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池田 肇, 大久保 公雄, 角谷 宏, 河合 隆, 新戸 禎哲, 山田 孝史, 古賀 清, 山田 裕章, 原田 容治, 斉藤 利彦, 芦澤 ...
1988 年 30 巻 9 号 p.
1879-1886
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝硬変症例160症例にEISを施行し治療後出血率・生軸線を中心に検討した・緊急・待期・予防例での治療後出血率は30.3%,18.0%,10.6%,Child分類別ではChild A8.7%,B17.6%,C21.7%で平均16.3%であり,出血死を5症例(3.1%)に認めた.(平均観察期間23.5ケ月).出血時期は1年満が圧倒的に多く,初回シリーズでの静脈瘤完全消失が重要であることが示唆された.一方,4年生存率は各治療時期共70~77%であったが,生軸線の検討よりChild A,B症例の予後は比較的朗であるのに対し,Child C症例では予防例のみが良く緊急例では3ケ月以内の死亡例カミ多いことよ出血が予想される症例では予防的EISを施行すべきであると判断された.
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―R.G.B別個の輪郭強調の意義について―
土居 利光, 宮原 透, 金沢 雅弘, 渡辺 圭三, 川口 淳, 力武 幹司, 岩下 悦郎, 林 琢也, 竹原 正信, 野村 勉, 小林 正 ...
1988 年 30 巻 9 号 p.
1887-1897
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
電子スコープを改造し,遅延回路を利用してR,G,B別個の信号に対して輪郭強調をおこなった.この方式は一種の電気信号処理であるが,広義の画像処理に含めてよいものであり,労力並びに経済性にすぐれ,リアルタイムにおこなえる利点がある.この方式を用いて,胃,十二指腸潰瘍32例,胃炎40例,胃ポリープ12例,胃癌9例,その他47例についてその効果を検討した.Rの輪郭強調では凹凸病変の描出にすぐれ,色調の若干の強調と影の部分の強調により,診断上より効果のある画像が得られた.Gの輪郭強調では,微小血管の描出および病変並びに胃内構造の辺縁の強調にすぐれた.これは,G(緑)自体,人の目に対して弁別域,視感度が良いという理由のほかに,病変などの構造情報はG成分によるところが大きいという事実が関与しており,これは信号量に応じた白黒変換画像による補足検討により証明できた.R,G,B別個の輪郭強調に要する画素分の色の変化とノイズの増加により,病変の性状によっては粗い画像となる場合もあったが,簡便で実践的なR,G,B別個の輪郭強調は,より情報の多い画像を得るという意味で臨床的に有用と考えられた.
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川本 智章, 井戸 健一, 人見 規文, 礒田 憲夫, 大谷 雅彦, 木村 健
1988 年 30 巻 9 号 p.
1898-1903
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
レーザー光回折パターンを利用したレーザー計測用腹腔鏡を各種肝疾患に使用し,その臨床的意義について検討した.肝表面の計測は,回折パターンを肝表面上に投影し,その写真撮影をすることによって行った.即ち,回折光は径50μの光のスポットとして0.2mm間隔で一直線状に並ぶため,肝表面の2点間の距離及び高さについてスポット数を数えることにより計測が可能であった.本装置により,肝硬変の結節を始めとした種々の肝病変の二次元計測が,従来の方法と比較してより客観的,且つ正確に行えるようになった.本装置による計測は,写真撮影を行うだけですむために,従来の方法に比べて操作が極めて簡便であった.尚,通常の腹腔鏡としての解像力も良好であることより,ルーチン検査の一環として容易に使用することができた.今後,本法は慢性肝疾患の腹腔鏡的解析に有用な検査法になると考えられた.
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若林 博人, 新沢 陽英, 外田 博貴, 中村 東一郎, 鵜飼 克明, 奥山 芳見, 山田 伸夫, 冨樫 整, 高橋 恒男, 石川 誠
1988 年 30 巻 9 号 p.
1905-1913
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Fluorescein(以下F)静注による肝表面蛍光観察の意義を探るためラットを用い基礎的に検討した.蛍光撮影法は従来の蛍光胃内視鏡撮影法を改良し,光源として01ympus CLE
F10を用いた.この方法により鮮明な画像を連続的に得ることができた.正常ラット肝表面ではF静注5秒後に蛍光は門脈域に出現し,しだいに肝小葉を中心静脈へ向かい拡がった.CCl
4与による急性障害肝ではやはりF静注5秒後に門脈域に蛍光が出現したが,20秒から5分の問に中心静脈周囲の壊死部に一致して微細顆粒状の強い蛍光が認められた.CCl
412週間投与の慢性障害肝では初め不規則な門脈域の蛍光が出現し,F静注後20秒から5分の間に偽小葉を取り囲む間質部に一致して網目状の強い蛍光が認められた.すなわち,肝表面の蛍光はF静注後5秒で門脈域の変化を,20秒から5分の間には壊死部や問質の変化をある程度現わしていることが示唆された.以上,ラット障害肝を用いた検討より肝表面の蛍光像は病変を反映することが示唆され,臨床応用への可能性を示すものと思われた.
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榊 信広, 竹本 忠良
1988 年 30 巻 9 号 p.
1914-1919_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
十二指腸潰瘍の治癒経過を通常内視鏡で観察し,絨毛単位の再生粘膜模様の形態の変化を中心とした新しい内視鏡的時相分類を作った.まず,治癒過程を白苔の存在する再生期と,白苔消失後の瘢痕期に分けた.再生期はRO(再生模様なし),R1(細かな再生模様),R2(粗大顆粒状再生模様)に,瘢痕期はSa(中心陥凹あり),Sb(粗大顆粒状模様),Sc(正常絨毛類似模様)に分類した. 瘢痕期の再生粘膜模様を形態と機能面からみると,Saはまだ不完全な再生を示すに過ぎず,SbからScになるにつれ正常絨毛に近い組織所見とメチレンブルー吸収能を示した.一方,1年間のprospectiveおよび10年以上のretrospectiveな内視鏡的経過観察で,再発を繰り返す症例はSaの状態が持続し,SbからScへ移行した症例では再発はみられなかった.
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林 繁和, 中村 常哉, 栗田 恭充, 土田 健史, 吉井 才司
1988 年 30 巻 9 号 p.
1920-1924_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
6年間に経験したSalmonella腸炎71例のうち大腸内視鏡検査を施行した16例の内視鏡:像を検討した.男性12例女性4例で,年齢は25~66歳,平均49.3歳,症状は下痢16例,血便4例,腹痛13例,発熱9例,嘔吐5例であった.16例中11例に発赤,出血,ビランなどの所見がみられ,びまん性病変,縦走性病変各3例,アフタ様病変2例で明確な潰瘍形成を認めたものはなかった.病変部位は全大腸2例,S状結腸から深部大腸2例,上行結腸から終末回腸2例,S状結腸4例,横行結腸1例であった.生検組織所見では7例中2例は高度,3例は中等度,2例は軽度の炎症所見を認めた.本症の内視鏡像は多彩で罹患範囲にも特徴がないので,内視鏡像だけでは潰瘍性大腸炎,他の感染性腸炎,時に薬剤性大腸炎や虚血性大腸炎と鑑別困難であり便の細菌培養が重要である.
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西福 幸二, ニツ木 浩一, 中川 高志, 山本 邦男, 宮内 輝幸, 藤樹 敏雄, 赤沢 修吾, 神田 裕三, 阿部 荘一, 尹 聖哲, ...
1988 年 30 巻 9 号 p.
1925-1934_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
過去5年2カ月間に,われわれは33例の癌性狭窄を有する噴門部癌を対象にNd:YAGレーザーによる内視鏡的治療を行ってきた.レーザー照射方法については,非接触法に比較して接触法がスキルス胃癌による全周性の狭窄を含めて容易に治療できること,および狭窄改善に要する期間が短いことなどの点で優れていた.レーザ.___治療による狭窄改善は85%に認められたが,臨床的治療効果の評価では67%に有効であった.レーザー治療による噴門部癌性狭窄患者の延命,およびquality of lifeの向上についてnon-historical control群と比較検討すると,レーザー治療群は化学療法のみで治療された12例と比較して有意に優れていた.一方,非治癒切除に終わった16例の噴門部癌性狭窄症例との比較では有意差を認めなかった.すなわち,噴門部癌性狭窄に対するレーザー治療は,palliative therapyとしては高度進行胃癌における幽門部癌性狭窄の場合の胃空腸吻合術に相当する臨床的効果を有するものと思われた. 以上のことから,術前より非治癒切除に終わることが予想される噴門部癌性狭窄症例や,そして高齢あるいは合併症などの併存に起因するhighriskの症例はレーザー治療の最良の適応になるものと思われた.
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井戸 健一, 人見 規文, 礒田 憲夫, 谷口 友志, 大谷 雅彦, 川本 智章, 吉田 行雄, 木村 健
1988 年 30 巻 9 号 p.
1937-1941
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
スコープの先端にテレビカメラとして高性能固体撮像素子(Charge Coupled Device,CCD)を組み込んだTV-Peritoneoscope(東芝一町田)が開発された.スコープ先端の対物レンズにより結ばれた像(光信号)はCCDにより電気信号に変換され,Video Processorを通じてテレビモニターに映像が送られるシステムである.この新しい試作TV-Peritoneoscopeを10症例に臨床使用を行い,以下の結果を得た.1.TV-Peritoneoscopeの画像は,レンズ系の腹腔鏡接眼部に同一性能のCCDカメラを装着した場合の画像よりも鮮明で,高い解像能を有していた.2.視野方向が側視であるため視診範囲が広く,且つ肝表面の正面視が容易であった.3.スコープの外径が10mmであるため,従来の腹腔鏡のtrocarをそのまま共用できる.従ってルーチン検査の一部としてTV-Peritoneoscopeを用いた腹腔鏡検査が施行可能である. 以上,この新しいTV-Peritoneoscopeにより,レンズ系の腹腔鏡では困難であった様々な画像処理及び画像解析が可能となり,腹腔鏡の新しい分野の発展が期待できる.
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―ERBD-ENBD併用法―
神谷 泰隆, 岡山 安孝, 後藤 和夫, 野口 良樹, 白木 茂博, 松葉 周三, 大原 弘隆, 中山 善秀, 武内 俊彦
1988 年 30 巻 9 号 p.
1943-1949
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸に対するドレナージ法として,ERBD単独法(以下,単独法)は施行後に患者の苦痛のない一期的生理的内瘻法であるという特徴が理解され徐々に普及してきている.しかし,PTBDやENBDなどの外瘻法と比較して問題がないわけではない.そこで,ERBDの長所を生かしつつ欠点を補う目的でERBD-ENBD併用法(以下,併用法)を開発し,閉塞性黄疸症例13例に試み全例に成功した.その結果,併用法は単独法施行症例43例と比較して(1)頻回の胆管洗浄が可能となった.(2)胆汁細胞診,胆汁細菌培養が可能となった.(3)拡張胆管の十分な画像がえられるようになったなどの点で優れていると考えられた.また,併用法は減黄効果,減黄速度の点において単独法と著変なく,重篤な合併症も認められなかった. 併用法はENBDチューブを抜去するという簡単な手技で従来の単独法へ移行することができるため有用な方法で,今後さらにERBDの適応の拡大につながる手技と考えられた.
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石川 啓, 田川 泰, 宮下 光世, 横田 美登志, 福田 豊, 中越 享, 下山 孝俊, 三浦 敏夫, 富田 正雄
1988 年 30 巻 9 号 p.
1950-1955
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸内視鏡下生検材料を用いたフローサイトメター(以下FCMと略す)による癌細胞核DNA定量の信頼性を検討する目的で,16例の大腸癌症例において生検個数3,6,10個のDNA量を測定した.3,6,10個の生検材料より得られた癌細胞数は各々,(3.45±2.75)×10
4,(6.10±4.49)×10
4,(1.59±0.94)×105個であった.得られたDNAヒストグラムより各々の生検個数時におけるDNA Index(D.1)値とcoefficient of variation(C.V)値を検討したところ,生検個数によりヒストグラムのD.1値とC.V値は一定であった.Aneuploid症例においてヒストグラム上のdebris,G
0/G
1,aneuploidの分画の割合も生検個数にかかわらず有意の変動を認めなかった.更に,生検材料におけるD.I値は切除標本のD.I値と相関係数0.997で高い相関を示した.以上より生検個数3個において適正なD.I値の評価が可能であると考えられた.
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―ラット肝を用いた基礎的研究―
谷口 友志, 井戸 健一, 大谷 雅彦, 川本 智章, 人見 規文, 礒田 憲夫, 吉田 行雄, 木村 健
1988 年 30 巻 9 号 p.
1956-1961_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
腹腔鏡的に観察される肝色調の評価は現在の所,検者の主観によってなされており客観性に乏しい.そこで,腹腔鏡画像下での肝色調の客観化を最終目的として,spectrophotometer system(大塚電子製spectro multi channel photo detectorMCPD-200)を用い,ラット肝による基礎的研究を行った.正常肝,indocyaninegreen(ICG)投与肝,胆汁欝滞肝,四塩化炭素障害肝について測色を行い,L*a*b*表色系で表現した.その結果,正常肝に比し,ICG投与群ではlightness,saturationの低下がみられ,胆汁欝滞肝ではlightness,saturationが高く,より黄色調を帯びていた.四塩化炭素障害肝においては,よりlightness,saturationが高く,hueにはほとんど差がなかった.これは肉眼的所見と矛盾はなかった.本実験により,肝色調及び各群間のcolor differenceは再現性よく,客観的に示されることがあきらかとなった.
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大城 宏之, 横山 泰久, 横山 功, 菊池 学, 水田 正雄
1988 年 30 巻 9 号 p.
1962-1967_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最近6年間に大腸内視鏡でAphthoid colitisと診断された29症例について検討を行った.男5例女24例で,平均年齢は45.1歳であった.症状は粘血便,下痢,粘液便が多かった.病変部位は,直腸から下行結腸に好発し,横行結腸,上行結腸,盲腸のみに限局するものはなかった.注腸X線検査では多発する小透亮像およびその中央のBa斑を認めた.生検所見では,リンパ濾:胞の過形成およびその周囲粘膜の炎症像が見られた.抗生剤投与例は偽膜性腸炎の初期像あるいは軽症例と思われた.原因不明群の中には感冒様症状を呈したものもあり,ウィルスによるものも含まれると考えられた.
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篠田 雅幸, 高木 巌, 伊藤 克昭, 吉井 由利
1988 年 30 巻 9 号 p.
1968-1973
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
良性食道狭窄の口側に生じたmucosal bridgeの1例を経験したので報告する.症例は57歳男性,主訴はつかえ感.昭和53年8月先天性食道気管支瘻で瘻孔切除術を受けた.その後肺炎を繰り返しCephalosporin系抗生物質カプセルの投与を頻回に受けていた.昭和59年12月肺炎で他院入院中に主訴が出現,上部消化管造影で胸部中部食道の狭窄を指摘され,精査治療目的で昭和60年4月2日当院へ転医した.内視鏡検査では上門歯列より35cmの部位に内径約5mmの瘢痕性狭窄が認められ,その約10cm口側にmucosal bridgeが観察された.食道のmucosal bridgeは食道の炎症の修復過程で生じるという報告が多い.本症例の場合は,呼吸器感染症に対しCephalosporin系抗生剤が頻回に経口投与されていたこと,瘢痕性狭窄が存在していたことから,明らかな食道炎の既往はなかったがCephalosporin系抗生物質の停滞による薬剤性食道炎が本症の成因として関与した可能性が考えられた.
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枝 幸基, 山形 倫, 金沢 徳昭, 小林 和人, 太田 恵輔, 当麻 忠
1988 年 30 巻 9 号 p.
1974-1980_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃のGranular Cell Tumorは過去32例の報告がみられる.29歳の男性の胃に発生した本腫瘍の症例を報告する.上部消化管の1連の検査により胃噴門部にBridging Foldと頂上にDelleを持つ腫瘤を認め,胃粘膜下腫瘍と診断した.病変の基部の粘膜下層に造影剤を注入すると,造影剤のDefectとして腫瘤の輪郭があらわされ,腫瘤は胃内発育型を呈した.超音波内視鏡像では,その内部エコーが平滑筋腫と異なる印象を得た.腫瘍を高周波を用い内視鏡的に切除した.この腫瘍の組織発生については論議をよんできたが,近年の電子顕微鏡学的,あるいは免疫組織化学的研究の結果はシュワン細胞由来の説を裏付けている.われわれの症例でもs100蛋白に陽性反応を示し,神経原説に一致した結果であった.本腫瘍の多くが粘膜下層に局在し,小さく,かつ良性であることから,治療は内視鏡切除が最も望ましいと考えられた.
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前田 光雄, 中野 修, 宮本 和明, 柱本 満, 松田 康平, 三浦 正樹, 鈴木 和文, 岡田 究, 鎮西 忠信, 山城 主計
1988 年 30 巻 9 号 p.
1981-1987
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
46歳,男性の胃梅毒の1例を報告する.大量飲酒後,心窩部痛と吐血を主訴に来院.初回内視鏡検査にて出血,浮腫を伴った急性多発性胃潰瘍を認めH
2一プロッカーを中心に加療を行った.抗潰瘍療法を続けるも治癒傾向はなく,胃体下部より胃角部にかけて浅い不整形の多発潰瘍と幽門前庭部に粗大顆粒状病変を認めた.癌や悪性リンパ腫を疑い生検を繰り返したが陰性であり,血清梅毒反応にてガラス板法128倍,TPHA1,280倍,FTA-ABS(2+)と強陽性を呈したことから胃梅毒を疑い,ペニシリンGによる駆梅療法を施行した.駆梅療法開始2週後より治癒傾向を認め,9週後には治癒した.胃梅毒は稀な疾患であり癌や悪性リンパ腫,RLH等との鑑別が困難なことがあり,生検にても特異的所見を呈さない.抗潰瘍療法に抵抗性を示し,血清梅毒反応が陽性を呈する時には本疾患を考慮に入れ,駆梅療法を施行すれば完治しえると考えられた.
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連吉 時, 飯田 三雄, 岡田 安浩, 大串 秀明, 中村 賢二郎, 岩下 明徳, 藤島 正敏
1988 年 30 巻 9 号 p.
1988-1993_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は62歳男性,36年前胃潰瘍にて胃部分切除を受け,Billroth II法で再建された.13年前より末期腎不全のため血液透析中であったが,貧血が持続するため内視鏡検査を受けたところ,胃空腸吻合部に隆起性病変とその一部にびらんを認め,生検の結果はGroup IVであった.その後,SPHGに合併する胃癌と診断されたが,患者が手術を拒否するためレーザー照射が施行された.照射後大量出血をきたし緊急手術が行われた.切除標本の病理学的検索の結果,SPHGに発生する同時重複早期胃癌(III+IIcとIIc)と診断された.III+IIc型早期胃癌部では,レーザー照射によって生じたUIII潰瘍の辺縁に癌が残存し,潰瘍底に動脈走行異常とその破綻が認められた.われわれはSPHGに合併する胃癌について考察したほか,このような症例を内視鏡的に治療する際大量出血の危険性があることを強調した。
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上野 明彦, 井田 徹, 木下 雅博, 堀江 健司, 石田 基雄, 増山 仁徳, 加藤 善久, 原田 尚
1988 年 30 巻 9 号 p.
1994-2001
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は,66歳女性.食欲不振,腹部不快感を主訴として,精査目的にて入院した.注腸検査で盲腸部に陰影欠損を認め,内視鏡検査では同部にカリフラワー様の隆起性病変が存在した.生検組織診断では絨毛腺腫が主体であり,明瞭な癌組織は得られなかったが,一部にGroup4の所見を認め,さらに大きさ,表面の性状をも考慮して,回盲部切除術を施行した.切除標本では,同部に3.7×2.8cmの隆起性病変を認め,病理組織学的に主体は絨毛腺管腺腫であったが,一部に明かな高分化腺癌を認めた.また同領域には他に2個の小隆起を認めたが,いずれも腺管腺腫であった.盲腸のいわゆる腺腫内癌はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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平田 信人, 藤田 安幸, 藤田 力也, 菅田 文夫, 服部 正裕, 山辺 博, 明石 隆吉
1988 年 30 巻 9 号 p.
2002-2005_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
膵胆道疾患に対する内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)は認められた治療法として広く行われており,その延長上に膵胆道疾患に対する診断,治療として経口胆道鏡が位置している.1986年に1.7mmの鉗子チャンネルを有する経口胆道鏡Type-J(オリンパス)が開発された.われわれは本機を用いて胆嚢内の観察に成功した.これまで経乳頭的な胆嚢内視鏡についての報告はない.われわれの経口胆嚢鏡をしえた3例はすべて胆嚢胆石があり1cm径以上に拡張した胆嚢管を有していた.観察に成功した理由は,胆嚢.結石が総胆管に移動し,胆嚢管の螺旋構造の破壊と拡張があったために胆嚢内に挿入ができたものと考えられた.うち1例には1.7mmの鉗子チャンネルよりバスケットカテーテルを用いて胆嚢胆石の除去にも成功した.
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錦見 孝志, 飯石 浩康, 春日井 博志, 岡野 弥高, 今西 清, 竜田 正晴, 大谷 透, 森井 健, 奥田 茂, 石黒 信吾, 佐藤 ...
1988 年 30 巻 9 号 p.
2006-2012_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
過去約10年間に当院にて経験しえた小腸の原発性腫瘍13例(平滑筋肉腫6例,平滑筋腫3例,悪性リンパ腫2例,腺管腺癌2例)の臨床病理学的所見と診断過程について検討した.小腸腫瘍は空腸・回腸いつれにもほほ伺頻度で認められ,壁外性に発育するものが多くみられ,最大径5cm以上のものには悪性腫瘍が多い傾向がみられた.臨床的には術前に診断可能であったものは13例中7例(54%)に過ぎず,他に存在した主病変の開腹手術時に発見されたものも少なくない.小腸腫瘍の診断には小腸二重造影法,内視鏡検査および腹部血管造影が重要であった.小腸腫瘍には特有の症状は認められないが,その大部分は出血,腹痛,腫瘍触知を主症状としており,原因不明の出血や腹痛を訴える患者には小腸腫瘍を疑い積極的に精査することが必要である.
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尾川 美弥子, 清水 誠治, 稲富 五十雄, 多田 正大, 川本 一祚, 川井 啓市
1988 年 30 巻 9 号 p.
2013-2017_1
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
プッシュ式小腸ファイバースコープに改良を加え,より空腸深部の観察が可能となった親子式小腸ファイバースコープ(SIF-MS)の使用経験を報告した.本器種は親スコープと子スコープとの2本のスコープから成る.その挿入方法は親スコープをプッシュ式ファイバースコープと同じ要領で十二指腸・空腸曲まで挿入したのち,親スコープの鉗子チャンネル内に通した子スコープをさらに小腸深部へ挿入してゆくものである.われわれの施設において最近7カ月間に小腸疾患の疑われた3症例に対してこのSIF-MSを用いて内視鏡検査を行った.その結果プッシュ式ファイバースコープと同様,短時間にかつ簡便に検査を行うことができた.しかもプッシュ方式よりもさらに深部空腸までの挿入,内視鏡観察が可能であり,被検者の苦痛も大きくないことから,空腸疾患の診断上,有用な器種であることが確認された.
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日本消化器内視鏡学会
1988 年 30 巻 9 号 p.
2018-2043
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1988 年 30 巻 9 号 p.
2043-2092
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1988 年 30 巻 9 号 p.
2092-2098
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1988 年 30 巻 9 号 p.
2098-2105
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1988 年 30 巻 9 号 p.
2105-2132
発行日: 1988/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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