 302-304_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     出血性潰瘍に対する治療法の1つとして,純エタノール局注(E注)が広く行われている.しかし,血液凝固異常を伴う出血性潰瘍に対しても有効か否か,あるいは内出血を作るのか否か疑問であった.われわれは,血友病A患者2名,後天性第8因子抑制因子出現患者1名の出血性潰瘍に対するエタノール止血を試みた.症例1.33歳男性,血友病A.胃体上部後壁小潰瘍.E注,第8因子製剤投与により22日後に瘢痕治癒.症例2.28歳男性,血友病A.胃体中部前壁小潰瘍.E注,第8因子製剤投与により5日後に潰瘍面は白苔のみ.症例3.72歳男性,第8因子抑制物質による後天性の血友病A様疾患.食道噴門部潰瘍.E注,第8因子製剤,ステロイド剤投与により22日後,瘢痕治癒.純エタノール局注法は,粘膜下の出血を認めず,欠乏因子の補充等凝固異常の治療法と併用することにより,有効な治療法であると思われた.
  • 矢野 哲也, 竹原 紀秀, 横田 哲夫, 依光 幸夫, 内多 嘉具, 徳岡 裕文
    1987 年 29 巻 2 号 p. 305-308_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     昭和52年1月より昭和60年5月までに,胃の隆起性病変114例165病変に内視鏡:的ポリペクトミーを実施した.このうち昭和56年3月より昭和60年3月にかけてポリペクトミー処置部より再発を繰り返し,3度ポリペクトミーを実施した1症例を経験した. 再発機序として,(1)焼灼潰瘍の修復過程において,上皮の過剰再生が生じた.(2)遺残組織より再発が生じた.(3)ポリープを生じやすい素因により生じた,等が考えられた.
  • 芦田 潔, 小山 茂樹, 木津 稔, 高田 洋, 大柴 三郎
    1987 年 29 巻 2 号 p. 311-317_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は75歳,女性で7年前より糖尿病の加療を受けていたが,空腹時血糖の上昇,体重減少,軽度の腹部症状が出現した.理学的所見では心窩部に可動性の少ない鵞卵大の腫瘤を触知した.血液生化学検査でALP,LAP,γ-GTPが著明に上昇していた.一方,CEA値は軽度上昇していた.ERCPで主乳頭からは短い腹側膵管像が,副乳頭からは背側膵管像がえられ,両膵管系には交通を有しなかった.X線上,腹側膵管系には異常を認めなかったが,背側膵管は開口部から約5cmの部位で中断像を示し,その近位側で腺房像の欠損を示した.これらERCP所見は剖検膵管造影所見とよく一致していた.病理組織学的所見では腫瘍組織は低分化型管状腺癌で,膵被膜を超え広範に浸潤していた.一方,癌浸潤は腹側膵には認められず膵腫瘍は背側膵管系より発生したものと推定された.自験例のごとく,膵管malfusionに膵癌が合併する危険性もあり,従って,本症では積極的に副乳頭からの造影に努めるべきである.
  • 佐藤 邦夫, 狩野 敦, 濱島 ちさと, 関 英政, 加藤 博巳, 田沢 義人, 加藤 智恵子, 猪股 正秋, 佐藤 俊一, 武田 豊
    1987 年 29 巻 2 号 p. 318-327
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     62歳男性のDouble Pylorus(以下DP)の1例を経験した.患者は心窩部痛を主訴として来院し,X線および内視鏡検査で,幽門の小彎側に十二指腸球部に通じる瘻孔と,これに接して十二指腸潰瘍を有するいわゆるDPが確認された.この患者の10年前の内視鏡所見では幽門前部小彎に変形は認めるものの,副交通路は形成されていない.本邦では近年本症の報告が相次ぎ,1985年末で本例を含め43例にのぼる.その内訳は男32例,女11例で,自覚症状は心窩部痛,吐下血が多い.平均年齢は61.4歳で,成因は先天性2例,後天性33例,いずれとも断定していないもの8例で,副交通路の位置は幽門の小彎側33例,大彎側6例,前壁側1例,部位記載不明3例である.治療法は外科的17例,保存的26例で,最近は保存的に治療されるものが多い.幽門近傍潰瘍の穿通によって形成されるとみられる後天性DPについてはPeripyloric gastroduodenal fistulaと呼ぶのが適切と考えられる.
  • 岩尾 忠, 山下 文彦, 窪山 信一, 香月 司, 久永 孟, 井手 耕一, 佐々木 英, 豊永 純, 谷川 久一
    1987 年 29 巻 2 号 p. 328-332_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回,われわれはS状結腸のLymphangiectasiaの1例を経験したので報告する. 患者は57歳男性で,1982年11月(今回入院より約3年前)下腹部痛を訴え初回入院となった.大腸X線検査にてS状結腸の狭小化,内視鏡検査では同部に正常粘膜に被われた小隆起性病変および浮腫状変化を認めた.その後著変はなかったが,1984年6月,subileusの状態で第2回入院となった.原因は前述のS状結腸の狭小化による閉塞と思われ,注腸X線検査では,病変部の狭窄の進展がみられた.内視鏡検査でも内腔の狭小化は進行しており,さらに特記すべき点として,先の小隆起性病変が多発していた.このため患者に手術を勧めたが拒否したため緩下剤投与で経過観察とした.しかしながら1985年7月,再び腸閉塞で第3回入院となった.入院後S状結腸の切除を行ない,Lymphangiectasiaの診断を得た. 結腸におけるLymphangiectasiaの報告はきわめて稀であり,上述のごとく約3年に渡り臨床経過を追跡し得,さらに興味ある知見として漿膜面にserositisの所見がみられたので若干の文献的考察を加えた.
  • 青木 隆, 樋口 次男, 小内 正幸, 元山 誠星, 野林 次郎, 五十嵐 健, 今 陽一, 木村 徹, 長又 則之, 新井 英雄, 清宮 ...
    1987 年 29 巻 2 号 p. 333-338_1
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的乳頭括約筋切開術(以下EST)を胆道癌4例の確定診断に応用した.4例中,3例は下部総胆管癌,1例は乳頭膨大部癌であった.これらの症例の主症状は,黄疸,上腹部痛,右季肋部痛,発熱などであった.内視鏡的には1例において乳頭の腫大を認めたが,その他の症例では主乳頭周囲粘膜に異常は認められなかった,造影上は総胆管の拡張とその下部胆管において,陰影欠損,不整狭窄が認められた.診断はEST直後に施行した組織生検により確定したが,胆道癌の手術前の確定診断を行う上でのESTの有用性について述べ,更にその問題点についても検討を加え報告した.
  • 中津 敏明, 相引 利行, 内田 善仁, 香川 博幸, 中尾 浩久, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫, 富士 匡, 竹本 忠良
    1987 年 29 巻 2 号 p. 341-346
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝門部癌の症例を含む悪性閉塞性黄疸7症例に対し,ガイドワイヤーを使用した7.2Fr pig tail tubeによるENBDを試み,5例に成功した.成功例のENBD施行前の血清総ビリルビン値は平均22.8±4.4mg/dlと高値であった.失敗した2例はともに肝門部癌の症例であった.ENBDの減黄効果は良好で,PTCDと比較して遜色がなかった.合併症として,EPTによる軽症の膵炎1例を経験したが,重篤なものはなかった.また,経過中に,チューブの脱落や目づまりをおこした症例も認めなかった. 以上より7.2FrpigtailtubeによるENBDは,これまでの5Frtubeでは施行できない高度黄疸例にも有効で安全な減黄法と考えられる.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 2 号 p. 347-382
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 2 号 p. 382-409
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 2 号 p. 410-417
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 2 号 p. 417-426
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1987 年 29 巻 2 号 p. 426-435
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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