日本消化器内視鏡学会雑誌
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30 巻, 5 号
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  • 白浜 龍興, 中野 真, 加藤 雅士, 古川 一雄, 長谷川 和子, 村越 明子, 箱崎 幸也, 真方 良彦, 中川 克也, 大庭 健一, ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 881-890_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    著者らは昭和53年より厳しい環境の下で行われる,いわゆるレンジャー訓練の前後に上部消化管内視鏡検査を施行し,上部消化管に急性病変が認められることを経験している.9年間のレンジャー訓練生421名中,胃潰瘍36例(8.5%),十二指腸潰瘍25例(5.9%),胃十二指腸潰瘍5例(1.2%)を認めた,これらのうち急性胃潰瘍41例(5例は十二指腸潰瘍と併存)について検討した.単発30例(73.2%),多発11例(26.8%)で62病変であった.62病変のうち胃角小彎に29病変(46.8%)が認められた.内視鏡的経過観察をみると治癒に8週以上を要した治癒遷延例は6例(14.5%)で胃角小彎の潰瘍が4例,胃角部と胃体部の多発性潰瘍1例,胃角部から胃体部の帯状潰瘍が1例であった.この6例中4例が再発(同部位再発,再発誘因は演習)し,うち2例が慢性潰瘍化したと考えられた.
  • 苅田 幹夫, 多田 正弘, 河内山 高史, 村上 敦司, 柳井 秀雄, 竹本 忠良
    1988 年 30 巻 5 号 p. 893-906_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    74症例84病巣の内視鏡像および30症例39病巣の手術標本を用いて,strip biopsyにより胃に形成されたUl-IIの人工潰瘍の経時的変化を検討した.その結果,人工潰瘍の瘢痕化までの日数は,内視鏡および組織学的にも30日前後であった.そして,部位別に著明な差は認められなかった. また,上皮の再生完了時には,すでに,粘液腺が形成され,粘液の分泌も盛んであった.一方,筋板の再生完了には,100日前後を要し,粘膜上皮の再生完了との間に,時間的格差を認めた. さらに,人工潰瘍は,形成後7日目から,すう襞の集中を呈し,とくに,その組織学的断面が,台形状の筋板および粘膜下組織を呈しているものは,すう襞の集中度合が強い傾向を認めた.そして,このような形態は,幽門洞で,多く認められた. 以上,strip biopsyにより形成されたUl-IIの人工潰瘍の検討により,正常の胃粘膜,筋板,および粘膜下層の再生,収縮の過程を明らかにした.
  • ―とくに上部消化管出血の原因としてのvascular ectasiaについて―
    渡辺 文利, 金子 栄蔵, 大井 成子, 梶村 昌良, 瀬野尾 一孝, 山田 正美, 伊藤 剛, 小林 貴明, 管沼 登, 伊藤 証, 鈴木 ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 907-912_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全透析患者の上部消化管病変について内視鏡的,臨床的検討を行った.慢性腎不全透析(HD)例42例の上部内視鏡所見は,胃炎が50%と最も多く次いで血管拡張症(VE)(確診12%,疑診12%),十二指腸炎7%,食道炎,十二指腸潰瘍,胃・十二指腸ポリープ5%,胃潰瘍2%の順で,VEが高頻度に認められた.HD例において非HD例よりもVEの発生頻度は有意に高く,HD例における上部消化管顕出血に占める割合も高値であった.VE症例と非VE症例では,年齢,血液透析期間,血清Cr,BUN値,収縮期血圧において有意差はなく,慢性腎不全の原疾患に一定の傾向はなかった.またVEの上部消化管における分布にも一定の傾向は認めなかった.
  • 市川 和男, 中澤 三郎, 内藤 靖夫, 市川 正章
    1988 年 30 巻 5 号 p. 915-925_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    各種胆嚢疾患に対する精密診断ならびに内視鏡治療を目的として,経皮経肝胆嚢鏡検査(PTCCS)を開発した.手技の確立および器具の考案によりPTCCSまでに要する期間は6.1日間と大幅に短縮され,また重篤な合併症は認めなかった.対象60例中59例にPTCCSが可能であった.各種画像診断にて胆嚢癌を疑われた44例では,14例の胆嚢癌をはじめとして全例が本法により確診された.また,胆嚢癌では直視下生検との併用にて6例に胆嚢頸部への粘膜内進展を診断し得た.さらに,10例の胆嚢隆起性病変にポリペクトミーを行い,15例の胆嚢結石患者を安全に截石した.本法は手術を前提としない安全な検査法であり,胆嚢疾患に対して最も確実に診断を下し得る精密診断法であると同時に截石やポリペクトミーなどの治療手段としても有効であった.
  • 趙 栄済, 松井 亮好, 清田 啓介, 向井 秀一, 西村 和彦, 小林 正夫, 安田 健治朗, 吉田 俊一, 今岡 渉, 藤本 荘太郎, ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 926-935
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    オリンパス社製ラジアル走査式超音波内視鏡を用いて,46例の大腸癌に内視鏡的超音波断層法(EUS)を施行し,本法による大腸壁の層構造の解析とともに大腸癌の深達度診断能について検討した.前処置としてはBrown変法あるいはグリセリン浣腸を用い,観察にあたっては病変部を脱気水により水浸させた.EUSによって正常大腸壁は5層構造として描出され,第1層の高エコーおよび第2層の低エコーが粘膜固有層および粘膜筋板に,第3層の高エコーが粘膜下層に,第4層の低エコーが固有筋層に第5層の高エコーが漿膜下層および漿膜(あるいは外膜)に対応した. EUSでは大腸癌は低エコー腫瘤像として描出されるが,腫瘤による大腸壁の層構造の破壊・分断の有無による深達度診断の可能性を検討したところ,早期癌12例中9例(75%),進行癌34例中26例(76%),全体で46例中35例(76%)に正診が得られた.また,早期癌か進行癌かの判定では46例中41例(89%)が適中しており,大腸癌の垂直方向への拡がりを把握する上で有用であった.このように,EUSによって大腸壁は粘膜側から漿膜側へと5層構造で明瞭に描出されるため,病変部の垂直方向での連続的な変化の解析も可能であり,大腸癌の新たな診断法として有用である.
  • 大坂 直文, 白木 正裕, 三好 博文, 芦田 潔, 折野 真哉, 鄭 鳳鉉, 林 勝吉, 奥村 泰啓, 松本 章夫, 平田 一郎, 大柴 ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 936-941_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    電子内視鏡画像の解像力を比較するため,電子内視鏡用の解像度テスト・チャートを作成した.解像度は直線の水平方向の分解能として表現し,1 line/mmから201ines/mmまで設定した.このテスト・チャートを使用し,電子内視鏡およびファイバースコープの解像力の比較を行った.3機種の新型電子内視鏡による比較ではTGI-50D(東芝一町田社製,画角100.,カラーフィルターCCD方式,約10万画素)が,GIFV10(オリンパス社製,画角120.,RGB面順次方式,約4万画素)やVE-81205(Welch-Allyn社製,画角90.,RGB面順次方式,約4万画素)より勝れていた.ファイバースコープと電子内視鏡には,線の分解能には顕著な格差は認められなかったが,電子内視鏡の画像はファイバースコープに比較して線の辺縁がより鮮鋭に描出され,病変の形態認識に明確さを与えるものと考えられた.
  • 吉利 彰洋, 長廻 紘, 屋代 庫人, 長谷川 かをり, 飯塚 文瑛, 五十嵐 達紀, 浜野 恭一
    1988 年 30 巻 5 号 p. 942-949
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的S状結腸ポリペクトミー後に追加腸管切除を施行した症例において同部に肉芽性ポリープの形成が認められた.ポリペクトミー後の粘膜欠損部の修復は瘢痕治癒することが多く,このような隆起性の肉芽組織による修復は比較的稀と思われる.それ故に当教室におけるポリペクトミー後の追加腸管切除症例29例33病変を対象に腸管の修復について検討し,修復過程と隆起性肉芽に関し以下の結果を得た.ポリペクトミー後の粘膜欠損は癌の遺残の有無を問わず10日以内では急性期の潰瘍像を呈し,20日前後で治癒期の潰瘍となり軽度の粘膜集中が出現する.30日前後で治癒期の潰瘍の瘢痕収縮が強くなり粘膜集中像が完成し,30日以上の経過にて瘢痕となり粘膜欠損の修復が完了する.肉芽性ポリープの形成はポリペクトミー後の組織欠損部に肉芽の過剰増殖をきたし隆起が形成され,腸管吻合部等の肉芽過剰増殖は時に見られるがポリペクトミー後に見られることは稀である.
  • 明田 憲昌, 大坪 正明, 檀浦 龍二郎, 森口 義博, 小金丸 道彦, 大竹 久, 西村 寛, 入江 康司
    1988 年 30 巻 5 号 p. 950-955_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    上部消化管X線検査で偶然に発見され,食道内視鏡検査時の生検にて診断し得た中部食道のgraularcell tumorについて報告する.症例は58歳女性で,自覚症状は特になく,食道造影にて中部食道に,大きさ12mm×8mmの隆起性病変が指摘された.内視鏡検査では,門歯より約28cmに黄白色調の山田II型の隆起性病変が認められ,そのすぐ口側にも同色調の小隆起が認められた.内視鏡的生検により,両者ともgranularcell tumorと診断された.病理組織検査では,悪性の所見は認められず,発生母地としてSchwann細胞起源を強く疑わせる所見が得られた.大きい方の腫瘍に対し内視鏡的ポリペクトミーが施行されたが,経過は良好である.granular cell tumorが食道に発生することはまれであり,なかでも食道の多発例は,本邦では極めて少ない.
  • 磯村 豊司, 品川 正
    1988 年 30 巻 5 号 p. 956-962_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,アレルギー性紫斑病とされるSchönlein-Henoch型紫斑病を,17歳成人男性に経験したので報告する.
     患者は,腹痛,紫斑,関節痛を主訴として来院.入院後,吐血の出現により上部消化管内視鏡が行われ,胃・十二指腸に著明なびらん,出血が認められたため,われわれは,その所見と臨床所見と合わせSchönlein-Henoch型紫斑病と診断した.その後,ステロイドおよび,ファモチジン投与にて,腹部症状のすみやかな改善を認め,また経時的に上部消化管の内視鏡観察が可能であった.しかし,入院約3週後の緩解時に突然下血をきたしたため,大腸内視鏡検査を施行し,大腸全域に,粘膜の浮腫,出血を認めた.ステロイド増量により下血は消失し,その後の経過は良好であった.Schönlein-Henoch型紫斑病で,その経過中に特に激しい腹部症状を認める場合には,内視鏡検査が診断および,治療方針決定に寄与するものと考える.
  • 前田 吉昭, 森瀬 公友, 岡 勇二
    1988 年 30 巻 5 号 p. 965-972_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞腺腫の1例を本邦報告例の文献的考察を加えて報告した.症例は22歳の女性で心窩部痛を主訴に外来を受診し,上部消化管X線検査,腹部超音波検査にて肝左葉の異常を指摘され入院した.20歳時に月経異常にて排卵誘発剤を約3カ月服用している.血液生化学検査は異常を認めず,超音波内視鏡,腹腔鏡および血管造影等の画像診断にて肝左葉辺縁より発生した良性腫瘍,なかでも肝細胞腺腫が疑われ手術を行った.切除された腫瘍は,表面は凹凸不整で赤褐色調を呈し,組織学的には肝細胞腺腫の所見であった.欧米においては経口避妊薬と肝良性腫瘍との関連が強調されているが,自験例を含めた33例の本邦報告例では,蛋白同化ホルモン製剤と関連があると考えられる症例が4例,D.H.剤服用が1例,および合成エストロゲン剤服用が1例に認められた.今後日本では経口避妊薬の発売が認可される時期にあり,LCAが増加することが考えられ,肝腫瘍の診断にLCAを考慮する必要があると考えられた.
  • 横地 潔, 宮本 忠壽, 伊藤 誠, 横山 善文, 安江 直二, 城 卓志, 今井 新平, 松佐古 敬, 岩井 彰
    1988 年 30 巻 5 号 p. 973-978_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    誤嚥されたヘアピンが胃前庭部小彎を穿通し,腹腔内に脱落することなく十二指腸球部へ刺入し肛門から自然排泄された例を報告した.この例では,胃から十二指腸ヘヘアピンが通過した経路が内視鏡造影下で瘻として確認できる興味ある所見がえられた. 症例は45歳の女性で,食事と関係しない上腹部不快感を訴えて来院した.胃レ線検査でヘアピンの両端が幽門輪の小彎を穿破して前庭部と十二指腸球部にみられた.異物摘出を目的とした内視鏡検査時にはすでにヘアピンは胃内に存在せず,穿通部には浮腫と白苔に覆われた小陥凹を認めた.この部からのウログラフィン注入により内視鏡下に胃・十二指腸瘻が造影され,その後の内視鏡検査で自然治癒が確認された.異物による胃・十二指腸瘻は文献上みられず,極めてまれな例と考えられた.
  • 角谷 宏, 味方 正俊, 渡辺 裕, 村山 久夫, 原田 容治, 斉藤 利彦
    1988 年 30 巻 5 号 p. 981-985_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    エタノール局注が腫瘍の除去に有効であった十二指腸カルチノイドの1例を経験したので報告する.症例は87歳女性で,腹痛を主訴に来院,内視鏡検査で十二指腸球部後壁に径3mmの表面平滑な隆起性病変を認め,直視下生検によるグリメリウス染色で,一部陽性のカルチノイド腫瘍と診断された.内分泌学的には,血中ブラディキニンの高値を認めたが,高齢のため手術は施行せず,エタノール局注によるカルチノイド腫瘍の治療を試みた.局注後隆起性病変は消失,潰瘍を形成したが,その後計3回の内視鏡検査,計20カ所の生検でもカルチノイド腫瘍は証明されず,臨床的に腹痛も消失し,高値を示した血中ブラディキニン値も低下し,エタノール局注が腫瘍の除去に有効であったと考えられた.
  • 川本 克久, 藤野 博也, 時田 和彦, 辰巳 嘉英, 光藤 章二, 辻 秀治, 古谷 慎一, 高升 正彦, 布施 好信, 児玉 正, 瀧野 ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 986-991_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は81歳女性で,心窩部痛を認めたため上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃潰瘍と十二指腸球部に表面結節状で一部に発赤を伴う山田IV型の隆起性病変を認めた.生検によりgroup Vと診断された.内視鏡的ポリペクトミーを施行し,10×9×6mmのポリープを回収した.病理組織学的検索により,深達度mの管状腺癌と異型性の低い管状腺腫の部分から成るcancer in adenomaの症例と考えられた.
  • 辰巳 嘉英, 光藤 章二, 西田 博, 藤野 博也, 時田 和彦, 川本 克久, 古谷 慎一, 辻 秀治, 高升 正彦, 布施 好信, 児玉 ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 992-998_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡が嚢胞の性状の鑑別に有用と考えられた膵嚢胞腺腫の2例を経験した.症例1は,一部径約2cm以下の複数小嚢胞を含むが,大部分は海綿状構造をとる膵体尾部の病変で,組織は良性であり,膵嚢胞腺腫(microcystic)と考えられた.症例2は,径約1~3cmの多数の嚢胞よりなる膵頭部の病変で,組織は良性であり,膵嚢胞腺腫(megacystic)と考えられた.両症例とも,腹部超音波・腹部CT・超音波内視鏡・ERCPを施行したが,なかでも超音波内視鏡は,両病変の内部構造を明確にとらえ,症例1では,複数の小嚢胞と高・低エコー混合像を,症例2では,比較的大きな多数の嚢胞をそれぞれ明瞭に描出した.膵腫瘍性嚢胞は,Compagnoらにより,漿液性の内容を含む多数の小嚢胞よりなる良性のmicrocystic adenomaと粘稠な内容を含む比較的大きな嚢胞よりなり悪性もしくは悪性化傾向をもつmucinous cysticneoplasmに分けられているが,症例1は前者,症例2は,後者にあたり,これらを鑑別する上で超音波内視鏡が有用であった.
  • 松本 浩二朗, 中澤 三郎, 瀬川 昂生
    1988 年 30 巻 5 号 p. 999-1004_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性.便秘を主訴として当院受診.注腸X線検査にて盲腸の内側に立ち上がりがなだらかな半球状の陰影欠損を認めた.虫垂は造影されなかった.大腸内視鏡検査にて回盲部内側に表面平滑な隆起性病変を認めた.超音波検査では瓢箪型の腫瘤像として描出された.その内部は全体に低エコーであるが底部に微細な点状エコーが偏在してみられ,粘液を含んだ嚢胞性変化と考えられた.CTでも同部位にlow density massを認めた.血管造影では回結腸動脈分枝の圧排伸展が著明で血管増生や広狭不整などの悪性像は認められなかった.以上より虫垂粘液嚢腫と診断し手術を施行した.腫瘤は手拳大で二房性の瓢箪型を呈し内腔は乳白色の半透明なゼリー状物質で充たされていた.組織学的には上皮はほとんど剥脱していたが,一部に乳頭状に内腔に増殖する一層の円柱状の粘液産生上皮細胞が認められ,組織学的にも虫垂粘液嚢腫であることが確認された.
  • 森田 雅範, 北島 裕慎, 岩村 伸一, 秋澤 玲子, 門脇 徹, 鍵山 惣一, 田村 智, 坂本 芳也, 中田 博文, 中澤 慶彦, 岡崎 ...
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1007-1010_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    全周性に集蔟性隆起性病変を呈したmucosal prolapse症候群の1例を報告した.症例は16歳男性.頻回の排便,排便後の血液付着を認め,肛門指診にて肛門縁より5cmの部位まで全周性集蔟性の硬結を触知.大腸造影,内視鏡検査で歯状線より直腸下部に集蔟性隆起性病変を認め,生検組織診で上皮細胞の過形成と一部の欠損,腺管周囲の線維芽細胞の集蔟と線維化および平滑筋増生を認め本症と診断した.診断後内科的治療に抵抗し外科的切除を施行した.本症として極めて稀な形態を呈した症例と考え,考察を加え報告した.
  • 後藤 充男, 山田 暢夫, 大沢 佳之, 正宗 研
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1011-1014_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は41歳男性.大後頭神経痛のため3年間メフェナム酸を常用していた.昭和60年8月,腹痛,下痢,血便を主訴として秋田労災病院に入院となった.下部内視鏡検査で回腸末端に周囲に浮腫と発赤を伴う類円形の浅い潰瘍を1個認めた.生検では粘膜上皮の脱落,粘膜固有層の浮腫,リンパ球を中心とした炎症性細胞浸潤がみられた.非乾酪性肉芽腫はなく,非特異的炎症所見であった.小腸二重造影では回腸末端以外に潰瘍病変なく回腸末端単純性腸潰瘍と診断した.入院後,直ちにメフェナム酸を中止,入院39病日よりサラゾピリンを投与,入院54病日には発赤と浅い陥凹を残して潰瘍は瘢痕化した.本例はメフェナム酸中止により潰瘍の治癒傾向が認められたことから,発症原因として薬剤の関与が示唆された.
  • 吉田 司, 富田 志郎, 柿崎 善明, 小松 眞史
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1017-1021_1
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    発症約1ヵ月後の早期に大腸内視鏡検査で発見された,アフタ様潰瘍とdiscrete ulcerのみからなる大腸Crohn病で,瘢痕性変化を残さず寛解した症例を報告した. 症例は38歳女性.大腸X線検査で異常なく慢性使秘として外来治療中,約1カ月来水様性下痢,腹痛が持続,大腸内視鏡およびX線検査で異常がみられたため入院した.内視鏡的に直腸は正常,S状結腸から横行結腸までアフタ様潰瘍と浅い不整潰瘍がskipしてみられた.x線検査では下行結腸の顆粒状変化のみで,上部消化管,小腸に病変はみられなかった.感染性腸炎が否定され,大腸生検で非乾酪性肉芽腫が認められたこと,および臨床経過から大腸Crohn病と診断した.Salazopyrin2g/日に加えて,Metronidazole 750mg/日を投与した.病変は可逆性で,約3か月後瘢痕性変化を残さず寛解したことから,炎症が腸壁の比較的表層に限局していたものと考えられた。
  • 渡辺 豊
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1022
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1023
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 川井 啓市
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1025-1028
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 晃
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1029
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1030-1032
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 小黒 八七郎
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1033-1034
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 豊
    1988 年 30 巻 5 号 p. 1035-1036
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    With the object to establish the indication of the endoscopic therapy for early gastric cancer, some questionaires were performed about the cases of early gastric cancer treated by surgery and by endoscopic therapy at the cancer centers. We obtained the following conclusions based either on the results of the questionaires or on our study about the operated cases and our 10 year period experience. Namely, since type ha and IIc (Ul-) early gastric cancers of less than 1 cm in diameter or polyp cancers are not associated with lymph node metastasis and easy to be treated locally, we consider that endoscopic treat ment is absolutely indicated for these cases. For cases of cancers of more than 1 cm in diameter, incidence of lymph node metastsis becomes higher. If there are some factors which are unfavourable for performing operations such as presence of other disease or high age, the indication should be extended gradually according to such factors. In unoperative cases, endoscopic therapy should be considered even in cases of progressive cancer.
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1037-1043
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1044-1048
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1049-1070
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1071-1089
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1090-1114
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1115-1141
    発行日: 1988/05/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1988 年 30 巻 5 号 p. 1160
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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